隠居の日向ぼっこ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101149219

感想・レビュー・書評

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  • 隠居の日向ぼっこ 杉浦日向子 新潮社

    これが絶筆なのかどうかは知らないが
    死んだと数ヶ月後に出版されているようである
    あまり随筆を読むことはないが
    漫画に始まる杉浦日向子は特別だ
    何しろ江戸を講談師の如くに旅して鍛えたせいか文が冴えている
    私の狭い世界に「百物語」を持ち込んだのは五十にならんという頃出合った二十歳前の学生だった
    もう三十年も前の話だからどんな人生を描いて来たことだろう

  • 江戸時代に当たり前にそこにあった、しかし今はまれにしか見ることのなくなった道具、文化。
    一つ一つの文化や道具にスポットを当ててのエッセイ。江戸時代は確かに現在のような便利な道具はなかったけれど、シンプルなその道具には季節感、風流、粋、洒落があり、人々はそれを愛で、楽しんでいたのだな、としみじみ感じました。
    人情、義理、粋、風流、季節感…。私たちは便利なものを次々に手にして、これらを知らず知らずのうちに手放してしまったのかも知れません。
    昔の人たちの生活の様子が、このエッセイで楽しく垣間見ることができました。

  • 杉浦日向子 「 隠居の日向ぼっこ 」

    江戸雑学について編集したエッセイ集(著者のイラスト付き) 季節感を編集指針に取り込んだつくり。現代に通ずる 江戸の知恵がある


    時の鐘がとても良かった
    「時は 四季に寄り添い、太陽と月に従い、ゴム紐のように伸び縮みしてきた〜楽しい時は早く過ぎ、苦しい時は長く感じる」

  • 江戸の道具や風俗を、1話イラスト入り3ページで簡潔にまとめ上げた逸品。気の短い江戸っ子に憧れる読者にはうってつけ! 落語でご隠居さんに教えを請う八っつぁん熊さんよろしく、あっと言う間に読了。そういえば著者は既に鬼籍の人なんだよな~

  • 江戸時代に四季それぞれに生活に使う道具にまつわる話ですが、子供のころにはまだ残っていた者のことも書かれていて懐かしく読めました。杉浦日向子さんは同年代の方なので亡くなってしまったことが、非常に残念でした。

  • 江戸から昭和の身の回りのアイテムを取り上げた、当時の日常風景が見えてくるようなエッセイ集。語源を紐解いたり、そこに風情を見たり、思い出を重ねたり。それほど懐古趣味に感じないのは、著者の造詣の深さと文章のきれいさに、より価値を見出すからかも。ユーモアも適度に効いてて洒脱。

  • 杉浦日向子さんが亡くなったと聞いた時はへこんだなぁ。江戸や銭湯、落語にも明るく、多趣味で粋な人だった。絶対友達になれたと思う。いやなれないか。博識の片鱗が伺える本。

  • よかったです。

  • 江戸時代の”物”に関するエッセイです。一つ一つの文章が短くて読みやすく、また作者の江戸時代に対する愛情が感じられてほっこりしました。

    九州大学
    ニックネーム:森 透

  • 早々とご隠居生活に入った日向子さんによる、四季折々の道具に寄せる断想。ここで語られている道具の多くは、江戸から昭和初期のもの。ご自身の絵とともに、いつもながら「はんなり」、「まったり」とした風情がただよう。それは「古き良き時代」を懐かしむといったものではなく、美意識や価値観そのものをパラダイムシフトさせたものである。逆説的なのだが、それは過去でありながら、未来的な姿でもある。美意識について目を開かれたのが「お歯黒」。「当時は男女ともに、それを醜いと思うどころか、成熟した魅力と感じていた」のだそうだ。

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著者プロフィール

杉浦 日向子(すぎうら・ひなこ):1958年、東京生まれ。1980年、「通言室之梅」(「ガロ」)で漫画家としてデビュー。1984年、『合葬』で日本漫画家協会賞優秀賞受賞。1988年、『風流江戸雀』で文藝春秋漫画賞受賞。1993年に漫画家を引退し、江戸風俗研究家、文筆家として活動した。NHK「コメディーお江戸でござる」では解説を担当。主な漫画作品に『百日紅』(上・下)『ゑひもせす』『二つ枕』『YASUJI東京』『百物語』、エッセイ集に『江戸へようこそ』『大江戸観光』『うつくしく、やさしく、おろかなり』『一日江戸人』『杉浦日向子の食・道・楽』『吞々草子』等がある。2005年、没。

「2023年 『風流江戸雀/呑々まんが』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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