華岡青洲の妻 (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784101132068

感想・レビュー・書評

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  • 恐らく中学時代…先輩が書いた読書感想文で本書を知った。
    1804年(文化元年)世界初の全身麻酔による乳ガン手術に成功した華岡青洲。その成功の裏には自ら実験台になることを願い出て失明した妻 加恵の内助の功があった。感想文にあったそんなあらすじを読んで、すぐさま「自己犠牲がテーマか…」と気が進まなくなった。

    理由は単純で、エゴ極まりない10代の頃は誰かのために尽くしたり何かを差し出したりすることに対して、激しい嫌悪感を抱いていたから。何がそのような行動を取らせるのか、まだ理解できていなかったのもある。
    そうして自分のエゴを優先していくあまり、本書の存在は記憶に埋もれていったのだった。

    そして1年ほど前、知人から本書をレコメンドされてようやく今辿り着いた。
    加恵の行動は自己犠牲を表していることに変わりはないが、それ以上のテーマが中で逆巻いていたことに気づいてゆく。
    いわゆる「嫁姑問題」。しかも「彼女ら」の場合はページを追うごとに特殊な域に達していき、しまいには「加恵の置かれていた立場を考えると、あの自己犠牲も当然の成り行きだったのかな」とまで思わせる結果となった。
    これは感想文を書いた先輩にだって想像してもしきれるものではなかったはず…。

    物語の主人公 加恵は元々紀州地侍 妹背家の出だった。
    士の娘が何故医家の華岡家に嫁ぐことになったのか。それは必然的なもので、加恵を請いに華岡家当主の妻 於継(おつぎ)が妹背家を訪れた時から全ては動き出していた。
    夫(華岡雲平、のちの青洲)が遊学中の際も寂しくならずに済んだのは、小姑たちと協力して家を切り盛りしていたこと、そして何より於継の存在が大きかった。憧れだった於継に迎え入れられたことが加恵の心の支えになっていたのだ。
    それがある出来事を境に二人の関係性は暗転してしまう…。この時の加恵の心情を代弁するなら「可愛さ余って憎さ百倍」が妥当だろう。

    ありがたいことに今の自分は嫁姑問題で悩むことは一切ないが、加恵が家の一員になろうと試行錯誤する様子は中学時代とは比べ物にならない程よくわかる。
    青洲に自分や自分の子供を認識してもらおうと必死になるところだってそう。そのためには於継との腹の探り合いやある種の化かし合いにエネルギーをつぎ込まねばならないが、彼女はいくらでも厭わなかった。

    人々の間で加恵と於継は青洲を支える良き妻と母として語り草になっている。冒頭の読書感想文の他に読んだ歴史漫画にも、加恵の献身は美談として描かれていた。でもそれが全てだろうか?

    映画『タイタニック』の「女の心は海のように秘密がいっぱいなの」というセリフを思い出す。美談で輝く水面下で本当は何があったのか、それは二人にしか分からないこと。
    でもラストのくだりを読んでみると、実は青洲には全てお見通しだったんじゃないか。分かった上で、地球のように海ごと包み込んでいたんじゃないか。そう思えて仕方がないのだ。

  • 八月三十日 有吉忌 
    有吉佐和子さんの作品はほとんど読んでいませんが、華岡青洲の妻は、とても引き込まれた作品でした。
    華岡青洲は、世界で初めて全身麻酔による乳癌手術に成功した外科医。庶民大衆への治療に従事しながら、麻酔剤を精力的に研究していた。
    主人公は、この医師の妻となった加恵と、この医師の母である於継。母は、大成を期待する息子の為に、自ら嫁として加恵を選ぶ。選ばれた嫁は、美しい姑に畏敬の念さえ持ち、喜び嫁ぐ。
    しかし、嫁姑は、一人の男性、青洲を巡り、優位性を保つ為、静かに激しく対立していく。
    そして、麻酔剤の人体実験をも競い合うように申し出る。青洲は、母には軽度の麻酔剤を試し、妻には完成を目指す麻酔剤を投与する。
    以前(すっごく以前ですが)読んだ時、実は、全部史実だと思っていた。それほど、この女性たちの冷戦状態が生々しい。この母嫁の存在は事実らしいけど、創作であり小説。
    華岡青洲を医師として成功させる為、家族が献身的に支える。それに応えていく青洲に家族は幸福を得る。とはいえ、姑は息子を我が物とし医師の母として生き抜き、妻は寄り添うことを切望しながら医師の妻として生き抜く。
    世間からは美談とされた献身の影の恩讐。たぶん、それに気がついていたけれど、研究に没頭する青洲。青洲の功績を、当時の封建社会下の家庭にふみ込んで、親子、夫婦、兄弟姉妹、それぞれの心理戦を加え名作だと思います。

