悪女について (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784101132198

感想・レビュー・書評

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  • 面白い!美貌の女性実業家の転落死。彼女と関わりあった27人のインタビューで構成された話。語り手変わるたびに本当は善人か悪人か揺らぐ。聞き手=作者と思わせるドキュメント的なつくりにも笑える。「まああ」という口癖うつりそう。

    • akikobbさん
      こんばんは。
      私もちょうど、図書館予約していたのが届いた連絡を受け取ったところです!こちら読んで期待が高まりました!
      こんばんは。
      私もちょうど、図書館予約していたのが届いた連絡を受け取ったところです!こちら読んで期待が高まりました!
      2024/02/08
    • 111108さん
      わぁ、タイミング合いましたね!
      ぜひお楽しみください♪
      わぁ、タイミング合いましたね!
      ぜひお楽しみください♪
      2024/02/09
    • ロッキーさん
      111108さんが言う通り、過激な方向には転ばず上品なのに、十分惹きつけられて面白いの、有吉さんの筆力をすごく感じます。akikoさんこれか...
      111108さんが言う通り、過激な方向には転ばず上品なのに、十分惹きつけられて面白いの、有吉さんの筆力をすごく感じます。akikoさんこれから初めて読むの羨ましいくらいです!笑
      わたしはちょうど『紀ノ川』読み始めたのですが、こちらも面白いです!
      2024/02/09
  • 悪女として週刊誌に掲載された女性実業家の謎の死と生い立ち、真相が27人のインタビューによって徐々に明らかにされていく。本当に悪女なのか、それとも隠された真相が待ち受けているのか、予測のつかない結末にドキドキしながらインタビューの一部始終を読み進めた。
    結局、悪女だったのかそうでないのか意見が分かれる結末だったと感じた。誰かに殺されたというわけではなく、自殺なのだろうと思うが、それまでの出来事を読み解くと悪女なのだろうか。実業家本人のインタビューはないため、読者の想像に委ねる終わり方となっている。
    読後のもやもやが残ってしまったが、小説という形式でしかできない構成となっており、非常に面白い小説であった。これが昭和50年代に刊行されたとは思えないほど前衛的な手法だと感じる。

  • 映像が目に浮かんできて、もし私なら主人公は勝手に君島十和子かなあ。苦笑い。
    数年前のドラマでは沢尻エリカだったらしいけれど、ちょっと違うな。
    黒木華ちゃんや蒼井優ちゃんでは物足りない笑。
    松居一代じゃあ胡散臭すぎるし、小池百合子さんがいいかも?!

    繁栄と栄華で満ち満ちた1人の女性について、27人もの周辺人物たちが、それぞれモノローグの形で語る。

    メディアにも華々しく取り上げられ、絶頂を極めている女性実業家が謎の死を遂げる。
    彼女の「人となり」を、周囲の人々が独白の形で露わにしていく。

    努力家で才能と美貌や知性の溢れる女性と賛美される一方、欺瞞と虚栄に満ちた詐欺師と罵られる。

    彼女の評価が真っ向対立しながらも、彼女への興味や関心が頁を捲るごとに増していく。

    女性が添え物であった時代の物語にありながら、男性をもしのぐ手腕で次々と事業を拡大させる一方で、男性にしな垂れかかる売女のような一面もある。
    どちらが本当の姿で、どちらが嘘か。表裏一体の妙。

    出自や生い立ちを偽り、戸籍や名前までを改め、嘘に嘘を重ね、富を得て、彼女が本当に得たかったものは一体何なのだろう。

    彼女に翻弄されながらも、周囲の人たちが彼女との関わりを断ち切れなった事実に彼女の本質が垣間見える。

    貫井徳郎さんの『愚行録』もモノローグを重ねた展開で面白かったが、こういう形式が好みの方、お薦めです。
    気が付くと、私も28番目の人として、彼女について誰かに語りたくなっている。

  • ドラマ化とのことで手に取ってみたら、初版は昭和58年とのことで40年も前の老舗本でした。
    公家やら華族やらの社会的地位がまだ息づいていた戦後の高度成長期ならでは成り上がり術。
    読み物なので誇張はあるとはいえ、あの時代、先を見据えた賢い人やたまたま流れに乗った成り上がり長者は確かに存在した。

    自殺か他殺か…1人きりで巧みな話術と行動力であれよあれよと巨万の富を手にした女実業家キミ子の謎の死。
    ある人は言う「とんでもない悪女だ!」と。
    ある人は言う「悪女?とんでもない!」と。

    彼女の人生に関わった人々が彼女について語るとき、全貌が見えているこちらだけが知り得るキミ子の生き様。それは〝真っ当〟ではないかも知れない。それは〝救い〟であったかも知れない。それでもキミ子との時間を幸せだったと言うのならそれは真実であるし、あるいは不幸だったと言うのならそれもまた真実。

    誰の人生をとっても関わる全ての人にとって聖人であるはずもなければ悪人であるはずもない。
    誰かが「私について」語るとき「大好き」と言う人もいるだろうし「大嫌い」と言う人もいるのと同じ。
    スケールの大きなそんな話し。

