落日燃ゆ (新潮文庫)

  • 1952人登録
  • 4.05評価
    • (278)
    • (265)
    • (215)
    • (9)
    • (2)
  • 266レビュー
著者 : 城山三郎
  • 新潮社 (1986年11月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101133188

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島 由紀夫
東野 圭吾
三島 由紀夫
有効な右矢印 無効な右矢印

落日燃ゆ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 広田弘毅と吉田茂は同期なれど、人生は本当に対象的。

    広田は自ら計らず、誠実に生き、人望があった。
    しかし、母は断食死、次男と妻が自殺、自分は死刑という人生。

    吉田は政治好きでわがままに生きた。
    しかし、先日読んだ『父 吉田茂』の印象では、
    家族は裕福に楽しく暮らし、引退後もこりんに世話をしてもらいながらゆったりと過ごした。

    「自ら計らず」という生き方は、本当に尊いのだろうか。
    尊いとしても、それは正解なのだろうか。幸せなのだろうか。
    時には吉田のように、わがままに自己主張をし、
    使える手はすべて使って、自分の思うように生きても良かったのではないだろうか。

    そんなふうにも思う。
    人生とはなかなか奥が深い。

  • 昭和の戦史・政治を一人の外交官、外相、元総理の生涯を軸にまとめ上げたノンフィクション。東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯の中で唯一の文官・広田広毅。

    大正から昭和、そして、戦争へ至る過程、戦中、東京裁判。
    主に、広田氏という外交官の視点から、官僚の世界、政治の世界、軍部の暴走、当時の世論などが感じ取れました。
    広田氏の考え方や生き様は、現代に生きる私たちにとっても好感を持ち、尊敬できるものだと思います。

    広田氏は平和外交、国際協調を目指し尽力していたが、当時の日本にとって戦争は不可避なものだったとわかりました。
    そもそも、当時の憲法、政治や軍隊の組織の観点からも歯止めが掛けらるものではなかったし、明治維新後、日清・日露戦争と勝利したと思い込んでいる多くの人々は、戦争に浮かれたような風潮もあったように感じられる。いや、情報操作によって、そう仕向けられていたのかもしれない。

    戦争で多くの命を失い、国土を焼かれ、他国を侵略し、多くの代償を支払った末に敗戦した日本。終戦から68年。対中、対韓関係を始め、未だに戦争の後遺症は残っている。現在、憲法改正や、集団的自衛権などの議論が高まりつつあるが、自分を含め今の若者を中心にそうしたことへの関心が急速に薄れていることに危機感を感じる。

    本書の終盤で東京裁判の様子が描かれるが、筆者は少々広田氏に傾き過ぎているような気がする。
    筆者や、当時の人々からすれば、文官として戦争回避に努めた広田氏を、他のA級戦犯同様に絞首刑とすることは重すぎるという意見も多かったようであるが、私の感想としては、広田氏自身もそう感じていた通り、外務大臣、元総理として戦争を回避できなかった責任を取らねばならなかったと思う。

    いずれにしても、人それぞれ見方はあると思うが、20~30代にも是非読んで欲しい一冊です。

  • 「平和につくした外交官が、なぜ、A級戦犯となり、絞首刑となったのか?」

    本の帯に書かれていたフレーズが気になって読んでみました。

    元首相・外相 広田弘毅の生涯を事実に立脚してたんたんと描いた作品。帯とは、ちょっと違うかな?って気はしたけど、読んでみてよかったと思います。
    あの時代のことは、もちろんよく知らないです。当時を見る目は日本人である自分も偏見をもっているだろうと思います。
    あの時代にこういう平和への希望を捨てずに国の中枢で執念を持って動いていた人がいたのか、と衝撃的でした。