  • 今更ながらの同書ですが読む気になったきっかけは、ここ数年ずっと冬場に霜焼けが酷くて皮膚科に行ってもさして好転せずにこの冬たまたま出会った漢方軟膏が存外に効き目あり♪

    しかもこれは遥か昔の江戸時代にかの華岡青洲が創案した軟膏であると!

    この著書の名前は聞いたことがあるし大昔にずいぶん愛読され且つ映画もドラマも大ヒットした記憶があるんだけど、こんなきっかけで初めて読む気になったのであります笑

    いやあ青洲の妻と姑との長くて物凄い葛藤の物語だったのですね!
    医家の嫁に相応しいと早くから見込まれ請われて嫁いだ加恵と、非の打ち所がないと近辺で評判の姑 於継の二人だったけれど、世間で言うところの嫁姑の関係どころではない静かだが激しい憎悪があらゆる部面で影に日に展開する様が凄いこと!そして間に立つ青洲のいずれにも付かず離れずの絶妙な態度と立ち位置、依って見習うべし⁈

    江戸時代に世界で初めて全身麻酔のもと乳癌手術を施し成功した青洲もさることながら、競って自身を捧げて彼に協力し支えたとされる二人の女性の意地と意思の張り合いがなんとも凄まじい。

    同時に華岡青洲という人物の断片も知ることが出来て、遅きに失したとは言え遅ればせながらも読めてほんとに良かった‼︎

  • 華岡青洲(はなおか・せいしゅう)を語るには、まず麻酔の歴史を語らねばならない。欧米ではじめて全身麻酔がおこなわれたのは1840年代。アメリカの歯科医モートンがエーテル麻酔による公開手術を成功させ、それまでは泣きさけぶ患者を押さえつけておこなわれていた外科手術に大きな革命をもたらした。以降、麻酔法は欧米を中心に急速な発展を遂げてきた。

    しかしそれに先んじること数十年、独自の手法で全身麻酔を成功させていた日本人外科医がいた。それが華岡青洲である。彼は生薬由来の麻酔薬「通仙散(つうせんさん)」を独力で開発し、全身麻酔下で乳がんの手術を行なった。1804年のことである。あまり知られていない事実だが、記録に残るものとしては、これが世界初の全身麻酔による手術であった。

    薬の開発には、人体実験が不可欠である。青洲が通仙散を完成させるにあたって、自ら望んで被験者となった者たちがいた。青洲の母・於継(おつぎ)と妻・加恵である。彼女らの命がけの協力のおかげで、青洲は通仙散を完成することができた。ことに、薬の副作用で失明してまでも青洲に尽くした加恵の献身ぶりは、医者の妻の鑑(かがみ)として後世に語り継がれるほどであった。

    …史実はここまでである。しかし有吉佐和子は、この感動的な逸話を、まったく異なる視点から再構築してみせた。なんと、於継と加恵が進んで麻酔の実験台になったのは嫁姑のいがみあいの結果であり、いわば封建的な家制度の犠牲になったというのだ。

    青洲をめぐって対立する於継と加恵。水面下で繰り広げられる熾烈なバトルの行きついた先は「青洲のために、どちらがより多くの自己犠牲を払えるか」だ。女の意地の張り合いが麻酔薬の飲み比べに発展してゆくさまは、狂気以外の何ものでもない。その対立を結果的には利用して、青洲は妻に薬を飲ませ、自分の目的を達成する。

