ながい坂 (下巻) (新潮文庫)

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著者 : 山本周五郎
  • 新潮社 (1971年7月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (555ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134185

ながい坂 (下巻) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    異例の出世をした主水正に対する藩内の風当たりは強く、心血をそそいだ堰堤工事は中止されてしまうが、それが実は、藩主継承をめぐる争いに根ざしたものであることを知る。“人生"というながい坂を人間らしさを求めて、苦しみながらも一歩一歩踏みしめていく一人の男の孤独で厳しい半生を描いた本書は、山本周五郎の最後の長編小説であり、周五郎文学の到達点を示す作品である。

  • 読み終わってうん、そうだね「長い坂」だったね。と思う。
    主人公「三浦主水正(もんどのしょう)」が階級は低いが、志を胸に幼少の頃から学問に励み、周りからも認められ、藩の中で自分の役割を大きくして行く話。
    最初はシーンの切替が多く登場人物が覚えられないのと、淡々と下積み話で読みづらいが、藩の仕事に携わってからはぐいぐい話に引き込まれる。しかし、つらい時期の話も長く、志高く生きるのは強い我慢が必要だよなとか、私も今のプロジェクトがうまく行っていないので、耐え忍ぶ時を共感する。
    本著者は派手に良いという感じではなく、物語を積み上げ後半しみじみいいねと思わせる系話を書くのだねぇ。ラストも良かった。

  • どんな生き方が正しいか。客観的に見れば正解はなく、身分も貧富も性別も関係なく、全ては本人次第。ながい坂を、何を考え、どう登っていくのか。

  • (01)
    普通には時代小説として読まれるだろう。また、文庫版の奥野健男の解説にあるようにビルドゥングスとして、また現代的にはサクセスのコツを含むビジネス小説として読まれるのかもしれない。
    しかし、本書は文体論としても問題的なあり方をしており、驚きをもって読まれる。例えば、時系列あるいは空間系列に従うシークエンシャルな文脈の流れにあって、文脈から離れた回想や記憶の手がかりが、けっこう生々しい(*02)タイミングで突然に、普通のコンテクストからゆうとありえない角度からぶっこまれてる。こうした違和感のある文体、いってみればアバンギャルドな文体について、現代文学史の中では、川端康成の意想と比較しても面白いと思われる。

    (02)
    生々しさという形容から類推すれば、藩政時代の武家のエロスを会員制クラブあるいは秘密結社さながらの、魔窟な方面から描いてしまう件についても寡聞にしてちょっと知らない。戦国時代の女忍者や、中世の貴族、近世の町民や庶民(*03)といった典型ならあるあるなパターンであるが、そうではない時代と階級のエロスを描いている。主人公の夫婦関係や性愛のあり方についても異数(*04)といえるだろう。

    (03)
    匿名と顕名のありかたにも独特の徹底ぶりが発揮されている。つまり、名のない者が出てこないことの煩雑さのうちに物語が紡がれている。植物学の牧野富太郎が著者に範を垂れた雑木(*05)の有名性については有名なエピソードなのだろうか、本書での人名に対する偏執ぶりもかなり異様な部類に入るだろう。
    この煩雑な顕名性は著者のポリフォニカルな語り口との関連で読まれてよいだろう。数章の並びの中に挟まれる断章あるいは幕間劇についても、脚本の柱のように立てられたシーンの下に繰り広げられる対話という構成は、神話的な情景すら帯びさせるにいたっている。

    (04)
    地の文にも面白味があって、普通の文体であれば、主人公が、云々と思った、何々と考えた、という構文なるところを、本書の場合、鉤括弧を付けない地の文で、科白のように言いかけて、やっぱり止めた、みたいな寸止め口調として現れている。科白にもなっていない、地の文にした主人公の思いでもない、宙吊りともいえるような、言いかけでやっぱり思いとどまってしまうこの寸止めな言葉については、近代私小説を解く鍵のひとつとなるだろう。
    ちなみにこの寸止め感が主人公夫婦の寸止めな営みに通じることは言うまでもない。

    (05)
    植生を含む地勢という歴史地理の問題も含まれている。坂を呈示する標題からして地形地勢的であるが、橋、水路、山林、くぬぎの雑木を植栽した屋敷の趣味なども興味深い。エピローグとみなされる章で主人公はこれまで認識の外にあった緩い勾配に衝撃される。この一点をもってしても衝撃的な小説である。

  • 土木。

  • 良い

  • 江戸時代の小藩の下級武士に生まれた主人公が、子供の時に遭遇した事件に憤慨し、長くつらい道を生きる決断をして成長するが、その後苦労する場面が続く。下巻では、上巻で登場した人物が、歳を重ねて登場するが、いろいろな生き方や価値観があるものだと改めて思い知らされる。この小説はとにかく重い。

  • 後半、かなりスピード感が出て面白くなって来るが、主水正が聖人過ぎて、正直いって鼻につく。

  • 登るとそこに何があるのか

  • 上巻と同じ印象。つるまでが主水正に惹かれて態度が変わるなんて、現代では男のファンタジーという感想です。

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