柳生武芸帳 (下巻) (新潮文庫)

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著者 : 五味康祐
  • 新潮社 (1993年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (709ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101151090

柳生武芸帳 (下巻) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 始め、異なる話が語られる。 それぞれの物語がどう結び合っていくのか、皆目見当がつかない。
    読み進むにつれ、細い糸が縦に緯に組み合わされて面を形成していく。
    ふと気がつくと、そこに大きな文様が浮かび上がってくることに気がつく。
    柳生武芸帳はそんな西陣織の織り作業の手元をじっと見ているかのような小説だ。

    武芸帳は週刊新潮創刊時に連載されたそうだ。ある意味柳生小説の本丸であり、それも馬鹿でかい城だ。
    なのに視点はミクロに徹していて、あちらの挿話、こちらの挿話を追いかけ続けるから、常に強固な意思で全容を組み立て、現在位置を把握していかないと、本流を見失い、城中の迷路を彷徨うことになる。
    「剣豪奥義」からスタートして、八冊の柳生本を読み、石舟斎から兵庫まで、ある程度柳生の系譜なり、人物の性格、役割なども把握していても、この物量を受け止めるのはかなりの難儀だ。いったい連載当時に一週毎にブツ着れでこれを読み、なおかつ底流となる本筋を心に留めることが可能だったのだろうか。

    それでも、この物語が圧倒的に面白いのは意表を突き、予想だにしない結果を生む宗矩の指示であり、行動があるからだろう。彼の強固な信念が無ければ、どこにも焦点が無く、流れる先が見えないことになってしまう。
    敵、味方、幕閣、禁中、それぞれが描く文様は、宗矩の動きにつれて、じんわりと姿を変化させ、川下へと押し流されていく。その変化が面白くて飽きることがない。
    そしてもうひとつの面白さは、変化のきっかけを作ることになる剣豪たちの闘いの場面。五味爺の真骨頂でもあり、この場面に辿り着きたいがために次へ読み進むことになる。それはそうなのだが、彼らが何のために死闘を交え、死んでいくのか。「武芸帳」という大きな題目はあるものの、死地に赴く具体的な理由は分からないことが多い。彼らは藩を離れ、「柳生」のために動き、死んで行く。時に弟子が師匠と立会い、師匠の意図を悟って斬られるのである。なぜなら柳生は「一流派」にとどまらず、日本を動かす発想が奥底に秘められていたから。大義のために自らを殺す。生き抜くための剣術がここに至って思想になってくる。宮本武蔵がそれに気づく場面がクライマックスなのかもしれない。

    その後、あまりに壮大な物語は、どこに向かうのか判然としないまま、プツリと終わる。この先が読みたいけれど、それは無理な話と諦めざるを得ない。
    再読だけれどめちゃ楽しめた。おそらく何年か後にまた読めば、違った感想になるのかも知れない。

  • 武芸帳に隠された秘密とは、どうやら、宮中に於ける某重大事件に係わるものらしい。事が公になれば柳生宗矩の破滅はむろんのこと、徳川幕府も無傷ではない。次々と仆れる柳生の高弟たち。大久保彦左衛門や松平伊豆守信綱も加わり、複雑怪奇の様相を帯びてくる。そして遂に宗矩と浮月斎の直接対決を迎える…。

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