悪女について (新潮文庫 (あ-5-19))

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著者 : 有吉佐和子
  • 新潮社 (1983年3月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (521ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101132198

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悪女について (新潮文庫 (あ-5-19))の感想・レビュー・書評

  • この本は面白い!
    そして読みやすい!

    ベランダから転落死した女実業家のことを、彼女の周りの人間が話すその会話によってなりたった本なのですが、人の会話なので読みやすいし興味深い。
    それも有吉佐和子さんの文章力があってのことだと思います。

    亡くなった富小路公子は宝石商、不動産経営、女性専用の会員制クラブなど、さまざまな事業を展開する女実業家。
    その公子がバルコニーからイブニングドレスを着たまま昼間に転落死する。
    周囲からは自殺の原因も無いし、他殺かも知れないとさまざまな証言が飛び出す。
    そしてその証言から彼女の隠された生い立ち、性格、生きざまが浮き彫りになる。

    一緒に夜学に通った男性、同級生、彼女とつき合った男たち、彼女の子供・・・。
    語る人によりさまざまに姿を変える彼女。
    ある人は清廉潔白な人だったといい、ある人はとんでもない悪女だと言う。

    とにかく嘘に嘘を重ね、虚飾の人生を生きてきた人だったのだなと思います。
    でも嘘って必ずバレるんですよね。
    不思議なことに・・・。
    私などは昔から嘘をついたらすぐバレると言われるくらい顔に出るからつかないけど、普段嘘をつきなれてる人ですら後で考えるとおかしい・・・とか辻褄が合わなくなり結局バレてしまう。
    恐いのは嘘をつく人って、その嘘が本当だと思いこむようになる事なんです。
    そういう人を何人か知ってますが、必ず自分の都合のいいように事実を変えていく。
    そして、そういう人たちは口が達者なので、「昔のことだし、もうそう思いこんでるならそう思わせとくか」と思わせるところがあるんですね~。

    あと人間って同じ人でも見る人によって全然変わってきますよね。
    ある人は「あの人は優しい」と言うし、ある人は「冷たい」と言う。
    どちらも真実なんだと思います。

    私はこの亡くなった女性、悪女かも知れませんが嫌いじゃないです。
    とにかく自分の目指すところに向かい、必死に生きてきた人生。
    走り抜けるような人生だったのだな~と思って、その精神力が羨ましいと思いました。

  • 沢尻えりか主演のドラマが面白かったので読んでみた。ドラマの印象が強かったのでどうしても公子の描写では沢尻えりかの顔が浮かんでしまう。それにしてもぴったりの配役だったなと思う。
    今読んでも全く色あせることのない面白さ。なんで今まで有吉作品を読んでみなかったのだろう。ぐいぐい引き込まれて読み終わってしまうのが惜しいほど。
    最終的には真実の公子を読者にゆだねることになるのも、またいい。脱帽。

  • ある1人の女性の死に関して、27人が証言していく…。

    実際彼女がどんな人物だったのか、なかなかつかめない。
    またそれが、女・人間の恐ろしさか…。


    小説の構成自体が斬新。

  • ひさしぶりに読んだ。読むものがないときに夢中になれる殿堂入り鉄板小説のひとつ。
    本当に面白い。

    --------------------------------------
    中学生 八百屋の父親死亡、旧華族の家に女中として働きに出る。宝石の職人と親しくなる。
    16歳 簿記の夜学に通う。ラーメン屋の親父、華族家の息子の愛人となる。ラーメン屋のレジをやりつつ最初の夫と同棲。こっそり入籍し、長男妊娠。
    17歳 長男出産 夜はラーメン屋、昼は宝石店で働く。旧華族たちから宝石を集め始める。
    18歳 次男出産、最初の夫が入籍に気づき裁判。
    22歳? 最初の夫と離婚成立、大金を得る。おそらくこのお金をもとに土地を転がしはじめる。ラーメン屋の親父からレストランの経営を任され、経営者に。
    27歳 2度目の結婚。子どもは親の養子にしたため子持ちであることはバレない。
    29歳 離婚。慰謝料として都内の一等地を得る。二人の子を引き取る。
    30代 高級ジムを開く。そこに集まってきた金持ちたちから宝石を安く買い取り、彼らに模造宝石を高額で売る。ごまかせる相手かどうか見極めて売っていた模様。年齢は10歳サバを読む。タレント活動を始める。長男が駆け落ち同然で結婚。
    40歳 ジムの若手トレーナーと婚約。結婚式の数日前にビルの窓から飛び降りる。
     ラーメン屋(次男の父)とは四日前に会っていた。華族の息子(長男の父)とは、結婚式のあとで会う約束をしていた。ふたりともずっと続いていた。

