一人ならじ (新潮文庫)

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著者 : 山本周五郎
  • 新潮社 (1980年2月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134314

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一人ならじ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • テッパンでおもしろい山本周五郎大先生の短編集のうちの一冊.
    今回は「黙々と働く名の知れぬ市井の人が如何に偉いか」という話が多かった気がするが,充実しているのは戦後に書かれた後半の「柘榴」「青嵐」「おばな沢」「茶摘は八十八夜から始まる」の4編だ.

  • 今年は、山本周五郎の没後50年に当ります。
    この人の作品は映像化されたものが多いのですが、そのどれもがわたくしの好みではないのです。それで何となく原典からも遠ざかり勝ちになりますが、実際に作品を読むと素晴らしいのであります。映画やドラマになればなるだけ、却つて新たな読者が減るやうな気がするのはわたくしだけでせうか。

    有名な作品はたくさんあるけれど、ここでは何となく『一人ならじ』。いちにんならじと読みます。
    全14篇の短篇小説が収録されてをります。発表時期は昭和15~32年にわたりますが、そのほとんどは戦前・戦中に集中してゐます。
    その内容は、封建的な武士世界の厳しい社会を背景に、己の信念に生きる人たちを描いてゐます。中中良い。

    まづ「三十二刻」の宇女。嫁ぎ先の舅から冷たい仕打ちを受けながら、戦において非凡な対応を見せます。ちよつと出来過ぎ。
    「殉死」における八島主馬と福尾庄兵衛。殉死を禁じられた中、主君の死に際して二人は対照的な行動をとります。わたくしは八島の現実的な選択を支持したい。
    「夏草戦記」では、立番を離れたらいかなる理由でも死罪、との掟の中、三瀬新九郎は敵方に情報を流す裏切者を討つ為に持ち場を離れます。結果多くの味方の生命を救ふのですが(本来なら殊勲者)、それを語る事無く死罪を受け入れるのです。
    「薯粥」は我が隣市の岡崎が舞台。十時隼人なる剣豪が登場しますが、少し理想化し過ぎかも。
    「石ころ」の多田新蔵に、妻の松尾は結婚当初失望してゐました。しかし新蔵には隠された真の姿があつた。
    「兵法者」における水戸光圀は、後年自ら語るやうに残酷だと思ひますよ。
    「一人ならじ」の栃木大介は、犠牲的精神からいくさの最中に片足を失ひます。しかし周囲からは大して評価されませんでした。なぜか......? さすがに、表題にもなるくらゐの作品であります。派手ではないが読後にじわじわと味はひが広がります。
    「柘榴」における真沙は、新婚時代、その若さゆゑに夫の本質を見抜けなかつたと反省してゐますが、柘榴を新妻に例へる夫はやはり気持ち悪い。
    「青嵐」の登女は、夫に隠し子がゐると未知の女から告げられ、その疑惑を夫に問ふこともできずに、子供の世話をみます。いささか現実離れした対応ですが、その結果、最終的に夫婦の結束は強まることになりました。
    「茶摘は八十八夜から始まる」も岡崎もの。領主の不行状を改める為、水野平三郎は相伴役を申し出ます。実は水野自身も放蕩生活から逃れられず、自分を戒めるつもりで願ひ出たのでした。その結果、どうなつたのか......?
    「花の位置」のみ時代が違ひ、太平洋戦争末期の東京が舞台。発表されたのも正に昭和20年3月。この時代にも目が曇る事無く、かくも冷静に庶民の戦争に対する思ひを活写してゐます。

    本書は必ずしも作者の代表作とか有名な作品といふ訳ではありませんが、いづれも水準以上の出来栄と存じます。やはりヤマシュウ、只者ではないな。
    出来過ぎのストーリィに、人によつては修身の教科書みたいだと鼻白むかも知れませんけどね。ぢやあまた。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-692.html

  • 芯を持って生きようと思った。
    誰が何と言おうと。

  • この本が、山本周五郎さん作品との出会い。
    描かれている物語は、普段の私に教訓として教えてくれるような事ばかり。考え方に、かなりの影響を受けた本です。
    山本周五郎さんの作品で1番好きです☆彡
    もう、私の手元にある本は、表紙がボロッボロ(^^;)

  • 短編集。戦時中の作品が多く、戦時社会に迎合的な固さを感じる。その中で、「青嵐」「茶摘は八十八夜から始まる」が良かった。11.2.5

  • 青嵐・茶摘は八十八夜から始まる よかった

  • 一言で言えば、「日本婦道記」士道版。14の短編を収録(うち1編は戦時中を舞台とした現代もの)

  •  味わい深い短編の数々は読む人をして襟を正さずにはおかないものがある。「心の深さ」に只、圧倒され、打ちのめされ、身動きすることさえままならなかった。

     <a href="http://d.hatena.ne.jp/sessendo/19980424/p1" target="_blank">http://d.hatena.ne.jp/sessendo/19980424/p1</a>

  • 自分の信念を貫き、誰の目も気にせず黙々と生き、誇り高く死んでいく。そうした名も知られない武士を描く短編集。

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