海猫〈下〉 (新潮文庫)

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著者 : 谷村志穂
  • 新潮社 (2004年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101132525

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海猫〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 函館から漁師町の南茅部に二十歳で嫁いだ薫を中心とした、女三代の大河小説的物語。
    ロシアの血を引き、美しすぎるゆえ孤立してきた薫。邦一という漁師の男と出逢い結婚して子どもももうけるが、数年後、薫の運命の歯車が狂い出す。
    上巻は薫、下巻は薫の二人の娘が中心となった小説。

    解説で小池真理子さんが「色香に満ちた作品である」「ここまで色っぽい小説にはめったにお目にかかれない」と書いているのだけど、その意見にまず頷いた。
    性的なシーンもけっこう多めの小説ではあると思うけれど、色香が立ち上ってくるように感じるのはむしろ、薫や二人の娘の清廉さが描かれているシーンだったりする。
    無機的なまでに美しい女性の描写から滲み出る清潔な色気、というような。

    悲しいけれど力強い、小説全体の印象は、イコール薫の印象でもある。
    美しさゆえに疎外感を感じて生きてきた薫が、本物の愛に気づき、その愛のために生きる。その強さと儚さが壮絶だった。
    美しいから人々を夢中にさせ、そのことが薫を縛りつけるという、彼女にとっては苦しい循環。

    函館、南茅部、札幌など北海道の風景、教会とキリスト教、漁師町、北海道大学、など、たくさんのキーワードを含む大長編。
    とにかく惹き付けられて、一気に読んだ。
    薫は自分の愛に生きたけれど、本当は周りの人間たちのことを深く愛していたということに気づく描写たちに、涙が溢れた。
    久々に、正統であり波乱に満ちたラブストーリーを読んだ気がする。

  • 上巻の激しさが下巻には足りんかったような、、、。
    そこが少し物足りんかったかなぁ、、、。

    まぁ、主人公が途中で変わるから仕方がないんかもしれんけど、、、。

    2章までで終わってても良かったんじゃないかなぁ?

  • 氷柱の愛(薫編)は、全く共感できないまま終わった。夫を欺いても子どもといたいといいながら、夫を拒んで関係を悪くし、義弟と逃げ出したと思えば、現実から逃走するという。子どもはどうするんだと言いたい。広次も、なにも考えすまに後を追い、何を考えているのかと驚く。少数派なのかもしれないが、邦一の苦しみが一番理解できた。
    流氷の愛(娘編)は、重い問題がわりとあっさり片付いてしまっていたが、薫編の救済的な部分があって、読み終わってほっとすることができた。
    個人的地雷が多かったわりに一気に読んでしまったのは、文体や描写が美しくうまいからかな。

  • 大沼ワルツがよかったので これも買ってみたんだけど 面白かったー。映画になってたなんて知らなかったなぁ。
    このストーリーじゃ やっぱり広次の方が惹かれるよなぁ。男気があって気持ちが優しくて
    頼もしくて。
    でも薫も邦一も だれのことも心から愛してないように思えて仕方ない。それぞれが強い愛を貫いて この悲劇にたどり着いたなら それはそれで仕方ないと思えるけど ほんとに誰かを愛したのって広次だけだったんじゃないかなぁ。
    それでこの結末はつらすぎる。

  • なんかもう・・・。

  • 上巻のヒロイン薫の娘たちを中心とした物語。
    舞台は漁村から函館・札幌へ。
    第2部は1部と比べて展開が早かった気がしますが、きれいにまとまっていると思います。
    女性たちが強くたくましい反面、男性たちが弱々しく情けない印象。

  • 公次の娘を産んだものの、夫に感づかれ、段々と壊れていく一家。弟に出したSOSの手紙で公次が助けに来てくれるが、正気を失った夫に刺され、崖から転落し、薫は死亡。その後を追うように公次も胸を刺し、崖から飛び降りる。

    そして時は流れて、娘二人は美しく成長する。

    やがて自分たちの父親が気になった姉妹。姉は臨月のお腹を抱えて父の元へ。とにかくドラマティックな怒涛の展開が待っている。

    途中休憩を入れることなく、2巻読破しました。
    久しぶりに骨太なドラマを見た気がする。

  • 物語は意外な展開を迎え、娘たちを中心に進んでいく。
    基本的には環境は変わっていないけれど、年月の流れが人々を穏やかにしていくのだろうか。
    過去を振り返らずに生きていくことは結構しんどい。
    振り返っても、もっと苦しいような気がしている。
    だけど、もがきながら生きていくしかない。そういったメッセージがこめられていたように感じる作品だった。

  • 3代に渡る女性の人生を描いてますが、重点を置かれていた薫よりも、その母である粋で気丈なタミに一番惹かれた。
    薫の話では漁村が、娘の美輝、美哉の話では札幌や函館の情景が自然に思い浮かべることができて、読み応えがあった。

