五辧の椿 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134055

感想・レビュー・書評

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  • この作品では、いつものというか、自分の中のイメージとは違う山周。舞台設定はおなじみの江戸なのだが、お話がかなりぶっ飛んでいる。

    復讐劇なのですが、リァリティには少々欠けます。ということで、個人的には、山周の作品としては水準よりやや下の作品のような気がする。

  • 倫理観がありながら飽きさせない筋仕立て

  • 山本周五郎の長篇時代小説『五瓣の椿』を読みました。
    『寝ぼけ署長』に続き、山本周五郎の作品です。

    -----story-------------
    父思いの娘が復讐の殺人鬼と化す異色の周五郎時代長編。
    倒叙ミステリーとしても傑作。

    婿養子の父親は懸命に働き、店の身代を大きくした。
    淫蕩な母親は陰で不貞を繰り返した。
    労咳に侵された父親の最期の日々、娘の懸命の願いも聞かず母親は若い役者と遊び惚けた。
    父親が死んだ夜、母親は娘に出生の秘密を明かす。
    そして、娘は羅刹と化した……。
    倒叙型のミステリー仕立てで描く法と人倫の境界をとらえた傑作。
    -----------------------

    講談社の雑誌『講談倶楽部』に1959年(昭和34年)1月号から9月号に連載された作品… 時代小説ですが、内容はサスペンスでしたね。

    家のために働きづめ、その挙句倒れて死んでしまった大切な父… その時母は浮気相手と不義密通を働いていた、、、

    おしのが母をなじると、返ってきたのはおどろくべき言葉だった… 「おしのちゃん、あなたの本当の父親はほかにいるのよ。」

    母の不義を憎み、次々と母や、男たちに復讐を果たしながらも、不浄な血が流れている自身の存在に悩むおしの… 最後の復讐相手、自分の本当の父親と直面したおしのがとった驚くべき行動とは――。

    犯した罪をどうやって償うべきか… サスペンス仕立てで語られる、罪と罰の物語。

    父を失い、おしのは殺人に手を染めることに… 自分が不義の子と知り、淫蕩な母と相手の男たちを次々と殺害、、、

    息絶えた5人の男たちのそばには赤い椿の花びらが…… という連続殺人を描いた物語なんですが、殺人に至った辛く哀しい顛末やおしののひたむきさに気持ちがシンクロしてしまって、その罪を赦してやってほしい、捕まらないでほしいと願いながら読み進めました。

    法では罰せない罪に対し、自分ならどう向き合っていくか… 考えさせられましたね、、、

    そして、終盤の血を分けた父親との決着の付け方、その後の身の置き方に、おしのの潔さが感じれました… 憎んでいた母親の血が流れている自分、復讐とはいえ殺人を犯した自分を赦せなかったんでしょうね。

  • 国仲涼子主演の時代劇を見たのが最初だった気がする。
    会得した手管で男たちに復讐する娘の話。
    法では裁けないなら私が裁く、昔からよくあるテーマだけど、やっぱり裁いて復讐してあースッキリした!とはならないよね。
    自首するって言ったのに、耐えきれずというか間違っていたと悟り自害するあたりにモヤモヤ。まぁそのまま平然と日常生活に戻られてもモヤモヤなんだけど。

  • 時代小説と言うよりもサスペンス小説かな。
    主人公が悲しい。女だから母を恨み、女だから自分を許せなかったのか?
    読後の爽快感は全くなく、なんとなく苦いものを口の中に残した気持ち。
    それでも主人公に同情してしまう山本周五郎の凄さかな。

  • なぜだろう、山本周五郎2冊めですが(1冊めは樅の木は残った)、人気作家のはずなのにどうにも私と肌合いが悪い、端的に言えば全然面白くないー。
     たしかにドラマの原作にはぴったりかもしれないけど、同じ状況を4回コピペして描写した、手抜きとしか思えなかったし。

  • 法と善悪の判断の違いを感じる小説だった。善悪や価値観は時代によって変わるものもでもあると思うが、おしのの行動を後押ししながら読んでいた。
    途中はスリルのある展開もあり、価値観について色々考えさせられながらも、ストーリー展開に引き込まれた作品だった

  • これは正直、苦手でした。いきなり長編の「さぶ」とか「樅の木」ってのもハードル高いかな、と思ってこっちから入ったけど、逆効果だったかもしらん。もっと山周作品を!とあまり思わなんだ。五人への復讐がテーマだけど、そもそも復讐行為がやや見当違いに思えるし、それが殺人までいってしまうのも極端な気がするし。あと、五人が五人、結構似たような経過を辿るから、長い作品でもないのに、途中から飽きてくる。最後の決着もバチッと決まった!とは思えず、最後まで自分的には消化不良気味。悔しいです。



  • 方と人間の掟の問題、という根底を無視して読み進めるのならば、動機もやり方も個人的に今ひとつ。
    時代は江戸だけれど明治な雰囲気が漂っているのはなぜだろう。いい男が18歳の女に簪で一突きだなんてそんなぁ〜とか、まぁそんなことを置いておけばミステリー?いやぁ、ミステリーにもなってない気がしたけど…。

  • 復讐譚。
    分かりやすい話だったのだけれど、流れが単純なので少し飽きます。

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著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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