百物語 (新潮文庫)

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著者 : 杉浦日向子
  • 新潮社 (1995年11月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (666ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101149134

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百物語 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 子供の頃、怖い怖いと言いながら目を輝かせて聞いた怪談のような、どこか懐かしい99の物語。恐怖というより、むしろ風情を感じる話が多い。化物にも「もののあわれ」を感じてしまうのは、日本人独自の感覚なのだろうか。

  • 恐ろしくもあり怪異でもあるが、飄々としてどこか滑稽で情緒がある世界。7ページほどの紙面にシンプルでテンポ良い絵、所々茶目っ気があり、カラッと気っ風の良い江戸っ子のようです。娼館に居着いた物の怪のフキちゃん、他愛ない悪戯し、時々大暴れしては井戸に引きこもる、何ともかわいらしくあります。

  • 一度目を読んだときはここぞというところで絵(のっぺらぼうの小僧や龍などの描写)に物足りなさを感じたけど、読み返したら純粋に感動した。怖いだけでなく、しみじみ・ほのぼのしたり謎だったり、江戸の語り口で日本の伝承文学の雰囲気を十二分に伝え、日本人の深い心性までが描かれている。素晴らしい仕事を遺されたと思う。
    たとえば水木しげるの妖怪本は人間と妖怪の境界があいまいで、むしろ妖怪側から人間界を面白そうに見ている感じがあるけど、杉浦日向子の百物語は完全に人間側からの視点。「さぁそこがアヤカシよ」と。だから怪異に逢ったとき江戸の人はどのように感じ、どう怪異と付き合ってきたかという心情が表れているのだと思う。
    印象に残ったのは産女の話。子を身ごもったまま亡くなった女が産女となって毎夜戻ってくる。それを追い返すために「ただの木ぎれでは」と人形を彫る夫、その人形を愛しがる子供たち。しみじみと読んでいると、ラストで「妖し」という異形の顔を見せつけられてぞっとさせられる。遊郭に住み着いた妖怪と下働きの老女の交感を描いた話も好き。
    この本が面白かった人は次の本も面白いかも。
    「物いう小箱」森 銑三
    「掌の小説」川端康成
    「冥途・旅順入場式」内田百閒

  • お話ごとに微妙に変わる絵が瑞々しくて、江戸時代にトリップしてしまいます。夜寝られないような怖い系ではないです。

  • 恐怖ではなく、ほっこりした怪異。江戸の人が、不思議な現象・人が恐怖を感じる闇に上手に付き合っている印象を受けた。師匠の絵が、これまた良い!

  • 怖いのにどこか優しさ、あたたかみが感じられる作品。99話でも一気に読めた!

  • つい300年前ま物の怪は生活に溶け込んでたのかなあと
    怖いけど怖いだけでもなく、ちょっともの悲しくて懐かしいような

  • 拍子抜けするようなオチっていうか、オチのないものも結構あるんだけど、逆にそれが、日常と非日常の境目をおおらかに捉えている昔の人の印象に繋がって、嫌な感じはしない。そういうおおらかさを、自分も常に持ち合わせていたいと思います。

  • この作品は好きすぎて好きすぎて文章がまとめられません。人と物の怪達が普通に隣り合わせで暮らしていて、特に害を成すわけでもなく当然のこととして生きている。しかもそれが日本に昔からあったというのが最高です。

  • 「小説新潮」に1986年4月から1993年2月まで連載された、不思議なる物語り、100話。
    杉浦日向子さんなので、もちろん怖がらせるためだけのギャーギャーしてる話ではない。江戸時代の人びとの、不思議に出会い、巻き込まれたり、受け入れたり、ただただ生活の中にある不思議が描かれていて、じんわりと怖い。

  • 小説のような体裁だけど、漫画。ときおり思い出しては一話一話読み進めて、ようよう読み終わり。怪と隣り合わせの日常という、なんとも日本らしい話の数々でした。

  • 怪談というより奇談のような江戸話オムニバス。オチがないところとかが作者の時代考証と相まってリアル。

  • ひとつひとつのお話ごとに画風を変えている。作者の絵力に惚れ惚れとする一冊。くすりと笑える話もあれば身の毛がよだつような恐ろしい話も。感情のひとつひとつを擽るような本。

  • 2008年8月31日読了。

    「古(いにしえ)より百物語と言う事の侍る 不思議なる物語の百話集う処 必ずばけもの現われ出ずると」解説より。

    江戸時代の怪談話、九十九話。百話目を話すと化け物が……。

    九十九話のなかでも、美女の話がぞぉっとして怖い。子どもの話は少し悲しくていたたまれない。男や年寄りの話はまずまず。ってところでしょうか。つまりは自分好みの順に怖いってことで。

