季節のない街 (新潮文庫)

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著者 : 山本周五郎
  • 新潮社 (1970年3月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134130

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季節のない街 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • とある貧しい街が舞台。山本氏はそこに暮らす人びとに寄り添い、愛情を持ってその姿を描いている。もし、私がこの街の住人のひとりだとしたら、他の住人のことをどのように思うだろうか。きっと井戸端会議の噂を信じ、偏見を持ったり、物事の外側にばかり目がいってしまったりするだろうと思う。山本氏は人びとの内側にある本当の気持ちと外側からそれをみる人びとの視線の両方を巧みに表現していると思う。誰からも気づいてもらえない本当の気持ちというものもある。辰弥が人知れずお金をためていた理由、平さんが昔受けた心の傷、かつ子が岡部少年を刺した本当の理由…。真実は容易く知ることはできない、いや、知ろうとしていない自分がいるのではないかと思う。それに気づかされたような気がした。
    あとがきにあるが、この物語は実際に山本氏が目で見て耳で聞いて集めた素材をもとに書かれた。だからこれほどまでに細かく多様な人間模様を描くことができたのだろう。それだけでなく、山本氏が人生でいろいろな苦労(水害や地震、戦争)を経験してきたからこそ、このような味わい深い作品ができたのだろう。
    貧困という背景があるため、どことなく悲しい印象が漂うが、ところどころ笑ってしまう場面もある。個人的に、ばんくん、光子、たんばさんがツボ。ちょっとおかしな人がたくさん出てくる。でもみんな一生懸命生きていて、愛らしい。また本を開いて会いに行きたくなる。

  • プールのある家とがんもどきが心に残った。
    子供のような大人と大人のような子供。
    イトーヨーカドーでごはんを食べながら読んだ。
    平日のお昼は小さい子供を連れた母親が多く、子供の声が響いている。
    子供のときは理不尽なことが多かったような気が、ふとした。
    だから子供に戻りたいかと思うと、戻りたくはないと思う。
    どうして叱られたのか分からないとき、
    どうしてそれをやらなければならないのか分からないとき。
    私は、子供だから、まあいいかと思うようなことはしないと、ふと思った。

  • 昭和30年代後半、東京近郊の貧民街(『街』)に暮らす人々の暮らしが短編の連作で描かれています。貧しさのあまりモラルの荒廃した『街』では、その分、人間のありのままの姿が現れます。もし自分が、この中に居たらどういう暮らしをしていただろうかと、考えずにはいられませんし、日常のちょっとした悩みが小さく思えてきます。大変な名作だと思いました。

  • 一つの貧民街の住人がそれぞれ出てくる短編集。決して羨ましくはないのだけれど、その人間性の高貴さにはっとしてしまうような人も中にはいて。

  • 年をとってくると、「山周」はぐっっと心にしみてきてクセになる。
    「親おもい」「僕のワイフ」普通に考えたら絶対非のない人もワリをくうし、それぞれの事情やら感情がある。人生そんなもんだよね。1+1=2ばかりではない。

  • 山本周五郎の、戦後の裏街を舞台にした短編。
    架空の列車がみえる少年、夫を入れ替える妻達、悪妻をもつ顔面神経症の男性、などなど多彩な顔ぶれ。
    それぞれの人生、それぞれの価値観が面白かった。

  • 黒沢映画の原作となった話も含まれている、どこかにある「街」の話。少しばかりでも人生の苦渋を舐めた人間ならば、この街の登場人物にどこかしらに人間の側面を重ね合わせずにはいられないのではないだろうか。この街の人は皆一様に下世話でこころ弱く堕落して哀れで儚い。しかしどこか哀調に彩られたなかに一片の鈍く淀んだ輝きのようなものも交じっている。中でも、プールのある家の調度品や内装を妄想する乞食親子の話がなんとも言えない。目を背けたくなるような美しさ。

  • 小銭を無造作に投げ入れているうちにいつの間にか一杯になってきた瓶、今やその存在すら忘れられ掛けている瓶が我が家にあるんだけど、この街の住人はその瓶の中の一円玉や十円玉に焦点を合わせたような物語だった。時代背景がよくわからないところもいい。これが江戸明治昭和、どの時代の出来事だと想像してもしっくりくるようなゆるさ。(でも決して平成ではない。)
    ラストの一文には痺れまくった。
    このところアタリ本が続いていて嬉しい。続けて「青べか」を読むとしよう。

  • 平成25年9月1日読了。

  • 貧民街に生きる人々を描いた短編集です。

    -そこではいつもぎりぎりの生活に追われているために、虚飾で人の眼をくらましたり自分を偽ったりする暇も金もなく、ありのままの自分をさらけだすしかない。-

    現実の世界に「普通の」人間なんていないように、この物語に出てくる人物一人一人もまた個性的。
    個性的なんだけど、読み進めていくうちに、出てくる人物一人一人に愛着を持たされてしまう。「自分をさらけだすしかない」この街の人々に憧れているのかもしれない。

