複合汚染 (新潮文庫)

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著者 : 有吉佐和子
  • 新潮社 (1979年5月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (621ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101132129

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複合汚染 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • この本は 昭和40年代後半から50年代前半 朝日新聞に掲載された連続小説で当時社会問題となっていた環境汚染をうまく伝えている。当時話題の小説だったわけで  自分が育った時代 戦後の高度経済成長期の真っただ中 複合汚染の中だったことに検めて知って驚く。 自分がこんなに無知だったとは・・・。あらゆる分野の環境問題に気付いたとき真っ先に読むべきだった。



    出だしが選挙運動から始まって、バン!っと目に飛び込んできた 「 複合汚染 」といういろんな環境汚染が重なり合った言葉は衝撃だった。中身を読むまで複合汚染という重たくて暗いイメージがある言葉だけをみるのと、読み始めると有吉さんの軽快な文章とはギャップがあってよけいにこの言葉が強くインパクトを受けました。いち消費者としてあらゆる環境問題にたくさんの疑問を持ち 知ろうとする有吉さんと、読者も同じ目線で読めるのでこれはとても読みやすかった。この本読んだ後は まともな生活がしたくて 普段使用している  日用品食料品が使えなくなりそうで添加物や化学薬品を使っていない自然素材や天然ものや 無添加製品 など安全性を求めてしまうので とても生きにくくなるなぁと思いました。 本来はそうであるべきなのにまともに暮らせなくりそうで怖い。
     
     
    この本を読んで思ったのは、環境問題に関心のない人ある人。また 特に農業する人、家庭菜園する人、農に携わる人は最初に読んだほうがいいと思いました、なぜ自然栽培がいいのか、なぜ、農薬や化学肥料がダメなのか、なぜアレルギー疾患がふえたのか、自然環境が著しく悪化しているのか、日本の農業はダメなのか、 マニュアルな自然栽培や有機栽培の本を読むより、高額なセミナーを何回と受講して聴くよりもまず読めばありとあらゆることが理解できることでしょう。昭和40年代後半の社会問題となっていた環境汚染について書かれていますが、現代にもあてはまり、40年経った今も実際起きていることが通用するくらい新鮮さを感じます。反対に何一つ問題は解決されていないままであることも。 レイチェル・カーソン著 「 沈黙の春 」の日本版といってもいい。それ以上に今からでも社会を変える力のある本だと思います。40年前と違うのは 環境問題に関心を持って動いている人が少しづつ増えて変えていこうとしている人がいること。 日本の出来事だから、これまでの日本の姿がわかり、これからの日本の在り方を示唆している。 きっと多くの人に受け入れる内容だと思います、たくさんの人に今こそ受け入れられたら日本を変えることができそう。沈黙の春はよく知られているのにこの本はなぜあまり知られていないのだろう。自分が知らなかっただけかもしれない。 

    この本は小説としてではなく。 農業を始めたい人、始めた人、あらゆる農業関係者、また食に関心ある方にはきっとバイブルとなる本です。
    今一度拡まって欲しい本です。
    唯一残念なのは有吉佐和子さんが故人であること。
    生きておられたら当時と変わっていない日本を見てどうおかんじなったことだろう。生きておられればもっと環境問題に関心を持つ人が増えていたと思う。 

  • 複合汚染読了。
    小説とは言いがたいし、最初の方の選挙の部分は読みにくいし最終どこに話がいったの?って感じになるけど、あの時代(1975年)にあれだけのことを書いていて、有機農業ムーブメントを起こしたのはさすがだと思う。
    農薬が一つ、二つ、三つと重なっていった時に起きる化学反応、そしてそこから新たに創りだされるであろう物質の毒性など誰もチェックしていない。
    ちょうど四大公害が表沙汰になってきた頃でそのインパクトも大きかったのだろうと思う。
    農薬をただ批判するだけでなく、使い方と量の問題だと指摘している点は共感できる。
    ちょっと感情的になりすぎてる感が否めないので減点(偉そうなこと言ってすみません)。

  • 1974年から1975年,朝日新聞連載小説.農薬,添加物などの化学物質の複合汚染の危機を世に知らしめた本.
    告発の書といった雰囲気ではなく,非常にうまい語り口なので,するする読んでしまう.
    でも社会的な問題に関心の薄い私にはなにも残るものがない.
    申し訳ない.

