硫黄島に死す (新潮文庫)

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著者 : 城山三郎
  • 新潮社 (1984年7月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101133164

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硫黄島に死す (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • こういう物語は語り継いでいかないといけないんだろうな。
    死を簡単に選択できる、死は美しい、そんな時代があった。

  • 七篇の短編。「硫黄島に死す」、「基地はるかなり」、「草原の敵」、「青春の記念の土地」、「軍艦旗はためく丘に」は戦争もの。「着陸復航せよ」は自衛隊パイロットの墜落死、「断崖」は特急列車による轢死に無関心な乗客心理がテーマ。

  • 〈硫黄島玉砕〉のニュースが流れた四日後、ロサンゼルス・オリンピック馬術大障碍の優勝者・西中佐は、なお残存者を率いて戦い続けていた。馬術という最も貴族的で欧米的なスポーツを愛した軍人の栄光と、豪胆さゆえの悲劇を鮮烈に描いて文藝春秋読者賞を受賞した表題作。ほかに「基地はるかなり」「軍艦旗はためく丘に」など、著者の戦争体験と深くかかわった作品全7編を収める。

  • この本は、「硫黄島に死す」など7編が収められているが、読んだのは、「硫黄島に死す」だけ
    この作品が書かれた時期は意外と古く、昭和38年になる。
    著者は昭和2年生まれなので、36歳位に書かれた作品だ。

  • 1932年に開催されたロサンゼルスオリンピック、馬術の部で優勝したことで、華やかな欧米社交界で注目された男爵、西竹一の死への美学を描いた短編小説。

    貴族としての見栄と家族、部下を思う気持ちを隠そうとしなかった西は当時の日本軍人の中では異色の存在だった。そんな西が硫黄島守備隊という玉砕確実の戦線に赴き、堂々と散っていった。スポーツマンであり、常に「勝たなくては」という言葉をかみしめていた西が、絶望的な戦場で死を待つという皮肉。戦争の虚しさを考えさせられる。

    ちなみにイーストウッド監督の映画「硫黄島からの手紙」では伊原剛志がバロン西を演じている。

  • 戦時中の兵隊とそれを取り巻く環境

  • 大きな流れの中では人は流されるしかないのか。その中で、何が出来るのかを模索して精一杯に生きる

  • 戦争をテーマにした歴史小説。同じ戦争小説であっても、島尾敏雄とはまた描き方が異なり淡泊な感じな気がする。

  • 一つ一つは面白いんだが、短編集。硫黄島の話は、一編だけ。短編集って、月刊誌とかの書き下ろしの寄せ集めのせいか、良い感じで肩の力が抜けているんだけど、好みではない。

    城山三郎の随筆みたいなのは、珍しいのかもしれない。

  • 主に第二次大戦末期の本土守備隊の状況に取材した短編集。旧作ではあるが、時代を感じさせない力作であり、特に幼年兵を描いた作品は実体験に基づくものだそうで、非常にリアリティを感じた。
    異色だったのが、軍隊物ではない「断崖」という作品だった。昭和41年の作品だが、今日の時間に追われる閉塞感を見通したような内容であり、その慧眼はさすがに経済小説の先駆者だと感じた。

  • 城山三郎の本は正直言って読者の様々な思考・見解を呼び覚ますほどの深みはない。
    ただ(面識などないのでいい加減な感想と言えばそれまでだが)実直な人柄そのままに、誠実で綺麗な文章で紡がれた作品が多いとも感じる。
    この本もご多分に漏れず。
    この作家のファンが根強くいるということ自体は凄く理解できる。
    本当の戦争体験に裏付けられた反骨心にあふれていながら、抑制の効かせ方が絶妙。確かに良い意味で珍しい作家だと思う。

  • かつてロサンゼルス五輪の馬術競技優勝者・西騎兵中佐は、帝都守護の最後の防塞・硫黄島へと進発してゆく。それは五輪の時とは違い、歓声ひとつない光栄への道。不気味な沈黙と、永遠の沈黙との間の懸け橋でしかない光栄への道――。
    馬術を愛した軍人の栄光と悲劇を描いた表題作の他、終戦間際に予科練の少年たちを襲った悲劇を回顧する「軍艦旗はためく丘に」、発足間もない航空自衛隊を育てあげた米軍パイロットの肖像を綴る「着陸復航せよ」など、著者の体験と深く関って描く全7編。

    「軍艦旗はためく丘に」に登場する予科練の生徒たちは今の中学1年~3年生くらいでした。
    食べ盛りですから、携帯用に持たされた食パンを移動中にこっそり食べてしまったり、出征してしまった男性たちのかわりにバスの車掌や駅員を勤める女子高生のお姉さんに憧れたり。
    海に累々と浮かぶ死体になった彼らを引き上げた大人たちがもらす「こんな小さな子達が兵隊だなんて」という嘆息。
    そんな小さな息子の入隊に、甘いかりんとうを手作りして持たせた母親の老いて慰霊碑の前に現れる姿を見る悲しみ。

    あのような戦争はもう2度とおこらないようにしなければと思いますが、今の日本を見ていると、戦火なきまでも同じ過ちを繰り返しつつあるようにも思います。
    かつては軍部が暴走した。今は民主主義政治が迷走した。
    今度もやはり、マスコミは無責任な報道をし、国民は流されてなお、自分の責任じゃないと言い訳するのでしょうか?

