胡蝶の夢〈第1巻〉 (新潮文庫)

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著者 : 司馬遼太郎
  • 新潮社 (1983年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (483ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152271

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司馬 遼太郎
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胡蝶の夢〈第1巻〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 語学の天才にしてコミュ障の島倉伊之助、その兄貴分の蘭方医・松本良順の物語。伊之助は本当にどうしようもない奴ですが、憎めないのです。
    (余談)HNを決める際、たまたまPCの傍らに置いてあったのがこの「胡蝶の夢」でした。もし、これが「菜の花の沖」であったならば、私のHNは高田屋嘉兵衛になっていたことでしょう。

  • ◆きっかけ
    娘と見ていた『にほんごであそぼ』のラストのみわサンの言葉が荘子の胡蝶の夢の一文「荘州夢に胡蝶となる」で、全文を読んでみようとAmazonで調べたらこちらが出てきて。チラッと見たレビューで興味を持って。2017/6/5

  • 相変わらずの濃い内容に圧倒されます。いつもながらに余談が多く、深みが増します。故に読むのにも時間がかかりますね。
    主人公、伊之助は相当な変わり者。作者が取り上げた伊之助はどのように立ち回るのか期待しながら読み進めたいです。勝海舟等、ビックネームがどう絡んでくるかも楽しみの一つですね。

  • 日本の身分制社会を医学から見た作品。今の日本にも継続性が見られるのではと思う。

  • この前に『あい ?永遠に在り』高田郁を読み、主人公の関寛斎がこの『胡蝶の夢』でも出ていることを知り、久しぶりにこの司馬作品を読もうと古い本棚から引っ張り出しました。新潮文庫、昭和60年の第6刷。小口がまっ茶色になった本です。再読のはずですが、中身は記憶のかなた。
    調べたら『朝日新聞』朝刊に、1976年11月11日から1979年1月24日まで連載されたとあります。3年かけて掲載したが為に、読者の記憶を呼び起こすためなのでしょうが同じ話題が何度も繰り返されます。また、そろそろ小説から学者的になりつつある時期なのか、本筋には関係の薄い余談も多く出てきます。このため物語に弾みが感じられません。
    そんなこんなで読了まで3週間もかかってしまいました。
    この本を読んでいると、明治維新は開国とそれに伴う富国強兵策であったとともに、封建社会における身分制度の破壊であり、それが蘭学という医学の世界から始まったことが良く分かります。
    ただちょっとしんどかった。達成感はありますし、知的に楽しくはあったのですが。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    黒船来航で沸き立つ幕末。それまでの漢方医学一辺倒から、にわかに蘭学が求められるようになった時代を背景に、江戸幕府という巨大組織の中で浮上していった奥御医師の蘭学者、松本良順。悪魔のような記憶力とひきかえに、生まれついてのはみ出し者として短い一生を閉じるほかなかった彼の弟子、島倉伊之助。変革の時代に、蘭学という鋭いメスで身分社会の掟を覆していった男たち。

  • 蘭学者松本良順、島倉伊之助。勝海舟。

  •  1巻目は明治維新前夜、幕府の奥御医師、松本良順は弟子、島倉伊之助を佐渡から呼びよせ、長崎出島にてオランダ人から直接蘭学を学ぶまでのストーリーである。弟子の伊之助が異才の持ち主であり、2巻目からの話しに更なる期待が膨らむ。

  • 幕末を幕府奥御医師の視点から見ており、とても面白い。後半から長崎海軍伝習所やそこで活躍する勝麟太郎やポンペなども登場してくる。続きがとても楽しみだ。

  • 幕末、松本良順と佐倉伊之助が医学を通じ、西洋文明に接してゆく姿を描く。伊之助は類まれな暗記能力のおかげで、佐渡の四方を海に囲まれた世界から江戸と言う町に勉学のため良順の下に住み着いた。ただ、この伊之助は周囲の人と打ち解けることができず、それだけではなく、逆に忌み嫌われ、江戸の良順のもとを出ざるを得なくなり、良順の実父 佐藤泰然の順天堂に移る。当然そこでもうまくゆかず、結局は一度佐渡に戻る。

