峠 上 (新潮文庫 し 9-15)

著者 :
  • 新潮社
4.09
  • (34)
  • (33)
  • (19)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 294
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (597ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152158

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 同著者によって書かれた予告編を読んでから本編を読むことになった小説というのは初だろうか。短篇集「馬上少年過ぐ」の中の一本として含まれていた『英雄児』 に先に触れることとなり、既にこの作品の存在は十分意識していたが故に主人公の名に触れた瞬間読むことをためらったりもしたのだが、結局出会った順に素直に従った。履歴を紐解くと確かに短編の方が時系列としては先に書かれたらしいが、シバさんはその短編を書いたあとどうしてもきちんと書かねばならない気になったらしい。その辺りの心境を味わうがごとく残りの本作を楽しみたい。

    年末年始に日本列島津々浦々をまわった際、朝に東京を出て夜にいわきへ到着しているとして、その道程にどんな酔狂な選択肢がありうるだろうかと話していたなか友人から出てきた言葉の中に「『峠』ゆかりの地を経てというのはどうか。」というものがあった。これについては「まだ読みきっていないので次回以降に温存すべし」と回答していたこともあり、それもあって戻って来てすぐに着手したという次第。奇しくもまた来月に5日間だけ訪日することとなりそうで、さてこの越後長岡藩には足を踏み入れることになるのだろうか。

    乞うご期待といったところ(笑)

  • 再読、★評価は読了後に。
    なかなかに面白い、主人公に共感できるかはさておき、魅力的なお話が展開されとります。やはりこの作家の本領は幕末にあり、加えてこういった歴史の「傍流」にある人の発掘力は認めざるを得ない。またこの時期は最も脂が乗っていたのかも。

  • 最近は、司馬遼太郎の書く 男に、興味がある。
    河井継之助の物語。
    長岡藩で、もだえる。信濃川を登って行くと、
    江戸がある。
    器が大きすぎて、小さなことにこだわらない。
    というか、不器用な人であるが、常に原理を求める。

    急ぐ心。心の命ずるままに、行動する。
    その心を、したて上げて行く。
    欲しいのは、知識ではなく、どう行動するのか。

    侠客の侠の字は、ニンベンに挟むとある。
    左右の子分に挟まれ、それを従える。

    ツラで、全てを察する。ツラで、相手のこころのキビを分かるようになる。

    本画は志を表すが、席画は、才気をあらわす。

    オレの生命は一個の道具だ。
    道具なればこそ、鍬はよく土を耕し、カンナはよく板をけずる。
    オレもオレの生命を道具にこの乱世を耕しけづる。

    酔生夢死。なすこともなくこの世に生き、そして死んで行く。
    その覚悟をする。

    河井継之助は考える。
    激動の時代に、国をまもり、国を発展させるためにどうするのか?
    武士は 刀を大切にして あがめるようにしているが それで良いのだろうか?
    銃が登場することで、刀の意味はなくなっていく。
    近代的な戦争が始まっているのに,刀で立ち向かおうとする無意味さ。

    藩を近代的にするために、チカラをつける。
    賭博、売春をやめさせる。
    コメから 金への貨幣制度への変換。
    自立した考え方。
    富国強兵の政策が あまりうまく 展開されていない。

    オンナについて 小稲、織部、おすが。妹八絵。
    男の領域に口を出さず、うけとめる。
    河井継之助はなぜ女郎買いが好きだったのか。

    大政奉還をした 慶喜は どのようなことをイメージしたのか。
    そして,それに継ぐ 老中たちは。
    結局は 次の時代のイメージが 充分に形成されなかった。
    ナポレオンのような フランスの皇帝制。

    天皇と将軍というものの 人の評価は。
    尊王という思想は 水戸藩が 形成したながれだった。楠木正成。
    攘夷を唱えていた 薩長は、少なくとも 江戸幕府を倒すための方便だった。
    鳥羽伏見での 大きな転換点は どこにあったのか。
    薩長には シナリオライターがいた。

    覚悟の差異。薩長には 命を張る覚悟を持っていた。
    河井継之助は、そのような覚悟を持っていた。

  • 実力で家老になった河井継之助。
    大政奉還も成り、これから更に激動の時期に入っていくのだね。

  • 河合継之助が藩のために己を磨く上巻

  • 越前長岡藩という幕末の中心からは遠く離れた場所で、藩財政を建て直し、最新鋭の武装としてガトリング砲を購入するなど長岡藩存続の道を模索した河合継之助の生涯を描いた作品。再読予定【所蔵】

著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

司馬遼太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×