幽霊―或る幼年と青春の物語 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 454
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101131023

作品紹介・あらすじ

「人はなぜ追憶を語るのだろうか。どの民族にも神話があるように、どの個人にも心の神話があるものだ」昆虫採集に興ずる少年の心をふとよぎる幼い日に去った母親のイメージ、美しい少女に寄せる思慕…過去の希望と不安が、敗戦前後の高校生の胸に甦る。過去を見つめ、隠された幼児期の記憶を求めて深層意識の中に溯っていく。これは「心の神話」であり、魂のフィクションである。

感想・レビュー・書評

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  • 言語化しようとするものの視点や、表したい事は分かったが、自分には楽しさや意外性が足りず通読が少し苦痛に感じられた。

  • 何もかも美しい。
    言語化してくれてありがとう。

  • おぼろげな幼年期の追憶。見た記憶がないのにしばしば重なる母の姿。自然の中に浸かって五感で感じる神秘な世界に酔う。2023.10.14

  • 現代では情報過多で時間に追われるように過ごす人が多く、このように自分と向き合って自分で考えて何かを見出していくことができる人は少ないだろうと感じる。あらためて、自然と向き合ってじっくり考えて人のために行動することを意識したいと感じた。

  • 私の青春時代という時に何度も読み返した作品。
    久しぶりに読みたくなったので購入して読んでみた。
    今読むとどう感じるのだろうかと少し危惧するような気持ちもあったが、とても面白く読むことができた。
    文章が美しく叙情性あふれていて、ストーリーのようなものはほとんど無いのだが文章を読むこと自体を楽しんで読んでいける。
    青春期の心の揺らぎや感性の鋭敏さが描かれていて、青春時代の私がこのあたりに共感して読んでいたことが思い出された。

  • 日本経済新聞2月18日『リーダーの本棚』で紹介
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99482555

  • 当たり前ですけど児童向けと全然違いますね…。言っていることはわかりますが結局何が言いたいのかよくわからない部分もありました。僕の力不足なんですが。
    うーんどんな話かって言われると全く説明できません。ただ自然の描写がとにかくすごくて、しっかり読むと自然の生々しい感覚が味わえます。特に虫の情報がすごい。著者は大の虫好きだったようです。

  • 自伝的小説。幼少期をありのまま、皮膚感覚が蘇るくらいねっとり描く。姉、母、父、その喪失。忘却に沈んだ記憶をたぐる。ばあや、叔父、従兄。自分と境遇は違うけれど、なぜか懐かしさを感じる。その具体性が魅力。遊び、会話、植物、昆虫、心情の変化。おかゆに残る梅干しの赤。そこに読むものを引っ張っていく力がある。序盤が特に良い。家族を失い、病気を患い、ばあやとも死別。戦争。糸が切れた凧のように山を歩き、自然の中で自分と向き合う。心理学的に研究できそうな深みがある。後半は思春期に入り、少女への渇望と羞恥心の狭間で揺れる。

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18417

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BB15363290

  • 追想の物語。記憶に降りていく物語だ。
    この小説を読んで村上龍著のミッシングを思い出した。いづれも記憶や無意識に働きかける小説だ。

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著者プロフィール

北杜夫
一九二七(昭和二)年、東京生まれ。父は歌人・斎藤茂吉。五二年、東北大学医学部卒業。神経科専攻。医学博士。六〇年、『どくとるマンボウ航海記』が大ベストセラーとなりシリーズ化。同年『夜と霧の隅で』で第四三回芥川賞受賞。その他の著書に『幽霊』『楡家の人びと』『輝ける碧き空の下で』『さびしい王様』『青年茂吉』など多数。『北杜夫全集』全一五巻がある。二〇一一(平成二三)年没。

「2023年 『どくとるマンボウ航海記 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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