    時代感があっておもしろい。だけど答えはない。
    ミステリーのようでヒューマン。

    今年の17冊目

  • もう何度読み返しているかわからないくらい繰り返し読みたくなる本。
    もう読まないだろうと人にあげたり古本に売ったりして
    でもまた読みたくなって購入するという・・・。
    1人の女性について、27人の人物が証言していくという
    物語で、27章に分かれているのでとても読みやすい。
    鈴木君子が富小路公子になってのし上がっていく様が
    第三者の目線で証言されていく構成がとても素晴らしい。
    そして人によって最低な女と言われたり、女神のような女性と
    いわれたり、公子のとらえ方が違う点も興味深い。
    公子の喋り言葉が癖になって、何年かたつとまた物語の世界に
    入りたくなってしまう。そういう本ってなかなかないので、さすが有吉佐和子だって思う。

  • 人の思い込みって本当に怖い。
    特に惚れた女に対する男達の、自分よがりの願望ともとれる「妄想」は滑稽で何度も苦笑いしてしまった。

    27名の証言に基づき徐々に顕かになる、謎の死を遂げ世間を賑わす女・富小路公子の物語。
    様々の立場の老若男女の証言が増える度に、謎はますます深まり彼女の死の真相は藪の中。
    彼女の真実の姿と死の真相は我々読み手に託された形となったけれど、私には最後の次男の証言が特に印象深いものとなった。

    若い頃母に向かって言い放ったセリフ「清く正しく、夢のある人生が私の理想」。
    あらゆる手段を使って己の「夢」を貫いたかに見えた彼女は、若い頃からの理想の人生を歩むことが出来たのか、本人に聞いてみたかった。
    本人が全く登場せず証言上の彼女の姿を想像する物語は面白く、深く考えさせられる作品だった。

  • この本は面白い!
    そして読みやすい!

    ベランダから転落死した女実業家のことを、彼女の周りの人間が話すその会話によってなりたった本なのですが、人の会話なので読みやすいし興味深い。
    それも有吉佐和子さんの文章力があってのことだと思います。

    亡くなった富小路公子は宝石商、不動産経営、女性専用の会員制クラブなど、さまざまな事業を展開する女実業家。
    その公子がバルコニーからイブニングドレスを着たまま昼間に転落死する。
    周囲からは自殺の原因も無いし、他殺かも知れないとさまざまな証言が飛び出す。
    そしてその証言から彼女の隠された生い立ち、性格、生きざまが浮き彫りになる。

    一緒に夜学に通った男性、同級生、彼女とつき合った男たち、彼女の子供・・・。
    語る人によりさまざまに姿を変える彼女。
    ある人は清廉潔白な人だったといい、ある人はとんでもない悪女だと言う。

    とにかく嘘に嘘を重ね、虚飾の人生を生きてきた人だったのだなと思います。
    でも嘘って必ずバレるんですよね。
    不思議なことに・・・。
    私などは昔から嘘をついたらすぐバレると言われるくらい顔に出るからつかないけど、普段嘘をつきなれてる人ですら後で考えるとおかしい・・・とか辻褄が合わなくなり結局バレてしまう。
    恐いのは嘘をつく人って、その嘘が本当だと思いこむようになる事なんです。
    そういう人を何人か知ってますが、必ず自分の都合のいいように事実を変えていく。
    そして、そういう人たちは口が達者なので、「昔のことだし、もうそう思いこんでるならそう思わせとくか」と思わせるところがあるんですね~。

    あと人間って同じ人でも見る人によって全然変わってきますよね。
    ある人は「あの人は優しい」と言うし、ある人は「冷たい」と言う。
    どちらも真実なんだと思います。

    私はこの亡くなった女性、悪女かも知れませんが嫌いじゃないです。
    とにかく自分の目指すところに向かい、必死に生きてきた人生。
    走り抜けるような人生だったのだな~と思って、その精神力が羨ましいと思いました。

    • katatumuruさん
      vilureefさん、こんにちは!
      コメントありがとうございます(^^)

      そうかぁ~。
      慣れたらコメントも長文になっていくんですね。
      ここ...
      vilureefさん、こんにちは!
      コメントありがとうございます(^^)

      そうかぁ~。
      慣れたらコメントも長文になっていくんですね。
      ここって、自分がつけたコメントにコメントの返しがあったのかどうか通知がないのが悲しい所だと思います。
      何せ、私記憶力が悪くて誰にコメントをしたか忘れてしまうので・・・^^;

      ザ・女流作家ですか~。
      もう林真理子さんも大御所ですよね。
      角田さんは私も時々読みますが、すごくいい作品とそうでもないのと結構差があるような・・・。
      いろんな試みに挑戦されてるな~とは見てて思います。

      私は個人的に今時の言葉でいうと「イヤミス」系の話が好きで、昔からそういうドロドロしたのを好んで読んでるんですけど、その辺りの作家サン・・・湊かなえさんとか、真梨幸子さんとかに注目してます。
      vilureefさん、その辺りの嫌~な感じの話を書く作家さんに心あたりがあれば是非、教えてください~(^^)

      こちらこそ!
      今後ともよろしくお願いします(^^)

      2013/08/09
    • vilureefさん
      ああ、確かにそうですね。
      誰にコメントしたか忘れちゃうことありますね(笑)
      取り敢えず毎日目を皿のようにしてチェックです!

