飢餓海峡 (下巻) (新潮文庫)

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著者 : 水上勉
  • 新潮社 (1990年4月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (419ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101141251

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飢餓海峡 (下巻) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 何故か急に興味を惹かれて読んでみた。

    実際の出来事をちょっとちょっと変えて
    こう言う作品に仕上げる、
    発想は面白いんじゃないかな?
    (なぜか超・上から目線)

    でも、この警察から追われる謎の人物、
    犬飼多吉と言う男の描かれ方が
    いま一つはっきりしないと言うか、
    途中で作者の情け心が出たのか
    良い人の様になったり、
    中途半端に思った。

    また、この事件の鍵を握る女、八重だけど、
    男性作家の作品(本や映画)で
    よく出てくるように思う『穢れなき娼婦』みたいな、
    こう言う人が現れると、
    俺なんかはどっと白けちゃうのよね。

    大体八重と犬飼多吉の繋がりも
    あんまり感情移入できないと言うか…。

    悪人を描くなら、
    悪人に見えて本当は…と言うのはよくあるけれど、

    2013年の年末に視聴して、いまだに引きずっている、
    『復讐するは我にあり』の主人公 榎津巌みたいに
    「あぁ~、嫌だ~、嫌だね…、本当に嫌だ…!」と
    思わせながらも、なんか引っかかると言う、
    悪くてどうしようもなくて救いようがないんだけど、
    でもなんか…、って言うの、が、良いな。

    でもこうして全然自分の趣味じゃない小説を読むのも
    たまには良いものだ。

  • 地元の大作家でありながら今だ読んでいなかった自分が恥ずかしい。
    戦後の混沌とした世界の中に実在したであろうと錯覚すら陥る登場人物の描き方。当時は貧しかった。貧しさが当たり前だった。こんなに引き込まれたのは久しぶりだ。
    さあ明日から水上作品を読まねば…

  • 弓坂元刑事と味村刑事の執念の捜索が続き、実を結ぶ。推理小説とは違った人間小説と著者は言うが、そのとおりだと思う。ユゴーの「レ・ミゼラブル」や清朝の「砂の器」と似た匂いを感じる。樽見の最期はあっけなく、ややさみしい感があった。2016.3.19

  • 昭和の傑作ミステリーが完結。昭和二十年代。当時としては珍しく、日本列島の北から南を舞台にし、二人の刑事が執念で、一人の男の犯罪を暴く。犬飼多吉こと樽見京一郎の犯罪がついに暴かれるが、背景にあったのは哀しい京一郎の半生だった。

    当時を思えば、これだけのスケールのミステリーを描いた努力は並々ならぬものだったに違いない。また、ミステリーの面白さと共に描かれる人間の宿命が物語に重厚感を与えている。

  • 飢餓海峡。標題がこんなに内容に合う著作は少ないのでは。餓えているのは行きつ戻りつの人間たちなのか、
    その業なのか。
    ネタバレを恐れ書けませんが、もう少し思いやる余裕があれば、八重も京一郎も違う人生があったはず。
    どちらの人生も泣けます。自分の良く知る地名が舞台で感無量です。

  • ”しかし、最近「飢餓海峡」を再読し、私は<環境という恐ろしい敵>について、あらためて深く考えさせえられた。”と、宮本輝さんの「本をつんだ小舟」というエッセイに書かれていたので、読んでみました。殺人犯を追い、執念の捜査を続ける刑事によって、謎が解けてゆくストーリーには引き込まれました。
    確かに、<環境という恐ろしい敵>を、感じる小説でした。

  • ミステリーとしてはあんまり評価できないが、そもそも本作は人間を描き出すことに主眼があるのだろうからその点は問題ないのかも。
    ただ京一郎の描写は正直あまり感心しない。
    八重とか刑事、時子らと比較し、何処か薄い感じがする。
    最終的にはこの人物の葛藤に収斂していく訳だから、ミステリーとしての弱さがこの人物、ひいては本作の重厚感に物足りなさを感じさせてしまっているのかもしれない。

  • 日本版レミゼラブル。戦後の貧しさを背景に、骨太な人間ドラマに刑事もんトッピング。

  • 人物や風景の描写、時代設定がとにかく丁寧。まるで実際に起こった事件のルポタージュを読んでいるよう。日本版レ・ミゼラブルと言われれば確かにその要素は強い。樽見京一郎の壮絶な人生を、刑事の視点から追った伝記のようなものにも感じる。
    十年以上、道内から関西までと時間的・空間的に広大ながらも、ひとつひとつの設定が細かく、決して持て余してはいない。戦後の騒乱の残り香を感じる大作。

  • 「飢餓海峡」のDVDを借りてみたのは、震災直後のことだった。「この主人公のように、震災前とは全く違う人間になって生きていく人もいるのかもしれない」そんなふうに考えたものである。
    出演:三國連太郎、 伴淳三郎、 高倉健、 左幸子

    そして改めて小説を読んでみる。
    その時代描写に馴染むのに少し手間どり、出だし読みにくかったが、八重が登場してからどんどん引き込まれていき、そのストーリの面白さと人間描写に圧倒される。

    最近、現代推理小説を読んで何故か物足りなさを感じたが、作者のあとがきにその答えがあった。
    作者は、「飢餓海峡」を書き終わってから推理小説への情熱を失った。
    「私はそういう小説の娯楽性を否定するものではなく~(中略)。けれども、それがいくらよくきまっても、よく仕上がっても、どこかからふいてくる空しさ、それががまんならなかった。たとえ、人によろこばれなくても、おもしろがられなくても、作者がこれだけは書いておきたかった、というような小説があってもいい。しずかに、人生を語る小説があってもいい」

    作者は登場人物に愛着をもち、その人生に興味を持っている。だから登場人物からは匂うような人間性がにじみ出ている。

  • またもや再読。はさまってるレシートの文字はすでに消えかかっているが、2004年の日付が。だからこれも何かのきっかけで映画を観たあとに読んだものだろう。であるじゃによって、読んでいても三国連太郎が浮かんでくる。

    推理小説だが文芸作品でもある、こういう骨太な小説って、少なくなったなぁ。
    戦後すぐが舞台で、警察捜査も現代のように科学捜査ではなく足での捜査というところにドラマ性が生じやすいのかも。

  • 誰かもレビューで書いてましたが、
    あの、八重を訪ねて来てた男は誰だったんでしょ?

  • 松本清張風の社会派ミステリー。社会背景が興味深く物語に力があるが、前巻のネタバレが興趣を削いだ。殺されるヒロインがあまりにも不憫。

  • 東北、下北半島、青森などを舞台とした作品です。

  • こういう重厚な、刑事物というのは大好き。
    特に水上文学の中にあって唯一の推理小説であるということも泣かせる。

    名匠内田吐夢によって映像化されたさいは、三國連太郎が極悪非道の殺人者であり、本編の主人公である樽見京一郎を熱演した。

    この原作を読むと、あの映画は、たんなるダイジェスト版であったことを思い知らされる。

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