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この作品に関連する談話室の質問
この作品からのみんなの引用
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翻訳して検閲を受ける便宜上、広田は手紙を片仮名で書いたが、その最後を「シヅコドノ」と結び続けた。その「シヅコドノ」の文字が見られなくなったとき、つまり広田が死ぬとき、はじめて静子も本当に死ぬ。生きている自分は死の用意をし、一方、死んだ妻を生きているひととして扱う。幽明境を異にすることを、広田はそうした形で拒んだ。
― 371ページ -
広田は、断乎として死を選び死に急ぐ肉親たちに取り巻かれているのを感じた。そして、その落ちて行く日輪の中で、肝心の広田ひとりが取り残されている。広田は死と向かい合い、声をかけて呼び込みたい気さえするのであった。死刑をおそれぬどころか、むしろ望むところである―。
― 370ページ -
ナチスドイツの場合は、たしかに統一された国家意志と機構があり、共同謀議の形で戦争やユダヤ人殺害が進められた。だが、それに比べて、日本の場合は…。
― 356ページ
みんなの感想・レビュー・書評
東京裁判で文官としてただ一人死刑となった元首相広田弘毅の生涯。
淡々とした筆致の中に、作者の思いが凝縮されていると思える名作。
現状の問題や誤りを批判し、正論を主張することは比較的容易だ。
正義の実現が限りなくゼロに近い可能性でも、許された状況の中で最善を尽くすことの困難と尊さを思う。
この作品に描かれた広田の、信念や人生観に圧倒された。
また、昭和史に登場するさまざまな人物描写も興味深い。
軍部の暴走によって、広田の和平へ向けた外交努力はそのほとんどが無駄になった。そして日本は泥沼の戦争に突入し多くの人々を死に追いやり、ポツダム宣言を受諾し敗戦を迎える。広田はこの間、首相として外相として戦争遂行に大きな影響を及ぼしたとして、極東国際軍事裁判で死刑を宣告される。法廷では証言台に立つことをせず、一切の弁明をしなかった。自身の生き方・考え方を貫いたのだが、本当にその選択は正しかったのだろうか。いみじくもキーナン主席検事は「何というバカげた判決か」と嘆いたのである。 妻静子も自害しているのだから。
筆致は淡々としたものだが。
しかしこれだけ理不尽な死というものがあるだろうか。
まあ、広田本人は理不尽とも何とも思っていないのだろうが。
それにしてもごく一部の日本人のせいでこの戦争は引き起こされたような気がする。防いでも防いでも執拗に戦争を仕掛けていこうとする、この時代のやばい空気が伝わってくる。
外相・広田弘毅という大人物の生き方とともに、戦前の日本の動き・考えをよく理解できる一冊。自らの使命・役割を『国家』という大きな視野の中で捉え、生きていく様が描かれており、圧倒される。
読みながらこれほどもどかしさを覚えたのは初めてだ。軍部の暴走を止められない政府に対してもだが、「ここは計らっていいでしょ」という場面でも「自ら計らわぬ」信念を貫く広田弘毅に対しても。自分にはとても真似できない生き様だ。
あくまでも史実を一方向から見たものだから、これを読んで広田礼讃とはいかないが、激動の時代に最後まで良識を失わなかった人がいたことは信じたいと感じた。
文官でただ一人死刑になったA級戦犯が、どんなに清廉で自ら計らわぬ生き方を貫き、その結果処刑されたのかを生を受けた時点から書き起こした小説。 あまりの人間の大きさ・正しさに、全てをそのまま信じるには無理があるとも思うが、官僚としてまた政治家として、非常に有能で私心のないことは現在でも必要とされる資質であろう。 しかし、この本で最も印象に残るのは、日本という国の組織として意思決定できない未... 続きを読む »
初読は高校生の時、試験期間中に一気読みして(試験前になると部屋の掃除がしたくなる、アレね。)号泣し、次の日試験が終わってから日本史の先生に、いかに感動したかを滔々と語った思い出が。
今回改めて読んで、やっぱり泣く。
こんな人がいても、それでも戦争へと向かった日本。
「長州のつくった憲法が、日本を滅ぼすことになる。」と言った広田。
日本だけではなく、広田自身をも滅ぼすこととなった。
あくまで小説であるから、どこまでが史実であるか注意する必要はあるけれど。