    女性の奉仕を当たり前のように搾取して成り立つ「男」という存在、「家」という制度。女たちの苦悩も悲哀も結局は、それらに呑みこまれて忘れられてしまう、この不条理。実母と兄嫁のいさかいを間近に見てきた小姑が、死のまぎわに言いのこす言葉が重い。

    〈私はそういう世の中に二度と女には生れ変わりとう思いませんのよし。私の一生では嫁に行かなんだのが何に代えがたい仕合せやったのやしてよし。嫁にも姑にもならいですんだのやもの〉

    フィクションのはずだが、つくり話と笑いとばすことのできないリアリティがこの作品にはある。この国で女性として生きるということ――。作者の告発は今もなお、私の心をとらえて離さない。

    • ほうじ茶さん
      紅茶さん、ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。突然のフォローにも関わらず、丁寧なコメントをくださいましてありがとうございます。
      そうなんです...
      紅茶さん、ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。突然のフォローにも関わらず、丁寧なコメントをくださいましてありがとうございます。
      そうなんです、名前がお茶つながりなんですよね。ご察しの通り、同業です。そして、実は、ホームタウンも同じなのです!もちろん、野暮なのでこれ以上は詮索しません(笑)
      この偶然に気がついたのは少し前のことでした。それこそ偶然に。今回、再び偶然紅茶さんに巡り会ったのをきっかけにフォローさせていただくことになった次第です。

      『華岡青洲の妻』のラストの文章がとても印象的でした。むなしいようなやるせないような。歴史の陰にいる多くの人の存在を思い起こさせられました。
      2011/08/09
  • 江戸末期実在の麻酔医である華岡青洲の妻 加恵の視点から人間の深い業を描いた有吉佐和子さんの作品。

    理性では制御できない人間の欲深さ、嫉妬、独占欲がこれでもか、これでもかと乾いた筆致で重ねられる。痺れる~。

    和歌山紀州藩の医師家系嫡男である華岡青洲に嫁入りした名家出身の加恵。結婚が家を存続させるためであり、それこそが結婚の主たる目的であったこの時代、加恵は格下となる医師家系に嫁入りを望んだのは夫となるべき青洲ではなく、姑になる女性 於継に強く惹かれるものを感じたからであった。

    女性は「妻」である以前に家に尽くすための「嫁」であり、「家の幸せ」が「自分の幸せ」であった時代。
    夫に尽くし、家族に身を捧げ、子を持ち育て、家を存続させることが女性の唯一無二の幸福であることを人々は信じて疑わなかった。

    容姿端麗で立ち居振る舞いが極めて品の良い女性であった憧れの姑 於継との関係が嫁の加恵の視線から終始語られる。

    理想の女性であったはず夫の母が、一つ屋根の下家族という枠組みの中で次第に自分の存在を蔑ろにし始める。そしてついには加恵にとっては夫の青洲、姑にとっては息子である青洲を巡り、互いに腹の中を探り合い、優位に執着し競い合う醜悪な闘いが修羅場と化す。

    頁を捲る手が止まらない。
    姑嫁問題と一蹴してしまえば簡単だが、息子を溺愛する女と夫を我が物としたい嫁の確執が淡々と描かれる。
    世界で初の全身麻酔を可能した史実に隠れる女性たちの自己犠牲、献身は世間一般には賞賛される。
    だが、その裏側にあり、光が当てられることのない女たちの自分の命を賭しても手を伸ばした幸福への執念がさらりと描かれていることに痺れる。

    姑に関する描写が嫁の立場からのみ描かれ、人物造形が非常にスマートだ。さらに曖昧な立場でありながら、自分の医学研究にのみ執着耽溺する夫青洲の様子も手に取るように伝わる。

    印象的だったのが、家を支え繁栄を願うために、自己犠牲の象徴として結婚もせず家事のみに奔走し乳がんで亡くなっていった小姑である二人の青洲の妹たちの存在。
    「家」を守ろうと尽くした二人の女性たちは医師家系への献身にも関わらず、医学や医師、しいては「家族」に救われることはなかった。光も当てられなかった。

