小説日本婦道記 (新潮文庫)

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著者 : 山本周五郎
  • 新潮社 (1958年10月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134086

小説日本婦道記 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 時代小説好きの友人がお勧めしてくれた作家、山本周五郎。司馬遼太郎、藤沢周平は好きだけれどどちらかといえば「坂の上の雲」のような近代を舞台にしたものが好みなのでなんとなく読む機会が無かった。けれど、これほど読んでよかったと思った本は最近ないかもしれない。短編集だが、どの作品にも自分を見失わず凛と生きる美しい女性が描かれている。「女性はこうあるべき」という押し付けがましい本なのかとタイトルから早合点していた自分がちょっと恥ずかしい。日本語を母国語としてこの小説を堪能できる幸せに感謝。

  • 武家の中で家や夫、子を守り支えることに生きた女性たちを描いた、11編からなる連作短篇集。作者はこの中で、長年連れ添った夫さえも気付かないところにあらわれる日本女性の美しさを描こうとしたという。
    外から見れば不遇で貧しい武家に嫁いだ女たちが、立派に家を守り立てる。一見家に帰属し縛られているようでありながら、彼女たちの強い意思の中には“自立”が感じられ、作者の女性に対する敬意に溢れている。中でも、妻だけではなく夫までもが清々しい生き方をしている「風鈴」がいい。

  • いくつ本を整理してもこれだけは絶対に捨てたくない小説の一つ。

  • 高校の先生に推薦されて高校時代に初めて読んでみた本なのですが、その時はさしたる感想もなかったのですが、大人になって読んでみて、すごく感動することに気がついた。感性が変わってきてるんですかね?

    現代では考えられないようなところもあるのですが、女性のひたむきさに感動します。

    個人的には特に「不断草」が好きです。

  •  先日、山本 周五郎 氏による「小説日本婦道記」を読み終えました。
     会社の同僚の方のお勧めでお借りして読んでみました。こういう形で手に取る本は、通常の私の視野の外になるものなので、楽しみも増しますね。
     1958年出版の本ですが、タイトルの「婦道」という言葉は新鮮です。
     実を言えば、山本周五郎氏の作品を読むのはこれが初めてでした。もちろん、有名な時代物の作家であることは知っていましたが、この作品は確かに面白いですね。
     今更ながらではありますが、いろいろな意味でとても新鮮なインパクトがありました。

  • 千石どりの武家としての体面を保つために自分は極端につましい生活を送っていたやす女。彼女の死によって初めて明らかになるその生活を描いた『松の花』をはじめ『梅咲きぬ』『尾花川』など11編を収める連作短編集。厳しい武家の定めの中で、夫のため、子のために生き抜いた日本の妻や母の、清々しいまでの強靱さと、凜然たる美しさ、哀しさがあふれる感動的な作品である。

    良作。
    松の花、墨丸、心に残る。

  • 武家の時代に生きた女性を描いた短編集。文庫本の裏表紙には連作集とあるが、すべて独立しており個々の話の繋がりはない。

    内容的にはいつもの周五郎節で、弱者にむけた温かい眼差しが心地良い。個人的には「墨丸」が一押しだが、11編全てに味わいがあるので老若男女関係なく楽しめるだろう。

    いつの時代も女性は強い。凛とした美しさ、とはこういうことを指すのだなあとしみじみ思った。

  • 烈女伝の短編集。一所懸命の見本集でもある。共感はできず。

  • 女の古き良きあるべきなお話。
    うーん。。。響かない。

  • 山本周五郎の書に「小説 日本婦道記」があります。
    その中に「風鈴」という作品があります。
    物語はこうです。

    主人公・弥生は夫、三右衛門と一人の男の子の三人で
    つつましやかに暮らしております。
    わずか十五石の下級武士である。
    一片の塩魚を買うにも、財布と相談しなければならない。

    そんなある日、良家に嫁いだ二人の妹が
    実家である姉・弥生の家を訪れる。
    相変わらず質素な生活を送っている姉に、
    「お姉さまこんなにして一生を終っていいのでしょうか、
    いつまでもはてしのない縫い張りお炊事や、煩わしい家事に追われとおして、
    これで生き甲斐があるのでしょうか」
    二人の妹は母が早死にしたため、彼女の手一つで、
    厳しい生活の中、彼女のやりくりよって育てられたのです。

    妹たちの言葉によって、彼女はあらためて、これまでの生活を振り返ります。
    「冷える朝の厨(くりや)で水を使いながら、
    またひょうひょうと風の渡る夜半、
    凍える指さきを暖め暖め縫い物をしながら、
    弥生は再び生き甲斐ということを思いはじめた。」
    彼女はもんもんとします。これまでの辛苦は何だったのだろうと。

    養子である夫はあまり口をきかないけど、温厚な人である。
    彼は農民とじかに接し、その年の年貢の割合を決める部署にいました。
    でも、役どころでいえばかなり低い立場にあった。
    従って、生活は相変わらず厳しい。
    こうした実情をみかねて、妹たちはそれぞれの夫をとおして、
    もっと役替えをすすめたが、彼はかたくなに固辞します。

    ある日、上役が彼の家を訪ねてくる。
    二人はよい碁仇がたきでした。
    やがて碁も終わりました。そして、案の定、役替えの話となった。
    彼女は耳をそばだてます。
    彼は言う、「役所の仕事というものは、
    どこに限らずたやすく練達できるものではありません。
    …だれか私に代わるべき人物がございましょうか」
    「いや、それはいない」と上司。
    「その人たち(義弟)には私が栄えない役を勤め、
    いつでも貧寒でいることが気のどくにみえるのです。
    …身ぎれいに気ままに暮らすことが、
    粗衣粗食で休むひまなく働くより意義があるように考えやすい。
    …(たとえ出世しても、さらに上をと)人間の欲望には限度がありません。
    …大切なのは身分の上下や貧富の差ではない。
    人間と生まれきて、生きたことが自分にとってむだではなかった。
    世の中のためにも少しは役だち、意義があった、
    そう自覚して死ぬことができるかどうかが問題だと思います。」

    彼女は夫の言葉によって、これまでの迷いが霧散しました。
    「縫い張りや炊事や、良人に仕え子を育てる煩瑣な家事を
    するかしないかが問題ではない、
    肝心なのはその事の一つ一つが役だつものであるかどうかだ。
    …少なくとも良人や子供にとってかけがいのない者ならなくては」

    周五郎は「男は外で仕事、女は家事」といった
    古い固定観念で書いているのではありません。
    それはこの小説全体を読んでいただければわかるのではないでしょうか。
    この「小説 日本婦道記」は女性讃歌だと思います。
    むしろ、私たち男性が読むべき本かもしれません。

    尚、この作品は直木賞に推されましたが、彼は固辞しました。
    直木賞の辞退者は後にも先にも彼だけです。
    そして、文学賞と名のつく賞はすべて固辞しています。

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