カルトローレ (新潮文庫)

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著者 : 長野まゆみ
  • 新潮社 (2010年12月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101139524

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カルトローレ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • もっと壮大な話をイメージしてたんだけど、そうでもなかったというか、思ったより穏やかだった。でかい事件が起きてドーン!とか、果たして彼らはそれを見つけることができるのか!?みたいな目的地があるわけでもなく、「これオチはあるんだろうか…」と思いつつでも退屈するわけでもない。のんびり心地いいテンポで進んでくファンタジーって感じ。
    けっこう構えて読み始めたんだけど、構える必要全くなかった。永遠に読んでいたいタイプの小説。なので、どんな話か説明もできない。長野先生の小説って大体そうだと思ってるけど、雰囲気がいいんだよなあ~

  • 謎めいているものの、その答えは明確にされることなくこの物語は終わる。人々の記憶や時間が入り混じるが、それを”正す”ことを目的としていない。そのままの良さというものがある。この物語に漂う、ゆったりかつ淡々とした時間が好きだ。それまでにある、長い長い時間をかけた人々の記憶、歴史を思う。それは雄大である。

  • 起伏の少ないゆったりとした架空の世界の夢を見ているみたいだった。
    謎のようなものも真相のようなものも輪郭がはっきりしないので、あまり深く考えなくてもいいような気持ちになる。
    でも食べ物の描写は鮮やかで、食欲をそそられた。

  • 長野まゆみ読むのなんて何年ぶりだろう…。初期の「少年アリス」や「野ばら」は、発売されてすぐにハードカバーで装丁買いした世代です。その後も作品によってはハードカバーも買ったり、文庫もほぼ制覇してたんですが、ある時期から、読者に媚びているのかバカにしているのかそれともネタが尽きたのか、安易なライトBLまがいのキャラ設定ばかり目につくようになってしまって、足穂や賢治的な世界観もマンネリの感があり、旧仮名や当て漢字にも辟易してきたので、ふっつり読まなくなったんですよね。

    久しぶりに手にとってみたのは、新潮文庫からというのが珍しく、ちょっと今までと毛色が違うのかなと思って。結果、私が読まなくなった主な理由は大体払拭されていたので、初心に戻ってそれなりに楽しく読めました。なんとなく未解決の案件が多い(というか匂わせ系で明確な結論がない)ので、読後感はスッキリとはいかないんですが、続編があるなら読んでみたいと思いました。

  • 過去の作品にみられる沢山のモチーフ(超少年とか思い出しながら)も入り乱れた作品で、によによしながら読み進めました。
    どろどろねっとり溶ける暑さではなく、舞台となる土地のからっと乾いた暑さによって、台詞も説明も混ざりあう。物語の結末も、ぱきぱき明確に描写されるわけではないのも健在。だがそれが長野ワールド!
    きび色の砂地の中に映える青や白や紅やレモン色など、五感で訴えてくる安定のクオリティ。食事も美味しそう(笑)映像はまるで絵画のようで、美術館を見終わったあとのような、ぼんやりとした恍惚を味わいました。
    簡単にいえば、最近の作風の中では初期作品っぽくて好きだわー。

  • 久しぶりに読む長野まゆみ作品。
    宇宙の舟で生活をしていた主人公が地上の、砂漠で新たに生活を始める。

    昔のように登場人物に絡み取られて胸が痛くなるような、読み終わった後に喪失感を覚えるようなそんな読了感ではなかったけれど、相変わらずの描写の美しさと、世界の閉塞感が良かった。
    レースのような繊細な模様が今も目に浮かぶ。

    都心の小さな手芸屋で見つけた図案、図案の本がある地下の生活空間のあたりが一番好きだった。

    不確かなことが不確かなままあるという不思議な世界。
    やっぱりいいなー

  • しっかりと創られた世界なのに語り口が淡々としていて、入り込ませずかと言って突き離しもせず、輪郭をなぞらせるように物語の世界へ導いていく、といった印象。古い映画を観ているようだった。
    独特の単語には詳しい説明もなく、当然のものとしてそこにある。
    謎や秘密の答えはぼかされており、キーワードとしてクロシェや編み図が出てくるけれど、まさに複雑なクロシェの模様の一部を辿ったような、そんな不思議な読書体験だった。

