国盗り物語(三) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152066

感想・レビュー・書評

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  • 晩年の道三の「天下を獲るには自分には時間がない」という寂寥。どれだけの才覚と体力と実行力があっても、壮気というか欲望というものを人間はやがては失っていくのだな、と、10代で読んだ時には感じなかった心情に共感した。読書は読んだ時によってまるで受け取るものが違うと改めて実感した。将軍家再興に奔走する光秀を、幕末志士のようなタイプで戦国時代には類を見ないという指摘にはなるほどと思った。

  • 齋藤道三の『国盗り』に対して、織田信長は『国造り』と名付けたいような物語。p208「義戦じゃと」(道三は目を剥いた)「いくさは利害でやるものだ、必ず勝つという見込みがなければ起こしてはならぬ」この卷の結末=クライマックスでは、道三の居城であった稲葉山城を信長がついに木下藤吉郎などを使って攻略する。十八歳で父・信秀の葬儀の喪主で奇矯な振る舞いをしたのは山岡荘八『織田信長』にも同様だから唯一の資料に依っているのだろう。絵画的、映画的描写が快いが、司馬遼先生の教養に追いつかない当方は別物を思い浮かべてないか心配

  • 道三……!
    やはり道三の最期は感じ入るものがある…。
    しかし信長の主人公感はすごいな。生まれ持っての、という感じだ。どうしても信長が出てきてしまうと、道三がいい脇役のようになってしまうのは何故なのだろうなあ。

  • 貧乏寺の小僧からのし上がり、ついに美濃を奪取した斎藤道三。隣国の尾張でうつけと評判であった織田信長が、その評判とは裏腹に非凡な才能をもつことを見抜く。自らの娘である、濃姫を信長に嫁がせ、同盟関係を結ぶことで美濃の安全保障上の懸念を取り除く。しかし、血の繋がらない長男の義竜の反乱によって、最期を迎え、また道三の家臣であった明智光秀も牢人となって各地を放浪することとなる。一方、道三の天下を制するという野望は、信長によって引き継がれる事となり、当時最もそれに近かった今川義元を桶狭間にて奇襲を持って討ち取るのである。

    光秀は放浪の上、自らも天下に関わる大仕事に関わる野望を抱く。それを実現する手段として、当時既に力を失っていた足利将軍を再興する事に、その身を捧げる事となる。

    また、美濃では斎藤義竜が、30代後半で急死し、その後を継いだのは凡庸で荒淫な龍興であった。国の将来を憂いた家臣達の中に、竹中半兵衛がいた。信長は、その才能と狭義を大いに買い、後の秀吉となる木下藤吉郎を通じて、家臣になるように説得を始める。秀吉は、7度目の説得で、条件付きでの家臣入りの承諾を得る。その条件とは、信長の直臣ではなく、秀吉の家臣となる事だった。

    秀吉と半兵衛の調略より、信長は容易にして美濃を攻め落としものにする。

  • 美濃の蝮・斎藤道三が義理の息子・義龍のクーデターの前に倒れ物語の主役は信長・光秀へ。
    かつて野望のために利用した土岐家の血そして自らが築き上げた軍勢と対峙し散っていった道三の姿に乱世の梟雄としての意地と風雅を愛したこの男ならではの美学を感じずにはいられない。
    その革新性とリアリズムは後継者と見定めた娘婿・織田信長へと、教養と知性の深さは幼少期より薫陶した明智光秀へと受け継がれていく。
    桶狭間の戦い、美濃の攻略と覇道を進む信長、放浪の身から室町幕府の再興を志す光秀。
    道三の相反する個性を体現した二人がどのように交わり、ぶつかり、「本能寺の変」に繋がっていくのか。
    私事だが以前住んでいた場所の近くに道三と信長が会見した富田・聖徳寺跡の石碑があった。三巻の中でもこの会見シーンが大好きなので創作と分かっていながらワクワクして読み進めた。

  • 道三の最後が悲しすぎる。
    それを知らせる光秀に「道三という人は知らない」といい、庄九郎の妻であろうとするお万阿。
    感動する。
    3巻から織田信長編ということだが、明智光秀編に近い印象。

  • 主人公が庄九郎から信長と光秀に移った第3巻。やはり庄九郎が退場するのは寂しく感じました。

    信長と光秀という二台巨頭が主人公になったにも関わらず内容的に前半に比べると少し見劣りが…。信長はともかく光秀のキャラクターに魅力を感じなかった。

  • 織田編に入ったが主人公はほぼ光秀という落とし穴。吉川英治の光秀の描き方との差が感じられ、こちらの方が幾分有能に書かれている。

  • 斎藤道三が亡くなり、織田信長編と言いつつも、多くは明智光秀に関して書かれている。斎藤道三の意思を別々の仕方で受け継ぐ2人の絶妙な関係性。明智光秀が将軍家再興を強く望んでいたということを初めて知った。

  • 再読。信長、光秀、秀吉、半兵衛。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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