    有吉さんが一貫して描かれている「女性」の性について本作でもモチーフとなっているが、ポリコレのような正義の押し付けがないのが心地よい。

    映画化やドラマ化は数限りなく、私は2005年NHK版和久井映見さん主演のドラマを観た。肝が冷えたのを記憶。自己犠牲や献身の美しさと執念の恐ろしさは紙一重。姑役は亡き田中好子さん。
    私ならば姑役は黒木瞳さん一択です笑。

    いつの日かわからないけれども、息子たちがもし伴侶を得たならば、こんな姑にならないようになあ、とぞっとする。でもそういう一面は人間ならば誰しも持つからこそこの作品が支持され続けるのかもしれないな。

  • 於継を加恵の「推し」として読むと最高にオタクでグロテスクな前半なので好き。

    序盤はもやもやから始まった。冒頭から地の文においても於継の美しさを煩いほどに強調する。そんなに美しい美しいってそう美しい人が出てこないと物語始まらないの?確かに美しい人って人の噂話を膨らませるには重要なツールかもしれないど…この作品も歴史ものだし、語り継がれてきた噂話あるいは史実っぽさを出すにはそういう感性なんですかね?って…

    だがアイドルオタクであるわたしは途中でハッとした。

    ちがうちがうこれは「推し」だ!

    と。

    作品前半では加恵にとって於継は至高の存在。決して自分と交わることのない世界線にいる崇め奉る偶像だ。推しは尊び崇拝するもの。だって加恵は幼い頃に一度見ただけなのに、想像力で補いながらその於継に憧憬を抱き続けるのだから。

    それを確信したのは加恵の祖父の通夜の場面だ。加恵は弔問に訪れ焼香をする於継を菩薩来迎の図になぞらえ心で賛美する。於継の髪の先から爪の形までうっとりと魅入るのだ。

    憧れ?そんな生温いものではない。この喰入り方。「推し」以外にあり得るだろうか。私はドキドキさせる人を見たときのオタクの異常な語彙力を思った。そして有吉佐和子は100オタクだろうと。そういえば彼女、歌舞伎界に出入りしていたとかってどこかで読んだような。よし今度調べます!


    そんな異様な高まり方をする序盤の天井をつき破るのがその後の展開だ。
    なにせその「推し」がいきなり玄関を叩いてあちらからやってくるのだから。堪らない。さらに於継は加恵を(長男の)嫁に欲しいと言い出すのだから震える。

    その壁をぶち破るのかぁーーー!ってな。

    ここまでの美しさとか憧れに対する自分の距離がぶち壊されて行く感じがたまらなかった。超えてはならないレベルに崇めきってからの、この距離の詰め方は違法である。私は興奮を抑えられなかった。

    そんな「推し」との距離を破壊し、自ら乗り越えて行く加恵の描写でもっともグロテスクなのは、内腿のつねり合いなどではない。風呂だ。

    嫁入り当初加恵は於継の使い古しの糠袋でごしごしと自分の肌を磨いていた。於継の使ったものを使うことで、その瞬間だけ自らの肌が白く滑らかになるような気がしたからだ。だが、夫が京都から帰り嫁姑として冷たいものが流れ始めるとその糠袋がとたんに汚らしいものに感じるようになる。どうしてこんなもので自分の体なんて洗えたのだ、と。

    最高だった。

    ただその後の嫁姑の体を張ったバトル的な展開は、昔のワイドショー的な感覚というか、男はぼんやりしていて女と女にしか分からない確執があるみたいな描き方は凡庸な気がして残念だった。あと最後に史実的な記述と墓碑とかにフォーカス当てたりするのも中途半端と思ってしまった。

    でも文章は本当に最高。作品に対して批判的に感じてしまった部分もあったけど、時代的な背景と価値観もあるだろうし、有吉佐和子が目指していた作家像みたいなものが分かれば納得する部分もあるのかもしれない。

  • 物語そのものよりも、史実からこの物語を描き出す有吉佐和子の洞察力と、その本質である「家」と女ってとこに踏み込む明晰さにビビる
    頭良すぎるのに圧倒される作品だけど、作品としては、一の糸のほうが良い

