ひとごろし (新潮文庫)

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著者 : 山本周五郎
  • 新潮社 (1972年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134208

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ひとごろし (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 映画も良かった。

  • 愚かでみっともなくて、したたかだけど憎めない。そんな人々をこの上ない優しさで描いた山本周五郎には、読む度ホッとさせられます。何年かけても読め尽くせそうにない程の作品数の多さも、安心感の所以です。

    「しゅるしゅる」が微笑ましい。二人の絶妙な掛け合いは、さすがに年季が入ってました。
    最も惹きつけられたのは「裏の木戸はあいている」の喜兵衛です。解説に実在の人物が作品のヒントだったとあって、感動も一入でした。

  • 弱い武士だからこそ、弱いなりの戦い方があることを示した一作。

    藩で冴えない武士であった主人公が仇を討つため、剣豪に自分なりの戦い方で挑んでいく。
    卑怯といえばそれまでだが、力だけではなく、知恵を使って目的を果たすのも一つの手だと思った。

  • 裁判ものチックな「改訂御定法」が秀逸である.なぜ一介の侍に180両も貸し付けるのか,主人公が明らかにしようとしているのは何なのか?
    表題作の「ひとごろし」は,いかにも山本周五郎的なこっけいもの.

  • 「ひとごろし」
    上意討ちという武家物にはよくあるテーマなんだけど、ひと味違う良い出来。

    「裏の木戸はあいている」
    テーマは”無償の奉仕” 周五郎がたまに、というか後期に良くテーマにあげてるものなのかな。この命題は現代社会とか、自分の日々の生活に置き換えて考える価値があると思う。

    その他は、「女はおなじ物語」「改訂御定法」が良かった。

  • 滑稽もの、人情もの、などの短編集。江戸時代が筆者の血肉になっているのをつくづく感じます。

  • 『地蔵』という短編はアニメ化したら面白いのではないだろうか。アニメっぽい印象を受けた。
    あとは、『裏の木戸は開いている』がよかった。

  • 普段、時代物は読まないし、山本周五郎さんの本を読んだのも初めて。
    どんなもんだろう~という感じでしたが、思わず読みやすく、ストーリーも分かりやすくて面白いと思いました。
    何と言っても文章がいい。
    時代物というと、作者が知識をこれでもか!と披露したような文章、無駄な描写が多い本もあるけど、これは無駄な事は書かず、と言って物足りなくもない。
    情景描写、自然描写も素晴らしく、絶妙な文章だと思いました。
    そして、最初の話からどんな話を書くのやら・・・と思っている人間をグッと引きつける。

    その「壷」という話は、
    とある出来事により剣の道を目指す事を決めた元農民とたまたま宿屋で彼を見かけた武士の話。
    元農民は武士の剣の腕を見込んで弟子入りを志願し、彼の屋敷で下男として働くも一向に武士は剣術を教えてくれない。
    半年も過ぎとうとう我慢のきかなくなった元農民に武士はこう言った。
    「杉木の影の映るところを掘ってみろ。そこに剣術の極意の書を入れた壷がある。掘り当てたらその秘巻はおまえのものだ」
    それから元農民はろくに食事もとらず、杉の影を掘り始めた。

    人はそれぞれ生まれた時から自分にふさわしい道があるのだ、そしてそれを外れると悲劇を生むのだという事を分かりやすく説いた作品。
    物静かで大人物な武士の姿がカッコ良く、思わず心の中で「しぶっ!」と思った。

    続く「暴風雨の中」はガラッと雰囲気が変わり、暴風雨で水に浸食されるという非常時での追う側、追われる側、そして男女の関係を描いた話。

    「雪と泥」は、
    純で世間知らずな、五千石旗本の一人息子が一人の女に恋をした。
    金に窮した彼が取った手段は-。
    という話で、吝嗇家の父親の持つ、印伝革の財布というのが象徴的だし、読み終えるとタイトルが何とも切なく感じられた。

