芝桜〈上〉 (新潮文庫)

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著者 : 有吉佐和子
  • 新潮社 (1979年10月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (529ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101132136

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芝桜〈上〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 対照的な2人の芸者を描いた物語。

    蔦代の行動の意図が分からず、
    先が気になって気になって、
    ページをめくる手が止まらなかった。

    舞台である花柳界の風習も知れば知るほどおもしろく、
    とても魅力的で物語の題材にぴったりな設定だと思った。

    有吉佐和子の書く文章はしなやかで、言葉遣いもとっても上品。
    読んでいて本当にうっとりしてしまう。

  • 有吉佐和子さん、2冊目。
    面白かった。
    女同士の関係の機微を描くのが上手な方だと思う。そして、花柳界のなんたるか、男のプライドなるものも垣間見せてくれる。

    小さい頃に、家庭の事情で、芸妓の見習いとなった正子と蔦代。全く性格の違う二人。
    如才がなさすぎて、どこかこすずるく、人から好感を持って受け入れられない蔦代に対して、同性からも信頼されて着実に芸の道を歩む正子。

    一見、正子の方が好感を持って描かれるが、私は微妙。所詮は旦那に体を売る芸妓なのに、本妻として表通りを歩くことを目標としたりと中途半端な感じがしてしまう。

    対して、確かに蔦代はそれこそ感じは悪い。。。というか猫のような性格。でも、生き抜くために必要な選択をしただけとも言える。

    好き嫌いはあれ、二人とも一生懸命生きたと思う。恋に生きるのが幸せか、家族のために生きるのが幸せか、などなど女性が何を一番として生きるのが幸せな選択かなのかについてがテーマなのではないかと思う。

  • 『連舞』『乱舞』『真砂屋お峰』も好きですが…
    東京の花柳界を舞台に戦前・戦中・戦後の30年にわたる正子(主人公)と蔦代、二人の芸者の憎しみ入りまじった友情を描く作品ですが、私としては一本気な正ちゃんの恋愛小説と捉えています。いくつかの恋を経た正ちゃん最後の恋が切ないです。

  • 正子と蔦代の2人の芸者の人生。とにかく蔦代のつかみどころのない無気味な性格が印象的。
    上下巻たっすりおもしろかった。
    その後の人生も知りたい。
    そして着物の描写が素晴らしく、正子が鶴弥にもらった漆の黒い着物を見てみたい。

  • 有吉佐和子の小説に登場する女性達の「女」の部分を読むのは面白い。

    その中でも群を抜いて生理的に気味の悪さを感じたのがこの芝桜に出てくる蔦代という存在だ。
    仮に近くにいたらと想像するだけでぞっとする。

    しかしその理解不能の気味悪さがまた物語を面白くしていく。
    ヘンな言い方だが、人物造形でここまで読み手に不快感を与えられるのは素晴らしいと思う。
    底が見えない恐怖心や不安を煽られるような不気味さというか、とにかく読みながら何度か精神的に嘔吐くような感覚があった。

    蔦代のインパクトがあってこそ、主人公正子の存在も引き立ち、没頭して読める。
    続編の「木瓜の花」含めてとても面白い。

  • けっこうおもしろかった。
    友達だとすりよって、ちゃっかりする女
    どこにでも存在するよね。

  • 津川家の正子と蔦代は対照的な性格ながらも、看板芸者と目されていた。 絢爛たる花柳界を舞台に二人の芸者の生き様を描く。

    途中までは正子の引き立て役である蔦代が不憫にも感じるのですが、中盤からはどんどん蔦代の存在感が増してきて、不気味に感じます。
    正子視点なので、基本的には彼女に感情移入しているのですが、上巻の最後では蔦代に戦慄しながらも、ちょっと返り咲いた蔦代にあっぱれと言ってあげたい。

