覇王の家〈上〉 (新潮文庫)

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著者 : 司馬遼太郎
  • 新潮社 (2002年4月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152387

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覇王の家〈上〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 司馬遼太郎ならではの徳川家康の話。
    覇王の家、というタイトルとちょっと印象が違いますが~面白く読めました。

    三河の小さな大名の子に生まれた家康。
    今川に人質に出されている間に父は亡くなり、不在のまま跡を継ぐが、実質的には領国を支配できない。
    三河の人々はそれに耐え、気の毒な若君を思い続けたという。
    実直でやや排他的だが、一丸となって戦う三河武士。
    もともと農民である分、地縁に恵まれた関係だったという。
    尾張は都会なので、気風が違うのだそう。
    織田信長はもちろん、身分の低い出の豊臣秀吉でさえ、ずっと合理主義者だったのはそのせいだという考察が説得力あります。

    家康は信長よりも武田信玄のほうに親近感を抱いて尊敬していた形跡があるそう。
    そういわれれば‥
    織田信長には正妻と長男を殺すように命じられたしね。
    しかし、この件については、妻の築山殿のことをえらく悪く書いていて、何か資料もあるのでしょうが、作者の嫌いなタイプだったの?
    長男も猛々しすぎて家臣の信頼を失った経緯があるそう。

    家康自身は戦った相手のほとんどを許し、反乱を起こした家臣も降伏すればそのまま許し、戦国大名には珍しく?誰かを謀略によって殺したこともない。
    自分で手を下して誰かを殺したことは一度もないほどらしい。
    さすが、「鳴くまで待とうホトトギス」?
    家康は最初から天下を望んだのではないでしょうね。

    大河ドラマ「真田丸」が始まる頃に、予習のひとつとして読みました。
    あまり真田について詳しくなりすぎても、かえって文句言いたくなるかもと思って、この辺から。
    本能寺の変の後の伊賀の山越えの話など詳しく書いてあり、ドラマではほとんどスルーの小牧長久手の戦いも詳しかったので、ちょうど良かったです☆

  • 再読。と言っても、前に読んだのは数十年前か…。

    司馬遼太郎さんは、徳川家康が嫌いです(笑)。
    やっぱり、関西人ですからね。って、そんな感覚が大阪で暮らしていっそうわかるようになりました。

    そんな司馬遼太郎さんが、徳川家康の人生を描いてみた、という本。
    小説なんですけど、小説というよりは、評伝と言う感じです。
    なんというか、小説、と呼ぶには、熱情というか入れ込み方が少ないんですね(笑)。
    ただ、別段罵倒したり感情的に悪態はつきません。
    「なんかなあ…好みではないんだよな…すごいんだけどね」という。

    でも、本としては実に面白い。
    結果論で英雄扱いするのではなく、ほんとに戦国時代を兎にも角にも生き残った家康さん、という感じ。

    それなりの豪族の長男でありながら、強国の都合で人質に出されて、更に途中で売買されてしまったり。
    苦労に苦労を重ねた少年時代と、それに耐えた「田舎者集団」の三河武士たち。
    その家臣団の結束を強みとして生き残っていくのですが、
    一方でその田舎者な家臣団たちの限界というか、嫌らしいところも描きます。
    新参者に冷たく、陰険な体質。
    ただ、それを糾弾せずに、受け入れて乗っかっていく。独創やひらめきではなく、求められるリーダー像を守っていく。そんな家康さん。
    実にパッっとしません。
    実に地味です。
    それを守り通すことで生き残っていく、そんなところに醍醐味があります。

    今川の傘下から、桶狭間をきっかけに織田信長の傘下に。
    信長のために「北条氏と武田氏の盾」の役割を甘んじる。
    その上、謀反の疑いで、妻と長男を殺せ、と言われる。断れない。
    武田信玄には負けるし、けっこうたびたび負けます。
    実にパッとしません。
    実に地味です。