    他、武家の男女の不思議で切ない恋愛を描いた「鵜」も良かったし、武家屋敷の裏木戸をくぐると、そこには本当に金に困った人間のために金を用立てる箱が置いてあるという「裏の木戸はあいている」も良かった。
    結婚して月日が経てば女などどれも同じになるのだから条件の良い縁談を選べ、と自分の経験から自説をもつ父親に説かれる「女は同じ物語」も好き。

    でもやはり一番良かったのはタイトルの「ひとごろし」
    主人公は、臆病者と言われる無役の武士、双子六兵衛。
    幼い頃から喧嘩をした事もなく、馬がこわいし、暗がりが恐いという六兵衛は藩主の小姓を斬り奔走した剣術と槍の名人である仁藤昂軒の討手に名乗りをあげる。
    剣の達人をまともに剣をふるえない男がどうやって追い詰めて仕留めるのか。
    人はそれぞれ自分の持分があり、それを生かす事により、到底かなわない者にも太刀打ちできるという事を分かりやすく、ユーモラスに描いた作品。
    胸がスッとするような話で、「めでたし。めでたし」で終わる昔話の感もあった。

    こういった話が収録された全10話の短編集。
    話に描かれる登場人物は武士だったり、町人だったり、ヤクザだったり、岡っ引きだったり様々で、ストーリーも盛り込まれたテーマも様々。
    でもどれも作者の意図している事やテーマがはっきりしていて、「これが言いたいがために書いたんだ」とシンプルに伝わりました。

    久しぶりに時代小説を読み、昔はドラマチックな時代だったんだ・・・と感じました。
    好きな者同士が好きにくっつくことも出来ないし、ちょっとした事が命の危険を生む、その反面、今の世の中ではあり得ないような人情が存在して、裏木戸を開けっぱなしにしてそこに金の入った箱を置くなんて事もあったりする。
    自然にドラマが生まれる時代を舞台に、そこに生きる人をキッチリと描ききった良い本だと思います。

  • 周五郎さんの新潮文庫のコンプリートを目指し、折に触れては買い足しています。この本を買ったので、残り一冊になりました。
    ここのところ買い足していた本は初期の作品が多く、久しぶりに読む周五郎さん晩年の短編集です。修身的な匂いはすっかり影を潜め、どこか沈んだ雰囲気の中でも、人間肯定の暖かさがあり、読み応えがあります。
    収録作品は「壺」「暴風雨の中」「雪と泥」「鵜」「女は同じ物語」「しゅるしゅる」「裏の木戸はあいている」「地蔵」「改訂御定法」「ひとごろし」。
    やはり印象に残るのは「裏の木戸はあいている」。徹底して人を信じるという事が見事に描かれます。「女は同じ物語」「しゅるしゅる」「ひとごろし」などのこっけい物も味があります。

  • やっぱり短編、時代劇だよね。

  • 昭和の初期の作品から30年代までの作品を集めた短編集 。筆者晩年の追求テーマは "無償の奉仕"。 短い物語の中に人々がもつ悲しさと意思のある行動をしっくりはめる。流石です。最初の作品壺は特にオススメ。生きる "極意"を学ぶ事ができます。

  • 最終再読日不明

  • 滑稽本、娯楽本。「裏の木戸はあいている」は、人としての作者のテーマを押し付けがましくなく描いており、読み終えて気持ち良かった。10.8.9

  • 「雪と泥」女性のしたたかさと男性の愚かさがキツイ感じで表現されてた。

    「鵜」半三郎はただこが死んだなんて思いもせずに、
    だまされたか幻だったと思われるんだろうと思った。

    「女は同じ物語」「しゅるしゅる」どちらも昔男勝りだった
    幼馴染が実は…って話。
    幼馴染という萌えワードは今も昔も変わりませんな。

    「裏の木戸はあいている」「改訂御定法」どちらも胸のすくような話。
    著者の作品の中で好きなタイプの話。

    「ひとごろし」相手を打ち負かすために強くなり続けることが
    全てではないことを具体例で示してくれてる作品。
    上手くまとまりすぎているけどそれがいい。