    秘儀は美貌と床上手。「あの女の味を知ってしまったら」なんて台詞、男に言わせてみたいもんだよ。どこで覚えたんだ。
    そして謙遜。けして自慢せず人の悪口を言わず、口先では感謝しまくる。利用されたことに相手が気づいて怒ると、「そんなつもりはなかったのに、誤解されて悲しい」と泣く。
    付け届けは欠かさない。世話になった人、役にたちそうな人には必ず何か、すごいものをあげてる。人付き合いのお金は惜しんだらいけないのね。

    不思議なのは、華族息子との恋愛の継続と、最後の婚約。二度の結婚とラーメン屋は、明らかに財産目当てだが、このふたりとの恋愛にはメリットがない。ラーメン屋だって成功してからは捨てたってよかったはず。
    もしかして本当に好きだったんだろうか。この女に限って、と思うけど、そういいきれない可愛げが公子にはある。
    実の母親に対する態度は嫌な気持ちになるけど、宝石鑑定の人のことは本気で慕っているようにも見える。

    主人公の主観一切なしでこれを書いたのもすごいが、主観では書けなかったのではないかと思う。
    好感とも違うが、女にとってはスカっとするところもある。普通に玉の輿にも乗れたのに、それをせず、男を利用してのし上がって行くのが。


    女とインテリには嫌われてるけど、男とバカには好かれるよう。私はバカの部類に入ります。

  • 悪女っていうのはやはり人を強烈に惹き付ける何かを持っている女の人のことを言うんだなと思った。
    主人公の富小路公子という女の印象は、人によってとてもいい人か性悪女という2つに分かれている。どちらにしても人々の記憶に刻み込まれるような存在であったに違いない。
    解説にもあったが、本人の口から自分自身について語られていないところに面白さがあるのだろう。公子の口癖である「まああ、」を思い出してはどんな人物であったのか想像してしまう。

  • これは本当に面白かった!一人の女性に関わる人たちの関係、見解が全員違い、一体この女性はどういう人物なのか何故死んだのか、次々と想像をかきたてられました。

  • ぐいぐいと惹きつけられて最後まであっという間だった。
    ミステリーに近いエンターテイメントとして優れていると思う一方、この本をどう捉えればいいのか、自分がこの作者の意図を掴められているのか不安になった。

    富小路公子の人間像を27人の視点からあぶり出すのだが、
    彼女の何が真実なのか、分からない。公子をどう思うのか。読み手によっても変わってくる。

    そして、公子をどうとらえるのかを考える自分すらもその中の1人に過ぎないことが分かる。
    「虚飾の女王」の事件が起きた時、それを捉えられている人というのは誰もおらず、一人ひとりの接点から浮かび上がる事実を紡いで、それをあたかも「事実」として受け止めなければならない。
    これは「週刊朝日」の連載だったが、連載で読んでいたならば
    「あなたは、一つの記事をどう読むのか」と有吉佐和子に挑戦状(問いかけ)を送られているような感じだったんだろうと思う。

