項羽と劉邦 (上) (新潮文庫)

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著者 : 司馬遼太郎
  • 新潮社 (1984年9月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152318

項羽と劉邦 (上) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 中国で初めて統一国家を実現した秦は、王ではなく法律で統治されたんですね。
    今でこそ法治国家は当たり前ですけど、当時の人は王や貴族による支配感が根強く残っていたのでしょう。
    秦が倒れる時に、出てくる人物の豪傑さ、狡猾さ、スケール感が半端なく魅力的です。 続巻が楽しみです。

  • 今、CSでドラマを放送していてそれが面白く、司馬先生が項羽と劉邦の本を出していると知って、早速読んでみた。上巻だからまだそんなに物語は動いていないけれど、紀元前に国盗り合戦や国を統一して立憲君主制を取った中国って、すごい!続きが楽しみ。

  • 実は初の司馬遼太郎。
    司馬遼太郎は虚構をいかにも史実のように描くと聞いたことがあったのですが、たしかにその言葉に納得できました。
    書き方がドキュメンタリー風な上に、文体が力強い。
    作品ごとに虚構の入れ方が違うそうですが、人物の造形などは司馬遼太郎が作ったものだろうと思います。
    劉邦がなぜかくも男性にモテるのか?
    それは可愛げがあるからである、という解釈が面白い。
    項羽の人柄にしても、気品と豪傑さと激しさを持ち合わせた魅力的な人物に仕立てていて、この項羽と劉邦がいかに戦うのか興味が持てました。
    横山光輝の漫画を先に読み始めていたので、視点も描き方も違うと感じました。
    どちらかとうと、わかりやすい横山光輝版のほうが好きなのですが、一癖ある司馬遼太郎の文が妙に色気があって、内容うんぬんよりも文章と人物造形が興味深くて読み続けられました。
    「史記」の面白さ、想像力を刺激する文学性の高さを改めて感じます。

  • 有能なリーダーと無能なリーダー、そんな対照的な二人の闘いの物語。
    ずっと読みたかったものでついに念願を果たす時がきた。

    さて、武人のエリートのような項羽が、ごろつきあがりのろくでなしである劉邦に苦しめられる。
    楚漢戦争はこのはっきりとした構図がすごく面白いのですが、その構図は、上巻ではまだ両者が「秦を倒す」という目的を持った同じ陣営の中にいるため、まだ現れません。

    ただ、項羽と劉邦、両者の違いを印象付ける描写はいろいろでてきます。
    たとえば、同じ軍の中にいても項羽が率いる軍は華やかで強く、一方、劉邦の軍は地味で弱い。
    でも劉邦の軍がいるからこそ、項羽の軍や項羽その人の威厳が保たれる、というシーンがありました。

    イケメンとブサイク(あるいは美人とおブスちゃん)の友達どうしにも、同じ現象が起きますよね。
    優れているほうの魅力が、劣っているほうがいるからこそ映えるという自然の摂理です。
    項羽と劉邦は後に天下を争うライバルになるわけだけれど、この時点では、名コンビと言えるんじゃないかと思います。

    上巻は言うまでもなく項羽の活躍が目立ちます。
    かわいそうなことに、劉邦は彼の活躍の陰に隠れてしまっています。
    ところが歴史の勝利者はというと、この劉邦なのだから、楚漢は本当に面白いですね。
    項羽には申し訳ないけれど、項羽が勝っていたとしたら、この時代の話はそんなに面白くないんじゃないかと考えています。

    ちなみに項羽と劉邦が強烈すぎて霞んでいる感は否めないですが、他にも面白い登場人物が出てきます。
    劉邦はバカだってはっきりわかってるのにその援助をしてしまう蕭何さんとか、秦最後の名将軍・章邯さんとか、外道すぎて笑えてくる秦の奸物・趙高さんとか。

  • 北方謙三の 三国志を読んだ勢いで
    司馬遼太郎の『項羽と劉邦』を読み始めた。

    北方謙三的な 活劇 の部分は 抑制されていて、
    その時代背景を掘り下げていく 方法は
    なかなか、なじめないものがあった。
    物語は 躍動的であるはずなのだが、
    どうも、訳知りの知識者が 語っているようで、
    入り込めない。

    劉邦が 何となく、かわいいが、イメージは
    竜馬に 似ている感じがする。
    無頼な所もあって、人を惹き付ける魅力がある。

    項羽は たしかに 武闘派で 背も高く
    闘いのチカラもあるが、どうも、活躍する場面が
    戦闘の場のシーンはおさえられている。
    それにしても、生き埋めや 20万人の虐殺など
    スケールは やはり大きいと言えそうだ。

    この上巻の 中心人物は 宦官である趙高 だろうね。
    理想をもち あやつり そして 自分の権力を 誇示し、中枢となる。
    しかし、戦が よくわからないことが 致命的で、
    情報は、集中し、集約するが、その価値は良くわからない。
    それに操られる 始皇帝の息子 胡亥。
    優秀なる 将軍 章邯は、陳勝の 手紙に心をゆさぶられる。