  • 世界に先立つこと40年弱、1804年の日本に世界で初めて全身麻酔術を成功させた人がいたことを、この本で初めて知りました。注目すべきは手術の腕ではなく、麻酔を作り上げたという功績。
    当然ながらマッドサイエンティストのように人体実験を繰り返してたどり着いたわけでないにせよ、最終的には人間での臨床は欠かせない。
    そこで最終的には、母と妻が自らその実験台にと手を上げた。そして、臨床を経てついに手術は成功。

    どう考えても美談として語られる内容。
    実際に、きっと美談として語り継がれてきたんだと思います。それを、まさかこんなにも深い女性の業を見せる作品に描くとは、相変わらず有吉さんの底知れなさに慄きました。

    美しいだけの話では終わらせない、というのは、
    美しいだけのものなんてないんだ、という真実を伝えようとする潔いまでの著者の覚悟を映し出しているように感じます。
    よく言う嫁と姑の確執ですが、そもそも同じ舞台で戦うことができないこの両者に、決着なんてつけようがない。

    愛を交わせる妻が相手では姑は分が悪いけれど、
    我が子を生み出したという深い繋がりには、妻は太刀打ちできない。
    どちらにとっても唯一無二で大切なものだから、不毛だとわかっていても「その人にとって自分が特別である」と思いたいし、そう認められたいんでしょうね。
    気持ちは、わからないでもないです。
    でもその想いの強さというのは、渦中の人には見えなくとも、端から見ているとなかなか壮絶でしょうね。

    華岡青州の功績はもちろん素晴らしいものですが、小説として日本の医療界の一幕を世に知らしめた著者の功績も素晴らしいものだと思います。
    本当に、いいものはいつまで経っても色褪せない。

  • 人に勧められて読んだ本。
    この本はいろんなことが書かれている。
    ①嫁姑の確執
    人の死など様々なきっかけが気持ちのすれ違いを助長し、確執が深くなる二人の内情の生々しい描写は圧巻。
    それだけではなく、小姑や夫の胸中まで及んでいる。
    現代の環境とは異なる封建制度時代の男尊女卑である江戸時代であるが、女性同士の感情は、そんな時代を超えて同じだなと感心するとともに怖れを感じた。
    ②新薬の開発
    今はGCPという基準に従い人体実験とならないように行われる新薬の開発。もちろん昔はそんな制度はなく、安全性もわからないまま人へ投与することとなる。その点青州は動物で何度も試し、用量も検討しこの時代では精密に行われていたと思われる。人での投与はこの時代はどの国も困っていただろう。今でもFIH試験といって注意深く行われるが。この通仙散は家族に投与しているが、通常は弱者に投与され、こういうのがタスキギー事件等へつながるんだろうな。
    ③世界初の麻酔薬
    エーテル麻酔など行われる何十年も前に日本人で初めて麻酔の手術が行われた。鎖国しているときで医療が遅れていただろうに、この発明は日本人として誇りにしてもよいはず。
    以前は乳がん日本人で少なかったと思われるが、手術は乳がんが多く行われた。

    通仙散
    加恵、於継(おつぎ)
    犬で実験(死骸)
    体重に合わせて調合していた

  • いくら創作と言っても、実存した家庭の内部をこんな風に書いてしまっていいのか?と、余計な心配をしてしまいました。それくらい、嫁姑の完璧な確執がドラマチックです。
    文体は古風だが、読みやすい。
    難しい単語に注釈が付いている本を久しぶりに読みました。スマホが出現してから辞書を開くことがなくなってしまったから、この注釈を読むのも面白かったです。

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著者プロフィール

昭和6年、和歌山市生まれ。東京女子短期大学英文科卒。昭和31年『地唄』で芥川賞候補となり、文壇デビュー。以降、『紀ノ川』『華岡青洲の妻』『恍惚の人』『複合汚染』など話題作を発表し続けた。昭和59年没。

「2023年 『挿絵の女 単行本未収録作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

有吉佐和子の作品

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