  • すごい本だった。約40年前に発表された、環境汚染に関する本である。発表当時は社会にかなりの衝撃を与えたに違いない。
    朝日新聞に連載され、小説という形態をとっているものの、作者の綿密な調査・研究に基づくノンフィクションである。日本人を取り巻く、大気、水、土の農薬や化学物質による汚染に警鐘を鳴らしているのだ。それぞれの分野に詳しい専門家に話を聞き、それを一般人の読者にわかりやすくするために、近所のおじいさんに作者が話して聞かせるという構成になっている。私たちは気づかないうちに、排気ガスや工場の煙で汚染された空気を吸い、汚染された水で育った魚を食べ、除草剤などの農薬がかかった野菜や米を、そして成長ホルモンや抗生物質が入った人口飼料で育った肉を食べている。人間の体に及ぼす影響はどうか。有害な物質から命を守る法律はどうなっているのか。
    私が子どもの頃にはすでに、公害病の原因も分かり始めていたので、一般人の環境に対する意識はある程度高まっていた。この本の功績かもしれない。この本を著したとき、有吉佐和子氏はすでに作家として名前が知られており、影響力があった。現在は、世界レベルで環境を守る取り組みもなされていて、私が子どもだったころより、体感でしかないが、環境はよくなっていると思う。それにしても、本書にあるように、自然が本来持っている力には驚かされる。
    この本が評価に値するのは、汚染をただ非難するだけでなく、解決策を作者なりに考え、一般市民が取り組めるアイデアを提示している点である。
    環境保全を声高に訴えつつも、有吉氏本人が早逝してしまったのは残念としか言いようがない。

  • だいぶ前の本であるので、現代ではもう少し進歩があるのかもしれない。
    最近話題の「ねばねば石鹸」の前身(?)が提案されていた。(我が家でも使っている)
    ただ、洗濯石鹸についての部分で、「お母さんを甘やかさないで~」というような記述が見られる。現代に生きる私からしてみれば、少々強い言い方で、がっかりした。夜に石鹸液に洗濯物をつけておいて、朝に洗えばいいとのことだが、なかなか難しいことである。

  •  
    ── 有吉 佐和子《複合汚染 19741014-19750630 朝日新聞 197504‥ 新潮社 19790529 新潮文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4101132127
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%CD%AD%B5%C8+%BA%B4%CF%C2%BB%D2
     
    ♀有吉 佐和子   作家 19310120 和歌山 東京 19840830 53 /
    ♀Carson, Rachel Louise 19070527 America   19640414 56 /
     
    ── カーソン/青樹 簗一・訳《沈黙の春 ~ 生と死の妙薬 1964-19740220 新潮文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4102074015
    ── 《Silent Spring 1962‥‥ America》
     
    (20160919)
     

  • 題名からあまり関心を惹かないものだった。読んでみて、衝撃だった。昭和49年に書かれた内容から、消費者の野菜に対する考え方は変わっていない。そのため、有機の野菜が儲からない構造も変わっていない。
    火が文明の始まりで、それと同時に虫歯が始まった。
    稲を植えた後にタマネギを植えると良い。コンパニオンプランツ。
    合成洗剤よりも粉石鹸の方が汚れが落ちる。お湯に説く必要があるが、それはお風呂の残り湯で良い。

  • 小説というよりは、ドキュメンタリーに近い。
    高度成長期の日本では、環境破壊がすすみ、深刻な問題となっていた。
    この作品が注目されたおかげで、各自治体を含めた国の黄河への取り組みが行なわれるようになったそう。
    分厚い本ではあるが環境問題に関心のある方にはおすすめ。

  • ものすごく面白い。
    食の安全性を問う姿勢は20年以上たった今も変わらない。放射能汚染は風評被害なのか否か。有吉さんがいたら教えて欲しい。

    社会党系の話が冒頭でてくるんだけれど。
    菅直人の若い頃とか(笑)