    「善き戦争はなく、悪しき平和というものもない。外交官として、政治家として、戦争そのものを防止すべきである。」

    外務相として後輩への指導も行った彼の言動には、学ぶものがありました。

    「きみ自身が最後の責任者として、外務大臣として考えなくてはだめだ。この大使はどういう訓令を出すべきかといった立場から考える。それを考えるためには、欧米局にきている電報だけ読んだのではだめだ。他の局へきている電報まで目を通すのだ。」
    (中略)
    広田は慎重であった。できるだけ多方面の情報を集め、各方面とのバランスを考えながら事を進めて行くやり方で、極端に他の方面を刺激したり、あるいは強い反対を引き起こすようなものは、実際には力になり得ないという考え方だった。」
    「人間短所を見たら、どんな人間だってだめだ。逆に、長所を見て使うようにすれば、使えない人間は居ないんだ。」

    その人はA級戦犯として、平和外交への動きを妨げてきた陸軍大将らとともに絞首刑で最後を迎える…。どんな気持ちだったのだろう。その最後の場面は、少ない彼の言葉と、環境から察するしかないが、そのところが非常に詳しく描かれています。「自分は生まれるのが50年早かった。」と話したことは、まさしくそうだったのではないかと思われてしまいます。

    広田の生涯の中で、非常に印象的なのは、自分の仕事を執念を持ってやり遂げようとするところ。そしてその行動と結果を持って自らを語る。その姿勢にまた非常に感銘を受けました。


    ある種、「樅の木は残った」の原田に通ずるような気がします。

  • A級戦犯として処刑された唯一の文官、広田弘毅の人生を通して、彼の生きた時代を描く傑作。
    彼の人生哲学として「自ら計らわぬ」という言葉が何度も出てくるが、それは必ずしも私の読後の印象とは異なる。彼個人の職位や生死に関する事柄については確かにその通りかもしれない。しかし、日本の将来に対しては、自分の正義を貫こうと必死で計らい続けた姿が、この本にはくっきりと描き出されている。

    職位や生死に関する「自ら計らわぬ」には、私は共感できないけれど、だからこそ尊いと感じる。そうやって、自分の計らわぬことと計らうことについての覚悟を決めて、手の届く範囲の目標を一つずつ達成していくような人こそ、ずっと遠くまで行けるんだろう。

    そんな広田でも、日本の歩みを、彼の正義のほうへ向けることはできなかった。彼はこれ以上何かできたのだろうか。「自ら計らう」タイプだったら結果は違っただろうか。
    できたと言えば、広田への敬意を欠くように思えるし、できなかったと言えば、過去から学ぶことの放棄とも思える。
    手の届く範囲から、一歩ずつ考えてみたい。遠くまで行けることを信じて。

  • 自ら計らわぬ、風の向くままにの広田弘毅の生涯を見る。
    第2次世界大戦がなぜ、どのように起こったのかをその渦中の人物を追うことで見えてきた。
    また、外交の大切さと軍の力、政治とはなにかも改めて知ることができる。

    詳しくはわからないけど、どの人も日本のために行動した結果であるのだと思う。その人のもつ情報量や先見性によっては満州国の必要性を求めることは正義となる。広田など賢い外交官は、全く違った平和を求めたことが正義。
    万人に共通の価値観などなく、他社と話をすることで理解していくものなのに、昔は今みたいに電話もネットもないから手紙で何か月後とかのやり取りになる。それでは価値観の共有もなにもなく、自身で考えた結果のみがすべてになるのだと。

    昔の人の外国語の勉強の仕方がとても面白かった。外国語を読んでは訳し、訳した語を翻訳したものと照らし合わせる。その逆もまた。

  • 東京裁判でA級戦犯として絞首刑となった元外相・総理の広田弘毅。彼の生涯を描いた伝記小説。


    こんなに哀しい人がいるだろうか。
    厳密な歴史書ではないし、城山三郎の目を通した広田弘毅像であることは分かっている。しかし読後の感想は、悲しい、哀しいの二言だった。
    戦争を止めようと努力した文官が、東京裁判でアメリカから軍との共同謀議の罪で訴追される。この皮肉。
    自ら計らわぬ性格の広田が、計らわぬから周囲から推されて国のトップになった。計らわぬ性格でも中国との戦争を止めようと外交努力で事態の収拾を計った。が、統帥権の独立と長州が作った憲法に阻まれる。名門出の重臣たちと好戦的な軍人たちに囲まれ、両論併記と非決定の空気の積み重ねが対米戦争を決定付けていくなかで、石屋の倅の広田は戦争を止めるため、戦線を拡大させないために、終戦にむけて軍部と闘う。
    戦後は計らわぬゆえに弁解せず戦争の責任を背負って東京裁判の結果を受け入れた。

