夜明けの新聞の匂い (新潮文庫 そ 1-30)

著者 : 曾野綾子

• 新潮社 (1993年9月1日発売)

感想・レビュー・書評

[chank1129さんの感想 · 2015年7月4日]

　政治・宗教・時事・死などが論理的に書き表されていて、とても分かりやすい説明でした。ときおり著者の日常も描かれていて、その部分がまたおもしろかったです。
　日常的には使わないような言葉も文章中に登場するので、私は辞書を引きながらでないと正しく解釈できませんでした。ただの勉強不足ですね。それでも著者の考えは興味深いものが多く、他の作品も読んでみたくなります。
　この作品が刊行されたのは平成２年６月とのことでしたが、人間の本質は現代でも変わっていないのではないでしょうか。生活環境や流行りのものは変化しますが、それは表面的な違いであり、その中にいる人々は同じ言動を繰り返しているだけなのかもしれません。
　当時の時事を絡めて書かれているので情報の古さは感じるのかもしれませんが、今から20年後でも、この作品には読む価値があると思います。

[book-offさんの感想 · 2007年10月23日]

新潮社、「新潮45」に掲載、1990年6月25日発行、定価1000円(本体971円)

○「新潮45」1988年3月号から1990年2月号

[Kajiさんの感想 · 2007年3月10日]

最後の章である”私の「死の準備」”は、カトリックの信仰を持つ著者と、おそらく無宗教でありカトリック教徒では絶対にあり得ない我が母との考え方が似通っており、興味深く読んだ。曽野さんはカトリックという強い信仰を内にもっているが、そういったものを持たずに同じ考えに辿り着いている我が母を誇りに思った。

著者プロフィール

1931年東京生まれ。聖心女子大学卒。93年恩賜賞・日本芸術院賞受賞。2003年文化功労者に。2012年菊池寛賞受賞。著書に『人生の収穫』『「群れない」生き方』『人間の道理』『老いの道楽』等多数。

「2022年 『未完の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」