- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101131627
作品紹介・あらすじ
突然、終わりを告げた穏やかな日々。朝の五時から起きだして、株の売買に明け暮れ遂に破産。夜中に窓を開け放し、家の中で昆虫採集。日本から独立宣言し、「マンボウマブゼ共和国」を建国、主席に就任……。躁うつ病にかかった、どくとるマンボウが巻き起こす破天荒な事件の数々。作家にして精神科医の北杜夫と娘でエッセイストの斎藤由香が語りあった面白エピソード満載の爆笑対談。
感想・レビュー・書評
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北杜夫(1927~2011)といっても、今の人は知らないかもしれない。芥川賞やいろんな賞を貰っている作家だが、まじめな作品より、ユーモア溢れるどくとるマンボウシリーズやいろいろなエッセイのほうを私はよく読んだ。その北杜夫と娘の斎藤由香の抱腹絶倒の対談。
娘が幼いころは、穏やかで優しい父親だったそうだが、娘が小学校に入ったころから北杜夫が突如躁鬱病を発症し、大変なことになったらしい。というか、北杜夫が躁鬱病だったことはよく知られている。躁状態の時は、奇行に走り、株をやりまくり、自分の王国を作ったり、徹子の部屋に出れば、黒柳徹子を置いてきぼりにして喋りまくったとか。そういう北杜夫を平気で支えた奥さんも凄いし、躁状態の父親を楽しいと思っていた娘さんもまた凄い。とにかく楽しい対談。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
精神科医で作家の北杜夫氏(1927-2011)を父にもつOL作家の斎藤由香さんが「躁うつ病になったどくとるマンボウ」との、奇妙なほど楽しい家族の爆笑生活が綴られた対談エッセイ。由香さんが小学校一年の時に、父が最初の躁病になり、以来夏は躁病、冬はうつ病を繰り返したお陰で、家は十分楽しかった、あんなに夢中になった日々はなかった、と振り返る「どくとるマンボウ」が巻き起こす破天荒な言動に、笑いと涙がとまりません。喜美子夫人の忍耐と寛容に支えられ、遠藤周作、阿川弘之、阪神の掛布選手らとの親交と混戦の爽快対談です。
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#2822-117
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高校時代に多くの文庫本が発行されておりむさぼるように読んだ。今考えるとあんまり話を理解できていなかったと思う。自分自身の変さに気づいて,同じように変を自覚した上で活躍している北杜夫氏にあこがれを感じていたんだろう。精神基盤の1/5くらいは形作っていると思う。
そんな北杜夫氏の人生を娘(由香氏)と振り返った本。写真も多く,写真をみることで当時のことを綴ったエッセイが見事に意味づけられて「ああ,こうだったのか」となるので読んでいておもしろかった。
今年亡くなった北杜夫氏の最後の様子もあとがきに書かれている。 -
北杜夫と娘の「お父さんの躁うつ病はハチャメチャで楽しかったわ」って思い出話の対談です。
実際読んでも北杜夫の躁期はハチャメチャなのに父娘関係がものすごくいいのは、すごいなぁと。
あと、「鬱になるのは人間らしい事」って言えるのは、さすが心優しき精神科医作家さんだと感じました。 -
おかしな家族で楽しからずや.深刻にならない雰囲気は,北先生のお人柄故だろう.
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病気大変やけど、本人、家族共に楽しんでます(笑)友達のそうそうたる作家陣も。遠藤周作さんとか。
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父北杜夫と娘由香の対話を通して、斎藤家のドタバタ生活を振り返る回想録。
北杜夫の躁うつ病を、疾患と重く受け止めず、生活の一環として家族が率先して参加していた姿がとても印象深かった。精神疾患患者に対する周りの人のあり方を楽しみながら、学ぶことができた。
家にいるだけで楽しい家族の生活を垣間見ることができ、微笑ましく思えた。 -
ずいぶん長い罹病生活だったが、家族の明るさと思いやりが本人にも周りにも救いだったであろう。「楽しい」と感じることが、同じような家族に力になればと思う。2019.6.16