  • 私は栗林中将より、西中佐の生き様に関心を覚えます。
    なんで彼は死ぬとわかっていて義務を果たしに行ったのだろう。なんで周りの手を払ってまで、死地に赴いたのだろう。美学というとかっこすぎます。
    私は凡人なので、生にしがみつくと思う。
    バブルの時のトレンディドラマでありましたね。
    101回目のプロポーズでしたか。「ぼくは死にましぇーん。絶対死にましぇーん。」。
    生命はどっちかというとこっちを指向するとおもうんだが。

    2007/03/31

  • 重くて良かった。もし、自分に戦地に立つことができるのか、考えました。

  • ロス五輪馬術で金メダルを獲得したバロン西こと西中佐の最期を描いた表題作が印象的。
    そのほか戦争末期に若過ぎる命を散らすことになった少年たちの話など、ある種の色のついた思想を少しも主張されることなく淡々と描かれていて、当時実際に祖国に命を捧げるつもりであった少年兵としての著者の体験に裏打ちされたリアリティを感じる。

  • 「硫黄島に死す」では馬術オリンピックメダリストである、
    西中佐の豪胆かつ冷静なリーダーシップが描かれている。

    他、戦争時の短編が7編。
    とにかく、登場人物が若い。
    十代が中心だ。

  • オリンピックイヤーの「夏」と云えばこれ。
    2012年ロンドン五輪を目前に控え、再読了。

    「人馬一体」という言葉もあるように、人と馬の取り合せは美しい。
    小説にしろ何にしろ、馬に乗る人・人を乗せる馬の描写にはいつも心を動かされるのですが、『硫黄島に死す』では、物理的には遠く離れながらも深い部分で繋がっている西竹一とウラヌス号に震えがきました。

    太平洋戦争に関わる短編小説集ながら、思想的なことには全く触れられておらず、あの時代あの場所を生き、そして死んだ人々の姿が淡々と描かれています。それがリアル。
    終わった後でなら「ああだった、こうだった」言えるけど、真っ只中にある時はその日一日を行き抜くことで精一杯だっていう。

    死ぬまでにあと何回読み返すだろう、と思える1冊。

  • ちらほらと、著者の体験や考え方が分散されつつも、根本的なものは何一つ変わらない。

    時代の中で、みな、自分の立ち位置をきちんと理解し、その先を見通し、それぞれの場所で生きている。
    考え悩むだけに終わらず、「生きている」のだ。

    しかし、その生き方はがつがつとしたものではない、少年兵らは、まだ子供だというのに老成していて、「仕方ない」中で生きている。悲しいはずの死も仕方なく、ただの自然の中の流れ…ひどくさみしく、しかし最後の短編からは、この時代も今の時代も、どこか何かが欠けていて、それで完結しているような感じがした。

    あの時代に生きていた人の、あの時代の感覚にもっと触れたい。

  • 9784101133164 322p 2007・1・25 29刷

  • 戦争の悲しさがみごとに表現されている。西騎兵中佐の最後は凄惨そのものである。

  • 終戦直前~自衛隊初期の話をまとめた短編集。

    やはり一番読みたかったのは,硫黄島に死すだ。既に結論が見えている戦いに挑む日本人兵たち。負けると分かっていても,女々しい戦い方はしない。力の限り戦ってみるまでである。硫黄島は帝都守護の最後の防砦である。軍人として選ばれてその戦場に赴くことは名誉・光栄以外の何ものでもなかった。硫黄島への米軍の攻撃はすさまじく,島の最高地の摺鉢山は砲撃と爆撃で形が変わったと言われる。そこへ栗林中将を司令官とする日本軍が送られたわけだが,それ以上の増援部隊を送り込む余裕は日本にはもはやなく,唯一の応援といえば,毎夜1時間放送される「硫黄島将兵を激励する夕」で流れる軍歌,わらべ唄,家族の読む詩文であった。2月19日に米軍は硫黄島に上陸を開始し,3月17日には,日本国民の祈りもむなしく,2万人の日本人兵たちをが玉砕した。

    特攻隊の短編も掲載されている。若き特攻隊士を育てる士官の中には,戦争の先が見えるに従い,14~5歳でしかない隊員を戦場に送り込まなければならないことに,疑問を感じる士官もでてきた。日本はとても勝てない,それより,何とかお前たちは生き延びて,生き延びることで祖国の役に立つんだよと,どれほど彼らに話してみたかったか分からない。そんな特攻残りの彼らを待っていたのは,頭脳労働者が生き延びれる世界だった。生き延びた上に恵まれた生活をしては申し訳ない。出世とか金儲けとか微塵もない世界で果てるのが許された生き方だと感じていた。生き残りは長生きしては申し訳ないんだという思いで生きてきたという。

    その他,淡路島沖で敵機の攻撃に遭い,沈没した若き兵隊たちの話などが収録されている。

  • ロサンゼルス五輪・馬術の金メダリストにして、当時としては型破りな国際人でもあった「バロン西」こと西竹一中佐が、どのような経緯で、陸軍の軍人として硫黄島に送られ、そこでどのように戦い、どのように亡くなったかを描く「硫黄島に死す」ほか、戦時中の出来事を題材にした短編が収められている。戦争が日常であった時代を少年兵として体験した著者ならでは描写が生々しい。

  • 10/07/26 西中佐の意外な一面を知った。

  • 城山三郎の短編集を初めて読んだ。

    城山三郎の文章は常に簡潔である。それは砂漠に水を注ぐかのようなのに、気付けば洪水が起こっているような、そんな感じ。

    ここに載せられている全ての話が、そんな読後感をを味あわせてくれた。

    そんなに深く何かを投げかけるかのような感じでもないけど、心に何かを残してくれた7つの短い話に乾杯!

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