  • 難解でなかなか読み進められなかったけれど、作中に散りばめられた要素のひとつひとつが魅力的で堪能しました。
    大空を航行する<船>で悠久の時間を過ごす人々、ページを糊付けされた航海日誌を解析することになった<船>から降りた青年、航海日誌から芽吹いたつる草、沙漠の民の暮らし、魅惑的な食べ物、織り込まれた刺繍模様、幾重にも折り重なる記憶、などなど。文章で紡がれる綾模様に酩酊されるようでいて、絵画的に思えるのが面白いです。美しい映像が頭の中に広がるのに、いざ映像化しようとすると何も思い浮かばないような読後感でした。

  • タフィの出自の謎や舟の謎というのは適度な感じで暈していて淡い輪郭が残るという印象が残った。
    個人的にはこの物語の中の沙漠の印象だったり、彼等の架空の食材と実際にある食材の混じった食事の風景などがすごく印象に残った。
    いろいろな謎は残るけれど、謎を解き明かす事が重要ではなくて、この生活を、今存在している自分の生活を楽しい、これからも続けたいと思っている気持ち自体が大切なんじゃないかと思わせる物語だった。

  • 裏表紙の紹介文、盛りすぎです(笑)  
    冒険小説か何かかと思ってしまった  

    物語は静かに始まり、淡々と進み、そっと・なんとなく終わる  
    登場人物たちの感情表現はとても穏やかに語られる  
    大きな・激しい起伏は無いが、個性はきらきら光っている  
    読んでいるこちらの気持ちも穏やかになった  

    解説にも書かれていたけど、歴史の真実を提示するお話ではない  
    主人公の過去を明らかにすることが目的でもない  
    誰か黒幕がいて、操っていることもない  
    砂漠の情景や刺繍の模様、日誌から生えた蔓草に思いを馳せながら静かに楽しむお話だと思った  
    ミステリばっか読んで殺伐とした心にとても優しい  

    西の谷の人々はシルクロードの遊牧民のようだなあ  

    不思議で美しい静かなお話  
    あいかわらず食物描写がとても美味しそう

  • 読みすすめていくうちに
    だんだん謎が明かされていくおはなしは
    わくわくする。

    でも、そうやって 手の内を明かすと見せかけて
    さらに重ねて、惑わせてくるようなおはなしは
    もっと、わくわくする。

    解説者のことばを借りるなら、

    「言外にほのめかすことはあっても、
    明言はされず、読者には想像をめぐらす余地が残される。」

    「はじめとおわり、端から端までが、
    ぴったりと閉じたかたちで提示されるのではなく、
    まだその先のどこかへつながる可能性をもってひらかれた箇所が、
    いくつも潜んでいるようでもある。」

    物語の世界やストーリーは全然ちがいますが、
    『テレヴィジョン・シティ』とすこし近いものを感じました。

    こういうおはなしは、
    残された空白が気になって気になって しかたなくて、
    読み終わったらすぐはじめに戻って、
    もう一度、読み返したくなります。

    読み返しながら、随所にある空白をひろって、
    あてはまるものや、何かそれに近いものがないか、
    ページを戻ったり進んだりして、探す。

    完全に埋めることはできなくても、
    ヒントはたくさんある。

    それをもとに いろいろ考えて
    自分なりに構築しなおしていくうちに
    ぼんやり全体像がみえてくる。

    すると、腑に落ちるというか、
    「あ、そういうことか」と思える部分がいくつもあって
    それが、本当に たまりません。笑

    解明されない謎をたくさん残しておきながら、
    こんなにもすっきりした読後感を味わえる本は、
    久々か、もしかしたら、はじめてかも。

    そして、読むとおなかがすく本。笑

  • 先が気になって一気に読んでしまった。
    面白かった!図案室に行くシーンやワタが水を使うシーンをぜひ映像で観てみたいo(^▽^)o

  • 砂漠。水を探るすべをもつワタたち。青い外衣。衣服によって性別や職種が定められている一族。おいしそうな飲み物。水色の、料理をするときにはナイフが必要なかたいたまご。意味を持つ様々の繊細な模様、刺しゅう。図案。などなど。
    なんて丁寧ですてきなお話なんでしょうか。