  • 有吉佐和子さんを読んでみたくて、2冊目に選んだ。食品の複合汚染という、今、あらためて話題になっている題材を1979という公害全盛期に執筆されたという意味で面白い。でも、小説ではないスタイルという意味で選択ミスでした。2014/10 読了。

  • 高1の頃読んで衝撃を受けた本。
    母となり読み返し、より深刻になってしまった今の現状がとても情けなく、悲しく思った。
    当時は大人に対して腹を立てていたけど、
    大人になって私は何をしてきただろう…?
    食べること、使うこと、捨てること…

    水に流すにしろ、燃やすにしろ、捨てたものは必ず私たちと子ども達、そして子孫の口に帰っていきます。
    物を購入する前にもっと良く知り、良く考えようと、改めて思いました。

  • 早いもので有吉佐和子さんが世を去つて30年になります。本当に月日が経つのは早い。時蠅矢を好む。
    没後30年といふことで、出版界では色色な動きも出てをります。その一番の目玉は、初めて書籍化された(集英社文庫)、『花ならば赤く』でせう。何と53年も前に雑誌に掲載されながら、その後一度も単行本にならなかつたといふ「幻の作品」であります。わたくしもまだ未読でありますので、早く読まんと欲するところです。

    ここでは、個人的に思ひ入れの強い『複合汚染』の登場であります。なぜそんなに思つてゐるかといふと、わたくしの読書史上、初めて読んだ現役作家が有吉佐和子さんで、その作品がまさに『複合汚染』だつたのです。
    それまでは年少の読者らしく、漱石鴎外芥川太宰と王道を歩んでゐましたが、必然の流れとして、現存する同時代作家の作品にも手を伸ばすことにしたのです。
    どういふ経緯か覚えてゐませんが、とにかく初めての現代小説といふことで緊張しながら、同時にワクワクしながら読み始めたのであります。

    タイトルから内容はおほむね想像がついてゐたものの、一読して衝撃を受けてしまひました。
    まだ「公害」が喫緊の重要問題となつてゐた頃なので臨場感もあります。
    いやあ、少年のわたくしには刺戟が強すぎたのですねえ、読後しばらくの間、わたくしは食欲を失くし、歯磨き粉を駆使せず歯を磨くやうになつたのであります。

    当時の厚生省は、有害物質とわかつても中中使用中止にせず、それどころか直ちに健康被害が出るものではないとして基準値以下なら使用を認めるケースが多かつたとか。
    しかし基準値以下と言つても、ほかの物質と化合すると、想定外の毒物に変化することがあり(要するに「複合汚染」なのですが)、さういふ場合についてはまつたく手付かずの状態だつたさうです。
    実害が出てゐるのに、学者先生は「実験をしてみないと分かりません」を繰り返すばかり。著者は取材しながら苛立ちを隠しません。本書が警鐘を鳴らしてゐるのは、大雑把に言つてさういふ部分でせう。それで、学者は確定したことしか言へないが、私は小説家だから書くと宣言する著者。知つてしまつた小説家の責任感みたいなものが窺へるのです。

    この作品を新聞の小説欄に連載したといふのが、更に驚きであります。著者は「必ず読者を掴んでみせる」と宣言して始めた連載ですが、そのためにさまざまな工夫がなされてゐます。
    例へば冒頭で、市川房江さんの選挙応援の話から入るところ。読者を厭きさせないやうに、青島幸男氏や石原慎太郎氏や若き日の菅直人氏などを登場させ、話の興味をたくみに公害問題へと誘ふのであります。
    選挙の話が尻切れトンボだとか、構成に難があるとか批評も聞きますが、これは作者も計算済みでせう。希代のストオリイ・テラアがそんな破綻を来す筈がありません。映画の一寸長いアバンタイトルみたいなものと、わたくしは解釈してゐます。