    広田の生涯は自ら計ってうまく立ち回った外務省で同期の吉田茂と対照をなす。同時にその立ち振る舞いは戦争責任から逃れるために奔走する軍人や名門出の文官たちとも対照をなす。
    広田弘毅の生涯とその死は、確かにドラマチックである。だがその姿に感動し汚名をそそぐと誓うだけでいいのだろうか。
    広田弘毅の哀しみは、同時に近代日本の哀しみでもあるだろう。

  • 第二次世界大戦に至る激動の時代において、外相から首相まで務めた広田弘毅の生涯を描く。軍部に翻弄され続けた人生。そんな中でも「自ら計らわぬ」「物来順応」を貫く姿勢に胸を打たれる。日本の負の歴史とも呼ぶべき時代に対して、一欠片の希望を持てる一冊。

  • 東京裁判のA級戦犯、元首相、外相の広田弘毅氏の物語である。日本の変な教育制度のせいで、戦前、戦後の歴史をほとんど学んでおらず、広田弘毅といえば、なんとなく戦争時の偉い人で、戦争を推進し、敗戦とともに処刑された人、そういう認識でしかなかった。
    もちろんこの本は著者の主観もあり、事実の面ではすべて正しいということではないだろう。特に、この本では広田氏の考え方、心情といった内面にスポットを当てており、その部分はすべて鵜呑みにはできないと思う。
    しかし、そのあたりを割り引いても、広田氏の生きざまは、今の現代社会においても、外交官、もしくは部下やお客様を預かる組織のリーダーとは何かを教えてくれ、感銘を受ける。「先を見通し何をすべきか」「責任をとるということはどういうことか」。特に裁判から処刑に至るまでの彼の一貫した姿、家族とのやりとりには図らずも涙してしまった。
    自分もリーダーとしてこれだけの覚悟を持って仕事をしているか、部下を守れているか、そして責任を遂行しているか、改めて考えさせられた。責任を常に考えながらも「自らは図らない生き方」はかっこいいと感じた。

    また、もう1つ別の視点から考えると、軍部の独走を止められない政府、この根源は「統帥権の独立」というお題目であり、己の組織の利益のためにバラバラに動く組織であり、何より皆を従わせることができる判断を行うことのできる役職が誰もいなかったということだと思う。組織の理念、お題目、そして組織の在り方、このほころびは組織を潰すということを改めて感じた。

  • 城山三郎さんの作品はこれまで読んだことがなかったのだけど、出張先のホテルの近くにあったブックオフで目に留まって衝動買い。読んでよかった。

    実直な外交官から太平洋戦争直前に外務大臣、総理大臣になった広田弘毅。小手先で要領よく生きることをよしとせず、世界の大局を見ながらあくまで誠実に職務にあたり、戦争を回避しようとした姿勢にまず感銘。それでも、軍部や暴走や社会の空気が結局は戦争を引き起こしてしまう。戦後の極東裁判では、唯一の文官の処刑者になったが、結局戦争を起こしたことに責任はあるのだからと、裁判の際も一切の言い訳をせず、淡々と運命を受け入れた。

    正しいと思うことはきちんと表現しないと、結局何もなきことと同じであるのは、国際交流の基本であり、その意味では彼の裁判での姿勢には同感できない。また、リーダーとしての結果責任を問われるなら、戦争という結果に弁解はできまい(なぜ彼だけが、という疑問は残るが)。しかし、外交官時代からの、目先の出世や政治的駆け引きには目もくれず、世界の大局を見ながら冷静にそして実直に動いた姿勢は、現在の日本の政治家、官僚も学ぶ点が多いのではないか。

    目の前の事象を感情的に煽り、また煽られて、という現在の状況を広田弘毅がみたらどう思う?きっと戦前の状況に似てきた、と嘆くのではなかろうか?

