輝ける闇 (新潮文庫)

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著者 : 開高健
  • 新潮社 (1982年10月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101128092

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輝ける闇 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 「銃声が止んだ……虫が鳴く、猿が叫ぶ、黄昏のヴェトナムの森。その叫喚のなかで人はひっそり死んでゆく。誰も殺せず、誰も救えず、誰のためでもない、空と土の間を漂うしかない焦燥のリズムが亜熱帯アジアの匂いと響きと色のなかに漂う。孤独・不安・徒労・死――ヴェトナムの戦いを肌で感じた著者が、生の異相を果敢に凝視し、戦争の絶望とみにくさをえぐり出した書下ろし長編」 裏表紙より。読みかえす度に、新たな感銘を受ける一冊です。

  • 開高健の文章の世界について知りたくて読書。

    お世話になる雑誌社の人から勧められた一冊。読んだ感想は「いつかこんな文章を書けるようになりたいが、到底書けない」と思ったそうだ。

    著者の本は初めて読んだ。正直な感想は読みづらい。

    最初は少し早めに読んでいたが、途中から1文字ずつを追う熟読へ切り替えて読み進めた。

    ベトナム戦争についてよりは私小説のような内容。実に巧みな表現と比喩で当時の情景が目の前に浮かんでくるような文章。匂いや暑さ、見えている色まで想像させてくれる。

    確かにこんな文章を書けるようになりたい。一物書き、メディアに携わる人間としてより魅力的な文章とは何かを考えさせてくれる。

    また読みたいと思う。ご紹介有り難うございます。

    読書時間:約6時間

  • 読み終わった。
    キツかった。
    でも、こう言うのを読んどくのもアリだと思うんだ。

  • 比喩の多さと、時代背景の知識のなさにかなり読むのに時間がかかった。
    主人公の戦時なのにのらりくらりとした生活が描かれてるけど、最後の戦闘シーン以外はあんまり読み進める気が起きず。

  • 角田光代、平松洋子がエッセイの中で、この本の感想を書いていて、読んで見たくなった本。ベトナム戦争を肌で感じた開高健の言葉は、リアルで生々しい。「匂いを書きたい」という意図にも、納得。個人的な捉え方や感じ方は、時代の中で変わっても、匂いは不変だと。 
    戦争や残虐なシーンが書かれたものは苦手な私でも、なぜだか不思議と、目を逸らさずなに読み進んだ。
    いずれまた読み返したい一冊。

  •  『ベトナム戦記』に続いて、開高のベトナム戦争関連テクストを卒読。ところどころ『ベトナム戦記』の記述を思わせるエピソードが挿入されているが、テクスとしての強度はこちらの方が圧倒的に上。やはり小説家は小説で読むべきなのだ。

     だが、テクストとしての評価は難しい。絢爛豪奢という他ない開高の表現力には確かに驚かされるし、戦場を見ること、戦場を書くこと、戦場を生きることに関する誠実な思索が展開されてもいる。サイゴンの都市の風景に自らの戦争と戦後の体験がフラッシュバックする様子、戦場記者の仲間がベトナムの戦場を中国戦線の記憶とだぶらせていく様など、戦後文学における戦争表現・戦場描写を考えるうえで重要な論点も多く含まれる。
     
     しかし、だからこそ気になってしまうのは、開高は、物語が、文章がうますぎるのではないか、ということ。このテクストでは、ベトナムの酷暑があらゆるものを溶かし、腐らせ、大地=自然と一体化させて取り込んでしまう、という主調がつくられた上で、アメリカの軍人たちの苦心も、ベトナム人の若い女性とのセックスに耽る自分も、最終的には無意味に輪廓を失い、溶け出してしまうのではないか、という予感に縁取られている。だが、それはいかにも典型的で紋切り型の「南」へのロマンチシズムではあるまいか?

