項羽と劉邦(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152318

感想・レビュー・書評

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  • 個人的には読み進めるほど、章邯と司馬欣に魅力を感じて持っていかれました笑
    現代日本人の私たちでは感覚が掴みづらい当時の風習や世界観を端的にわかり易く説明しながら、キャラクターにしっかり血が通っているのが感じ取れる物語の展開の仕方が凄かった。
    司馬遼太郎先生の作品を初めて読み終えたけど、頭が混乱しない物語運びが、ただシンプルに凄いと思った。

  • 登場人物全員、キャラがいいんだよなあ。。。
    劉邦のダメっぷりもいい(笑)
    ちっぽけな自我を捨てられたら、少しは器が大きくなれるかなあ~

  • やはり中華の歴史は読み応えがある。

    登場人物の魅力的なことといったらない。
    その土地土地の民族性などの説明もあり、すごく分かりやすいし読みやすい。

    上巻は劉邦はあまり活躍せず、主に項羽がどのような人柄かがよく分かった。

  • 兵士と共に戦う項羽、戦下手だけど人の話をよく聞き褒美をしっかり出し人が集まる劉邦。この対比が面白かった。

  • 紀元前221年に春秋戦国時代の中国を統一し、秦王朝を打ち立てた始皇帝の末期から始まる本書。それまでの封建性に取って代わり、官僚制による各地を統治するという斬新な方法で全国を支配した。万里の長城を始めとする数々の大型土木工事を行ったが、これを実行する為に各地から労働力を徴用しつづけたことで民心は離反していた。始皇帝が死ぬと、各地で武力勢力が蜂起する。宦官の趙高は胡亥(こがい)を担いで形ばかりの後継の皇帝とし、自らがすべてを取り仕切る事に成功する。

    統制が乱れた地方では同じ様に各地域の旧王族を担ぎ上げた自称王国が多数誕生する。其の中の一つが、江南の楚であった。項梁がかつての楚の王を血を引く男、羊の糞を乾かして売り歩く男を探し出し、楚王に祭り上げる。
    軍を立上げ、項梁の甥である項羽と、劉邦は楚軍の将軍として秦の軍を打ち破っていく。

    一方、秦は趙高の代理施政によって完全に内部が腐敗し、外で展開する反乱を収める能力は失っていた。

    ここで描かれている事は、その4〜500年後の三国志で起きる事と酷似しており、歴史は繰り返すという言葉はすでに2000年前から同じである事を思い起こされる。役人の腐敗、人民からの搾取と虐殺、傀儡による政治の私物化、謀反などあらゆる悪事はその後の中国の歴代王朝でも何度と無く繰り返され、そして現代に至る。

    更に驚くのは、ここから更に1500年ほど遡った殷王朝に関する記述。存在が確認されている王朝としては中国最古であるが、その遺跡には王の周辺に首の無い骨が500柱程発掘されているという。それが何を意味するのかは不明であるが、おそらくは殉死者なのか奴隷なのかという事である。そのような野蛮な事が行われていた事に驚愕する。

  • 他の作品もそうだが、『項羽と劉邦』もビジネス教養書としてあまりに有名。
    曰く、項羽はカリスマ性もあって有能だが部下の意見を容れず、劉邦は無能だが部下に慕われ、優秀な人材を多く集めたため天下を獲った。だから上司たるもの、自分の能力以上に部下への接し方が大切である…といった具合に語られるのをよくみる。

    上巻読了時点の感想としては、そういう風に読むことも可能だろうが、司馬遼太郎の描きたかったこととはズレるのではないかな、といったところ。
    まず項羽からして、カリスマと呼ぶには蛮勇の色が強すぎる。むしろ頑固で人間味の薄い戦闘狂といった具合でカッコよさはあまり感じない。
    一方の劉邦も、人徳を集める人物という描写は多いが、その理由は龍に似た人相にかなりのところを負っていて、ダメさを帳消しにするほどの魅力的な人格の持ち主には見えない。

    というわけで現状ではどちらも何を考えているのかよく分からず、感情移入しづらいものの、単純に古代中国の世界観を味わう読み物としても充分に面白く読めた。今後に期待。

  • 始皇帝が中国を統一したところから物語が始まる。始皇帝が全国に顔を見せるために巡回している間に死んでしまい、それに漬け込んだ宦官の趙官が胡亥を要して実質の皇帝になる。始皇帝から始まった建設事業によって多くの人たちが駆り出され不満が溜まっていきついに陳勝が反乱を起こすことで秦帝国の崩壊が始まる。これに続き呉中の項梁、項羽や沛の劉邦らが反乱軍を組織。鉅鹿城にて章秦軍を倒した項羽は20万もの秦軍を捕虜とするも新安で20万の兵を谷に生き埋めにしてしまう。
    シンプルに戦国時代の中国を統一した始皇帝はすごいが封建制度から法治国家にするのは難しかったか。無駄な建設はしないに限る。キングダム読んだことあるから少しだけ理解しやすかったが、全体的に登場人が多くて難しいのと中国の地理が馴染みがないので揚子江より南が全くの異文化とかわかりにくかった。

  • 歴史には疎く、歴史書を読むことは少なかったのだが、先日中国の西安・成都に観光に行って興味が湧いたことをきっかけに、司馬遼太郎の項羽と劉邦を読むことにした。上・中・下の三巻からなり、それぞれ約500ページもある書で、まだ上が終わったばかりだが、非常に面白い。

    項羽と劉邦だけではなく、周りの人物像もこと細かく記載されており、歴史的背景も非常によく分かりやすく記載されており、またクスッと笑える部分もある。たまに中だるみする箇所があったが、戦闘シーンなどはまるで映画を見ているように情景が頭に浮かび、最後の項羽と章邯が出会う場面では、章邯に感情移入しすぎて涙が流れた。

    続いて中へ進もうと思う。

  • 秦の始皇帝が死に乱世に突入した中国。そこに現れる英雄2人。項羽と劉邦。
    上巻ではまだ大きく羽ばたくまでには至らず。
    劉邦は人たらしのようだが、まだ皇帝になるような要素は見せない。
    項羽が闇落ちしていきそうな予感。
    それにしても、この時代に生まれなくてよかったと何気に思ってしまった。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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