    「真実はない、事実の積み重ねがあるだけだ。そこには虚実ないまぜになった証言しか残らない」

    公子をどう思うかという問いかけから、報じるとはどういうことなのかまでを問いかけている。27人は口々に言う。

    「週刊誌はあることないこと書き立てて、ひどいですよね」
    でもあなたの見た公子すら、嘘か本当か分からないじゃないの……

    有吉佐和子の挑発。格好が良すぎませんか。

    ※岡崎京子の「チワワちゃん」は有吉作品に強く影響を受けたものだと感じました。

  • 沢尻エリカ主演でテレビドラマでやってたのを見て借りた
    男性と付き合って、当たり前に子どもが出来てなぜ悪女か?
    テレビではずいぶん省略されて、2回目(一回目は男性に黙って籍を入れ)の資産家との結婚生活はカットされていて、
    最後の仕事内容もふわっと紹介する程度
    (エステ・美容体操ありの婦人専門の会員制クラブ)
    当時にしては衝撃的だったのだろうか
    母を偽り、宝石詐欺を働いたことは褒められないが、
    今はこんな人ゴロゴロ居そう。
    まわりの人のインタビューばかりで本人の思いは一切出てこない、
    宮部みゆきの『火車』を思い出した。
    美人も大変やなと思い、読後感は悪くない。

  • 【女性実業家・富小路公子が突然、謎の死を遂げる。公子は持ち前の美貌と才能を駆使して、一代で財を成した一方で数々のスキャンダルを起こしたことから、マスコミからは「虚飾の女王」「魔性の女」などと悪評を書きたてられていた。物語は、そんな公子と関わった人物27人へのインタビューを綴ったものである】
    何が本当で何が嘘なのかわからなくなる。
    謎の死も、どんな女だったのかも、余計に真実が知りたくなってしまう。

  • かなりおもしろい!夢中で読んだ。
    彼女の悪どさは、天性の性格からなるものなのか、それともすべて計算づくなのか。。。
    後者だとしたら賢すぎる。幼い頃から計画的に、将来を見据えて行動していたというのか・・・
    かける年月に執念を感じ、ぞっとする。

    数々の男を使ってのし上がってきた彼女だが、愛した男は1人だけいる気がする。
    繰り返し読んで、「鈴木君子」をもっと知りたい。
    1回読んだだけじゃこの悪女に太刀打ちできない!

    もう、ほんっとにおもしろくてお勧めの本!

  • もう何度読み返したことでしょう。
    たまたまTVドラマになったので、また読みました。
    やっぱり本のほうが凄い!
    エリカ様もきれいで、まああ、良かったのですが。
    座右の書です。とはいえ、真似できないナァ・・・

  • これは深い話ではなくて、ミステリーというか娯楽映画的な面白さ。昭和58年とかに発行された小説なのに、構成が斬新でモダン。
    かなりのインパクトで面白いです。
    ぐいぐい引き込まれるので、人によってはすらすら一日で読めちゃうかも。

    すごいと思ったのが、
    ・「鈴木君子」がどういう人か、これだけあらゆる角度で検証しているのに、「鈴木君子」の直接のエピソードが一切なし。間接に徹しているところがミステリアスを増長
    ・エピソードの順番とか、よく考えられているなぁ、と。終わり方も好き。
    なんというか、こういうニクイ感じというか、完成度の高さというか、忘れられない本になりそう。

  • おもしろかった。けど、構成が普通ではないので、頭を使うし、読む人によってかなり理解に差も出るのでは?個人的には、頭の中を整理しながら本を読むのは苦手やので、この話の面白さを完全には理解できていない気がする。
    最後の方になると、主人公は、ただ純粋に自分の子供とその父親を愛する手段として、一般的に悪女と言われるような行動をしており、その根っこの気持ちには全く悪意がないのかな、という気がしてくる。彼女の死因が最後の通りだとしたら、さらに話も通る。
    あとは、ひとりの女性の行動が、見る人によってこうも違う捉え方をされる、というのは怖い。
    昭和53年の作品とは思えないくらい、普通の感覚で楽しめる本。

  • これは面白かった。
    図書館で借りたのですが、買えばよかった。

    富小路公子という一人の稀有な女性について・・・27人の男女へのインタビュー形式で構成されている小説です。

    果たしてこの公子は、悪女なのか? 聖女なのか?
    結論は読者にお任せとなりますが、読み終わった後、公子という女性について、強烈な印象が残ることは間違いありません。
    エンタメとしても楽しめる、文学性高い作品です。オススメ!