  • 主人公タフィの出自の秘密、がテーマみたいだが、彼の印象は正直薄め。でも、彼の視線を通し、エキゾチックで魅力的な世界観を純粋に楽しめた。

  • 全く世界観についていけなかった。文体も独特。

  • 就活中に、図書館で借りた単行本を読んでいたけれど、序盤で挫折した長編です。文庫の装丁が単行本とほぼ同じだったので、すぐに見つけてぐんぐん読めました。
    舞台はまったくの異世界で、しかし現実世界と文化の行き来を思わせる、知っているようで知らないところでした。砂漠の中で、少ない登場人物と一緒に、時はゆったり過ぎていきます。
    《船》から降りて適用化プログラムを受けている主人公タフィが、あやふやな記憶をぼんやりと蘇らせる時、さらに不思議な秘密が少しずつこぼれてきます。全貌は最後まで明らかになりませんが、物語の全体を楽しませます。
    不思議な少年ワタ、頼れる管理人のコリドーなど、魅力的な男性を描くのは長野まゆみの素敵なところ。
    さらに、今回は随所に出てくる食べ物がとても美味しそうなのと、編み物縫い物の模様が、手先をうずうずさせます。
    今まで河出書房で出ていた作品とは違い、しっかり安定感がある作品でした。こんな傑作もまだ出てくるのかという感嘆があります。

  • 本屋で何となく気になって手に取った本。個人的に大当たりでした。

    主人公のタフィは《船》から降りてきた移住者で、《船》の航海日誌を読みとくため、沙地にやってきた。沙地では同じく移住者のコリドーや現地にはるか昔から住み着いているワタと呼ばれる部族の少年と出会い……というお話。

    最初から最後まで淡々とお話は進み、なのに最初からあっという間に世界に引き込まれてしまう。
    作中に何度も出てくる複雑な編み目のクロシェのように細かく幾重にも編み重ねられたような、とても綺麗な丁寧なお話でした。読んでいる間、タフィの見ているものをこちらも見ているような、情景が目の前に浮かぶようなお話。
    また食べ物の描写がすごくて、おいしそうでおいしそうで。

    最後まで相当数の謎が解かれないまま残るんだけど、それが不思議と気にならない。まだまだ、タフィやコリドーや年少のワタやエルジンやハイムーン卿の話は、淡々と、ゆるゆると続いていくんだな、それをまだずっと見ていたいな、と思いました。

  • 毎日ちょっとずつ、時間をかけて読了。
    不思議な世界を覗かせてもらって得した気分。

  • すっきりしないのに許せる。
    美しい文章。美しい描写。
    完全に頭に浮かんでくる。人も食べ物も服も図面室も。

  • 歴史のひとかけら

  • 長野まゆみ、といえばお耽美系が出てくるわけですが、カルトローレは地に足がついた日常を見せてくれる。
    それなのにどこか非日常な世界観は、やはり長野さんのデビュー当時から存在する不思議な感覚にあふれている。
    自分の背景が分からなくても、日々は淡々と過ぎていく。ほっこりとした気持ちになりました。

    とりあえず、出てくる食べ物がおいしそうでおいしそうで・・・

  • 読み始めたときから、かつて大好きだった映画たちと一緒だ、って感覚を抱いてた

    そしてその感覚は読み終わるまでずっと続いた

    きび色の沙地、
    流砂に埋もれ時おり僅かに姿を垣間見せるかのような記憶=謎、
    その言葉を聴くことができる者だけに静かに語りかける紋様

    コトバ=織物=記号、耳=指先
    指は織物を紡ぎ、指は織物を聴き取る



    始まりは寺山修司の実験映画だった

    映画に明確なストーリーなど自分には必ずしも必要ではないことがわかった最初の体験

    海外旅行に全く興味がない俺にとって、映画は”此処ではない何処か”へ連れていってくれる装置だった



    謎を謎のまま愛でることができるのは、自分自身がその世界に存在していないが故なのかもしれない
    ”わからないこと”と自分が共にいることは、不安とそれは近い位置にあることを知り続けることでもあるのだし



    カルトローレが映画を思わせたのはきっと文章が描く映像が美しいからなんだろう

    個人的にはゆったりと流れる時間の心地良さも付け加えたいとこだけれど、これは人によって同意できたり出来なかったりしそう

    表紙も綺麗だし。少しだけジョゼフ・コーネルを連想したりもして。

  • 静謐な物語。
    航海日誌「カルトローレ」を解読するのが主人公タフィの仕事である。
    呪術、刺繍などのキーワードが絡みあい、浮かんでは消えるがごとく流れる印象を受ける。

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