  • 花柳界に生きる、全くタイプの違う二人の女性を描いた物語。
    主人公の正子は稽古熱心で優等生なのに対し、蔦代は稽古に身の入らない芸子で置屋の悩みの種となっている。
    御神酒徳利と周囲に言われるほど仲の良い二人は気質も違えば見た目も違う。
    正子の方は小柄で可愛いタイプなのに対し、蔦代は上背のあるスッとした美人タイプ。
    どちらも美しいが、十五歳の正子には既に面倒をみたいと申し出る筋のいい上客がいるのに対し、ひとつ歳上の蔦代の方は一向に水揚げを申し出る客がいない。
    そんな折、蔦代がとんでもない事をしでかす。
    水揚げの前に、三流茶屋で勝手に客をとったのだ。
    やがて、正子はかねてから申し出のあった客に水揚げされ、一流の芸者となっていく。
    そして、役者の仙七と激しい恋に落ちる。
    一方、蔦代は芸者として大成しないまま決まった旦那ももたず、置屋のお荷物的な存在となる。

    この話の冒頭で、正子は金魚掬いでとても掬えそうもない大物の金魚をムキになって追いかけます。
    一方、蔦代は小さな金魚をちょいちょいと救い上げ、みすぼらしい芝桜を買う。
    その描写だけで二人の性格がはっきり見えてきます。
    勝気でプライドが高く、頑張り屋の正子に対し、人がよく親孝行で信心深いが、ケチで浅はかな所のある蔦代。
    主人公だからと正子の良いところばかりを描いて正子を良し、蔦代を悪とするのでなく、だらしない蔦代も見方によってはいい。
    人間ってホント複雑で、一面だけではかれるものじゃない。
    実際こういうもんじゃないかな?と思います。
    その辺がさらっと、でもしっかり描けているのがさすがだと思いました。

    実はこの本、続編の「木瓜の花」から読んでいて、この二人の芸者の老いた姿、関係を先に見てしまっていたので、蔦代の行動に危うさとか裏を感じながら読み進めました。
    そして、上巻の最後にとうとう徹底的な出来事があり、正子は惚れぬいた男と別れることになります。

    芝桜のようにまだ初々しい二人の少女が物語が進むにつれ、花柳界で生きるいっぱしの女となっていく。
    その間の紆余曲折、花柳界のしきたりなどが丁寧に描かれ、艶やかさを感じる一冊です。

  • 上下巻通しての感想は下巻の方で書いています

  • 冒頭から二人の少女の対比が鮮やか。ぐいぐいと引き込まれます。
    時代が違っても、まるで息遣いや、頬の産毛とかを感じさせるかのような精密な人物描写。一気に下巻へ

  • 題名からして蔦代が主人公なんでしょうか。
    大河なのにひとりひとりの芸者のこころの襞に触れることができて、しかも花柳界での粋な遊び方というものも学び、引き込まれてしまった。

  • これは違うタイプの女性の生き方を書いたのだろうか
    それとも友情を描いたものなのでしょうか
    ゆっくりと進むスピードに途中何度も
    投げ出しそうになりました

  • したたかな女の像がくっきりと。読みとめるのが惜しい!

  • 下巻にまとめて。

  • 蔦代が怖い。w
    真面目に真面目に、まっすぐに生きていく正子の威を借りて
    すばしこくちゃっかり愛嬌たっぷりに生きていく蔦代。
    何度も何度も蔦代との縁を断ち切ろうとする正子をそれでも
    丸めこんで自分のいいようにいいように持っていこうとする蔦代を
    結局下巻に至るまで許せなかったです……
    蔦代のようにちゃっかり楽しく生きたいものだと思いつつ、
    やっぱりまじめにしか生きられない正子タイプなぅちでした。

    序段の
    蔦代が芝桜の下に金魚の死体を埋めるエピソードが
    下巻の最後の最後まで脈々と効いてるのが実感できました。
    主題がここまでブレずに、読んでる間に主題を忘れずに、
    読めた作品は初めてでした。

