飢餓海峡 (新潮文庫 草 141-4)

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著者 : 水上勉
  • 新潮社 (1969年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (709ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101141046

飢餓海峡 (新潮文庫 草 141-4)の感想・レビュー・書評

  • 映画の印象が強くて、特に犬飼多吉役の三国連太郎、杉戸八重役の左幸子、弓坂吉太郎役の伴淳三郎の演技が素晴らしかったことが思い出されます。ですから、あえて原作は読んでいませんでした。いま改めて読んだ印象ですが、犬飼こと樽見京一郎は八重を本当に殺さなければならなかったのであろうかという疑問が湧くのです。彼の知恵と弁をもってすれば、どのような嘘もつけたと思われますし、八重も命の恩人にお礼が言いたくて現れたのですから、樽見が過去の犬飼の名は誰にも公言せぬよう説得すれば、八重は喜んで納得したであろうと思ったので。

  • 面白かった! とにかくひたすら長大でひらすら暗い話なのですが、読んでいてぐいぐいと引き込まれていく、迫力あるストーリーです。

    終戦直後の日本というのは、相次ぐ台風の被害にさらされてきました。まさに疾風怒濤の時代だったといえます。そして戦後の混乱期を必死に生きていく人間たちが、海峡のあちら側で犯罪を犯し、海峡を越えた場所で出会い、そして海峡での記憶はどこまでも追いかけてくる――。

    緻密で執拗なまでの歴史描写と、その中でこまやかに描かれる人間たちの姿。それを見つめる作者のまなざしはあくまでも優しく、それがそこはかとない安心感を読者にもたらしてくれるのが不思議です。

    終戦、嵐、沈没事故、大火、殺人、人の歴史とそして「飢餓」。それが海峡という独特の場所で始まり、そして最後には海峡に呑まれていく。犯罪小説でもない、ミステリでもない、人間の欲望と哀しみを愛を込めて描き切った「人間小説」としか言いようのないこの作品、読めてよかった。読了後に改めて『飢餓海峡』というこの小説のタイトルのことを思い、とてつもない感慨に打たれたものです。そしてもちろん、冒頭の一文「海峡は荒れていた」もたまらない響きでした。

    作者は数年前に没しておりますが、晩年になってもこの作品の推敲を続けていたそうです。僕が読んだのは昭和44年の文庫版なので、最新版でも改めて読もうと思います。

  • 東北、下北半島、青森などを舞台とした作品です。

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