    苦しみつつ、なおはたらけ、安住を求めるな、この世は巡礼である

    「よしよし、眠れるうちに眠っておけ」とそれは云っているようであった、「明日はまた踏んだり蹴ったりされ、くやし泣きをしなくちゃあならないんだからな」

  • 昭和の時代にはこんな街があちこちにあったような感じ。近所同士が裸の付き合いをする。スマートでないが、滑稽でもあるが、極めてまじめにがむしゃらに生きている。そして生き生きしている。「がんもどき」がよかった。12.12.1

  • 2012.6.8(土)¥105。

    紛失を補充購入。

  • 僕のワイフ:謎を残す終わり方、想像をかきたてられます
    親おもい:悲惨な感じがわざとらしい
    プールのある家:ある種のネグレクトか?
    ビスマルクいわく:とても面白いです
    がんもどき:悲惨な感じがわざとらしい
    ちょろ:大変面白いです
    肇くんと光子:サイコパスものか?木○佳○被告とか連想されます

  • 貧民街に住む個性的な人達の日常生活を描いた作品。

    貧しさゆえ常にありのままをさらけ出して生きる人達の姿は悪く言えば下品かもしれないですが、虚飾だらけの現代人には羨望を覚えるところもあります。

    人物は個性的で面白いのですが、可笑しさの中にもどこかに哀しみがあり、その妙な現実味がこの作品の不思議な魅力の一部になっていると感じました。

  • 20111120 そのまま読めば救いの無い話ばかり。現実は苦行の連続ということか。

  • とっつきにくかったけど、インパクトのある作品。
    短編集だけど、同じ舞台で起こっている話。
    戦後の貧民街の話で、くさいものに蓋をせず、ただ在るものを「在るもの」として書かれていた。
    「意見」を描くのではなく、「本質」が描かれていて、作者の考えよりも、読み手がどう考えるかを促す小説だと思う。

    一般に下に見られるような人たちでも、生きてるし生活してる、そんな当たり前に、インパクトがあった。

    良い話でも悪い話でもない。在るものの話。

  • 極貧の街で生きる人々のそれぞれの喜怒哀楽。色んな意味で生々しく力強く生きている姿に凄みがあります。「親おもい」「とうちゃん」の二つが好きです。

  • ショートストーリ。山本周五郎の歴史小説を期待したのでちょっと外れ。そのためまだ読みかけ。。。

  • 短編集はあまり好きじゃない。でも周五郎さんのは、時に強烈な言葉がある。貧民街はどういうわけか自然とできる。そこに住む人たちは、むき出しの人間を見せる。余裕のある人びとが見栄を張ったり、着飾ったりする虚飾とは無縁である。だからこそ人間本来の姿を如実に映す。ある意味虚飾あふれる人生と、感情むき出しの哀愁漂うどこか滑稽な人生 僕なら後者を選びたい。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4101134138
    ── 山本 周五郎・原作《季節のない街 19620401-1001 朝日新聞 19700318 新潮文庫》197002‥
    ── 黒澤 明・監督《どですかでん 19701031 東宝》
     

  • 今のところ最良と呼べる位置に付いた小説のうちのひとつ

    西原さんが薦めてたからすぐかりて読んでみたんだけど、本当に懐かしいといか自分の小さい頃を思い出した。

    ここまでじゃないけどこんな環境だったんだよなぁ。

  • ■2009年11月読了
    ■解説
    “風の吹溜まりに塵芥が集まるようにできた貧民街”で懸命に生きようとする庶民の人生。――そこではいつもぎりぎりの生活に追われているために、虚飾で人の眼をくらましたり自分を偽ったりする暇も金もなく、ありのままの自分をさらけだすしかない。そんな街の人びとにほんとうの人間らしさを感じた著者が、さまざまなエピソードの断面のなかに深い人生の実相を捉えた異色作。
    ■感想
    映画『どですかでん』は印象に残る黒澤作品だった。先に映画を見ていたために、原作を読むとその映像が邪魔をしてしまう。ただ、さすが黒澤明の審美眼だけあって、三波伸介や伴淳三郎の人選は、非常にしっくり来る。映画になっていない人物の描写もあり、楽しめた。映画で観るよりも、小説のほうが心の深いところに刺さる。なんだろうこれは?

  • NHKの「私の1冊 日本の100冊」で西原理恵子さんが紹介した本書に興味を持ち、手に取りました。

    巻末の開高健氏の解説で「・・・文章の背後のそれほど遠くない場所につつましくかくされたものを読み取る静かな眼、この世のにがさを多少なりとも訓練をうけたことのある人なら誰にでもわかる作品と思えます」の一文にギクリ、私は残念ながら、あまり作品の良さが分かりませんでした。

    ただ、途中で読むのを止めようかと思った矢先に「とうちゃん」、「がんもどき」を読んだ時はグッとくるものがありました。


    山本周五郎:初読
    読書期間:2009.4.1~4.15

  • 語りはあたかも「街」全体を見渡す
    傍観者の視点のように
    淡々と複数の話をまたいで進められる。

    その客観的な視点からでさえも
    「街」の人の生活があまりにも
    壮絶だと感じてしまう。

    死や飢え、貧窮、不倫や近所に広まる噂話…

    そういった世の中の生々しい部分を
    浮き彫りにしているようなこの作品。

    そこに登場する全ての人物は、
    なんやかんやで作者に
    嫌われてはいない(いなかった)気がする。

  • 人間が濃くて、リアルですごかった。さすが山周です。

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