    良順は奥御医師という、将軍を診る位におり、それを統括する多紀楽真院という長老に振り回されていた。というのも、当時、奥御医師は蘭方は邪道とみなされ、漢方が主流であったからで、良順はその蘭方を学びたいと切に願っていたからである。どうにか、近々出来る長崎海軍伝習所の御用医という命令を得て、良順は念願の蘭方を学びに長崎へ発った。

    良順は伊之助をけったいな人間だと思いつつも、才を愛し、かわいがり、良順が長崎でオランダ人軍医ポンペに蘭医学を学ぶにあたり、佐渡の片田舎から長崎に呼ばれた。

    良順は長崎に行き、オランダ人から医学をはじめ、医学の体系的な理解に必要な物理学、化学等を学んだ。これに、オランダ人も積極的に協力してくれた。蘭学を学ぶことで、良順がこれまで縛られていた漢方の世界から出れたこと、新しい西洋文明にたくさん触れられたことを生涯大切にし、良順は、幕末の洋学が、オランダ語から英語、フランス語へ転換するときも頑固にオランダ学に固執した。これは、長崎におけるオランダ人との接触のなかでできあがった友情の根と無縁ではなかったのだろう。ポンペはこれまでの日本の蘭方である、内科書、外科書、解剖書などの出来上がったものだけを利用する医学ではなく、その医学の根底にある様々な基礎知識の習得させるため、毎晩遅くまで講義資料を作っていたという。”山岳は頂上だけでは成立しない。大きなすそ野があって始めて山である。”と言った。

    人間は、人間との接触を好む動物だと思うが、接触の時、たとえ相手が無口でも何がしかのリズムを共有することをよろこぶ。相手がまったく違うリズムもしくはリズムを出していない場合、当方は戸惑うか、ひどく不愉快になる。人間は、美的な秩序に快感を持つ動物らしいが、相手との接触が成立した瞬間、微笑しあうだけでも、両者の間に一つのリズムもしくは秩序が出来上がって快感を分け合うことが出来るのだが、伊之助は天性その能力を欠いているような人間であった。この”リズム”というものは”文化”と置き換えても良い。一つの民族が一つの社会を営むために、人と人との間におこる無用の摩擦や感情の齟齬を避ける文化が発達する。日常の行儀、相手への気遣いを示すちょっとした仕草、あるいは言葉づかいといったもので、それらをどの民族の社会でも堅牢に共有し、相続させてゆくものなのである。伊之助の精神体質は単にその共有のものに参加する能力を欠いているだけに過ぎない。良順は早くからそれを洞察したから、伊之助に寛容とまでいえる態度をとるのであった。

    良順は幕府に最後まで従った。それは、幕府に恩を感ずるとか武士道精神とかいったものではなく、多分に幕府方個人への感情的なものであったろう。近藤勇や徳川家茂などに接し、自然、そのようになっていったと思われる。家茂は病床についてから、良順を枕頭から下がらせず、ために、良順は座ったまま居眠りを続けなければならなかった。重病の家茂にとって、医者だけが友であり、良順もポンペから教わったように、”医者はよるべなき病者の友である”ということを実践したようだ。家茂は肉体へ間断なく襲ってくる苦痛と戦いながら、長州のことを懸念していた。良順の長州嫌いも、家茂を看病しつづけたときに決定的になったという。

    全4巻

  • 導入部。少しずつだけど、面白くなってきました。

  • まだ導入部分なのだけれど、どうなるのか?この二人はどう生きるのか?というひきつけ力で読み進んでしまう。

  • 幕末の蘭医・松本良順、松本の弟子の島倉伊之助、同じく蘭医・関寛斎の物語。
    先に読んだ高田郁の「あい」から関寛斎をもっと知りたくなり、この本に辿り着いた。
    司馬遼太郎らしく、史実に基づいた詳細な説明があり、幕末の医療や身分制度について興味深く読んだ。
    特に江戸時代の身分制度については、学生時代に覚えた「士農工商」という単純な公式では言い表せないのだなぁ、と。
    なぜ江戸時代の奥医師は坊主頭だったのか?、それはつまり俗世間から離別した出家僧と同じ扱いだったから、などなど。
    ただ残念だったのは、一つの小説に三人の話がバラバラに描かれているようで、一つの物語=テーマとして読めなかったこと。
    それから、関寛斎については「こうだったそうだ」という感じで、司馬遼太郎の解釈がなくて、「竜馬が行く」の竜馬のように、もっと司馬遼太郎から見た関寛斎が読みたかった。
    それからそれから(笑)、もっと良順の最後も知りたかったかも。
    そして、最初からずーっと「胡蝶の夢」というタイトルが気になっていたのだけど、終盤、伊之助が野の蝶を見て荘子の一説を思い出したところでようやく「胡蝶の夢」というフレーズが出て来た。
    荘子が自分が蝶になった夢を見たが、いやそれは実は自分が蝶であるのが現実で、人間であるのが夢なのでは?と考えたというもの。
    うーん、難しい。
    荘子の考え方を調べてみたけど、これがこの小説とどう結びつくのか…。
    いずれわかる日が来るのかな。
    その日を待ちつつ、考え続けたいと思います。

