開幕ベルは華やかに (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101132211

作品紹介・あらすじ

突然の降板を宣言した有名劇作家に代わり、帝国劇場の急場を救うことになった演出家・渡紳一郎。元妻で脚本家の小野寺ハルと共に土壇場で作り上げた舞台は、大女優らの名演で大入りが続く。だが一本の怪電話で事態は一変。「二億円用意しろ。さもなくば大詰めで女優を殺す」。舞台の裏で絡み合う愛憎劇、そして事件は驚愕の幕切れへ──。読者を虜にして離さない華麗なる傑作ミステリ長編。

感想・レビュー・書評

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  • そうだろうなあと想像、難くなかった演劇界のあれこれが広がった。
    いやいやいや、有吉佐和子さんの古びていない小説力だからこそだと思う。

    中心が俳優「八重垣光子」と「中村勘十郎」って、記憶ではモデル問題も出たような(?)
    誰それと舞台俳優の名前をあてはめてしまうのだが、もちろん巧み構成力と筆運びのフィクション。

    そしてシテの演出家と、その別れた妻の脚本家のからみあいが微妙。
    しかもミステリー仕立てで、読むのに興深いのである。すごい作家だった。

  • 観察力が鋭い。読み手を惹きつける力が本当に強い。
    有吉作品が持つ魅力を堪能できるミステリーだった。

    演劇の世界あるあるみたいなものにも、某歌劇団ファンとしては、共感も驚愕もできた。
    ただ戦後すぐのゴタゴタで事件を解決している感は、少々ある。

  • ほぼ時系列通りに話が進み、リーダビリティも高くて入り込み易いが、最初の事件までがちと長い。重要証言のところで突然一人芝居のようなモノローグになるのは、演出過剰でリアリティを損ねている。後半に新しい登場人物がパタパタと現れるのもいただけない。まとまりがなく、話を広げるだけ広げてクシャッと強引にまとめて終わらせた感じ。

  • 安心して選ぶことができる作家の一人。

    読ませ方がうまい。分厚い本だけれども気がついたらラストになっている。もちろん書かれたのは今から27年も前なので、時代を感じることはあるけれど、それでも現在の作家に決して負けていない。

    話の本題に入るまでに時間がかかっている気がするけど、そのかかった時間にうまくバックボーンを書き込んでいるので感情移入しながら読める。
    有吉佐和子、好きです。

  • 昭和57の作品。
    前半は演劇や舞台の話が中心でやや退屈気味だったが、後半は推理小説らしくなりあれこれ考察したくなる。
    どんでん返しとまでは言わないけど、犯人やその状況などは意外な展開だった。
    不自然なところもあるけど、良いラストだったし、登場人物もなんかいい。

    偉大な才能ある人こそ、しばしば大きく欠けている点もあるというのは、現代こそ大きくうなずける。

  • ★3.5のおまけで。
    ミステリーとして楽しむものではなく、人間関係の泥々感を堪能する作品ですな。最後の締め方なんか最高かと。もしかするとすべての話は最後の伏線だったのかなとさえ思います。
    いや、楽しいエンターテインメント作品です。

  •  一つの演目に関わる芝居人たちの話が急にサスペンスに。
     今迄に味わったどの小説やドラマより、切れ味よく、切なく上質のサスペンス。長編なのにぐいぐい読ませる面白さ。 
     八重垣と勘十郎のやりとりや劇場の空気感はかつて演劇にはまっていた自分にとっては懐かしく、それもこの作品を楽しめた理由。
     推理中心のやすっぽい某シリーズ小説と違い、役者同士、親子、師弟、男女それぞれの葛藤、心の闇が良く描かれ、読後には松本清張にも通じる「人の業」というべきものの悲しさ、やるせなさを感じた。

  • よみにくかったが、以外と面白かった。

  • 有吉さん唯一のミステリーと言われる本作だけれど、ごった煮な感じでミステリーとしてはイマイチ。
    劇中劇も『ガラスの仮面』ほどには有効に使われておらず、せっかくクセのある登場人物を散りばめたのだから彼らの物語として最後まで貫いて欲しかったです。
    ちくわだと思って食べたおでんがちくわぶだったような噛み応えのないお話でした。

  • 文学

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著者プロフィール

昭和6年、和歌山市生まれ。東京女子短期大学英文科卒。昭和31年『地唄』で芥川賞候補となり、文壇デビュー。以降、『紀ノ川』『華岡青洲の妻』『恍惚の人』『複合汚染』など話題作を発表し続けた。昭和59年没。

「2023年 『挿絵の女 単行本未収録作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

有吉佐和子の作品

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