    でも、ミスをしない。内政のミスをしない。領民には悪い領主ではない。家臣団も圧迫しない。
    じつにこう。

    人間関係。

    強弱の人間関係。

    なんですね。
    そこに忠実に地道に歩いていく。
    そして生き残って、地道に積み重ねて大きくなっていく。

    家康とその家臣団、という地味な成功者のどろどろした人間模様。
    これを、珍しく東日本関東までの目線で戦国と言う時代を解剖しながら味わえます。

    上巻は、信長が死んで、秀吉の台頭。秀吉との対決が始まるころまで。
    有名英傑同士の政治的感情的力学が、国際サスペンスを味わうようなエンターテイメント。

    そして、家康的、徳川的な、人間関係や秩序重視の世界観が、江戸期を通して日本人のある形態を作っていったのでは、という大きな視点。

    毎度、司馬さんの本はするすると読めてしまいます。

  • 司馬遼太郎の描く徳川家康。家康に抱いていた巨人像が見る見るうちに小さくなっていく…。小さな巨人、徳川家康の物語。


     家康は可哀想という感想しか出ない。それでもその都度何とかなるから、人生に勇気を与えてくれる存在である。諦めずに、小心者を貫けば、生き残れる!!


    _______
    p16 お人好し岡崎
     家康は幼いころ(竹千代)に攫われて織田家に人質として捕われたり、その後今川家預かりになったり、故郷で暮らせない散々な目に遭っていた。
     家康の故郷、三河岡崎の民も狂うしい思いをしていた。家康の父:広忠は24歳で亡くなり、その後は不在ながら家康が家督を継いだ。当主のいない三河は今川預かりの土地となり、岡崎の人々は今川家から出向してきた侍に支配された。その中で可哀想なのは、三河の御家人は俸禄を停止され農民に成り下がるしかなかったことである。ひどい。しかし、岡崎にの人々はそれを渋々受け入れたという、なんというお人好しだろうか。
     確かに逆らえば岡崎のような小国は今川のような強国の手にかかれば一握りであろう、家康が大きくなってまた岡崎の地が独立できるその日まで耐え忍ぼうとおもったのか。なんかよくわからないな。

    p22 学問
     家康が幼い時代を過ごした駿府は他の戦国大名の土地とは格が違った。今川家は足利家の血を引く良家で、貴族文化が浸透していた。それゆえ文化水準、学識水準も高かった。人質として暇を持て余す家康は学問を少しかじったらしい。そういう土地にいたからできたことだ。
     しかし、戦国時代に学問を納める武将はほとんどいなかった。信長もうつけ者と言われ、謎の袋を身に付けて毎日野を駆け回っていた。秀吉は言わずもがなの猿である。明智光秀とかは貴族文化にかじっていたりしたが、そういう人物は珍しく、だから重宝されていた。
     家康が天下を納めるようになったから法治国家ができたが、それはこの人質事件が無ければ生まれなかったと考えると、感慨深い。

    p25 真似ぶ
     「学ぶ」は「真似ぶ」からきているという。手本に倣うことが学ぶということ。深い…?7

    p26 独創の限界
     家康が駿府で習った雪斎和尚は習字で独創的な字を書く和尚の手本に怪訝なまなざしを向けた。それに対して曰く「わしのように年老いれば別だ。六十を超えれば、世道世間の人迷惑になることは別として、書風くらいわが身勝手で会ってよい。しかし若い時はそうあってはならぬ。-真似るのだ。」
     独創や創意、頓智などを世間の者は知恵というがそういう知恵は刃物のように危険で、やがては我が身の慢心になり我身を滅ぼす害物になってしまう。慢心で自分に癖ができてしまえば、戦においては3勝して最後の一回で大敗を期して身を滅ぼすことになる。
     そこへゆけば、真似びの心あるものは無限の外の知恵という物が入ってくるから、強い。その都度、最適な手段を選ぶだけですむのだ。

     なるほど、型の鍛練と同じだな。

    p49 律儀さ
     家康のキーワード「律儀」。この用心深さがあったから天下を取れたと言えるかもしれない。あらゆることに律儀で、それ故に織田信長に気に入られ、今川から独立して同盟を結ぼうと言われるほどだったのである。

    p51 今川を裏切る、謀術者
     家康は岡崎城主になった。今川義元が桶狭間で死んで、息子の今川氏真が継いだが有名なできそこないだったらしい。そこで家康はきっぱりと今川に見切りをつけて織田と同盟を結んだ。すごい。
     ここに至るまで、家康特有の入念な下調べがあった。

    p58 井伊家の赤
     家康は甲斐武田氏と隣接して日頃からその騎馬の鼻先がこちらを向かないか戦々恐々していたはずである。しかし、武田勝頼が織田に敗れた後、武田の家臣が浪人になっていれば、大人数で... 続きを読む