  • 松本良順とその弟子、島倉伊之助(司馬 凌海しば りょうかい)、関寛斎など幕末に蘭学を学んだ人々の物語。

    伊之助が面白かった。

    1936年に亡くなった元学習院大学独学教授の司馬亨太郎氏は、司馬凌海の長男だそうです、司馬遼太郎とよみが同じなのは、偶然なんだろうか?

  • レビューは最後に。

  • 精緻な身分制度の上に成り立ってきた徳川幕府の崩壊と終焉を、蘭方医師の生涯を通じて描いた歴史小説。

  •  奥医師良順と弟子の伊之助。江戸幕府が揺るぎなく続いた形ばかりの上下関係、それに波風たてまいとほどほどに身を置く良順と、才能ありながらも商人、武士といった身分になんの縛り、というより社会のルールを解さない伊之助。この二人を通して、社会制度などが実感できる。周囲に不快な気にさせつ伊之助を庇う良順の人柄に惹かれる。幕末の怱怱たる志士たちの名が時折現れ、江川太郎左衛門が何度とも出来てきて、感激です。 司馬遼太郎さんの豊富な知識、ご本人は本当はもっと作品のなかに投げ込みたいところを、寄り道にならない程度に抑えながら解説しているあたり、とても楽しい。

  • あっという間に一巻読んでしまった。直前まで読んでいた高村薫の本の10倍の速さで。とにかく面白い。どんどん司馬遼太郎の世界に没入。さ、二巻目に突入♪

  • 奥医師松本良順とその弟子伊之助の物語。希望が叶って長崎に留学することができた良順と、記憶力抜群だが無愛想で人付き合いのできない、問題児の伊之助の今後の成長や物語の展開が楽しみ。しかし、江戸時代、家柄による世襲制の下で、全く無能な者が奥医師として幅をきかせていた医学界って一体何なんだろう。よくこんな世の中が300年近く続いたものだ。

  • 松本良順ら、幕末に蘭学を志した医師たちのものがたりである。
    医師たちにかぎらず新しい文化と接して向学心を刺激された人々が、すがすがしく描かれている。強引にとはいえ、外国によって世界を開かれたことによって人々が目覚め、異文化に臆することなく自分たちの力で立ち向かおうと、対等になろうとしたのだ。
    武士や政治家だけではなく、医者の目で見た幕末の動乱が新鮮だった。大政奉還後の江戸の様子なども興味深く読んだ。京都の様子を描いた作品は多いけれど、当時の江戸のことを描いた作品は少ないのではないだろうか。
    歴史は、一方向から見るだけでは、わからない。武士だけではなく、医師や庶民からの視点、また京都だけではなく江戸やその他の地方からの視点。さまざまな見方を提供してくれる作品は興味深い。

  • 2012/02/13購入。2012/02/26読み始め。

  • 2階書架 : 913.6/SHI/1 : 3410153087

  • 松本良順、順天堂大学、老中堀田、勝海舟、これが点で結ばれる心地よさ。
    また、全く知らなかった「島倉伊之助」のキャラクターも興味深く、司馬遼太郎らしい取り上げ方。

    取り上げられている興味深い考察、
    ・江戸住まいの俗に旗本八万騎といわれる直参階級は学問を強制される雰囲気が殆どなく、また諸藩の藩校にあたる直参学校のようなものはなかった。

    ・徳川幕府は好奇心を抑圧しなければならなかった。日本の場合、儒教を以っては抑圧できず、結局は法と制度を巧妙に組み合わせ、権力をもって強力に作動することによって、好奇心を押さえつけた。

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