     ベトナムに行きながら、このテクストの物語の枠組みは、「南」の戦場ならどこでも通用してしまうものでしかない。この問題は、日本語の戦争表現・戦場表現の問題としても、考える必要があるのだろう。いつかしっかりと再読したいテクスト。

  • ベトナム戦争従軍記者の記録。うーむ、名著なんだろうけど、読むのに疲れた。しばらく読みやすい本ばかり読んでたからか、分かりにくい比喩と言うか文学的な表現が多くて途切れ途切れ読んだのも疲れた原因。インテリが安全地帯からベトナム戦争を論じるのでは無く、ベトナム戦争を取材する記者という立場で内部からの目で記録してるんだけど、客観的な記録じゃなくて悩める自分中心の私小説です。読む前にストーリーを把握しておいた方が良かった。

  • 妻子を日本に残して、ベトナム戦争の取材に赴き、サイゴンで情婦である素蛾(トーガ)と過ごし・・・男の人って、やっぱりそういうもの?と思っていたら、また危険な戦場へ戻って、今度は銃撃戦に巻き込まれる・・・九死に一生を得たからこその本作品だったようである。
    ちなみに夫婦関係は最悪で、盛んに海外に出かけていったのは、妻や娘の居る家から逃げ出したかったかららしい。さもありなん・・・。

  •  歴史小説では全然無いし、ベトナム戦争を舞台にした私小説でした。何を期待して読み始めたか忘れたが、思ったほど入り込めなかった。親の世代ではあるけど、近い時代ではあると思うが、自分の置かれている状況とあまりに違うからかと思う。
     ただ、今までベトナム戦争はアメリカの映画でしか触れていなかったので、違う視点で触れられたのが良かった。

  • 時折読み返してしまう。名著。

  • 20数年ぶりに読み返してみたが、やはりピンとくるというか、ストンと落ちるというか、感動ということが無かった。

    一度読んだきり、20年以上前の感想はよく覚えていないが、小難しいというか、何を言いたいのか良く分からなかったような気がする(←現在から過去を振り返っているので、本当のところは読書録を見なければ分からないが)。

    開高健記念館で見たNHKのアーカイブ映像「あの人に会いたい」によれば、ベトナム戦争時、多くの人が日本にいて色々な事を言っているが、誰ひとりとして現場のベトナムを見ていなかった。また、九死に一生を得てサイゴンに戻った直後はもう戦場に戻るまいと思っても、数時間後にはまた戦場に戻る気になっていた。旨の発言があったように記憶している。

    その他、「自分は好奇心の塊である。」「闘う男である。」等の発言もあったような気がするが、定かではない。

    本来、作品は作品のみで鑑賞、評価すべきなのだろうが、上記の発言を踏まえたうえで解説(作品ではない)を読むと、”ここでは作家が、徹底して本当のことだけを言い、徹底して真実だけを視ようとしている、ということだけがわかればいい”は理解できるか。

    現実が溶解する。つまり形がなくなる。形がないものに言葉はない。もちろん自分自身も形を失う。求める、自分を外へ外へ。本当の自分を。死を自覚するすぐ間近に。その時、本当の自分が得られ、本当の自由になる。ハイデッカー、サルトルの実存主義である。日常で死を自覚するのは容易ではないが作中、戦場においては自覚せずとも強制的に外部より悟ることを迫られる。そこに真の自分が生まれるが、作品では真の作家が生まれる。(1986.2.17~21 初読時感想)

  •  ベトナム戦争に記者として従軍した著者の経験が生かされた代表作。否応なしに戦争に関わらざるをえない現地の人々や米兵の苦悩、そして、記者として「誰も殺さず、誰も救えず」戦争を見ていることしかできない主人公の苦悩が描かれる。そして、主人公は自ら戦争に飛び込んでいくかのように、危険な戦場の最前線の取材に挑む‥。
     第二次世界大戦が終わって以来、日本人のほとんどは戦争を見ているだけになった。そして、見ているだけの苦悩を抱くことができるのは、ごく一部の日本人だけだと思う。大多数の人は、テレビや新聞越しに戦争を見て、ありふれた感想を述べるだけだ。それはごく当たり前のことなのかもしれない。この本は、その「当たり前」に疑問を投げかけているような気がする。