  • 【本の内容】
    <上巻>
    女は、冬の峠を越えて嫁いできた。

    華やかな函館から、昆布漁を営む南茅部へ。

    白雪のような美しさゆえ、周囲から孤立して生きてきた、薫。

    夫の邦一に身も心も包まれ、彼女は漁村に馴染んでゆく。

    だが、移ろう時の中で、荒ぶる夫とは対照的な義弟広次の、まっすぐな気持に惹かれてゆくのだった―。

    風雪に逆らうかのように、人びとは恋の炎にその身を焦がす。

    島清恋愛文学賞受賞作。

    <下巻>
    広次と薫の恋は、壮絶な結末を迎えた。

    それから十八年後、薫の愛したふたりの娘は、美しい姉妹へと成長していた。

    美輝は北海道大学に入学し、正義感の強い修介と出会う。

    函館で祖母と暮す美哉は、愛してはいけない男への片想いに苦しむ。

    母は許されぬ恋にすべてを懸けた。

    翳を胸に宿して成長した娘たちもまた、運命の男を探し求めるのだった。

    女三代の愛を描く大河小説、完結篇。

    島清恋愛文学賞受賞作。

    [ 目次 ]
    <上巻>


    <下巻>


    [ POP ]
    港町函館。親子三代の愛憎の物語。

    いつまでも、高く響く海猫の鳴き声と青い目が忘れられない。

    人を愛することはどういうことなのか。

    夫婦の契りを交すこととは。

    生命の誕生とは何を意味するのか。

    多くを考えさせられた作品だった。

    谷村志穂のこれぞ力仕事というか、背負い投げを喰らってズッシリと青い畳に投げつけられた、そんな作品だ。

    運命の男女、薫と広次がふたり歩いていて、函館山の山肌から順に、夕陽が海へ向かって石畳の道を美しく照らしていく象徴的なシーンがある。

    禁断の恋を貫いたふたり。

    父親の違う姉妹。

    すべてを見守る、おばあのタミ。

    誰にも止められない時という齢。

    北海道人の心意気とやさしさ、知恵、哀愁そして人生がランボーの詩のように函館の海に溶けていく。

    どうにもならないのが人生の真実だが、わたしの魂は救済された気がした。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • やっと、読み切った。

    悲しい結末の薫の恋から、二人の娘たちの恋、人生。
    少し、盛り上がりに欠けたようだったけど
    見ごたえのあった。

    一度、函館の教会見てみたい

  • 前半の続きは死に追いやられる残念な結果で終わった。残された家族のその後が描かれているが、女三世代は運命に翻弄されながらもそれぞれの愛を貫く。

  • 自分自身で運命を切り開いた母であり祖母のタミ、運命に流されるままに翻弄され破滅した娘であり母でもあった薫、そして運命に翻弄されながらも自らの意志で生きる強さを身につけた孫の美輝と美哉。それぞれが個性豊かに男を愛し、愛される様が描かれた作品。母は強し、おばあはもっと強し。男共の方が情けないのかもねぇ^_^; 谷村志穂初読でした。

  • 3世代にわたる女性の生き方長編。

  • 魅力的な女性だった。一度逢ってみたいなあ(*^_^*)

  • 壮大な昼ドラのようなストーリー。

    今から50年以上前の日本が舞台。
    もしも、薫が生きた時代が現代だったら、彼女は駆け落ちをしなかったかもしれない。
    離婚という選択肢が選べたのかもしれない。
    違う結末が待っていたのかもしれない。

    背徳ゆえの恐怖と切実さを持った愛と薫の母・タミのたくましい生きざまに心を奪われた。

  • 薫と広次にもう少し幸せな時間を与えて欲しかった。こんな展開になるんじゃないかとちょっと予想していたけどあまりに哀しい終わり方でちょっと淋しかったです。

    しかし物語自体はタミがすごくいい亡くなりかたをしたのがよかった。

    しかしこんなに繊細で、ダイナミックで、冷たくて、情熱的な作品に出会うことはなかなかないと思う。本当に素晴らしい作品でした。

  • 恋愛小説は苦手だ。どれもこれもまず、ぐらぐらした主人公がフラフラそのまま流される。で、どろどろ。安易なパターン化?

    函館「太平洋側」の素朴な漁村の暮らし描写が良かったのでそこに星3つ。


    ぐらぐらフラフラどろどろなのでかどうかわからないけど身勝手三昧に続いて散々周りに迷惑をかけた挙句、「ああ、許してくれたんだね~」っていう夫。バカもオロカも極まれり。

  • 北海道などを舞台とした作品です。

  • 借りて読んだけど、再読のため購入。
    感想は単行本へ

  • 皆みんな、少女だって大人だって老いていたって、皆「女」である。女でいるって、恋って素晴らしいのだ~と思った本でした。
    最後盛り返したな、この本。

  • 下はなんだかしりつぼみ。もりあがりに欠けたけど、ラストは「ほんとっすかその展開!?」と思わず言いたくなる。

  • 下巻は薫が二人目の子(邦一の子供として生んだが、実は広次の子)を出産し、美哉となずけたところから始まった。
    出産後、夫婦の仲はますますぎくしゃくし、薫は邦一の愛を恐れるようになり、離婚も考える。だが邦一の執着は益々ひどくなり、ついには柱にロープでしばられ監禁されるしまつ。
    それをしった広次は薫と二人の子(美輝と美哉)を連れて逃げようとするが、邦一につかまり結果、命を落としてしまう。
    後半は美輝と美哉の人生に焦点があたる。
    彼女らも母親に負けず劣らずの波乱万丈な人生を歩く。
    最後はタミを中心にした家族の絆。

    親子3代(暁生を入れたら4代)の壮絶な生き様と函館の海と教会など自然描写がまるで、映像として浮かんでくるようで素晴らしかった。

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