    そして「横丁の御隠居」の存在が大きい。医者や学者の難しい専門話を、そのまま読者に提供しても「あのオ、わかりません」となるのは必定。そこで素人の読者が分かり易いやうに、御隠居との会話のキャッチボールの中で噛み砕いて解説してゆくのです。小説家であるといふことが大きな武器となつてゐますね。

    小説と呼びにくい小説ではありますが、読後に受ける感銘はやはり文学作品を味はふ時のそれであります。こんな破天荒な作品を生み出す作家が53歳でこの世を去つたといふのも、返す返す無念ですなあ。せめて昨今の復刊ブウムで、新しい読者が増えることを望むわたくしであります。
    ぢやあまた。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-268.html

  • 35年前の日本の問題がいま、隣国中国で起こっている。
    先進諸国が安い原価を求めた為に、避けられない結果となってしまった。
    この本は1979年に初版が発行され、今でも読み続けられているのは、作者の知名度はもちろんの事ながら、徹底した取材による細かなデータに併せて、生産者とのインタビューを盛り込んだ読み易い口語で書かれているからだと思う。
    日本の食品産業界の歴史が第二次世界大戦での敗戦によって、それ以前の歴史からぶつ切りになりながら進んできた事がわかる。
    アメリカから持ち込まれた価値観が政治を巻き込んで、生産者から末端までを汚染して行った。
    そして気がつくと、食品だけではなく、モラルや慣習、考え方まで洗脳されている。
    この本には、私達が食品を選ぶ時の教養となるだけではなく、本当に良い判断をする為の価値観を学ぶために必要な要素がたくさん詰まっている。

  • 図書館で借りた本。

    衝撃的な内容が盛りだくさん。
    気になる場所をチェックしていたら
    付箋だらけになってしまったので
    購入しました。

  • この本を読んで「食」に対する意識が一変した。そもそも、この本を手に取る人は、少なからず食に対する関心が高い人だと思う。
    しかし、恐ろしいことは、この本が40年以上も前に書かれたということ。
    では、現在のこの国の食の在り方はどうなったのか?
    残念ながら、状況は悪化している。

    私はこの本をきっかけとし、もっと食への知識を持つべきだと思った。

    あなたは何を食べていますか?
    その答えが自分自身を作っている。

  • 知らないというのは怖い・・・
    知るべし。
    どう行動するかは自分次第。

  • どきっとする題、そして内容。
    選挙の話から入り、徐々にこの現代(書かれた当時は1970年代)の闇の部分が現れる。
    下手すると難しい公害の専門的なところを、有吉節というか分かりやすく書いてくれている。
    「知らないというのは怖い。」という事が改めて気が付く。
    何か捻じ曲げられた情報が蔓延する世の中。
    情報はあるのに、良い情報は全く入ってこない。自分で見つけるしかないのだ。
    世の中に蔓延している情報は、欲が絡み、ペテンな、浮ついた情報。そういうもの(TV、ラジオ、雑誌等々)に囲まれていると、まるでそれが教科書のように、それ以外の事だと、さも間違っているかの如く思われてしまう。
    情報って怖いものだ。すぐ入ってくる情報はまず疑った方が良い。と思った。

    さて、この本は「公害」の事が書かれている。
    「食品汚染」
    農薬、畜産業、防腐剤、薬、精神病、そして人間の持つ生命力まで及ぶ。

    「~今の医学は、人間の持っている生命力を無視しています。病気は薬で思うてるところが間違いなのです。そうして病気を治して病人を作るという結果を生んでいるのです」

    英国紳士たちは園芸趣味を持つことによって、土を忘れなかった。

    「洗剤による汚染」
    ケミカルな洗剤による怖さを知る。
    確かに合成洗剤は、生地が痛む、汚れが落ちない、黒ずむ、排水に問題あり。色々問題がある。
    せっけんはまったく逆。いい事だらけ。
    これは我が家でも実践し、検証済み。
    メディアのCMに操作されている。すべて商売なのだろう・・・

    「畜産汚染」
    特に畜産の餌や環境のこと。われわれの口に入る肉が病気の動物の肉?!?