  • 城山三郎の代表作の一つです。東京裁判で絞首刑となった7人のA級戦犯うち、唯一の文官であった広田弘毅の生き方を描いています。
    外交官、外相、首相と身分・立場は変わっても、国を思い、世界を感じて、戦争回避にまさしく命を賭した生き方。
    軍部の統帥権独立での行動により、結果的に戦争を避けることができなかったことに対し、一切の自己弁護をせず、軍人と共に処刑されることを受け入れる生き方。
    「自ら計らわぬ」というその生き方を淡々と描いています。

  • 東京裁判で絞首刑を受けたA級戦犯7人のうち唯一の文官である広田弘毅の生涯をつづった伝記小説。城山文学の名声を高めた作品だけあって綿密な調査と取材に裏打ちされたリアリティが放つ重厚感に圧倒される。満州事変、日中戦争へ時代がうごめく中、軍部の積極政策対外務省の協調政策のつばぜり合いが克明に記されている。時代や軍部に翻弄されながらも、”物来順応”の姿勢で常に国の事を考え、総理大臣と外務大臣の要職を務め外交による国家防衛を目指した。東京裁判の際、責任回避する軍人をしり目に決して言い訳をせずに厳粛に責任をとり自ら極刑を受けた広田弘毅。最後のモノノフだな~。

  • その当時のそれぞれの立場や思惑、思想や理想、そして現実。
    信念、希望、野心に彩られた国の中で起こるもう1つの戦争。
    あの戦争が起こってしまい、
    敗戦国となってしまった事実真実が垣間見えたように思えた。
    政治は今と未来に評価されるものなんだろうけど、
    どんな信念があっても結局結果が答えを導き出してしまい、
    個人の評価は後回しになってしまうのか。
    今現在の政治家達がどのような考えでどれくらいの想いや、
    信念を持っているのか分かりませんが、
    (分からないのも問題だけども)
    国内外のストレスが肥大している今、どういうふうな答えを
    用意するのか、この時代の政治家だったらどうするか、
    そんなことを考えてしまうな。

    それにしても自決された人は責任について考えたのだろうか?
    全責任を持って自決する、そこには日本の歴史があるのだろうけど
    あれだけの大きな事に対する個人は小さすぎないのかな、と。
    広田さんの言われただろう言葉、東京裁判に対する姿勢についても
    考えさせられました。
    東京裁判についてもっとしっかり知りたいもんだな。

  • 第二次世界大戦のA級戦犯でただ一人の文官、広田弘毅の生涯を描いた作品。
    「背広を着たやつ」「自ら計らわぬ」など、彼の生涯を表す言葉が心に染みいる。

    外交官を目指した経緯、目標となった先輩、外交官になってからの地道な努力がつぶさに描かれている。
    そして、外相、総理をすることになり、常に戦争防止に努めてきた。
    しかし、戦争は起こり、悪者が裁かれた。

    「こんなに大きな戦争があったのだから、軍人だけでなく文官にも(いわば)犯人がいるはずだ」
    広田は、警察に同行を求められたときから、処刑を覚悟していた。
    自身も、戦争を止められなかったことを自覚し、「無罪」となかなか言わなかった。
    しかし、たった一票で死刑が決まった時、検事ですらその判決に異を唱えたい気持であったという。
    他の人なら戦争を止められたのか?疑問は尽きない。

    統帥権の独立、という難しい問題をはらんだ戦争。
    私なんかが大きな口を叩けないけど、こういった人がいたことを知る必要があると思う。

    そして、いつも広田の心の支えとなった妻。
    裁判の途中で、自らが重荷とならないように、そっと自害した。
    その後も、広田は妻宛てで手紙を送り続けた。
    家族のきずな、とくに夫婦の強い関係が読み取れた。

