四日のあやめ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 140
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134284

感想・レビュー・書評

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  • 足かけ16年の発表年代順に並べた中編集。ふだん時代小説は読まないが楽しめた

    読みかけで20年くらい放りだしてあったのだが、冒頭の『ゆだん大敵』はよく覚えていた。日頃は昼行灯でいざとなるとすごい剣士だとか、おじさんのファンタジーだけれど

    気に入ったのは『貧窮問答』。主人公にはこれでいいのかと突っ込みたくなるが、それでもなお爽快である。あとは『燕』。よい技巧だと思う

  • 江戸時代の人々の生き様を書いたフィクション。
    この著者の作品は初めて読んだような気がするが面白い。武士であれ庶民であれ、悲哀の中でも真っ直ぐに生きていこうとする姿が印象的。第二次世界大戦の戦火をくぐり抜けた著者が戦後に書いた作品であることを解説で言及されているが、なるほど、その体験が作風に出ているのかもしれない。

  • 江戸時代を舞台とした時代小説の短編集である。最初の短編は「ゆだん大敵」である。ここでは武士道を究めるストイックさが描かれる。名人とは、仙人のような存在になる。右肩上がりに拡大する感覚とは正反対である。
    ストイックな美しさは料理にも表れている。粗末な食材を使うからこそ美味しい、それこそが食事であるという。「材料が粗末なだけ、それを大切に活かすつつましい心が籠っていて、どんな珍羞も及ばない豊かな深い味を創り出している」(22頁)。食材の価格と味が比例するというような浅ましい拝金主義を否定する。
    表題作の「四日のあやめ」は何が正しい選択なのか考えさせられる。六日のあやめは遅すぎて意味がないという、たとえである。四日のあやめは逆に早すぎるということになるだろう。最善手は私闘を防ぐことだろう。私闘に参加しなかったから良かった、良かったとは本来ならない。上位者ならば私闘が起きたことに対する管理責任が問われる。もっとも、それでは夫婦の物語にならない。
    「貧窮問答」は御家人の屋敷に奉公する臨時雇いの中間の話である。だまされる話かと思いきや意外な結末になった。よくある人情物のように見えながら、意外な結果になる。最後の「榎物語」は恋愛物である。愛の力を描く話を予想させたが、シビアな結末になった。

  • 昔人の日常や非日常。
    退屈と思えば退屈。だけど、今も昔も人情は変わらず。
    書かれたのが昭和20年代というのも感慨深い。

  • 武家もの中心の構成です。
    印象に残るのは”契りきぬ””四日のあやめ”あたりです。
    そして”燕”。僅かなページに様々な場面を埋め込み、発散した感もありますがそれでも読ませるのは、流石に周五郎円熟期の作品です。
    周五郎、連続5作。まだまだ続けられそうですが、このあたりで終わりにしましょう。

  • 続けて二冊読んだせいか、男目線の女になんとも。

  • 再読

    ・ゆだん大敵
    ・契りきぬ
    ・はたし状
    ・貧窮問答
    ・初夜
    ・四日のあやめ
    ・古今集之五
    ・燕
    ・榎物語

  • 良い短編ばかりだった。
    一気に読める。

  • 09.9.10

  • 貧窮問答、なんか腑に落ちない。2人の行く末が不安になる。
    四日のあやめいい話だった

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著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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