  • <span style="color:#000000"><span style="font-size:medium;"> 山本周五郎をこのブログ、メルマガで取り上げるのは何回目か。それほど好きな作家であり、私の人生に影響を与えたとまでは言わないが、なにかにつけ思い起こし、また、私の性格の一端になんらかの跡を残した作家であることは間違いない。

     図書館で調べもの。いつもそうなのだが、その調べものの合間にというか、逆にというか、全く違う本を眺めていたりする。また、時として、あの作家の本は、とある特定の作家の作品をそのまま続けて読み込んだり、借りてしまったりということも少なくはない。

     ふっと、山本周五郎のあの作品はなんという題名だっけ、と気になり探し始める。分かった。

     「ひとごろし」

    <img src="http://yamano4455.img.jugem.jp/20081020_525365.jpg" width="200" height="200" alt="ひとごろし" class="pict" />

     時代は江戸時代、田舎の福井藩(関係ないが、藤沢周平だったら、「海原藩」なんだろうなぁ)。主人公は、ある甲斐性なしの宮仕え者、六兵衛。藩内でその評判が立ち、妹のかねも嫁ぎ先が見つからない。

     そんなある日、ひょんなことから、六兵衛が大役を背負うことになる。藩で人殺しを起こしてしまった謀反人を討つ、いわゆる「上意討ち」の役回りだ。何のことはない、その相手は剣術の達人で強すぎて、誰も手を挙げる者がいなかっただけである。六兵衛にその損な役回りがめぐってきた。

     まともでは勝てない。相手は悠々と福井藩を出て行ってしまう。

     六兵衛、一計を案じる。まともでは勝てない。そこで、その相手の後をつけ、どこか店に入ると、近くで大声で叫ぶ。

     「そいつは、人殺しだ!気をつけろ!」

     そう言った瞬間、六兵衛は逃げ出す。周りの人間も、蜘蛛の子を蹴散らすようにいなくなってしまう。

     「卑怯者!武士なら勝負しろ!」

     姿も見えないような遠くで、六兵衛は叫ぶ。

     「私は武士だ。確かに臆病者だが、卑怯者ではない。私は私のやり方で勝負する。これが私のやり方だ」

     食事をしようにも、店に入ると、六兵衛はそう叫ぶ。そして、自分はすぐ逃げていく。お店の人も、お盆もお茶も投げ捨てで逃げ出す。宿を取ろうにも、同じこと。どうにも旅を続けることができない。

     「そんな汚い手でおれを困らせようというのか、女の腐ったような卑怯みれんな手を使って、きさまそれで恥ずかしくないのか」

     遠くで遠くで、六兵衛は叫ぶ。

     「ちっとも。(中略)私には武芸の才能はない、(中略)あなたの武芸の強さだけが、この世の中で幅をきかす、どこでも威張って通れると思ったら、それこそ、大間違いですよ」

     六兵衛、決して開き直っているわけではない。また、山本周五郎は、その時代の風習や因習を著すというような、風俗小説家ではない。一市井人の中に、つましく生きる人間の性(さが)を、読む人に共感を持ってもらえるように書き表す作家である。

     「侍には侍の道徳がある。きさまのような卑怯なやりかたに、加勢する者ばかりではないぞ」

      次の台詞だ。

     「ためしてみよう。(中略)侍だってそういう武芸の達人ばかりはいないでしょう。たいていは私のように臆病な、殺傷沙汰の嫌いな者が多いと思う」

     そうなんだよな。どんな仕事や立場だってそうだ。私だって・・。

     とまあ、この小説、そんなことを繰り返しながら、現代でいうところのラブロマンスも入ってくる。さらっとした濡れ場もちゃんとある。

     締め。

     「... 続きを読む

  • サラリーマン侍、ここに見参

  • "女は同じ物語"、"しゅるしゅる"、"改訂御定法"、"ひとごろし"が好き。"ひとごろし"は松田優作主演で映画化されているが、・・・ラストを変えるなよ〜。お話が台無し!

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