女信長 (新潮文庫 さ 47-3)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (646ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101125336

作品紹介・あらすじ

群雄を次々と打ち破り、覇王となった織田信長。だが"彼"には大いなる秘密があった。女に生れるも、父にその才を見込まれ、嫡男として育てられたのだ。知るのは近親と臣下のごく一部のみ。大胆な人材登用、新たな戦法の採用、楽市楽座、それらは全て女ならではの発想によるものだった。猛将・知将との隠された恋、そして本能寺の真相。驚天動地-新たな戦国絵巻が紐解かれる。

感想・レビュー・書評

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  • 信長の偉業を女目線で解釈しなおしたときの納得感はさすが佐藤賢一。ただし、女を描かせたときの魅力のなさもさすが佐藤賢一。とても面白い小説になり得た構想にも関わらず、信長がだんだんとヒステリックなだけの女になり、浅井長政や明智光秀の引き立て役にしかならないというつまらなさ。男至上主義でしか描けないのなら同じ設定でも男を主人公にした方がよいと思う。

  • なんだろう。信長が女だという設定も面白いし、特に本能寺の変に至った下りや天海和上についてはどの史実よりストンと腹落ちもしたのに、どうも好きになれない一冊。
    官能シーンの多さ・しつこさにもちょっと辟易感で、男性が描くとこうしないと売れないと思っちゃうの?と思ったり。
    信長を主人公とした割に、信長のキャラ設定に魅力がないんだよね…
    女っぽさを出そうとし過ぎてむしろヒステリーキャラというかわがままキャラというか。ある意味時代ものに託けて、作家自身の男尊女卑っぷりが出ちゃってる感じ。女性に偏見ありますか?的な。

  • その設定でいきますかー!って感じ。
    話はまずまず面白いけど、全編に漂う結局女にはムリでしょ~な空気はいかがなものでしょうか。まあ逆に、彼女をなんでもできるカリスマスーパーウーマンにしてないとこが、リアルと言えばリアルなのかな。
    結末の、本能寺黒幕は個人的には面白い。

  • ”織田信長は実は女だった!”という設定は面白い。
    信長による様々な奇策・革新的な発想は慣習に縛られた男ではなかったからだ、というのは判りやすいかも。
    ただ全編を通して”男は~だ””女は~だ”で全てを断じられるのは納得できない。
    あまりにも信長がヒステリックで魅力が感じられないのも残念。
    こういう人物にあれだけの家臣が付き従い、あれだけの実績が上げられたとは思えないのだけど。

  • 織田信長は女だった。
    最初から女であることを武器に、斉藤道三を籠絡する。
    その後も「女だからできた」「女だから発想が違う」「女だから・・・」の連発。
    着想は面白いし、分かる部分もあるが、かなりくどい。
    絵解き的な側面が強く、もう少し物語的なところも欲しかった。

    <時代>
    16世紀後半
    <場所>
    日本 尾張、安土、京都
    <主な登場人物>
    斉藤道三、帰蝶、柴田勝家、浅井長政、明智光秀、羽柴秀吉
    <歴史上のイベント・キーワード>
    正徳寺の斉藤道三、織田信長の会見
    桶狭間の戦い
    天下布武
    姉川の戦い
    比叡山焼き討ち
    安土城築城
    織田方面軍
    京都御馬揃え
    本能寺の変

  • 信長のうつけとも呼ばれた前例もない蛮行は、信長が女だった故、男には考え付かない着想を持ち得たからである。織田信長が、女であったという前提から、信長の天下取りを描いたSF歴史物。

    着想は面白いし、斬新な解釈で説得力がなかったわけでもないけど、筆者の男女感に、胸くそ悪いとこがあったな。あと、途中から男だから、女だからってところがくどくなりすぎて鼻につく。面白くなかったわけじゃないけど、気持ちよく読めるものではなかったな。特に後半いかにも男が書いた女ってカンジで、途中までおもしろかったので、ちょっと残念。

  • 設定にちょっと無理があるかなあ。

  • 歴史上の人物が実は男だった。
    そんな設定の漫画やゲームも数多くある。
    この物語も、荒唐無稽な発想から作られている。

    信長はそれまでの手法に捉われず、戦法も経済政策も雇用形態も変えてしまった人物である。
    その基盤を「女」であることに求めていることが新しいと言えば新しいのでしょう。
    細かな部分では矛盾するような場面もあり「あれ?」と首を傾げたくなるようなところもあるけれど、物語だと割り切れば面白い。
    これだから女ってやつは厄介だ・・・とため息をつく場面もあり。
    女には確かにこんな一面があるよな・・・と納得する場面もあり。
    これだから男って面倒臭いと嫌になりながら、それもまた男の一面でもあると思う場面もあり。
    語り部の視点によって歴史上の人物像はいろいろな姿を見せるものだ。
    こんな見方もあったのか!これは面白い!
    そんなふうに思えれば楽しめる物語だ。

  • ドラマがとてもよかったので原作を読みたいと何年も思っていてやっと読めた作品。期待が大きすぎたのかドラマが良かったからか、ちょっとがっかり。最初は面白かったし女であるという設定もよかったが、中だるみがあったのと性描写が多すぎなのには閉口した。もう途中で読むのをやめようかとも思ったが、最後がまた面白くて完読できた。

  • 信長を女性として描く、伝奇小説。潔癖でヒステリック、筋を通して妥協しない、こうした女性らしさと史実が語る信長の性癖がマッチして、妙に納得。肉体的な力を持たない女信長だからこそ、鉄砲の利点を見いだし、また土地に執着せず商業重視で富を蓄積することができた、というのも説得力がある。ただ、必ずしも色仕掛けという訳ではないが(むしろ精神的なバランスを保つため、という面が強いが)、斎藤道三、柴田権六、浅井長政、明智光秀と、戦国時代のキーマンのことごとくと男女関係を結ぶ展開には、エロチックでちょっと辟易。
    最終章で明智光秀=天海僧正が家康に語る、本能寺の変の顛末と、信長=天下への思いはなかなか読みごたえがあった。

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著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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