神々の消えた土地 (新潮文庫)

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著者 : 北杜夫
  • 新潮社 (1995年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101131498

神々の消えた土地 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 会話のユーモアとギリギリの精神状態が求めてしまうお伽話的な(牧歌的な、演劇的な)世界。 
    こういう北杜夫作品をもっと読んでみたかった。
     戦争という狂乱を淡々と書く事でおかしみが出ていて、実はそのおかしみこそが、戦争にさえ慣れてしまう人間の恐ろしさだと思った。狂乱の中で信州の自然に魅入られる描写がとても良い。自然と神話世界が交互に出てくるので、読んでいるほうは人間も植物も動物も一緒のように感じられてくる(私の勝手な解釈だが、アニミズム的?)。実際作中で語り手の則雄がそういう風に思っている描写があってそこは本当に美しかった。講義で子どもという存在をアニミズムで捉える論考を紹介されたが、『神々の消えた土地』を読んでいる最中だったからか、すんなり理解出来た(気がする)。
     普段は恋愛も戦争も苦手分野だが、これは読んで良かった。 
     また期間を空けて読み直したい。

  • 本土決戦が叫ばれ、明日死ぬともわからない状況であっても、いや、だからこそ現実とはおよそかけ離れた甘美な幻想に浸ることができるのかもしれない・・・。

  • おきゃんな女の子がかわいくって、少年がかわいくって、ふたりがギリシア神話ごっこしてるところなんか夢のようで。戦争が奪っていくもののなかには、こういう夢のようなものがあったんだと。昭和文学に決定的に落とされる戦争という巨大な黒い影。戦時下というのは特殊な、非人間的な生活であったのかと後世の人間は思いがちだが、この本に書かれているように「怠惰と狂気」を孕む、日常と連続性を持ったものだったのかもしれない。わたしは体験していない以上推測しかできないけど。でも戦時下の日常性や、人間的な部分を読み取るにつけ、ああ特殊なことではなく、人間て非人間的状況に陥ることのできてしまう生き物で、そういう社会なのかなあ、 とおもう。こわい。

  • 20101029
    あの頃、戦争は日と共に、錯乱と惰性と狂気とを産んでいた。太平洋戦争末期、死と隣り合わせの日々のなかで、少年は早熟で愛らしい少女と出会う。ギリシャ神話に惹かれる少女から「ダフニスとクロエー」を贈られた少年は、その神話的世界をなぞるように、清純で牧歌的な愛をはぐくむ。二人は信州の大自然のなかで結ばれたが……。幻の処女作を四十年ぶりに完成した瑞々しい長編。(文庫版より)

  •  太平洋戦争末期、少年と少女が出会い、信州の自然に囲まれ育まれながら結ばれる愛と終末の物語。

     世界を満たさんばかりに大きくなった愛情が、雪解けのように失われ、神々の消えた土地に残された少年の心を淡々と表現されてるのが清々しく、瑞々しい表現に感情を動かされました。

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