    人間が生まれてから思春期まで、三度三度歯ごたえの無いおじやを食べさせられ、満員電車のような生活環境に昼も夜もおかれていたらどうなるだろう。

    この件には、ぞ~っとした・・・ 

    「大気汚染」
    空気もこの地球の資源である。
    本田宗一郎と東洋工業(MAZDA)の素晴らしさが書かれている。

    いやいや、情報は自分から求めなければ。
    人間は与えられていたのでは成長は無い。

  • 実際に読んだ本はこの本の初版本だと思う。
    昭和53年に出版された本を図書館で借りて読みました。
    話の始まりは有吉佐和子さんが市川先生の全国区選挙の応援をすることに決まり、その応援をしながら排気ガスなどの公害に疑問を持つところから始まる。

    それから農業や色々な化学合成洗剤などあらゆる事についていかに危険なものが含まれているかを書き進めている内容で、私が大学生で東京に住んでいた頃に出版された本だと言うことが読んでいて分かった。

    当時この本に出会い読んでいたら、その時点で私の生き方も変わっていたのではないだろうかと、今だから思うが・・・それこそ今だから思うのかもしれない(^^;)

    今読んでみても無農薬の農家のことや畜産を小頭数で自然と一緒に育て有機農法で農産物を育てたり、農薬の危険性やその農薬を使わずに稲や農産物を育てる色々な人達の取組みを掘り下げて体当たりで取材した内容が書かれている。

    公害をばらまく自動車産業の中でマツダやホンダの取組みをやはり本田宗一郎さんに会いに行き、その技術的なことを聞いて紹介したり、本当にバイタリティのある内容に感心させられた。

    洗剤に添加物が多数混ぜられており、実はクリーニング屋さんでは合成洗剤ではなく洗濯石けんを使っていて、その方が安全で水を汚さず、しかも汚れもよく落とすと言うことが書いてあり、さっそく通販で添加物の入っていない洗濯石けんを購入し、台所でそれを溶かして使うことにした。安全なので何にでも使え、しかも水を汚さないのだからこれは感謝だ。

    しかし、最後には原発の事に30年近く前に危惧されたくだりがあり、この人の先見之明に感服させられた。

    大昔の警鐘小説?だが、これは今読んでも全く遜色ない新鮮な本だと思う。ぜひみなさんに読んでもらいたいと思った。

    図書館などできっと借りられると思うのでぜひチャンスがあればオススメの一冊だと思います。

  • まだ米屋になりたての頃に、有機米を勧めて下さった方が、ぜひこの本も読みなさいと薦めてくれた本です。
    市川房江は祖母が交流がありましたし、若き日の菅直人が出てきたりするので、冒頭は小説気分で読んでいました。
    農産物の流通や生産者さんの取り組み等、非常に示唆に富んだ内容で、考えさせられる本でした。

  •  冒頭のスリリングな選挙の内幕から一転、「何ヶ月も放置しておいた米が腐っていないこと」に疑問を覚えた著者が解明していく辺りから、世の中のあらゆるものが「汚染」されている実態を暴いていく。高校生の教科書を読める人間であれば読める程度に噛み砕いた書き方をしている。私は同作家の他作品を未読のため断定はできないが、極めてリーダビリティが意識されており、難読だと判断する人間はそうそう居ないだろう。著者の鋭意と工夫を感じる。
     それと、疑問に感じたからといって果たしてここまで調べ得るのかと、……著者の小説家としての姿勢に感銘を受けた一冊。
     読み進めていくうちに小説家・有吉佐和子とご隠居の対談にスッカリ虜になるし、自然と公害や汚染問題に興味が沸く。この自然な線引も匠に思う。
     Amazonでのレビューにも指摘があるが、十年以上も研究を続けた同著者が頭痛薬の副作用に無頓着であった辺りに疑問を感じる。一時間おきに飲むだなんて尋常ではないし、からだにどれほどの悪作用を及ぼしたのか。巻末の解説にもあるが、選挙戦の結末も気になるところ。若い頃の「突っ走る」管さんや、青島幸男のナチュラルな計らいも見られて、政治小説として読むにも興味をものすごくそそられる。

