城塞 (上巻) (新潮文庫)

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著者 : 司馬遼太郎
  • 新潮社 (2002年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (601ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152202

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城塞 (上巻) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 大坂の陣を描いた作品。謀略の限りを尽くして豊臣方を追い込んでいく徳川家康の悪辣振りは嫌悪感を覚えるほど。そして、彼に翻弄される淀君は自ら滅亡の道へと歩んでいきます。最後に一花咲かせようと、死に体の大阪方に馳せ参じた真田幸村、後藤又兵衛ら武将たちの生き様は胸を打ちます。

  • 秀頼、淀殿を挑発して開戦を迫る家康。大坂冬ノ陣、夏ノ陣を最後に陥落してゆく巨城の運命に託して豊臣家滅亡の人間悲劇を描く。

  • どのようにして大坂の陣に至るのか、という経緯をじっくり描いている。
    次巻の冒頭から真田信繁などが大坂から声を掛けられてとなるので、それまでの話になる。
    この巻では有名な五人衆などは影も形もない。
    前哨戦も前哨戦なので話は静かに進んでいく。家康方の緻密な政治工作や、豊臣方の道理に依った若干現実離れした考え方など、互いのスタンスの違いがよく描かれている。
    派手な動きや人物が出ないので、小幡官兵衛が実質主人公として物語らしく動き、家康サイドと豊臣サイドの思惑の間を行き来する。
    この官兵衛、どことなく国盗り物語の道三とキャラが被っている(笑)本人の才覚と大胆さと女を使って、情報収集・工作という役割。
    有名所の話が見たいと思うのなら中巻からでいいかもしれない。
    が、大きな山場などは無いながらも着実に戦に至るまでの空気を感じ取ることが出来るので、余裕があるならば手に取っていいと思う。
    有名所の登場を巻跨ぎにしない辺り親切だし、上巻は一貫してそういう役割の巻になっている。

  • 感想は下巻にて。

  • 大河ドラマの真田関連の物語が読みたくて検索したら本作がヒットした。
    この上巻では関ヶ原後、豊臣家滅亡へのカウントダウンが描かれる。
    それにしても、秀頼に関する記録の極端な少なさはどうだろう。淀殿母子の社会生活・精神世界の狭さを感じさ、政治感覚や Common Senseの欠如がうかがわれる。

  • 再読。

    いたぶられる豊臣。
    どこの世界でもいつの時代でも権力側は弱者に対して残酷に振る舞えるもんだわな。

    ささ、次巻へ。

  • 大坂の冬の陣・夏の陣を、戦が始まるきっかけから大坂城落城まで描いた歴史小説。
    2016年大河ドラマ「真田丸」の予習として読んだ。
    主人公は小幡勘兵衛という牢人で、後に軍学者となる人物。彼は、戦の表舞台には立っていないが、徳川方の間諜として豊臣方に入り込んでいた人物であるため、両者を行き来しつつ狂言回しとして物語を進めていく。でも、途中で時々、全く登場しなくなり、誰が主人公だっけ?となることも。司馬小説ではよくあることだけど(いわゆる「余談だが現象」)。

    たまに勘兵衛が、恋人お夏のために豊臣方に肩入れして徳川を裏切りそうになり、その場面だけはグッとくるものがあるのだけど、最終的には打算と私利私欲で動く人物なので、途中からはそんなに感情移入は出来ない。

    それ以外の、戦の表舞台に立つ登場人物は以下の人達
    豊臣:淀殿、豊臣秀頼、大野治長、真田幸村、後藤又兵衛、片桐且元
    徳川:徳川家康、徳川秀忠、本多正純、本多正信

    どの人物も、何かしら足りないところや汚いところがあって、他の司馬小説の主人公(竜馬・高杉・土方・信長・秀吉ら)みたいに純粋にカッコいいと思える人はいない。でも、その人間臭さこそが、司馬さんが群像劇としてこの小説を描いた意味なのだろう。

    そして、女優で歴女の杏さんが本の帯か何かで書いていた、『最強の城も、人間や組織次第でこうも簡単に滅びるのか』みたいなことが、この小説の一番のテーマ。最強の城と、実戦経験豊富な現場担当者。これらが揃っていながら、なぜ大坂城は落ちてしまったのか。上に立つ者が世間知らずでマヌケだったから、なのだろうけど、その一言だけでは片づけられない、数々のボタンの掛け違いによる失敗から学ぶことは多い気がする。

    以下、印象に残ったエピソード

    片桐且元の豊臣方から徳川方への転身
    - 豊臣を裏切る気持ちは無かったのに、家康の策略と豊臣上層部の疑心暗鬼から、やること全て裏目に出て、転身せざるをえなかった片桐且元。豊臣への忠誠心は誰よりも強かったはずなのに、最後は大坂城へ向けて大砲を打つことまでさせられた彼の心境は、言葉に出来ない。人と人との些細な擦れ違いから、人生を狂わされてしまうこともあるのだ。大河ドラマ「真田丸」小林隆さんの悲喜劇入り混じった演技も、印象深かった。

