- Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101132143
感想・レビュー・書評
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相変わらず有吉さんの本は面白いな。何だか長い映画を観ていた気分。実写版が観てみたいな。
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正子に蔦のように絡んでくる蔦代。蔦代という名前がしっくりくる。蔦代の真意がなかなか掴めなかった。蔦代は正子の味方なのか敵なのか...
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2012/10
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蔦代が気味が悪く、正子の逆上するがよくわかる。本当に面白い。
続編があると知り喜んでいるところ。
早く読みたい! -
驕り高ぶり余裕をみせると、蔦代のような女からは隙を衝かれる。阿弥八姉さんの言うとうり格が違うし本当に賢い人はこういう人を寄せ付けないし正子を本当に守ってくれてる人が側にいたら寄り付けなかったはず。正子も天涯孤独でそして若い時に贅沢三昧を覚えた芸者は堅気にはなれない。本人がその気でも世間はそんなに甘くなく特に女は敏感に感じとるので正子も蔦代と同じ世界の人間で蔦代の方では同類にしたい。つくづく友達選びは大事なのと女同士の驕りは命取りで、海千山千の修羅場をくぐった人を甘くみてはいけない。ラストは蔦代と絶交したとなっているが、正子も堅気の人とは本当には友達になれないし第一、話しが合わない。蔦代の方は迷いがないのでその分、悟り、極めれる。そして正子も真からの堅気にはなれないと蔦代は分かっているので、よっぽど堅い人と結婚しない限り一生続く関係になるのでは、、と思うと身も蓋もないので、芝桜の花が2つという描写で前向きに情緒あるラストは良かったです。母子変容に続きすごく面白かったです。
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有吉さんの描く「女」はだいたい不気味で怖い。嶌代の何が怖いって善と悪が半分ずつ彼女の中に存在していて、どっちも本当の嶌代だってところだと思う。
こんな人が友達だったらと思うとぞっとする。 -
面白かった。蔦代という不可解な女の存在に
まじめな女正子がいいようにふりまわされていく展開。
上下巻あったけど、ページをめくる手が止まらなかった。
女の友情に名前を借りて、ずうずうしく他人の領域に土足で乗り込んでくる
ような人。実際いそうですね。 -
大正・昭和にかけて、花柳界に生きた二人の女性の物語。タイプは違えど美しい二人の全く違う生き様をしながら関わったり、距離をとったり…という好きなタイプのストーリー。
こちらも夢中で読んでしまったのだけど、やはり有吉さんの文章の魅力は素晴らしいなと、どの作品を読んでも思ってしまう。
花柳界という女の魅力を売り物にする世界で、それでもどこか一本気にその奔流に溺れまいとする正子と、その奔流にやすやすと身を任せ、いつしか悠々と泳ぎまわる蔦代の対比が鮮やかに描かれていて、こちらもまさにページをめくる手が止まらなかった作品です。
蔦代、という一見悪女、ヴァンプに思える女性像が、信心深く朝参りを欠かさない、母親を大事にし、花を愛し、こまめに世話を絶やさない、そんな愛すべき部分もあるので、なんというか正体の掴めない多面体の黒水晶のようなイメージ。美しく輝く面と、深く黒く沈んだ面と。
底知れない、得体の知れない蔦代ではありますが、要所要所に憎めないエピソードがあるので、「この人は悪女なのか天女なのか」図りかねる部分がありますね。また、無邪気なところもあるけれど、息をするようにウソをつく面もあるので、最後まで掴みどころのない女性として描かれています。
蔦代のつかめなさ、邪気のない悪さは終盤のエピソードでも秀逸に描かれています。
正子が気に入っていた机を自分のものだと言い張り、そんなに気に入ったのならお世話になったお礼に置いていくわ、どうか怒らないで、と邪気無く言ったり。
12歳も年齢のサバを読んで若い復員兵と結婚の約束をしていたり、それも何人もと(笑)
ラストに題名にもなった蔦代が植えていった芝桜を正子が眺めているシーンがあるのですが、そういえば少女時代に金魚のお墓を作ると言って死体を埋め、その上に芝桜を植えたエピソードが鮮やかに蘇って、やはり底知れない無邪気な悪、というのを感じさせてくれます。
蔦代自身、自分をワルだとは思っていないのかも…などと思いつつ読み終わりました。なまじな悪女よりもその方がたちが悪いかも(笑)
なんとなくなのですが、有吉さん自身、主人公の正子よりもこの悪女の蔦代を描きたかったのかもしれませんね。