さぶ (新潮文庫)

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著者 : 山本周五郎
  • 新潮社 (1965年12月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134109

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さぶ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 新聞の記事で、誰だろ・・・?(作者わかったらメモします)薦めていて、読む

    タイトルを「さぶ」にするところが、著者の優しさなのだろう。

    不器用でも生きること、人間味あふれる人柄が、相手の心を揺さぶる。

    なんでも上手くたちまわることより、何倍も周囲をひきつけるとかんじた。

  • 職人としての技量、人柄、男っぷりなど、“もってる男”栄二と、それに比べたら“もってない”が愚直なまでの真摯さを示す、さぶ。
    彼らを取り巻く強いおのぶと、大ドンデンをしでかすミステリアスな女性、おすえ。
    寄場という絶妙な場面設定もあり、「人間とは何か?」を深く、楽しく、考えさせられる。

  • 大好きな本です
    終わり方がまたいい。
    最後、栄二のさぶに対する心情が描かれる事によって、さぶの眩しい程の純粋さがより一層引き立っている。おのぶの言葉は、作者がおのぶの口を借りて伝えたい事なのかな、って。そのくらいメッセージ性が強く、いつまでも心に残る。おすえは・・同じ女として学びたい部分もなきにしもあらず(苦笑)

  • 「さぶのような人になりたい」とは本を貸してくれた彼女の評。

    読んでみると、タイトルは「さぶ」なのに、主役の名は栄二。
    読み終わると、あくまで栄二のサポート役に徹するさぶこそが本作の隠れた
    主役であって、タイトルはさぶ個人というよりも、「さぶ」という言葉で形容
    される大勢の人々を指していることが分かる。

    さぶの献身はけして無償のものではなく、栄二との間に築かれた、認め
    認められ、頼り頼られという関係に由来するものだと思う。
    寄場でのエピソードも興味深く、皆が皆器用に生きていけるわけじゃない
    と教えられた気がする。

  • 栄二は細身の瘦せ型、男前で頭も切れるカリスマ性のある男。対してさぶはゆったりした体型で、善良さと臆病さが前面に出る男。そんな2人は何故か普通とは違う固い絆で結ばれている。

    タイプの異なる人間同士が惹かれ合うというのはよく聞いたり読んだりするが、現実にはなかなかないように思える。それはやはり、自分と似たような人間と共にいた方が楽であり、違いを認めて相手の長所と短所、自分の長所と短所を考え、相互に歩み寄ることの難しさを表しているようにも思える。

    一見ぐずでトンマでなかなか難しい仕事もさせてもらえないさぶは、仲間からは馬鹿にされる。しかし、栄二はそんなさぶの長所をしっかりと見抜いていた。「おめえはみんなからぐずと云われ、ぬけてるなどとも云われながら、辛抱強く、黙って、石についた苔みてえに、しっかりと自分の仕事にとりついてきた、おらあその姿を見るたびに、心の中で自分に云い聞かせたもんだ、_____これが本当の職人根性ってもんだ、ってな」

    人間の、本当の価値を見抜く力を栄二は持っていた。それが彼のカリスマたる所以だろう。しかし、彼1人だったらおそらくこのあとやってくる困難に立ち向かえただろうか。

    栄二はその後無実の罪で人足寄り合いに入ることになる。そのときの彼は怒りに燃え、ひたすら復讐のことのみを考えていた。しかし、寄り合いで出来た仲間との絆やさぶが足繁く通って来たこともあり、次第に心を開いていく。

    さぶという人間が現実にいるならば、歴史にも名を残さず、多くの人の賞賛も得ることなく、数多いその他の人々ととして生涯を終えるのであろう。現実でとても多くの人がそうであるように。

    ただ、どんなに馬鹿にされようと自分の出来ることを誠実に行い、友と誠実に向き合うその姿勢は一人の人間としての尊厳を保ち、まさしく彼自身が人生の主人公であることを証明しているのだ。

  • 人間の心の動き、人との関わり、無実の罪という試練から友情から成長してく過程は実に面白い

  •  パン切れひとつ盗んだ罪で何十年もの牢獄生活を送ったジャン・ヴァルジャンの姿と、金襴の切れを盗んだとあらぬ疑いをかけられ、半殺しの目に遭わされ、人足寄場に送り込まれた栄二が重なる。

