- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101131238
感想・レビュー・書評
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北杜夫さんの児童文学作品集といった感じです。
「ぼくのおじさん」
は、当初、中学生向雑誌に連載とのこと。
ぼくのおじさんは、大学の臨時講師っぽい。兄の家に寄生している。お金はないしマンガは好きだし、部屋は汚い。自慢できることが何もないおじさん。そんなおじさんと甥の初めてのハワイ懸賞旅行の顛末記。よくできた甥に助けられてばかり。
で、このおじさんの方が、北杜夫さんモデルらしい。創作だけど似通った生活をしていた時期があるとか。このくらいゆるいおじさんも一人くらいなら良いでしょう。
そして、8編の小学生向児童文学。
「むすめよ」が、父親目線の娘の誕生と成長の喜びが親しみがあって好きです。
解説が、良かったです。北杜夫のお父様は斉藤茂吉。医師で歌人。北さんが将棋に夢中になったり、昆虫採集にマニアックになると「勉強の時代」と禁止。そして文学を絶対やらせないとか言われたらしい。北杜夫も茂吉の息子とわからないようにペンネームを作り活動していたとか。しっかり医者にもなっていらっしゃるから、お父様もお喜びでしょう。詳細をみるコメント6件をすべて表示-
みんみんさん北公次⁇北公次⁇2023/10/24
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おびのりさんそれだ!それだ!2023/10/24
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ひまわりめろんさんだなだな2023/10/24
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児童向けの9編をまとめた本。
読者(子ども)に語りかける文章。
ユーモアと、時折ある鋭い指摘。
修身や外貨制限など、時代を感じる言葉もあるが、内容は古びていない。
力が抜けて、ふっと笑える。
やさしく、あたたかく、ほのぼの。
表題作は、映画化されるとか。 -
1ドルが固定で360円だった時代。海外旅行は夢の時代だったから、この物語にあるように、海外旅行が当たる懸賞は非常に人気があった。この頃は子どももどんどん生まれている上、大卒は少なかったので、おじさんのような呑気な大学な大学の先生もいなかったとは言えない。今のポスドクの苦労など考えると隔世の感がある。
まあ、正直に言えばちょっと古くさく、今の小学生に面白いかどうかはよくわからない。60代くらいの人なら懐かしく読めるだろう。
一番良かったのは「むすめよ…」。こういう文章を父に書いてもらえた子どもは幸せだ。大抵の親はこう思うだろうが、文章にはしない人がほとんど。書いて残しておくべきだな、と。自分がどれだけ愛されていたかわかれば、生きる力になる。もし自分の親がこんな文章を残してくれていたら、どんなに嬉しく、幸せだろう。たとえ他の面でいい親とは言えない人だったとしても。 -
最後まで何ひとつ挽回しないおじさん。愛おしくってたまらない。
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夏の暑い最中に読むにはぴったり。表題作もgoodだが『むすめよ・・・』も良いかも、娘のいない当方に推されてもどうもないでしょうが。
しかし松田龍平じゃないな、人を集められるのかもしれませんが。 -
北杜夫をモチーフにした「おじさん」を「ぼく」視点で書いた表題作等9編の短編集。
おじさんはぐうたらで、居候で、屁理屈コネまくって…端から見ていればちょっと変な人で笑えるが、一緒に生活するとなると大変かも。それでもなぜか憎めないのは愛嬌ゆえか。 -
北杜夫の作品だから、期待もしてたし、童話だから舐めてかかってたことも事実。
大切なことがたくさんたくさん書いてあった。
北朝鮮に読ませてやりたい。けど、この感覚わかんないよな。 -
淡々と読むと淡々と読めちゃう。
映画はどういうかんじになるんだろう -
映画化をきっかけに書店に並んでいたのを購入。北杜夫の作品は随分と昔に読んだことがある。芥川賞を取るような純文学作品とは対極の作品で、これはこれで面白い。タイトルになっている「ぼくのおじさん」でハワイに旅行をする様子は今とは様子が異なるところもあるが、それも含めて面白かった。また他の作品も児童作品なのだけれど、大人が読んでも面白いので、子供と一緒に読めたらいいだろうなと思った。