    範増が 不思議な老人で 戦略家 というのが
    いいねぇ。この老人の活躍が 物語を支える。

  • やっぱり、小説家ってすごいな、と思わされた。
    項羽や劉邦がどんな弱みがあって、どんな人間的な魅力があったかが伝わってくる。
    たとえそれが司馬遼太郎の個人的な解釈であったとしても、やはり興味は尽きない。

    趙高の暗躍で秦が滅んだことも、これまでに学者の本で読んでいると思う。
    でも、「小説」として読んだ今回の方がずっとそれぞれの姿が頭に残った。
    そう、この作品は、まだ「小説」的に楽しめる。
    小説か、論文か、エッセイか・・・?と戸惑ってしまう「空海の風景」とは様子が少し違う。

  • 自身無双を誇り、その軍も当たるところ敵なしだったにも関わらず、最後には滅びてしまった項羽。一方で、何度も敗走を繰り返しながらも、最後には天下を取った劉邦。
    結局、強さだけでは駄目で、もっと別な力(魅力)が必要。

  • 紀元前の中国が舞台です。
    万里の長城を作った秦の始皇帝。その始皇帝の晩年、そして死から始まります。
    紀元前です。すごいですねえ。
    司馬遼太郎さんと言えば、戦国時代と幕末が大看板なんですが、16世紀や19世紀の日本から、一気に紀元前の中国。
    司馬遷という人が書いた「史記」という本が、紀元前90年あたりです。
    その「史記」が大いに取り上げている、紀元前200年あたりの
    「秦の始皇帝亡き後の、項羽と劉邦の争い」
    を、司馬遼太郎さんが描きます。
    もともと、「司馬遷に遼(はるか)に及ばず」という意味で「司馬遼太郎」というペンネームだそうです。
    そんな司馬さんが、本家司馬遷に挑んだ、とも言えるこの小説。
    時代背景を平易な言葉で楽しませて。
    キャラクターの男臭い魅力が何人も炸裂。
    ユーモアと皮肉の俯瞰な語り口。
    一方で講談的な力強い物語。
    「司馬遼節」が縦横無尽の傑作です。
    今回は、恐らく25年以上ぶりくらいの再読。
    前回読んだ時も、とにかく夢中に愉しんだことだけを覚えています。
    紀元前。中国。秦の始皇帝。
    日本人から見ると、腰抜けなスケールの王朝。
    始皇帝の病死。側近の陰謀。帝国の腐敗。
    もう、この入口からたまらないワクワク感でした。
    秦という帝国の崩壊が描かれる、文庫版の上巻。
    混沌とワイルドさの紀元前中国社会に、雨後の筍のように這い出てくる乱世の男たち。
    百姓上りの犯罪ごろつきの劉邦。不思議な人間的寛容さと、人望を持っています。
    地方の名家の血筋、項羽。頭抜けた武勇を誇る、超人的な武将。
    このふたりの運命的な好対照。
    このふたりの人となりを描きつつ。
    項羽が事実上、秦帝国を崩壊させる痛快極まりない大戦闘。
    7万の手勢で20万を超える大軍を打ち破る。
    その描き方は、冗長でもなくあっさりと、しかしサスガの興奮ものです。
    と、思ったら、その項羽が20万人の捕虜をイッキに虐殺するという…これまた開いた口がふさがらない衝撃で、中巻へ。
    もう、とにかく、中国史がどうこうとか、そういう小理屈を超えています。エンターテイメント。たまりません。
    そんな怒涛の中に、司馬遼太郎さんは執拗に
    「今の日本人の常識とどこが違うのか」
    という視点で語ってくれます。
    わかりやすい。
    実に読み易い。
    加えて、「馬鹿」という言葉の語源の逸話が語られたり。
    「関東」「関西」という言葉の語源がわかったり。
    「へーなるほど」まで、全部乗せのゼイタクさ。
    一方で、どれだけ近世までの日本が、中国の知性の影響下にあったのか。遙か山なみを望む想いですね。
    こういう形で中国の歴史を素材にした本が読める。
    僕たちの母国語で読める。
    日本人で良かったなあ、と、足取りも軽く中巻へ。
    電車に乗っていられる時間が愉しみでたまりません。

  • 司馬遼太郎の本で最初に読んだ本が確かこれだったと思う。筆者の淡々とした語り口とテンポの良さにすぐに引きこまれて、あっという間に3冊読んでしまった。上巻は兎に角、項羽が格好いい。

  •  これは面白いですね。

     人を率いるのがどういう人間か、組織の中でリーダーはどう振舞うべきか、リーダーでなければどういう役割があるのか。
     戦略論として、弱者はどう戦うべきなのか、強者は。

     いろんな示唆に富んでいます。

     紀元前の昔に、何十万人もの人間を一人が率いていたというのは、にわかには信じがたいですが・・・。個人的には、周りの人間や組織を見ると、数百人でも治めるのは大変でしょうから。

     それと、司馬遼太郎はものすごいですね。なんでそんな昔のこと、知っているの? 見てきたの?とまるで子供のような感想が出てきます。

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