    大坂五人衆集結
    - 真田幸村、明石全登、後藤又兵衛、毛利勝永、長曾我部盛親ら五人衆。戦う場所を欲して、家の再興、キリスト教布教許可など、各々の理由を持ちつつ大坂城に集まって来て、団結して戦いに臨む。大河ドラマと並行して読んでいたため、映像とシンクロしてワクワクして読み進めた(負けるのは分かっているのだけれど)。
    犯罪者家康と、純粋な豊臣方牢人たちとの対比

    - 司馬さん曰く、徳川家康の大坂攻めは戦争というよりも、本質は「犯罪」(主家である豊臣家に対し、騙したり、約束をすっとぼけたり、内部分裂させたりしたから)。家康をとことん悪人に描いているが、それは彼が「後世にどう思われるか」という発想が無かったから、との解釈。一方、真田幸村・後藤又兵衛ら大坂方牢人は、豊臣が滅んだら他に頼るものが無いわけで、自然、死を恐れず武名をあげ、後世に向かってよき名を残すことに純粋に研ぎ澄まされていくようになる。それぞれの生き方の違いだったのだろう。

  • 久しぶりに小説を面白いと感じた

  • 大阪の陣が起こる前の主要人物の人間性、状況が細かく描写されているので大きく物語が始まる序章としていると思われる。
    太閤がどれ程偉大であったかを残された愚鈍で保身に走る大坂城内の家臣との対比で表現していると感じた。

  • 大坂の陣から400年。大河ドラマ真田丸でも描かれるしってことで、平積みになっていたのを手にした上中下の上巻。
    真田丸だったら有働さんのナレーションでぶった切るような大坂城内の動き、東西の駆け引きが司馬遼太郎の文体で細かく描かれている。400百年前の出来事を描いておきながら、時々出てくる、筆者の現在の目線。嫌いじゃないです。
    真田丸も最終章に向かいます。中巻、下巻もさっさと読まないと。

  • 平成28年10月7日読了。徳川家康の底意地の悪さが際立っており、つい大坂方に同情的になってしまう。

  • (関東の様子をみれば、わかるはずではないか)
     と、勘兵衛はおもうのである。家康は自分の老いにあせっている。子孫のために太閤の子孫を根絶やしにしておくということを当然ながら考えている。その程度の家康の意中は、大坂城の楼上に住んでいても、すこし頭を冷やし、子への盲愛という囚われ心を去って考えてみればわかるはずのことではないか。
    (それがわからない)
     ということは、勘兵衛にとって、新鮮なおどろきであった。自分自身の運命について、この程度にごく明白な、理解しやすい、ごくあたりまえの思考の条件が、とても理解できないほどの愚人が世の中に存在しているということにおどろいたのである。それが、この城にいる。しかも権力の頂点にいる。
    (淀殿は、お頭がたしかか)
     とおもうのだが、べつにあほうであるというわさはきいたことがない。要するに愚かというのは智能の鋭鈍ではなく、囚われているかどうかだということを勘兵衛は思った。淀殿は一個の恐怖体質である。
     彼女にあっては、あらゆる事象はすべて自分のなかに固定してしまっている恐怖を通してしか見ることができない。秀頼のためのみを考えすぎ、それにとらわれ、それを通してしか事象を見たり判断したり物事を決めたりすることができない。

    「ここはおとなしく退去させておしまいになるのが上分別と申すものでしょう」
     というと、修理はうなずき、
    「わしもそうおもっていた」
     と、勘兵衛の案の尻馬に乗った。修理のくせであった。勘兵衛がいくら妙案を出しても、
    ーーああ、そのことはわしも気づいていた。
     と、いう。勘兵衛の案を採用してくれるのはありがたいが、返事にはかならずそのひとせりふがつく。すこし構えている。勘兵衛のみるところ、古往今来のよき大将とは、配下に意見を出させると、そのことを大将みずから考えてはいても、
    「何兵衛、よう気づいた」
     と大ほめにほめるのである。であればこそ配下の者どもは智恵を絞って策を考え、それを上申することをよろこぶ。修理のようでは、よき幕僚はできまいと勘兵衛はひそかにおもったが、しかし勘兵衛はみずから構想することに芸術的なまでの衝動とよろこびを感じているため、修理がどうであろうと、思いついたことは今後もすべて修理に話すつもりであった。

