深川安楽亭 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134246

感想・レビュー・書評

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  • この中の「内蔵允留守(くらのすけるす)」は中学の教科書に載っていて、中学時代はどれだけ理解してたのかわからないけど泣きながら読んでた。
    今でもこの話を思い出すと泣いてしまう。
    道を極めるということと、極めた人に気づくのは尊いものだと思う。

    今は青空文庫ですぐ読めるのね。
    https://www.aozora.gr.jp/cards/001869/files/57608_74934.html

  • 表題作だけでも読んでみる価値ありまする。
    最近幾つか読んでみて(読まされて見て?)鑑みるに、この作家は後半の方が良い作品を生み出しているように思われます。円熟味とはまさにこのこと。

  • 小品集。いつもながらホロっとくる作品もあり、またタイトルとなっている深川安楽亭はなぜこんなヒリヒリとした緊張感を文字だけで表現できるのか。ますます山本周五郎が好きになった一冊。

  • 初期作品から、周五郎の最後の完成作品である「桝落し」まで満遍なく収集された短編集です。全体の出来は中の上くらいでしょうか。
    こうして初期から後期までの作品を並べられると、山本周五郎が成長しつづけた昨夏であると良く判ります。一つの作品を読むと、それが何時頃書かれたものなのか、想像がつくようになります。初期の作品群には、やや修身的な色合い、説教臭さのある作品が集められています。これらの作品は直線的で、底が浅い感じがします(後期に比べてですけど)。それに比べ後半の作品は、流石に重厚感があります。ただ暗い色調なのが残念なのですが。

  • 『あすなろう、だなんてね』

    僕は好きだった。意地悪じゃない時代小説は大好きだ。如法闇夜のとこの世は。

  • 山本周五郎氏のデビュー初期作から最終作まで多くの小説が採録されているこの作品。男が泣きたいときにこそ読まれる一冊である。
    人情とはどんなものなのか、なかなか日本の居酒屋で感じることが少なくなってしまったその感覚だが、この本を読みば、それを理解できない人にも追体験ができるはずだ。
    江戸時代、人間の移動は、現代よりもずっと乏しかったはずである。
    だからこそ、一人一人の人間同士が関わり合いを持つ時間も多かったはずだ。

    これからの日本は再び少しずつながら人間が減っていく。
    関わり合いを無視できた時代はどんどんと終焉しつつある。
    そんなときにこそ、山本周五郎作品の価値は再び輝くだろう。

    以下本文引用。

    『金がなんだ、百や二百の金がなんだ』『女房や子供が死んでしまって、百や二百の金がなんの役に立つ、金なんぞなんの役に立つかってんだ』『古くからあの島の噂は聞いていた、いっそ死んでくれよう、という気持ちがあそこへゆくきっかけだったかもしれない、そうではなくなって、あそこの罪人臭さにひかれたのかとも思う、この金のために、ーーーおれは妻子を殺したと同然だから』

    資本主義、グローバリズムが叫ばれる中、たまにはこんな意見に耳を傾けるのも、人間らしくてよいのではないか?

  • 短編集。救いがあるのかないのか。生きる内にある困りごと苦しいことは、今も昔も根っこは変わらず。不器用にもほどがあろうかと、ニヤニヤ読んでも己が事を写した様でそわそわもする。

  • 再読

  • 04.10.22

  • 文学然とした時代小説。時代小説といっても事実に忠実な司馬遼太郎のような作風ではなく、ある時代設定における架空人物のストーリーという点で、どちらかというと藤沢周平のそれに近い。人生訓になるような作品が多く、登場人物の名言名台詞が心に残ります。

    著者の作品は黒澤明の映画に使われることが多く、映画好きの方にはとっかかりやすいのかも。

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著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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