  • いつか読もうと思っていた開高健の代表作。ベトナム戦争下サイゴンや最前線のジャングル。文章の濃度が尋常で無い濃さ。水分を含んだ重い空気感や様々な匂い、五感を刺激する文体は軽々しく読むことを拒絶する。作家の全身全霊を凌駕する怪物のような作品。この先何度か読むことになるであろう1冊。

  • 傑作です。

    この作品を語るどんな陳腐な言葉も弾き返してしまう、迸る必死な何かがあります。存在が揺るがされるほどの、精神的に物凄い瀬戸際で書かれたことを感じました。

    この前に読んだ『夜と霧』もそうですが、ぜひ手に取ってみてほしい。私自身、そうして良かったです。自分の人生にとって、大切な経験になると思います。

  • ベトナム戦争従軍記。非常に濃密な作品。リアルで、匂いや音すら感じ取れるような、生と死が物凄く近くにあるがゆえの厳粛かつ緊密な世界が現れている。

  • 小説の最初から最後まで緊張が続く。文章が緊張している。その緊張に耐えられず、長時間の読書に耐えられなくなる。ここに登場する作者は34歳、自分は何をやっているのか、、、

  • ベトナム戦争の記者として、小説家らしい場面があった。最後の従軍した場面はほかのドキュメントと一部重なっている。

  • 戦争が遠い。世界の紛争や、食べ残しのときに用いられる「アフリカには飢餓で苦しんでるナンタラ」の話もピンとこない。学校の道徳の時間に満場一致で出される「せんそうはいけないとおもいます」、反してネット上の大きいのか小さいのかわからない範囲では、中国韓国との戦争も辞さない構え。是非はともかくとして、身近でないものに想像力を働かせるのは、私には難しい。においでも感じられたらと思い、手に取った一冊。戦争はまだ遠い。

  • 著者の生を 全てぶつけて書かれている様に 感じた。
    もっともっと本を読もう!と思わされた。

  • 淡々としているから恐怖心があおられる。言葉の連なりに強く印象を持つ。銃殺の情景、戦闘の情景、みな人間がしている、感覚が麻痺していくこと自体、醜悪なことだと強く感じる。

  • 生きることについて。
    開高氏は、匂うような作品を書きたいと文中で語っている。
    そのとおり、ムッと湿度を持った亜熱帯の空気感が溢れる。
    アジアを感じる作品。
    一人旅をしたホーチミンを思い出す。
    と同時に、何故か初めて行った海外、フランスの空気感も感じるのだった。
    戦争ものということで覚悟していたのだけど、想像程ではなかった。
    ただ、最後の戦闘シーンはTHE戦争であった。

  • 人間の闇を切り取り、白日の下に晒した圧倒的な迫力。

    ベトナム戦争に従軍記者として同行し、ゲリラに襲われ、200人いた部隊のうち、著者含めてわずか17人しか生き残らなかったという壮絶な経験がベースになっている。

    熱帯雨林の湿気、米兵の体臭や血、死者から流れる腐臭など、本から体温と匂いを感じてしまうくらい、凄まじく強烈な作品。

  • 徹底的に正真正銘のものに向けて私は体をたてたい。

    私は自身に形をあたえたい。
    私は戦わない。殺さない。助けない。耕さない。運ばない。扇動しない。策略をたてない。誰の味方もしない。ただ見るだけだ。

    わなわなふるえ、眼を輝かせ、犬のように死ぬ。

  • 最終盤の戦場での緊迫感は見事だが、それ以外の場面ではかっこつけた物言いばかりではないか。一言で言えば正直さが感じられない。こういう人間には私は感情移入が出来ない。

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