      『レ・ミゼラブル』が長すぎて、現代の忙しい人が読むには要らないと思われる部分が多いのに比べて、『さぶ』はおいしいところだけ読むことができる分、こちらの方がいいかもしれない。

     さぶというのは、愛称だ。ほんとうの名前は、三郎という。しかし、それは後半でたった一度でてくるだけだ。あとは、全部、「さぶ」だ。どうして、三郎ではなく、「さぶ」なのか。それは栄二にとって、「さぶ」は三郎なんていう堅くるしい呼び方で呼ぶ人ではなく、もう「さぶ」でしかないからだと思う。
     さぶというのは、英語の sub という意味もあるのではないか。subというのは、①補欠②「補助的」、「次位の」などの意味をあらわす。つまり、mainに対するsubという意味だ。mainというのは、もちろん栄二だろう。
     さぶは日陰者だ。何をやってもトロくて皆から馬鹿にされている、さぶ。
     一方で、栄二は何をやっても上手で、かっこいい。女の子にもモテモテだ。けれども、栄二には さぶ が必要だ。彼は栄二の親友といっていい存在だし、栄二はさぶがいないと、やっていけない。小説は栄二の視点で描かれているが、タイトルが さぶ であるのは象徴的だ。

     ラストのどんでん返しが気にくわないという感想が、少々ある。

     つまり、金襴の切れをいれたのが、誰か、という犯人捜しの結末である。

     しかし、これは、栄二の愛を得たいと考えたおんなごころである、ということで、いいと思うのだが。私には、むしろ、そのあとの、すべてを知ったうえで抱き合うふたりの姿の方に感動を覚えた。

     この作品は、時代小説といえないのではないか、と思う。小難しくなく、すっと読める。江戸時代という設定を、全然感じさせない。下手な時代小説を読むと、セリフからして、小難しい言い回しを使っているものがありますが、これは全然、今の人の喋り方です。現実は、そうだったんじゃないかなあ、とも思います。読み書きだって、すんなりできない人もいたのに、そんなに小難しい喋り方はできないと思うし。

     素晴らしい作品。

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    にゃんくの本『果てしなく暗い闇と黄金にかがやく満月の物語』より
    (あらすじ)

     七歳になるリーベリの元に、或る日、継母のケイとその娘ミミがやって来ます。継母に虐められ、リーベリは学校にも通えず、幼い頃から働かされ、友達すらいなくなります。
     リーベリの心の拠り所は、亡くなったママ・ジュリアが遺してくれた魔法の教科書だけ。リーベリは毎日魔法の勉強をし、早く大人になり自由な生活を送れる日が来ることを夢見る毎日です。
     成長したリーベリの唯一の仲間はぬいぐるみやカラスだけです。
     或る日、そんなリーベリは、海岸にひとり男が倒れているのを見つけますが……。


    ↓ここから本を試し読みできます

    http://p.booklog.jp/users/nyanku

  • なるほど、これが山本周五郎なのかと思った。
    素晴らしい。
    物事を説明する際の、言葉の量が非常に適量

  • 表具屋で見習いとして働く、さぶと栄二。
    大所帯の農家の生まれでグズでのろま、見た目もよろしくないさぶと、
    天涯孤独の身で、目端がきき、仕事ができる男前な栄二。
    気性も何も対照的な二人の男の生き様と心のふれあいを描いた話。

    栄二はその才気が災いして、人に陥れられる。
    盗みの嫌疑をかけられ、その後ひと悶着があり、とうとう牢屋に入る事に。
    そして、さぶはそんな栄二の元を日をあけず訪れ、差し入れをしたり、何くれとなく心を砕く。

    この話、意外だったのはタイトルになっている、さぶが主人公でなく、栄二目線で描かれているということ。
    読んでいて、栄二は潔癖な男性だと思った。
    男の身でありながら、一時自棄になった時、素性の分からぬ幾人もの女と関係をもった事を悔いて、自分の身が汚れたと感じている。
    自分に潔癖だということは、人にもそれを知らずに要求するという事にもつながる。

    仕事ができるが、身寄りがなく後ろ盾のない栄二が罠にかけられる様を見て、世の中の心が弱く意地悪なヤツは自分より弱い立場の人間を見つけるのがホントに上手い、と思った。
    栄二はその事で人が信じられなくなり、一時は自棄になる。
    怒りと憎しみ、自分を陥れ、ひどい目に合わせた人間に対する復讐心で一杯になる。
    そんな栄二はひねた目で世間を見て、容易にさぶや他の人々にも心を許さない。