  • 秀吉の作った'城塞'、すなわち大阪城の陥落を描いた長編。真田幸村、後藤又兵衛をはじめとする稀有の武将たち、潜在的な可能性を秘めた豊臣秀頼、何より天下の城塞たる大阪城の存在にもかかわらず、淀殿を中心とする人間たちがことごとく足を引っ張る様子が本当にもどかしい。秀頼の両側に幸村、又兵衛がつき、全体が統制された行動をとっていれば、大坂の陣はどうなったのかと、どうしても考えてしまう。その中でも、先の真田、後藤のほか、木村重成、毛利勝永など、部下が共に死んでもよいと思えるほどの漢達の生き様、死に様は、男として感動せざるをえない。

  • 家康の駆け引き

  • 家康って、やなやつ。

  • 司馬遼太郎
    (小説)

  • 同じ作者の「関ヶ原」の続編にあたる。
    関ヶ原の敗戦後も、大阪にてなお人気を誇る豊臣家。秀吉の子秀頼と、その母淀君を中心とした人々と、家康との対決である。大阪夏の陣にいたるまでを、小幡勘兵衛という実在の人物の目を通して描いている。関東の徳川がたは力を持って大名たちをおさえつけていたが、心は秀頼にある大名も多い。一方の大阪方はいささか実践力にかけるものの、秀吉への忠義と徳川への怒りを起点にしてまとまって行く。

    とにかく、家康の、秀頼に対する仕打ちがひどい。
    家康が後世の人々に嫌われてしまったのは、このときの秀頼に対するいやがらせがあとをひいたということだ。方広寺鐘名事件や堀の埋め立てなど、どこまでも執拗でいやらしい。これは晩年の家康にどうあっても自分の代で日本を統一しなければという執念があったからだと筆者はいう。それはひとえに二代将軍秀忠の凡庸ぶりによる。
    このときの仕打ちが判官びいきの日本人の心を刺激し、また真田幸村や後藤又兵衛などの西側の役者ぞろい、ひいては中心を江戸にとられた大阪のうらみなどが重なって、家康は嫌われ者となってしまった。
    織田信長があれほど残酷なことをしても後世の人々に慕われているのは、革新者であることや、信長自身の華やかさや、悲劇の死といった要素があるだろう。あんな政治家が今の世に実在したらたまったものではない。
    家康は地味な性格であり、質素で堅実でとくに嫌われる要素は少ない。徳川時代が続かなければ今の日本のありかたもかわってしまっただろう。悪い政治家ではないことはわかってはいても、秀頼へのひどい仕打ちや、その後の徳川の押さえつけ政治が、後世の人々のDNAの中にしみついてしまったかのようだ。幕末の討幕運動も、関ヶ原の恨みが根底にある。

    一方の豊臣軍の負の側面は、主に淀君にあった。この神経質で母親のいやな面を集約した女性の、秀頼かわいさのみの行動は厄介であった。しかしその後の徳川将軍たちも、大奥の女性たちに守られた秀頼まがいの存在になってしまうことを考えると、皮肉にも思う。

    豊臣がたに与したのは、真田幸村や長會我部盛親といった、かつて関ヶ原で敗れ野にくだっていた武将たちだ。ことに幸村の有能さ、華やかさは、のちに真田十勇士の伝説ができるほどに人気があった。
    負けるとわかっていても戦うべき時があるという、日本人の心をくすぐるかっこよさである。徳川時代に発達した武士道であるが、関が原の戦いや、大阪の陣などからそのような流れが始まったようだ。

    秀頼は伝えられていたような凡愚ではなく、学問に秀で、祖父の浅井長政に似た堂々たる美丈夫だったということだ。学問だけではなく指導者や武士としての教育を受けていればと惜しまれる。ちなみに秀頼にはいくつか生存説もあり、鹿児島には墓もあるそうだ。せめてどこかで生きていてくれたら、と、徳川憎しもかさをかけて後世の人々は願ったのだろう。

  • 家康による大阪城攻略の顛末を描く長編。司馬遼太郎の得意なストーリーテリング展開として、複数の登場人物の視点を同時に使うが、特に小幡勘兵衛とお夏というキャラが一番絵になる。

    当時70歳を越えた家康がかつての主家豊臣家を滅ぼすために矢継ぎ早に行う政略がえげつないのに対して、淀君のヒステリーっぷりが痛々しい。

  • 大坂城をめぐる当時の空気が臨場感を持って伝わる。

  • 人間の泥臭さを見せつけられるのが、特に戦国時代だと思う。権力闘争、内部分裂、嫉妬、裏切り‥。歴史はこれの繰り返しで動いてきた。後に、神君と言われる家康にしても、それは自らが仕掛けた演出に過ぎない。綺麗ごとでは世の中渡っていけない。

  • 2014/10/09読み始め
    2014/03/10また、読み始めたが、また休む

  • 【状況】ポスト内
    【舞台】大阪城、真田丸(陸軍墓地のあたり?)など

    大阪城のそばに住んでいて、これを知らずしてどうする?とまで思われます。大坂の陣400年にあたり、是非とも読んでおきたい本。

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