  • 本人の死後、彼女を知っている人間へインタビューを1つ1つあげていく。
    しかし、そうしていく中、多面性が見え、どの男の前の彼女が本当の姿なのか分からなくなっていく、、
    意図的に最後まで分からないのが、より面白かった。

    構成など、よく出来ていて、読みはまっていく作品。

    男性が読むのはオススメしないかも。。
    女性不信になりそうw

  • す、すごい・・・。
    有吉佐和子、恐るべし。

    こんな風には生きられないが、ある意味羨ましくもあり。
    男たちのあっぱれな騙されぷりに乾杯。
    戦後、女を武器に、女を鎧に、逞しくも妖艶に生きた女を、27人が語る。

    他殺か、自殺か。
    テレビでも活躍していた女実業家が、突然ビルから落ちて亡くなった。
    清く正しく美しく。人から恨まれることは何もない心のきれいな人だったと言う人。
    あんな酷い女のことは思い出したくもないという人。
    どれが彼女の本当の姿なのか。

    きっとどれも本当でどれも嘘なんだろう。
    人間て多面体なんだなぁ、、彼女が好きだった宝石のように。
    清く正しく美しく、は彼女の理想であって、そういられない現実は、嘘で覆いかくして。
    特に出生は、彼女のコンプレックスだったのだな。
    実の親は別にいて、お嬢様だったはずなのに、事情があって養女になった自分。
    少女の夢想が、そう語り続けるうちに、本当のことみたいに思えてきたのだろう。

    「まああ」
    彼女の口癖がうつりそうになった。
    で、どの男が、彼女の初体験で、子どもらの本当のパパだったんだろう・・・、真実は彼女のみぞ知る。

    =========

    当初、「星4つ」にしていたのだけど、
    何かインパクトが強烈で、時節「怖かったな~」なんて思い返すので、星5に変更しました。

  • 1970年代に書かれたことがすごい。今読んでも遜色ない。

  • 不思議な女の人!楽しめた。

  • 太田さんの奥さんが絶賛していたので借りた。
    こういう小説は安易に映像化しちゃいけないのかもね。

  • めっちゃおもしろかった。
    ひとりの女についてまわりのひとの証言でできているはなし。

  • 「悪女」富小路公子を主題にした27の変奏.
    まあちょっとあざといなと思うところもあるが,すぐれた娯楽小説.

  • 10代の頃の公子が実業家として花開いていく様が痛快

  •  
    ── 有吉 佐和子《悪女について 197809‥ 新潮社 19830329 新潮文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4101132194
     
    …… 27人の関係者へのインタビューという形式によって一女性の虚実
    を浮かび上がらせる(Wikipedia)。
     
     有吉 佐和子 作家 19310120 紀州 東京 19840830 53 /0830“有吉忌”
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20151130 文学忌一覧(新暦月日)
     
    (20170221)
     

  • 謎の死を遂げた女実業家「富小路公子」について、27人がそれぞれに語る。

    公子の印象が、語り手それぞれで違うというのは前情報として知っていた。
    しかし、一般人として出てくる語り手も、決して一面的でなく他の語り手の話から異なる一面が暴かれていくのが面白い。

    「公子」自身は、綺麗な物を追い続け、最後まで自分の中の「悪」を認められず、排除しようとした女性なのではないかと感じた。
    自分の中の「悪」を否定し続けた結果、自分そのものが、この世に存在できなくなったということだろうか。

    タイトルを「悪男について」に変えてもいいくらい、微妙な男性が多い中、一見間が抜けてるように見える次男が格好良かった。
    結局、謎ははっきり解明されないまま物語は終わってしまうが、次男のキャラの良さで「まあいいか」と許してしまうところがあった。

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