    夢中になって読んだ。とてもいい本だと思う。

  • 広田弘毅が、尊敬する政治家になった瞬間でした。
    彼は文官で唯一処刑されてしまった人間で、それ故誤解をしていました。
    ただ彼は、自分の信念を貫い抜き通しただけなのです。

  • A級戦犯・・・。

    日本人として生きてきて、歴史も一応軽くは勉強して、
    生きてきたけど、日本陸軍の暴走、敗戦の昭和戦後史って、
    何か耳にはするけど、心には入っていない―。

    なんかそんなエアーポケットだった。

    どこか他人行儀の、歴史と一括りの遠い世界の話なんだと
    勘違いしていたけど、実はまだ65年くらいしか過ぎてない。

    「落日燃ゆ」

    東京裁判で絞首刑を宣告されたA級戦犯の中で唯一の文官であった元総理、外相 広田弘毅。

    「自ら計らわぬ」という生き方を信念に生きた人の生涯を通じて、
    激動の昭和、日本という国が暴走して行く様、
    戦争という悲劇の、主犯は誰か?勝者が敗者の中に原因を押し付けようとする東京裁判を描いていく。

    この作品を通じて、非常に日本人の同情を誘った広田。

    今ではまた違う視点での論述もあるみたいですが、日本人として昭和を眺めるひとつのきっかけになる本だと思います。

    司馬遼太郎が描かなかった昭和史。

    そろそろ踏み込んでいこうと思います。

    右むけば右むく、左むけば左むく、そんな主体性のない国民性で、
    いつかまた万歳万歳叫ばないといい、…そう思います。

  • 文官でただ一人死刑になったA級戦犯が、どんなに清廉で自ら計らわぬ生き方を貫き、その結果処刑されたのかを生を受けた時点から書き起こした小説。

    あまりの人間の大きさ・正しさに、全てをそのまま信じるには無理があるとも思うが、官僚としてまた政治家として、非常に有能で私心のないことは現在でも必要とされる資質であろう。

    しかし、この本で最も印象に残るのは、日本という国の組織として意思決定できない未熟さだ。国家の最重要案件にかかる事項についても、組織として判断するのではなく、強い主張をする個人の判断によって国策が決定されてしまう。かといって、その判断する者が英雄的に支持されて行うのではなく、責任も取らない。

    この国家としての致命的な欠陥は、憲法が変わった今でも全く変わっていない。だからこそ、英雄待望論が常に巷間にあるのであり、安易な人気取りによる政治が行われてしまう。そして、これを解決しようとする政治家もまた、ミイラ取りがミイラになるのである。

    常に、わずかばかりでもその解決策がないか、考え続けているが、この本を読んだ後でもやはりその想いは暗澹たる気持ちの中へ吸収されるばかりであった。

  • 東京裁判で死刑になった唯一の文官、広田弘毅の生涯を描いた作品。

    確か北岡伸一先生はこの本が広田を英雄化しすぎていると授業で言っていた。

    そういうことも考えると、この本がすべて本当なのかはこの本1冊読んだだけではわからない。

    ただ、小説として読んだ感想は言えます。

    広田さんは素晴らしい人なんだな。派手さはなくても「自ら計らわぬ」生き方を貫く。

    目立ちたがり屋の俺にはできないな。

    んで一歩引いた目から全体を見渡せる人。それでいてベストの選択肢、次善策を次々打っていける人。

    これだけのマインドとスキルを備えた人は稀有だ。周りの人と比較してもそれは明らか。

    自分は吉田茂みたいな生き方しちゃいそうだなぁー、うん。



    さてさて、あと1つこの本で見逃せないのは東京裁判ですねー。

    この裁判にはやっぱりすごく疑問がある。

    なんで核兵器を投下した国が平気で日本を裁けるの?っていう…。

    この本を読んでその手続きなんかにもかなり疑問を持った。

    なんつーか、そういう意味でまだ太平洋戦争は終わってないのかなぁ。

    日本とアメリカ…。このままでいいのかな。

    なんてつらつら考えました。

    とりあえず東京裁判の叙述はかなり読みやすくて情景が浮かびました!

