胡蝶の夢〈4〉 (新潮文庫)

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著者 : 司馬遼太郎
  • 新潮社 (2005年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152301

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司馬 遼太郎
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胡蝶の夢〈4〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 最終巻。倒幕、戊辰戦争、維新政府での松本良順、伊之助、関寛斎の生き様を描く。欲を言えば、会津戦争など、もう少し松本良順の後半部分を詳しく描いてもらいたかった。若干、尻切れトンボの感あり。

    全体を通じて、
    医学史の切り口で幕末を理解するアプローチはとても興味深く、当時は、医者という立場がユニークで、ある意味、封建社会の身分制度から自由な立ち居地で振舞うことができたのだろう。大村益次郎他数々の志士が医学に通じていることも改めて納得するところ。

  • 激動の時代に大いなる功績を残した人物の足跡を辿る。松本良順がそうした幕末小説のテンプレートに沿ったキャラクターとするならば、伊之助は独特の立ち位置に存在する男だ。目をみはる栄達をしたわけではないし、書き連ねられるのは、社交性に著しく欠けるため相手を苛立たせるというエピソードばかり。そんな伊之助も、歴史のうねりの中で、何がしかの役割を果たしている。作中で痛快なことを成し遂げるわけではないが、何だか自分の周りにももしかしたらいそうに思えて、伊之助のくだりになると少し和んだ気にさせられた。
    司馬遼太郎も、書き進めるに従って伊之助に最も感情移入したのかもしれない。『国盗物語』で一番人間味を感じたのが、私にとっては道三でも信長でもなく明智光秀だったように、本書では戦と聞いただけで震えてしまう伊之助に最も親近感を覚えた。まあ実際、あんな人間が近くにいたら、手ごたえがなくて、始終イライラさせられるかもしれないけど…。

  •  松本良順という蘭方医師を通して江戸幕府の終焉を見る。江戸幕府が消失することで身分制度崩壊が確かなものになる。身分制度により守られていたものが無くなり、それぞれの階級の人々の混乱が伝わる。時代の変革期には必ず天才が現れるのである。司馬遼太郎の幕末小説はどれも一読の価値がある。

  • 幕末期を松本良順、関寛斎、島倉伊之助という三人の医師・蘭学者の目線から描かれているために幕末物はたくさん読んでいたが、新鮮でとても面白かった。徳川慶喜、新選組などが後半登場して、より面白くなった。
    この『胡蝶の夢』の本質は江戸身分制社会を描き、その身分制社会を突き崩す大きな要因が蘭学であったということを司馬遼太郎さんは描きたかったのだと思う。

  • 二人の主人公の、一方は華々しき、もう一方は無残な、そんな最後が。。
    西洋医学という共通点はあるけれども、生まれも性格も、まったく違う二人を見事に書き並べていて、興味深いです。
    司馬遼太郎の著作は大好きだけれども、そのなかでも、今まで読んだ本の中でぴか一な話です。

  • やっとここまできた。日本の医学史が幕末を舞台に描かれている。読み応えある作品だ。

  • 最終巻が一番面白かった。特に新撰組との絡みが。他の方も書いているが、僕の中で伊之助の大村益次郎が被る。

  • 写真が伝来した件は大変興味深かった。
    蘭方医がみた、幕末といったところか。

    伊之助は大村益次郎と重なる部分がある。
    良順にはなかなか感情移入ができないが、伊之助にはできてしまう。
    たぶん作者は伊之助に愛着があるのだろう。

  • 同じ時代に、同じ学問を修めた人でも、同じ人生を歩むには至らない。幕末には様々なドラマがある。

  • 幕末の身分制の崩壊を蘭方医学の側面から描いているのが面白かった。
    どうしてもっと早く読まなかったんだろう、と後悔するくらい私の中でベストに入る司馬遼太郎の名作になった。
    この作品を読んで改めて思ったのは、幕末小説の面白さは「封建制度、身分制度の崩壊」ってところだな、ということ。
    幕末テーマはやめられんわ、しばらく。

  •  最終巻で荘子の胡蝶の夢が出てくる。日本画三山の一人加山又造のカバー絵と内容の取り合わせが、とても贅沢に思う。
     明治に入ってからは良順ら蘭学が古いものに変り、常に社会からは浮いてしまっていた伊之助は縛られることなく、アメリカからドイツにと医学の翻訳言語を変えていく。
     大きな時代の変化のなかで、ただ舞うしかない蝶。舞って後世の人の目に留まるだけでも私は凄いと思う。 
     エタ、非人が江戸時代無税だったことや、大名並みの非人がいたこと、良順の努力で平民になったことをしった。前巻に続き江川太郎左衛門と江原素六、もっと調べたくなった。

