柳橋物語・むかしも今も (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134048

感想・レビュー・書評

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  • 【選書者コメント】歴史小説の名手の佳編。柳橋物語に描かれる人間の悲哀
    [請求記号]9100:2619

  • 柳橋物語読了。一見救いようのない物語だが、おせんが逆境の中でも強く懸命に生きる姿に感動した。そして、
    幸太という男性。どんなことがあっても最後までおせんを守り通した。真実の愛とはなにかひしひしと伝わってくる。悲しみの中にも大きな感動を感じさせる作品。

  • 中編2本、どちらも素晴らしい。
    そしてどちらにも共通するテーマは、天災と究極の愛。
    特に柳橋物語。まだ幼いおせんが結んだ結婚の約束。
    火事、水害、どんな災難もその約束を支えに乗り越えて来た、おせんがようやく再会した契りの相手の言葉。
    そして彼女が知った愛の苦しみと本当の意味。
    これこそまさに、究極の愛。
    二つ目の「むかしも今も」も心温まるお話で、どちらも読み終わった後目に涙を浮かべてしまった。
    心が浄化された。

  • 久しぶりの山本周五郎。
    中編2本という珍しい構成。

    前半は何ともやるせない。
    でも彼女が不幸かというと,意外と本人は幸せなのかもしれないなあと思ったり。

  • ひたすら不幸なおせんちゃんが主人公の柳橋物語。
    最後にキリっと強い女になって良かったヽ(;▽;)ノ

  • 「柳橋物語」
    女の人生、何があるかわかりません。
    でも、愛や情は必要であろうと強く感じさせられる本。
    それがあっても、楽ではないけれど…。

  • ベタな人情話だが、ヤられた。
    2篇とも、主人公のひた向きな生き方や、人々の情けに胸がしみる。
    たとえ貧しくとも、自分が今できることに惜しみなく力を注ぐ。その打算のない生き方は苦労もたえないが、誰をも責めることも恨むこともなく歩を重ねる。大仰ではなく、ただ当たり前のように人に気遣いを見せる姿は真情があふれ、味わい深い。
    雨後の青空に対面したようにホッとできる一冊。

  • 舞台は元禄時代、江戸の下町。
    上方へ旅立つ幼なじみの庄吉に想いを告げられた17歳のおせんは、胸を焦がしながら「待っているわ」と答えた。その後、江戸に残されたおせんを地震や火事、水害などが次々と襲い、おせんは頼るべき人々も失う。うち続く不幸の中で、彼女を奮い立たせたのは庄吉との約束だったが、一方でそれは呪縛ともなっておせんを苦しめていた。
    傍目からは「それは違うよおせんちゃん」と言いたくなることばかりなのだが、なにしろ一途でひたむきさが売りのおせんちゃんなので、おかげで随分と酷い目に遭ってしまうのである。そしてかわいそうな幸太と自分勝手で非情な庄吉…。
    「むかしも今も」は、愚直な職人直吉の、愚直な人生を描く。
    こちらも傍目からは「甘すぎるよ直吉~」と言いたくなることばかりなのだが、できた人間は最後には報われる、ということか。直吉の周りにもいい人ばかりで、人情たっぷりでございます。

  • 周五郎さんの文庫本はほぼ全て持っているつもりなのですが、調べてみるとやはり何冊か漏れてます。ついでに揃えようと買った本の中の一冊です。
    おそらく再読なのですが、周五郎さんにハマったのは結構若いころ。内容はすっかり忘れています。
    タイトル通り『柳橋物語』と『むかしも今も』の2つの中編からなる一冊です。どちらも二人の男性と一人の女性の恋を描いた町家物作品です。男性はどちらもキリッとした目端の効く男と、人は良いが少々愚図なその友人。山本さんですから、同然、後者と女性が中心になります。ただ、結末は大きく違います。
    それぞれ昭和21年と24年の発表作。周五郎さんで言えば、まだ円熟期前と言えるでしょう。充分に面白いのですが、ほんの少し何かが足りない気がします。
    とはいえ、久しぶりに周五郎の世界に浸って、何かホッとしています。

  • 最高です。

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著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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