    江戸の昔からも信じられ伝えられてきた怪しい話というのがなかなか興味深いです。

  • 本の在庫確認をしてくださった書店員の方がテンション高く仰るには、著者は江戸研究家の方らしいです。
    新潮文庫が出してるし文庫本サイズなのに中身が漫画だと知った時テンション俄かに下がりましたが(文字が好き)
    凄く良かった!!
    当時の不思議な話を99本集めた本。怖い話だけでもなかったです。怖い話も現代ホラーと違って、明確な原因やら因果やらがないことが多い。ただそういうものとして、生活の近くに根付いていたのが身近に感じられる気がする本
    桜の嫌いな旦那の話が大好きでした。桜の季節は引きこもって過ごす、使用人が桜餅を食べて香りをつけて帰ると怒る。ある日の集まりで彼が卒倒し、皆で理由を探ったら、1人桜の模様の入った懐紙を持っていた人がいたせいだった、と。
    関係ないですが、この本探して下さった店員のお兄さんによく、本の在庫確認や取り寄せお願いしてたんですが、いつも淡々と静かに事務会話だけをしてたもので。
    店員さんに著者名のメモ見せたら、途端に笑顔で色々話したり語ったりしてくださって驚きました。書店の仕事楽しそうだなと思った瞬間

  • ◆どこか懐かしい恐怖◆
    百物語をすると必ずこわきものが現れる…一話ずつ読み進めてしまうのは怖いもの見たさの好奇心でしょうか。この本に出てくる人々もそんな好奇心にいざなわれて、気が付くと不思議な体験をしてしまっているのです。魑魅魍魎たちは言葉では伝わらないことを伝えようとしているのか、ただ人間をからかっているだけなのか。選び抜かれた物語はどこか淋しげで滑稽でいとおしい。杉浦日向子の描く空白や闇はとても静かでどこまでも広がっています。

  • 独特のタッチと、不思議な小話がいい塩梅にまじりあって、たまに手に取って読み返してしまう。
    ちょっと闇を覗くような不気味なお話も多い。

  • これは素晴らしい佇まいの本だった。

  • 99個も話しが入ってるから、飽きるところもあったけど、それでも恐怖と安心感が同時に存在するような、この雰囲気・・・好きだー!淡々とした語り口がまた良いし、杉浦日向子の絵も味があって良かった!

  • コミックによる百物語。

    ホラーというよりは「妖しい話」、「奇妙な話」が殆ど。何より、この作者ならではの江戸情緒―池波作品とはまた違う―が満喫できる。もちろん、背筋がぞくりとする話も多い。
    画のタッチこそおだやかでおどろおどろしいものはないのに、ふと気付くと肌が粟立っていることも。

    つくづく、著者の早逝が惜しまれる。

  • ご隠居さんが訪れる人々に一話ずつ不思議な話をしてもらうという形式の百物語漫画。

    ちょっと枯れたような絵がいい雰囲気をかもし出し、江戸の粋や風情、なぜか懐かしさを感じさせる。そしてほんのり怖い不思議な味わい。
    尼さんの肩に残る手の跡とか、鬼を背負っていた男とか、家についている得体の知れない怪異、そういう細々した闇のもの達の存在が肩の力が抜けた江戸の文化と溶け合いひょうひょうと姿を垣間見せる、いい作品だった。

  • 昔の人の「不可思議」との距離感がひしひしと伝わる。
    で、妙にそれが心地いいのは、きっと日本人だからなんだろう。

  • 江戸の町の奇妙な一コマをさらっと描く短編集。妖怪もの漫画にありがちな、人間と怪異との友情もいいですが、この作品にあるような、あくまで異質なもの、人知の及ばない、でもすぐ傍にありうるもの、というとらえ方は、紙やすりで心をざらっと擦られるような感覚が妙にリアルで、心地よい後味の悪さがあります。

  • これは本当に最高な怪談集!
    ストーリーが画一的でないというか、「ああこれどこかで聞いたわ」って話がほとんどない。一話一話が新鮮で、美味しい料理をフルコースで食べたみたいな満足感がある。
    好きなのは「地獄に呑まれた話」。中に入っていれば気持ち良い温泉みたいな湧き水。でも、そこから出れば体がすさまじく火傷している。興味本位で近寄った親子の父親のほうが、いつしか底なし沼のようにずぶすぶ浸かっちゃう。
    これを仕掛けたのが鬼だか仏だかは知らないけど、なんていやらしい罠なんだろう! でも嫌悪感より、「見事」って思っちゃう。だってこの話、結局は人間が悪いんだもんね。よく考えて見れば、ただおかしな湧き水が湧いてただけで、それを恐ろしい罠にしているのは人間の弱さ。
    そんなちょっとシニカルだけど、嫌味のない怪談が詰まってる。何度読んでもその度面白いと思える!

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