    巣鴨に跡地とかあるのかなぁ…。

  • A級戦犯の中でただ一人の文官であり外交官・広田弘毅の生涯。
    史実とは(多分意図的に)違う部分もありますが、そこらへんは割り切って読むと面白いです。

  • 「自ら計らわず」を信条に、大戦前の激動で混沌とした政治の世界を生きた広田弘毅を主人公にその半生を描く。
    小説上、広田は外交官・政治家として軍部に対抗し、苦しみながら和平を模索するが、結局、戦争への道を閉ざすことができず、さらに皮肉なことに軍人以外の文官で唯一、A級戦犯として処刑されることになる。「自ら計らわず」の通り、積極的な自身の弁護もしないまま・・・。そのギャップが広田への大いなる同情をさそう。
    ただし、仮に積極的な作為がなかったにせよ、重大ポイントで広田は外務大臣や総理大臣としての判断をしめしてきた。政治家の判断の重さを感じざるを得ない出来事である。

  • やや広田を美化しすぎの感はあるが、時代に翻弄された外交官が巧みな筆致で描かれている。面白かった。城山三郎は本当に文章がうまい。

  •  外交官から総理大臣になった広田弘毅は元来平和主義者であり開戦に反対であったにもかかわらず、東京裁判ではA級戦犯となり処刑された。この話を知って非常に残念な気がした。いったい東京裁判とはどういう裁判であったのか、その真実を知りたくなった。

  • 実際に生きていた生身の人間の物語は興味深い。不幸な時は不幸な人間の話を読むと心が楽になる。日本人は桜のように潔く散る人間を好むが、私は昔からあの桜が気持ち悪い。美しいとは思うけれど。

    仕事とは何か?トップに立つ人間とはどうあるべきか?とても考えさせられる。吉田茂との対比も鮮やかだ。吉田は当然知っているが、広田の事は全く知らなかった。

    全ての人が全てに納得して生きている訳ではない。実現はしなくとも、広田にはやれるだけ手を尽くす能力があった事を羨ましくも思う。私にはやれるのだろうか?最期に全てを受け容れてしまえる程に生ききる事が出来るのだろうか?

    何もかもが不足している。
    この身体で、この能力で出来る限りをやってみよう。

    終戦記念日

  • A級戦犯として処刑された広田弘毅の生涯を描いた、読み応えのある作品だった。広田弘毅という人間がいて、平和のために力を尽くしたにもかかわらず戦犯として政治的に処刑されたということを全く知らなかったため勉強になった。同時に、東京裁判について改めて考えさせられた。
    確かに日本は侵略戦争を仕掛けたかもしれない。
    では、原爆を落として大量殺人した某国は一切裁かれないのか?なぜ広田が処刑されなくてはならなかったのか。
    ラスト、広田が処刑されるまでを描いたシーンでは思わず涙が込み上げてきた。人が人を死に追いやる戦争はなにがあっても止めなければならない。強く思った。

  • 東京裁判で文官としてただ一人処刑を宣告された広田弘毅元首相。国際協調外交の立場から軍部の独走を食い止めようと奔走したが、「自ら計らわず」 精神で、一切抗弁せず戦争の責任を引き取った。外交官の鑑。

  • 太平洋戦争で死刑を宣告されたA級戦犯のうち、ただ一人の文官(軍人ではない)、広田弘毅の物語。この本を読んで、日本はなぜ戦争をしてしまったんだろう、なぜ止められなかったんだろうと強く思った。そして国が国を裁く難しさ。アメリカ人には理解できないことがたくさんあっただろう。誰が加害者で誰が被害者なのだろう。

全266件中 1 - 25件を表示

落日燃ゆ (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

落日燃ゆ (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

落日燃ゆ (新潮文庫)の単行本

落日燃ゆ (新潮文庫)のKindle版

落日燃ゆ (新潮文庫)の単行本

ツイートする