    一方、さぶも順風満帆な人生を送っている訳でなく、栄二に会いに行っている事が雇われている表具屋にバレて解雇されたり、病気になり実家に帰るもひどい扱いを受ける。
    でも、さぶは栄二と違い、自分をそういう目に合わせた人間を憎まない。
    そして、自分の誠意を受けとめない栄二に何年も足しげく会いに行く。

    そんな様子に心動かされない人間がいたらホントのバカだと思う。
    ましてや、栄二にはさぶだけでなく、彼のことを心配してくれる人が他にもいる。
    栄二もさぶの事を鬱陶しがってバカにしているように見えて、命の危険にさらされた時は、愛しい女の名でなく、さぶの名前を呼んでいる。
    世の中には栄二を陥れた人間のようなのもいれば、さぶのような人間もいる。
    人の心を閉ざすのも、人の心を開けるのも人の心なんだと思う。

    この本も、作者の言いたい事がはっきりと分かる本です。
    それは敢えてここには書きませんが、登場人物の言葉を借りて、何度もそのメッセージをこちらに訴えています。
    読んでいる内に、ひねて利口な気でいる栄二が自分と重なって見えてきて、そんな私の心にそのメッセージは強く響きました。
    とてもシンプルで強いメッセージを、説教臭くなく、そしてわざとらしくなく、自然なストーリーの流れでこちらに伝えてくる本です。

  • 同じ表具屋に奉公する栄二とさぶ。しかし、濡れ衣により栄二は人足寄場へ送られてしまいます。しげく足を運ぶさぶの姿と寄場の人々に人間のやさしさを教えられます。

  • 中盤からやっと面白く読めた。
    最後がなんだか唐突だった気もする。

    けど、今まで読書で考えさせられていたこととは、違った気づきをもらえました。
    人への、周囲への感謝を忘れないようにいきたいです。

  • 山本周五郎と出会った思い出の一冊。
    友を想う心は絶対通じていく。
    不器用やけどまっすぐなさぶの姿に教えてもらいました。

  • 今まで山本周五郎の作品は読んだことがなかったのですが、最近、山折哲雄の「こころの作法」という本を読んだ時、この小説がいち押しで紹介されていたので読んでみました。
    心根に響く小説である。若い時分に読んでおきたい内容でした。

    お話の設定は江戸時代でしょうか。
    表題となった“さぶ”と“栄二”というふたりの若い職人のこころの交流を軸に、人間の精神的な成長を追っていきます。
    表題の“さぶ”が中心ではなく、彼とは対照的な気の強い目立つ存在の栄二の心の動きを追っていくところがこの作品の“みそ”です。

    仕事ではぐずなさぶを励ましながら、自分の店を持つことを夢見ながら一生懸命働いてきた栄二にある日思いがけない人生の辛苦が襲いかかります。
    やけっぱちになり、どんどん堕ちていく彼に無償の友情で接するさぶ・・
    どんなに無視され邪険にされようとも常に栄二を気遣う心を見せます。
    栄二を取り巻く様々な人たち。善悪どちらにも染まるのが人間の性(さが)であること教えています。
    様々な場面を経て、彼の周りにはいつの間にか多くの人間の絆が出来ていきます。
    この小説で栄二が罪を着せられ一時期を過ごすことになる「人足寄せ場」は今でいうと、更生施設や刑務所のようなところでしょうか。牢屋で閉じ込めるなどの罪びとの扱いをせず、職のない浮浪者などを集めこれらに手職を与え、賃銀を貯えさせ機会があれば市中に出す・・ということですから、この時代の福祉政策が垣間見えて興味深い部分でした。
    感動的な場面は数多くありますが、私としては栄二を気遣ってくれる人足寄せ場のお役人“岡安喜兵衛”のことばが胸に沁みました。
    金木犀の花の香りのように、知らず知らずのうちに包まれる身近な人々の善意は大切なものです。