      湊かなえさんか...
      ああ、確かにそうですね。
      誰にコメントしたか忘れちゃうことありますね(笑)
      取り敢えず毎日目を皿のようにしてチェックです!

      湊かなえさんか・・・。
      どうもデビュー作の衝撃が強すぎて(^_^;)
      イヤミスだったら沼田さんはお読みになりましたか?
      「ユリゴゴロ」なかなかでした。
      katatumuruさん、たくさん読んでらっしゃるからお勧めできるものないな(≧∇≦)

      好き嫌い別れそうですが、期待の作家は窪美澄さんですね。
      心情をえぐり出す感じがたまりません。

      私もいい人ばかり出てくる小説よりも、どうにもならない人間の性を描いた作品が好きですね〜。





      2013/08/10
    • katatumuruさん
      ハハハ・・・(*^▽^*)
      目を皿のようにしてチェックですか~。
      やっぱ自分で覚えてないとダメなんですね^^;

      色々とオススメ本を教えてい...
      ハハハ・・・(*^▽^*)
      目を皿のようにしてチェックですか~。
      やっぱ自分で覚えてないとダメなんですね^^;

      色々とオススメ本を教えていただいてありがとうございます(^^)
      沼田さんの「ユリゴコロ」は以前読みました!
      あれは独特な世界観の中に静けさを感じられるような作品で、面白かったと思います(^^)

      窪田澄さんは初めて聞きました~。
      早速チェックチェックです。
      心情をえぐりだす感じっていいですね!

      私もいい人ばかり出る小説はどうも苦手です(-_-)
      何かキレイごとっぽくて表面上の事しか書いてないような・・・物足りなさを感じます。
      たまにはそういうのが読みたい時もありますけど・・・。
      濃密な人間心理や人間関係が書かれたものが好きです(^^)
      それでいうと、やっぱり最近の小説は物足りないと感じるものが多いんです。
      でもそういうのが結構世の中では売れてたりして・・・自分と世間とのズレをいつも感じてしまいます(-_-)
      2013/08/10
  • 美貌の女実業家、富小路公子が、転落死。自殺か他殺か、富小路公子(鈴木君子)の死の真相を探るため、彼女を知る27人へのインタビューで構成された本書。じわじわと明らかになる公子の生き様…真偽も善悪も、読めば読むほどわからなくなる。男心を巧みに操り、土地を転がし金を生み、 事業を拡大していくその手腕は誠にあっぱれで、時に爽快ではあるが…ぞわぞわと怖いときも頻繁にあり。どの面下げてそんな嘘まみれの台詞を言ってるのかと、背筋が寒くなる。そして…この辺の関係、並行してたよね!?こういうことしてた裏で、こんなこと言ってたよね!?というところ、把握するため時系列で書き出したい!!
    狐につままれるという言葉があるが、これまで読んだ本でも上位の「狐につままれる」感。これは確かに、映像で観たい。何度か映像化されるのも納得の名作だが、機会があれば、原作の昭和の香りを感じられる昭和の映像化作品で堪能してみたい。

  • 女実業家 の表と裏 を伝聞形式で綴る。
    ドラマでも見ているような気分で読める。
    そういう時代 生き方のもあったのだろうか。
    やり場のない読後感が残る。踏み台にされた男の人生 家族はどうなるのか。

  • 一言で言えばとてもとてもとても面白い小説。

    富を築いた女性の謎の死後、彼女と関わりのあった27人に取材をし、それがそのまま小説の構成になっていました。

    古い本のようですが今読んでも古さを感じさせない、素晴らしい作品。

    悪女か悪女じゃないかは読んだ人それぞれが判断すればよいかと思いますが、主人公が直接読者の前に現れないのでなかなか判断するのは難しく、だからこそ逆に面白さが増しているように思います。

    富小路公子がしたたかであったのは間違いないけど、自分の目的というか欲にとても素直な人なのでしょう。
    ここまで徹底してると同じ女としては、愉快ですらありました。

    外見と知性に恵まれていながら環境に恵まれていない女性なら誰しも公子のような部分は持っているはず。

    女性にも男性にもおすすめ。

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著者プロフィール

昭和6年、和歌山市生まれ。東京女子短期大学英文科卒。昭和31年『地唄』で芥川賞候補となり、文壇デビュー。以降、『紀ノ川』『華岡青洲の妻』『恍惚の人』『複合汚染』など話題作を発表し続けた。昭和59年没。

「2023年 『挿絵の女 単行本未収録作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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