雁の寺・越前竹人形 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101141039

感想・レビュー・書評

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  • もう何年も前に冬の京の旅で相国寺瑞春院を訪れたのだけど、その頃は水上勉の「み」の字も知らず「そういう小説があるのか~」程度にお寺の方の解説を聞いていた。今回たまたま知人が最近読んだということで貸してくれたので、ようやく読んでみた。
    なんというか、まず私の中で絵師や禅寺のお坊さんに対して持っていたイメージがガラガラと音を立てて崩れ去った。こんな坊主に法要してもらっても全くありがたくないんですけど!?と思うのだが。
    『雁の寺』は慈念の復讐に水上勉自身の復讐も重ねられているのかな。なんだか不気味で怖い作品だった。水上勉の目には人間がこう見えていたのか。直木賞を取った作品なのに登録者数が少ないので、今はもうあまり読む人がいないのかな。
    『越前竹人形』本物の竹人形を見てみたくなった。玉枝は妻にしたにもかかわらず自分を女として見てくれない喜助に不満だったけど、私には玉枝の気持ちよりも喜助の気持ちの方が理解できるんだなぁ。子どもにとって「母」ってやっぱり特別な存在だもの。玉枝は結果流産したことにホッとして喜助のもとに帰るけど、それってどうなの?玉枝は「嫁」にはなったけどやはり「母」にはなり切れなかったということ?喜助は真相を知らないままというのも、読み手側からするとなんだか愚かで…。でも好きな仕事をして理想の嫁さんをもらったのだから幸せ者と言えなくもない?

  • 男だからこそ書ける男

著者プロフィール

少年時代に禅寺の侍者を体験する。立命館大学文学部中退。戦後、宇野浩二に師事する。1959(昭和34)年『霧と影』を発表し本格的な作家活動に入る。1960年『海の牙』で探偵作家クラブ賞、1961年『雁の寺』で直木賞、1971年『宇野浩二伝』で菊池寛賞、1975年『一休』で谷崎賞、1977年『寺泊』で川端賞、1983年『良寛』で毎日芸術賞を受賞する。『金閣炎上』『ブンナよ、木からおりてこい』『土を喰う日々』など著書多数。2004(平成16)年9月永眠。

「2022年 『精進百撰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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