  • いよいよ大政奉還を迎え、時代は江戸から明治へ。良順は江戸開城の直前、えた・非人の差別撤廃に尽力し、その後土方歳三等とともに会津に向かう。旧幕府の側に軍医として従軍し続けたそのこだわりに、武士としての強烈な一面が伺われる。伊之助は、多彩な語学力が明治初期に生かされるが続かず、社会不適合者として不遇な一生を終える。関寛斎は明治政府に重用されるも辞職して最後は北海道に隠遁する。明治維新の混乱期を生きた人々の生き様が印象的だった。

  • 江戸末期の将軍の御殿医、松本良順を主人公とした医学会の話。漢方医が御殿で主導権を握っていたが、鎖国の中、出島から針の穴を通るように蘭学の情報が入り蘭医の先進性を認めざるを得なくなって来る。松本は御殿医でありながら江戸を離れ長崎でオランダ人を先生とする医学校、病院の設立と運営に奔走する。超保守的な江戸時代に黒船が来てからは幕府も先進的にならざるを得ないが、260年前からの体制では古すぎて瓦解してしまう。この本を読んで驚いたことは江戸時代の身分の層が緻密に別れていて、大抵の人間関係に上下がついてしまうことで、そうすると上下関係を認識させるために陰湿ないじめのようなことが起きる。天下泰平だったかもしれないが嫌な時代だな。

  • 幕末期に日本に西洋医学を導入するべく奮闘した松本良順、伊之助、関寛斎の話。胡蝶の夢とは荘子から持ってきている。「荘子―荘周―は夢に胡蝶に化った。荘周自身、自分は人間だと思っていたが、実態が胡蝶であって胡蝶が夢を見て荘周になっているのか、荘周が夢を見て胡蝶になっているのか。」

  • 2階書架 : 913.6/SHI/4 : 3410153183

  • 封建的社会の根幹をなす身分制度の内実とその崩壊を描いた長編小説の完結編。
    身分制度が日本人へ与えた影響に関する記述には感心しました。
    挿話が一段と多く、長く感じましたが、読了感はありました。

  • 人間の機微を理解しなかった伊之助の人生については考えさせられるところがある。
    幕末における幕府と新政府での医者・医学の立場と、当時の西洋医学の発展状況が興味深かった。

  • 幕末の医療と政治の関わりを描く大作。
    全4巻。

  • かつて長崎でポンペの下学んだ仲間たちはそれぞれの立場で明治維新にかかわってゆく。3巻と比べるとスピード感、臨場感に欠け、読むのに時間がかかった。司馬遼太郎の小説の主人公は、天才でかつ先見の明のある人物が多いのだが、この小説の島倉伊之助は例外。天才ではあるが、その才能を発揮する場がなく、さらに時代に対する感性も鈍い。「ああ、こういう人もいたんだなぁ」という人物。
    こんな人物を作者はどんな史料から見つけ出したのだろう? ほとんど史料がないと思われる中から、このようキャラクターをどうして生み出せるのか? そういう面にも非常に興味を持った。

  • 戊辰戦争から明治維新後までの松本良順、伊之助、関寛斎。
    この巻は説明文と余談が多くやや失速気味。

  • 松本良順 島倉伊之助 関寛斎ら江戸末から明治に蘭学、西洋医学を学び国内に移植した医者の群像。江戸幕府の崩壊、分際の社会の崩壊。
    司馬小説 幕末も最後から明治初めをつないでいる貴重な時代描写。

  • 時代とか状況とかそれらの作りだす空気とかって、やっぱりリアルタイムでしか味わえないものなんだなぁとおもう
    でも、それを違うところにいるひとが必死になってでも想像して、思いを馳せるのはすごくだいじなことだとおもう。
    江戸時代、そして幕末というものについて、そういう考え方をさせてくれた本ですた(´ω`)

  • 松本良順,伊之助、関寛斎を主人公に幕末から明治維新にかけての身分制社会の崩壊を描く。司馬さんの歴史への造詣の深さ、表現力に酔う作品である。10.5.5

  • 蘭学から西洋医学の流れ、ためになりました。

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