  • 「悪女について」「不信のとき」に続く、有吉佐和子本3作品目。感想は、下巻にて記す。

  • 「悪女について」がおもしろかったので、同じ作者の花柳界を題材にしたこの作品も読んでみた。これもまたとてもおもしろかった。上下巻のボリュームだけど、一気に読んでしまった。 ジャーナリスティックな視点と、エンターテイメントとしての完成度の高さが有吉作品の魅力かな。
    この同じストーリーを䔍代目線で書いたものも読んでみたい。
    嘘をつくのがうまい人は、きっとソレ(嘘)を、本当だと思っているんだろうな。自分で本当だと信じているから他人に対しても説得力があり、信じさせてしまうんだろう。䔍代の嘘は、本人の中ではすでに「本当」にねつ造されていたんだと思う。しかし、こんな人が身近にいたら許せないだろうなぁ…。(2009 / Feb)

  • 上下巻。
    いやいや。予想外におもしろかった。
    「はいからさんが通る」あたりの時代ですね。もっと後までいくけど。
    もうちょっとドロドロさを足すと、とっても昼ドラ向きだと思う。花柳界を生きた二人の女の話。
    蔦代みたいな女いるわ〜!絶対どこかで出会った気がするもの。
    蔦代が本当に正子のことを好きか、本当は嫌いか、読んだ人によって分かれそう。私は本当に好きではある、と思う。

  • 上下巻、立ち止まることのない、怒涛の読書。正子の気高さもなかなかだが、蔦代の不気味さは並々ならぬもの。得体の知れない生物を見ているような不安定な気持ち悪さがあった。<上下巻>

  • 芸者の世界は厳しい

  • 大正から昭和初期にかけて、激動の時代をかけめぐった芸者の葛藤が感じられられます。 </BR></BR>

    花柳界の厳しさを知りました。 </BR>
    華やかな表。 </BR>
    金と自由に縛られる裏。 </BR></BR>

    こんな世界を生き抜く女性の身のこなし方がとても勉強になりました。</BR>

  • 女の子が、身近な人や環境の影響と、自分自身の成長の織り成しによって、女になり女性なり生きていく、そこで描かれる美しい主人公たちと、美しいところで終わらず、醜いところまで隠さず見つめる有吉佐和子の筆が好き。「芝桜」は華やかな花柳界の成り立ち、人間VS人間の心の綾を深く観察していてなんとも素晴らしいが、可愛い女の子が二人、綺麗な着物を着て歩いたりしゃべったり踊ったりしている姿が思い浮かび、それだけで可憐で華麗で楽しかった。「そろそろ春だから今年はもっと花を植えようね」という蔦代の言葉がなぜか耳に残る。

  •  香華に続いて外見は華やかだが、苦界で懸命にいきる女が主役。一本気な正子の視点でかかれており、蔦代の女としてのずるさはちらちらとしかみえず、それが不気味。

  • こういう女って、確かにいるな…

    読んでいるうちに、蔦代のことがオゾましく、どんどん不気味に思えてくる。

    この話の主人公は、むしろ正子よりも蔦代なのかもしれない。

    蔦代は、「正子には常に劣っている」という劣等感が、おそらく自分でも気付かぬうちに、正子への足手まといを、自分に演じさせている。

    しかし、蔦代の腹黒い感情など、作品には全く登場しない。

    むしろ、限りなく純粋で、情に厚そうなのである。

    しかしこの蔦代という女、自分の欲望に限りなく純粋がゆえ、そのためには手段を選ばない。
    それが悪であることにすら、気付かない。

    女の純粋こそ最も始末が悪く、残酷なのだ。

    …と、思った。

    正子は最後、とうとう蔦代と絶交する。
    正子にとって蔦代は、くされ縁の、古い恋人の様なモノだったのではないか。絶交して開放されたあとの正子は、実に清々しいものである。

    女同士の関係の描き方が、とても秀逸な作品。

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