  • こんなに考えさせられる時代小説は初めて。人間は一人で生きているのではないことがわかる。またどんな人にも特別な過去があり、それを理解しないまま、また外見だけで人間の判断をしてはならないことがわかる。松田権蔵なんかは、心の優しいところを隠すためにわざと高圧的に振る舞っている。他人のふりみて我が身を反省する姿も共感。ラストは微妙。おすえにドン引き。。それを許せるほどの成長を見せたことを表現したかったのかもしれないが、女って怖すぎる。それにこれまでストイックな文章だったのに、栄二とおすえのキスシーンは不要では?あと、清七のその後など消化不良もありましたが、ラストのサブの登場の仕方は最高。

  • これはさぶと栄二の友情物語ではなく、自己啓発書として読むのが正解と思う。仕事でもなんでも、労せずして成果を上げることができる人間はそうでない者の気持ちはわからない。この小説ほどドラマチックでなくとも小さな逆境や不幸には日常的に遭遇するし、その経験からどれだけの気付きを得て、どれほど成長するかは結局のところ自分次第だな、と。物事が上手く運んでいる時こそ、読み返したい。

  • 栄二とさぶは、芳古堂といふ表具屋で修行中の親友同士であります。
    栄二は男前で賢く娘たちにちやほやされる奴。
    一方のさぶは、見るからに愚鈍でさえない男。
    対照的なふたりですが、強い絆で結ばれてゐるのです。

    ふたりが23歳になつた時、事件は起きます。
    芳古堂の得意先である「綿文」で、高価な古金襴の切れが紛失したのですが、それが栄二の道具袋から出てきたといふのです。
    もちろん栄二には覚えはなく、濡れぎぬであります。しかし、証拠が揃ひすぎてゐて、一方的に出入りを禁止されてしまひ、芳古堂の親方からは暇を出されるありさまです。
    綿文の親方に問ひたださうとしますが、逆にやくざものにたたき出されてしまふ。
    栄二くんの辛く長い試練が始まるのであります...

    といふふうに、タイトルは「さぶ」ですが、物語は栄二が中心になつてゐます。さぶは栄二の周辺でおろおろするばかりで、物語の主導権を握れません。しかし、これがさぶのさぶたる所以なのでせうね。

    栄二が試練から立ち直つてゆく行程はまことに感動的で、作者はこのために無実の罪を拵へたのだらう、濡れぎぬの真相は二の次で、すべては栄二くんのために作者が与へたものなのだらうと思ひながら読み進めていくと、何と最後で「犯人」が明らかになるではありませんか。
    しかし、私にはどうも納得のいかない幕切れだなあと思はれました。謎のままで終つた方が後味が良いと思ふのですが。
    それとも「世の中はそんなものだぜ」といふ作者のメッセージが込められてゐるのか...

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-72.html

  • 乙川優三郎の『喜知次』の解説で設定が似ていると書かれていたので、初めて読んだ山本周五郎作品です。
    物語は、同じ住み込みの職人である、男前で器用で賢い栄二と、丸っこくて愚鈍だが誠実な“さぶ”という二人が互いの心を分かち合いながら青年として成長していく姿が描かれている。
    喜知次では登場人物は男女で、恋心というものがどうしても出てくるが、こちらは男同士の友情に関する心の情景が描かれている。
    登場人物の関係が似ていても「男と女」、「男と男」という違いで互いの心の描きかたも変わり、両作品を読むことを個人的にはお勧めしたい。
    また、さぶでは、おのぶ・おすえという二人の女性の恋心が短い文章の中でも愛しく、また切なくも描かれていることで読んでいて感情で揺さぶられる。
    読んでいて気持ちの良い作品でした。

  • 名言
    ①どんなに賢い人でも自分の背中を見る事は出来ない。
    ②世間にたてられ、人に敬われていくものには陰にみな"さぶ"のような人間がついている。
    流石に周五郎の最高傑作と言われる作品。題名と中身があわないなと思い読み進めていくと最後に大きな理由が。あ~それにしてもただただ感動。栄二とさぶそして二人の女性。栄二が濡れ衣を着せられて人足寄場に送られて物語は静かに進行していく。プライドの高い栄二が見返りを求めない人情に少しずつ心が氷解していく様はかなり引き込まれていく。かおる風で季節を感じるなど美しい表現もこの本の魅力か。台風の風が心地よく感じるのは気のせいか!