  • 有吉佐和子さんを初めて読んだのですが、今までにない形式?の入り方で戸惑いました。まさか選挙のお話が環境汚染に繋がっていくとは思ってもおらず、しかもその話題の移り変りがグラデーションのようで、いつのまにか環境汚染の話にずっぽり染まっていました。これ、当時でこんなにたくさんの事柄が問題提起されてますけど、今、現代の日本と世界はどうなのか、よりひどくなっているのかそれとも改善されているのか気になります。1番気になったのが洗剤。あとは有機栽培とかメシア教について更に調べてみたくなりました。

  • この作品は、昭和49年に8ヶ月半にわたって朝日新聞の小説欄に連載されたものである。
    そこから40年近く経っている現在、あまり状況は変わっていないように思い、愕然とする。
    当時も著者のように、食品・環境汚染を危惧していた人がいたのに、どうして改善されないのだろうか。
    例えば、ライポンFという台所用洗剤があるのだそうだが、1962年にこのライポンFを誤飲して、死亡した事件があった。裁判では、ライポンFが死亡の原因とは認められなかったようだが、毒性があるというのは大いに考えられることである。そして、50年経った現在でもこのライポンFというのは業務用のみだが存在するのだ。
    また、現在では台所用洗剤には「万一飲みこんだ場合は、水を飲ませる、吐かせる」などの注意書が義務づけられている。つまり、飲んではいけない毒ということではないだろうか。その毒である洗剤を、我々は現在も使い(毒性の差は別として)川を汚し、海を汚している。
    当時よりは環境に配慮した製品が作られているのかも知れないが、使い続けていれば、意味がない。
    洗濯洗剤についても同様で、私たちは毒を垂れ流しているのである。
    著者いわく、洗濯用洗剤より石鹸の方がより汚れが落ちるので、(現在はどうだか分からないが)クリーニング屋では石鹸を使っているそうだ。
    洗濯用洗剤は白くなるものだから、汚れが落ちたように思うらしい。
    主婦たちは、CMに踊らされて実を見ていないとの著者の意見には同意するとともに自分もその一人であったと反省した。
    それと同じように、果物が腐らないことに疑問すら持たないことも商業主義の教育であり、刷り込みである。
    京都の漬物屋さんは、「一人や二人の人間殺しただけでも殺人犯やの死刑やのと言われるのに、ようまあ毒が使えますな。そうですやろ、ハイジャックで刃物見せただけでも逮捕されるのに、店先に毒を並べていて、なんで犯罪にならんのでっしゃろ。他のお人の考えは分かりませんが、私は毒使って漬物つくっては御先祖さまに申訳ないので、毒は使うてません」と言い、「毒売って儲けとうはなかったんですわ」とそれまでの店を畳んで、別の場所で小売で商売をする決断をしたそうだ。
    この良心が、国にもあれば問題解決はそう難しくないし、消費者もこのような感覚を忘れずにいなければならないと思う。
    また、食により病気を治すという方針で診療をしている医師の言葉に
    「いまこのあたりで七十五歳以上のお百姓さんは、今年は田ァから一石もらった、二石もらった、いや去年よりはもらえなんだという言い方をしますが、六十歳以下の人たちは、今年は田ァからなんぼ取った、取れなんだと言うのです。言葉が、もう違うてきてるんです。昔の人は自然を敬っていましたから、米でも野菜でも、自然からもらったのだと考えていました。田畑から作物を取るというのは不遜です。言葉の違いは精神の違いです」とある。
    今の日本人も謙虚さにかけているから、自然に対し傍若無人に振舞っているのではないだろうか。
    自然を汚すというのは、人間自らをも汚すことになるのであり、自然によって人間は生かされているのだということをもっと自覚すべきである。
    当時と現在とあまり進歩が見られないことは残念だが、本書は環境や食の問題を非常に分かりやすく書いており、とても読みやすい良書である。
    今後は、現状が良くなり、本書は過去の歴史という位置づけで読まれることを期待したい。

