飢餓海峡(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101141244

感想・レビュー・書評

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  • 日本の戦後、昭和二十年代を舞台にした傑作ミステリーの上巻。青森の下北半島で酌婦を生業としていた杉戸八重は客の犬飼多吉と出会い、犬飼から大金を渡される。大金を手にした八重は借金を完済し、上京するのだが…

    上巻では杉戸八重を中心に物語が展開し、犬飼多吉を始めとする男たちがミステリーを紡ぎ出していく。昭和二十年代の世相が非常にリアルであり、下北半島と東京という地方と東京を舞台にした八重の波瀾に満ちた人生と、そこに影を落とす犬飼の謎に包まれた人物像にページをめくる手が止まらない。

  • 一気読み必死です!
    社会派ミステリーの中で抜けてます

  • 重厚な社会的推理小説といった感じ。読み応えは十分、名作と思う。

  • 時代は戦後間もない昭和29年。舞台は「もはや戦後ではない」の言葉には程遠い、荒涼たる北海道・函館。実際に起こった青函連絡船 洞爺丸沈没の海難事故に想を得て描く、上下巻合わせて1000ページの壮大なミステリー。

    今や立志伝中の人物となった主人公の完全犯罪を老練な刑事が足を使った執念の捜査で切り崩していく。極貧と出自が犯罪に深く影を落とす下りは松本清張の砂の器同様の匂いがする。でも、まったく古さを感じさせないミステリー。昭和40年に内田吐夢が映画化。三國連太郎・左幸子・伴淳三郎らが出演で、当時の映画賞を総なめ。著者は三國連太郎を執筆時からイメージしながら書き進めたのではないかと思える程、当時48歳の三國連太
    郎のキャスティングはピッタリと、観てもないのに確信する。秋の夜長に不朽の骨太ミステリー。睡眠不足必至です。

  • 戦後の混乱期に起こる事件を追う。松本清張っぽいストーリー。下巻楽しみ。2016.3.10

  • 読んでて 三國と健さんが思い浮かぶ 映画も原作もすばらい
     うん重い

  • 913.6/ミ/1

  • 1954年9月26日に起きた洞爺丸沈没事故と同日の岩内の大火を結びつけた雄大な社会派推理小説。しかし、推理には重きを置かず、主人公とヒロインの人物描写に紙幅を割く。やがて浮かび上がる壮絶な過去。津軽海峡は、まさしく飢餓の海峡だった。

  • かなり昔の作品なので全体的に文章が硬い。文字が小さいので、目の疲れから何度も読むのを中断して目を休ませる程。地の文が長めの箇所がそこそこあるので、それが読みづらさを助長させている。
    実際に起きた洞爺丸の遭難と岩内大火を元に書かれているのでリアリティのある内容。上巻は通してスローなテンポだったので、下巻での展開に期待。

  • 映画が気に入った流れで原作も、ということで比較しながら楽しめた。台風が引き起こした大火と旅客船転覆を元に戦後の混乱と貧困を組み合わせてこれを創作したひらめきがすばらしい。更にこの小説からあの映画が作られたのもすごいと思うし、それぞれ違った良さがある。八重さんは原作の方が怜悧な人で映画のように極端に一途ではない。弓坂刑事の他に八重さんを探していた謎の人物は結局下間でも未回収?

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著者プロフィール

少年時代に禅寺の侍者を体験する。立命館大学文学部中退。戦後、宇野浩二に師事する。1959(昭和34)年『霧と影』を発表し本格的な作家活動に入る。1960年『海の牙』で探偵作家クラブ賞、1961年『雁の寺』で直木賞、1971年『宇野浩二伝』で菊池寛賞、1975年『一休』で谷崎賞、1977年『寺泊』で川端賞、1983年『良寛』で毎日芸術賞を受賞する。『金閣炎上』『ブンナよ、木からおりてこい』『土を喰う日々』など著書多数。2004(平成16)年9月永眠。

「2022年 『精進百撰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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