確かにあったはずの、戦争回避への努力。
和平に対する強靭な意志、誠実で粘り強い交渉、それらを圧倒的な力で踏みにじる。
その強大な、残酷な力。
その力の源はどこにあったのか。
私は知らなければならない。
A級戦犯、ただ一人の文官廣田弘毅。
暴走していった陸軍にただ一人毅然と外交第一で
事を運ぼうとした姿勢に感服する。
折しも今の日本は突然降ってわいたようにTPPへの交渉参加を
表明したばかり。
今の日本が本気で海外と外交で渡り合えるだけの胆力が
あるのかどうか。本気で命がけで外交をするということが
どういうことなのか?どじょう総理には是非読んで欲しい一冊。
広田弘毅が実際何を考えていたか、
史実がどうなのかは置いておいて、
こうありたいと思う人物像を城山三郎が示してくれている。
最初にこの本に出会ったのは、中学3年生の時に、公民の宿題をやるために、父の本棚を物色していた時でした。
広田弘毅は、「自ら計らず」という信念を持って、東京裁判で戦犯として、処刑されましたが、私だったら、自分が死刑にされるかどうかのときに、貫くことができないだろうと、中学生ながらに強く感銘を受けたことを覚えています。
戦後,A級戦犯として死罪になった人たちの中で、 唯一の文官だった広田弘毅の人生について書かれた小説。 以前「指揮官たちの特攻」という城山三郎氏の本を読んだのですが、あまり氏の文体に慣れず、城山作品に苦手意識を持ってました。 今回も、最初はやはりあまり面白さを感じなかったのですが・・・ 終盤に近づくにつれて、急激に面白くなりました笑。 特に終戦~東京裁判のあたりが、ぐいぐい引き込ま... 続きを読む »
あくまで小説として、だが、面白い。
小説としてと前おいたのは、主人公である広田寄りの内容で有りすぎるからだ。
史実ではなく、歴史小説として楽しむのが正確だろう。
ただ、あえてもう一度言うが、面白い。
広田弘毅。
自ら計らぬ生き方が、この混乱期の中、暴走し続ける陸軍や同期外務省の吉田茂らと並ぶことで一層際立つ。
この本を通じて彼の努力を阻み続けてきた軍人と並んで絞首刑になるとは、これ以上の皮肉もないだろう。
「二つの祖国」をもう一度読み返してみよう。
その前に家にあるパール判事の本も読んでみよう。
その前に卒論やろう。
廣田弘毅については、A級戦犯に指定され、唯一文官として絞首刑となったのはもちろん、軍部大臣現役武官制の復活、日独防共協定の締結、国策基準の制定、割腹問答による内閣総辞職など、軍部に屈服した近衛首相と同系列の外相・総理といった印象を今まで持っていた。 しかし小説の中の廣田は、良き父親で、信念を持った実直な人物だった。そして何より政治生命に命をかけていた。国際協調に尽力し、軍部の独走を必死に... 続きを読む »
東京裁判で死刑になった唯一の文官、広田弘毅の生涯を描いた作品。 確か北岡伸一先生はこの本が広田を英雄化しすぎていると授業で言っていた。 そういうことも考えると、この本がすべて本当なのかはこの本1冊読んだだけではわからない。 ただ、小説として読んだ感想は言えます。 広田さんは素晴らしい人なんだな。派手さはなくても「自ら計らわぬ」生き方を貫く。 目立ちたがり屋の俺にはでき... 続きを読む »
極東軍事裁判で文官として唯一A級戦犯として処刑された元総理大臣、広田広毅が主人公の実録風小説です。
大体史実に沿っていますが、戦争反対の立場をとりながら処刑されてしまったというスタンスを作者が取っているため、多少美化されています。
しかし、それを抜きにしても、明らかにリンチ裁判として後世その過ちが戦勝国からも認められている軍事裁判で、何も批判せず主張せず処刑台の露と消えていった広田の生き方は確かに考えさせられるものがあります。
中国や韓国、朝日新聞や日教組の誤った刷り込みにより自虐史観に囚われている多くの日本人にぜひ一度読んでもらいたい1冊です。
平和に対する罪とはいったい何なのか、どうして負けた国だけがその代償を払わなくてはいけないのか、いまだに世界で戦争がなくならない時代だからこそ、こういった本を読んでそれを考えてみるべきではないかと個人的に思いました。

A級戦犯・・・。
日本人として生きてきて、歴史も一応軽くは勉強して、
生きてきたけど、日本陸軍の暴走、敗戦の昭和戦後史って、
何か耳にはするけど、心には入っていない―。
なんか...