  • ・便利さと毒性が表裏一体をなしているところに、公害解決の難しさがある。(p.60)
    ・子供がなければ、やっていない。危険な農薬使っても、楽な方がいい。という言葉ほど私の心に重く響いたものはなかった(p.176)
    ・フランク婦人「虫食いリンゴを喜んで買うようになれば、消費者と生産者とは利益が一致するのね。農薬の危険から身を守れるし、農家も野菜や果物の標準規格にふりまわされずに無駄な労力がはぶけるのよ。私は、あなたの話で随分啓発されたわ」(p.194)
    ・ある漬物屋「一人や二人の人間殺しただけでも殺人犯やの死刑やの言われるのに、ようまあ毒が使えますな。そうですやろ、ハイジャックで刃物見せただけでも逮捕されるのに、店先に毒を並べていて、なんで犯罪にならんのでっしゃろ。」(p.233)
    ・日本を殺すのにもう原爆はいらない。石油は売らないという一言で、日本の経済はストップしてしまう。小麦は売らないと言われれば、五千万人が飢えて死ぬ。(下p.55)

  • 面白い。読みやすい。
    公害、環境汚染、農薬、毒etc...にていてのエッセイ。

    タイトルにもある複合汚染についても勉強できるんだけど(勉強と聞いて構えないでほしい)、著者の行動力には感化された。←これ大事‼
    アンテナを張り巡らし、何でも疑ってかかる姿勢が素晴らしい、憧れるのでこれから私も真似をします。

    全く興味なかった分野の本だったんだけど、有名だし読もうと読んだら、止まらない。数十年前にこんな事があったのか、と驚いた。(今はどうなのよ?)

    腐らないプラスチック。でも、この腐らないゴミを拾って生活している子ども達がいるのは何て皮肉だろうな。

    私たちは自分たちを信じて生きるしかない。政治家は信じられない。
    少し未来が明るくなった気がする。

  • 政治の舞台から 日本の環境 生活汚染への急速な展開。
    それは、政治の意識を持って取り組むことを匂わせている。
    科学の進歩によって 人間生活の多様な変化に対して
    直視する姿勢。
    その変化の中から 矛盾をつぶさに見通す能力を持つ。

    健康のひずみ
    大気汚染・・・排気ガス 工場の煙
    海・・・・・・企業の垂れ流し
    食品・・・ 肥料から来る影響 農薬 食品添加物 防虫剤
    洗剤・・・・

    1975年に書かれた複合汚染は、
    ニンゲンの生きていくかぎり、
    被害者であり、加害者になりうるという 
    ことが突きつけられたことだった。

    科学者でない、素人がこのような作品を対象にしようとするときには
    生活者の視点で描かれる・・
    そのために、解決する方向が見えなくても
    現状をうまく掬い取ることができ 警鐘を鳴らすことができる。
    レイチェルカーソン『沈黙の春』とは、
    やはり、違ってくる。

    ***************
    若い頃に読んだのを もう一度読み返したい
    と思って、読み始めた。
    中国における 環境破壊は 
    まさに 『複合汚染』だからだ。

    市川房枝の選挙応援から 始まり、
    紀平てい子の演説が 食品添加物 防腐剤 の
    追求から 始まったことから、
    虫のわかないコメ から 食品添加物 防腐剤
    などに 話を誘導していく。

    『複合汚染』そして『生態濃縮』
    それに対応する 化学肥料をつかわない有機農業を対置する。
    化学肥料を全否定するところがある。
    化学肥料のどこが悪いのか?と言う考察が乱雑である。
    土壌の酸性化、微生物の減少、
    そして 『土』が死んでいるという。

    とりわけ 水銀の存在が 大きなメルクマールになっている。
    有吉佐和子の問題意識の鋭さと物語の運び方が、
    実にうまいと思う。 

    中国の場合の 複合汚染と生態濃縮がどうすすんでいるのか?
    それを調べる必要がある。

    新聞掲載小説なので、歯切れがいい。
    農薬 
    そして、虫歯。
    水 合成洗剤。→ 石けん。
    カドミニウム、PCB。
    豚の胃袋。
    スモッグ。マスキー法。
    次々と テーマを発展させていく。

    うまいなぁ。

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