秀吉と武吉―目を上げれば海 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101133225

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  • 戦国の海賊、村上武吉を主人公とした一代記。武吉が毛利とともに飛躍したのも束の間、豊臣秀吉が天下を獲るにおよび、徐々に落ちぶれていく様を描く。表題の設定から最初のころは武吉と秀吉のからみに意欲があったように見受けられるが、徐々に武吉の悲哀に重点を移しているように思う。

  • 村上武吉の生涯。前半は良かったけど、後半が出来事がないせいかやや惰性気味でした。

  • 著者の作品は『官僚たちの夏』以来2冊目。題名にある羽柴秀吉と村上海賊の総大将・武吉が直接会うのはかなり終盤だ。まず海賊の厳しい掟の場面。そして戦国~織豊~江戸という激動の時代を通して、武吉の波乱の人生が描かれる。現代人の目からは「負け組」に映るだろう。海賊の矜持から瀬戸内が権力者の「池」に成り果てるのを恐れはするが、だからと言って権力者に媚びず、義と誠の精神をもって毛利、小早川に与した武吉。結果論としてその選択は失敗だったが、日本人の好む生き方であった。

  • 村上水軍棟梁村上武吉。中央政府の影響が低い瀬戸内海で船舶の航行を助け収入を得ていた村上水軍。しかし信長、秀吉と国家的ビジョンを持った巨大権力の前に独自性を持った村上水軍は徐々に存在意義を無くして行く。

  •  『村上海賊の娘』を読んで、城山三郎にも村上海賊があるのかと読んでみた。
     『村上海賊の娘』が時代小説ならこれは歴史小説。村上一族が海賊という生業から追われて落ちぶれていく次第を淡々と書いている。
     『秀吉と武吉』という題は誤り。秀吉と武吉は対等ではなく、一方的に秀吉が押していて、しかも秀吉は武吉のことなどほとんど気に留めていないと思われる。
     勇ましい『村上海賊の娘』から、もう少し勇壮な場面を期待していたので、ちょっと残念だった。

  • 自分の人生をどの様に生きていくか、少し考えさせられました。

  • 個人的には「村上海賊の娘」が気になり続けていたが、敢えてこちらの作品を読んでみた。
    理由はまっすぐに村上武吉を深く知りたかったからで、こちらから読んで正解だったとは思う。
    まぁ海賊が市民権を得ていた中での周りの大名達との駆け引きや海賊としての生き様がリアルに描かれていて楽しめました。
    後半は凄く哀愁が漂うのもリアル。
    武吉目線での毛利の武将達や秀吉の印象もうかがえて良かった。

    個人的には途中レ点やなんやと昔勉強した内容が出てきたがまったく読めず、悔しい思いをした。
    勉強し直そうかなとも思うが、やらんやろうな俺は。

  • 村上水軍をひきいた村上武吉。見事なまでの頑固者であり、無骨に、まさに自分の信念を貫いたと言える。豊臣秀吉からは嫌われ、晩年は辛い生活を強いられたが、強きに従うでもなく、自らの信念に基づき、見事に生き抜いた。

  • きちんと歴史的な取材をした上で書かれた作品だとわかる。無理矢理にヒーローを作らず、悪役を作って盛り上げるでもなく、しかし最後まであきさせずにひとりの男の一生を描いている。
    村上武吉の境遇、生き方に共感できて、最後まで清々しかった。

  • 村上水軍の村上武吉は瀬戸内海の海賊の総元締めであり、秀吉が天下を取るまでの時期に毛利のために働く者であった。
    しかし、毛利だけでなく瀬戸内海の村上一族のために一生懸命毛利の兄弟たちのように村上の一族も協力し合わなくてはいけないと諭し続けた男でもある。

    秀吉が中国攻めをした頃には毛利について毛利のために忠義をつくし、村上の一族のためにどう働くべきかを常に考えながら家族を束ねていくことを常に考えた男であり、秀吉からは言うことを聞かない海賊として疎まれていたようである。

    大阪湾の兵糧兵站の作戦など以前に読んだ村上海賊の娘のストーリーと重なるところなどありあの物語も頭の中に浮かびながら読み進める事が出来た。

    秀吉が天下を取って毛利に加護されながら晩年は不遇の転居などさせられて最後には瀬戸内に帰ってくるが、意地を通した海賊の男の人生が最後まで興味深く奥行きのある一生であったと読んで損のない一冊だと思う。

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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