  • 予定調和と言われようが最高の結末。
    きれいなおはなし。
    お話の最後くらい良い奴が幸せになってもよいじゃない。

    題名はさぶだけど主人公は栄二でいいと思う。基本栄二視点だし。

    作者は金襴騒ぎの黒幕は最初から決めていたのだろうか。
    最後の流れでついつい許しちゃいそうになるけど
    読み返してみるとエグイとか思っちゃいそう。

  • 山本周五郎の文章は自分に合うのか、すっと頭に入ってくる。最近の小説に比べると毒がない分、刺激が少なく感じるが、読んで清清しい気持ちになるので結構気に入っている。本作もこれまでの周五郎作品と同じく、「読んでよかった。。。」と思えた。

  • 主人公、町人さぶは不器用者でそんなさぶを支える、栄ちゃん。栄ちゃんは器用で、男前、リーダー的存在だが、事件に巻き込まれて人生の転換を余儀なくされる。荒れる栄ちゃんの転換後の人生の支えになるのが実は不器用者のさぶで、人は独りでは生きられない、周りに支えられて自分が存在しているということを描いている。2人の友情が温まる作品。

    成功しているときこそ、自惚れるなと戒めたい。

  • 若者の成長物語。苦難をあがき苦しみながら、献身的に支える友との真の友情。
    う~ん、と唸りたくなる読み応え。何回読んでも唸る。大切にしたい本。

  • さぶと栄二は、とある老舗の細工屋の職人をしている。
    ぐずでのろまと言われるさぶ、男前で頭の良い栄二。
    同い年であるが大きく違う二人は、将来は一緒に店を持とうと約束していた。
    しかしある時、馴染みの客先で、盗まれた金襴の切が栄二の道具入れから見つかったことで、その運命は大きく変わってしまった。

    高校の頃、推薦図書にあった作品で、ずっと読みたいと思っていたもの。

    まず、読みやすい。
    400ページ以上はある作品でしたが、2日程度で読めました。
    栄二の若さというか青さというかが気になって、続きが気になってしまったせいではありますが。
    さすが大衆小説と純文学を融合させたという山本周五郎です。

    この作品を読んだ個人的まとめは、『栄二のような、どこに行っても人の上に立つような人間はいるけれど、その功績はその下にいるさぶのような「のろま」と呼ばれる数十人がいるからだ』というもの。
    まあ、それはそうなんだろうだろうけど、自分はさぶ側の人間なので、なんかあんまりしっくり来ない。
    そりゃ栄二がそう思ってさぶに感謝してくれるのはありがたいけど、結局、さぶはそんなに幸せになってないんじゃないのか、と思ってしまう。
    これも自分の若さのせいなのかな。

  • 山本周五郎の本を手にしたのはこの本が初めてです。思えば10年以上前から母親に薦められていて、読もう読もうと思いながらも、という感じでした。今年誕生日に母から図書カードを貰った際にそれを思い出して購入。

    非常に面白かったです。
    今まで読まずに来たことを後悔。

    舞台は江戸の下町。名門の経師屋(屏風や襖の張替えをする職人)芳古堂に住み込みで働く職人の栄二が物語の主人公。栄二は男前で手先も器用であり、店でも順調に職人としても足場を固めていく。そして、栄二とは対照的に不器用で頭も回らずだがとても純粋で誠実なさぶ。二人は年が同じことからも心を通わす友人であり、物語は二人の成長と友情を中心に進んでいく。


    順調に仕事をこなすうち、親方や得意先からの信頼も厚くなり順風満帆かに見えた栄二の人生であったが、ある日無実の罪を被せられたことを契機に栄二の人生も、そして栄二自身も壊れていってしまう。


    重きが置かれているのは栄二が落ちぶれてしまってからの栄二の精神の葛藤とさぶを始め栄二の周囲の人間との心の触れ合い。


    社会で生きていくことの理不尽なまでの難しさ。
    自分というたった一人の人間の無力さ。
    自分というたった一人の人間は周囲の人間との関わり合い、助け合いなくしてはこれまでもこれからも生きていけないということ。
    考え、時が過ぎ、そして大人になるということ。


    テーマは重厚でありながらも、精神葛藤と会話のバランスが良く非常に読みやすくて、どんどんと引き込まれていく。


    非常に面白かったです。
    山本周五郎、大学生でいるうちにたくさん読んでおこうと思います。

  • 僕の聖書。いつでも、どこから読んでも、読み進める度に泣けてくるオールタイムベストノベル。

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