正雪記 (新潮文庫 や 2-16)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (675ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134161

感想・レビュー・書評

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  • 由井正雪を題材にした歴史小説というか時代小説。山本周五郎は大好きだけど、由井正雪のような教科書に載っているような人物を題材にしてしまうと創作感が溢れ出しているのが感じられてしまうのが難。文体が歴史小説の佇まいを担保してるけど、一歩間違えたらラノベか二次創作。

  • 慶安事件、由井正雪の乱を取り上げた。増えていく浪人問題に対する徳川幕府の施策をでっち上げとし、その顛末を描いた。様々な人間像が絡み合い興味深い。13.8.31

  • 再読。

  • 江戸初期、浪人が幕府に弾圧されていた時代のお話。浪人が生死の選択を迫れられる場面多数。敢えて死を選ぼうとする浪人と、それを説得する側の生きることについての口上。様々な場面を通じて、いろんな理屈が述べられます。人の生き方そのものに焦点があたっていて、現代との時間の差が感じられませんでした。「死ぬことに虚栄を張るな、いさましくあろうとなかろうと、死そのものには・・・」のくだりがお気に入りです。

  • ーこれが人間と人間との問題なら、まだ許す余地もあろう。
    しかし「幕府権力」という抽象的なものを護るために、邪魔だからといって「人間」を平然と殺す、ということは、断じて許すことが出来ないと思った。

    329ページ

  • 全1巻。
    分厚い。
    由比正雪。

    いい。

    実態がつかめなくて、
    なんとなく怪しいイメージの由比正雪。
    この由比正雪は熱い。弱い。しみる。

    樅の木...もそうだったけど、
    実態がつかめない人物を逆手に取って、
    悪人にされてるのは時の為政者のせいだって構造。

    だから実際の行動になってからは逆に薄く、
    青年期とかの不明な時期が面白い。

    最後の山場はしみます。

  • 人物の描写、絡め方がうまい。だからこんな固っ苦しい文体の長編であろうともぐいぐい読めてしまう周五郎のすごいところ。
    こっそり正雪×忠也に萌えて本当にすみませんでしt

  • 由比正雪の乱(慶安の変)を題材にした娯楽活劇。駿河の紺屋の息子小太郎が大志を抱き江戸に出てくる。増長した自信を砕かれ旅に出た正雪は島原の乱で浪人たちの悲惨な状況を目の当たりにし一つの野望を抱き、隠された財宝の力で幕府に挑戦しようとする。前半、隠れた財宝とか妖婦小松とか隠れキリシタンの預言者かなえとか、どんどん期待は膨らむばかり。しかし、後半になると幕府の政策によって切り捨てられる浪人たちを何とか救おうとする正雪たちが中心でちょっと娯楽性は失速気味。それでもさすが山本周五郎。満足の行く一冊でした。

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著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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