  • 徳川家康 なんとまあそこにいるかのような人物像。三百年も続く時代を築き上げるなんて前半の家康さんでは全く想像できない。何度負けても生きていればチャンスはあるわ。ちゃんと生きていれば。

  • 「タヌキおやじ」「ぽっちゃり」「地味」
    私の中での「徳川家康」のイメージ。
    これはやっぱり有名な肖像画からのイメージなのかな。
    「関ケ原」を読んだ後は「家康ってなんか嫌な策略家だな~。三成に勝たせてあげたかった」という低評価なありさま。260年続いた徳川幕府を作った天下人、だけど何だかあまり知らなかった。
    ところが、「国盗り物語」「太閤記」にチラチラ出てきた家康は全然「タヌキ」ではなかった。そこでこの「覇王の家」を手に取り、更に家康について読み進めると「タヌキ」どころか好青年。どちらかというと実直で芯の強い苦労人。
    小さい頃からの人質生活ののちに、信長にこき使われ、それでも文句すら言わず、ひたすら地道に地道に地盤を固める。三河武士の強さと団結力の秘訣がこの精神から由来しているのだと知り、三河人の地味さは「シブさ」だとわかった。
    流行りの茶なぞには目もくれず、豪華な茶器や南蛮渡来の物にも興味をそそられず。自らが倹約家であり、家臣にもその心を大事にさせたという。
    家康の地味さは実直さだったか。
    晩年の徹底的な豊臣潰しを行うまでの調略さにかけてはこれは誰も敵わないと感じたが、短絡的ではなく気の遠くなるような長期に亘りひたすら積み重ねては地盤を固めていく精神が、260年続く徳川家へと受け継がれ、現代まで続く日本人のアイデンティティの基礎になったのかと感じると凄い人だったんだなと改めて感じずにはいられない。

  • ーー真似るのだ。
     という。独創や創意、頓知などは世間のものは知恵というがそういう知恵は刃物のように危険で、やがてはわが身の慢心になり、わが身をほろぼす害悪になってしまう。いや、わが身の勝手知恵というものはーーとくに戦の軍略のばあいはーーいかに古今に絶っしたいくさ上手であろうと、やり方が二通りか三通りしかなく、それが癖になって決まりものになってくる。いつのいくさのときもおなじやり口になってしまい、それを敵がのみこんでしまえば、敵のほうが逆手にとって出てくる。結局は三勝して最後に一敗大きくやぶれて身をほろぼすもとになる。
    「そこへゆけば」
     と老師雪斎はいった。
    「物まねびの心得ある者は、古今東西のよき例をまねるゆえ、一つ癖におちいることがない。それにはなにがよいかという、よいものを選ぶ心をつねに用意しておかねばならず、そういう心におのれの心を持しているためには、おのれの才に執着があってはならぬ。おのれの才がたかが知れたものと観じきってしまえば、無限に外の知恵というものが入ってくるもだ。そのうちの最良のものを選ぶだけのしごとですむのだ」

    雪斎の説では、天才とは一生で大いくさと三度もすればそれで十分なもので、百戦百勝というようなことはせぬものだということになる。さらに雪斎の説は、天才でない者はおのれの知を張りださず、ひとのよきものを真似び、それによって生涯粗漏のなきことのみ考えてゆくべきだ、ということになるらしい。

  • 徳川三百年―戦国時代の騒乱を平らげ、長期政権(覇王の家)の礎を隷属忍従と徹底した模倣のうちに築き上げた徳川家康。三河松平家の後継ぎとして生まれながら、隣国今川家の人質となって幼少時を送り、当主になってからは甲斐、相模の脅威に晒されつつ、卓抜した政治力で地歩を固めて行く。おりしも同盟関係にあった信長は、本能寺の変で急逝。秀吉が天下を取ろうとしていた…。

  • どちらかというと三成が好きなので、これまで司馬作品の中でも敬遠してたタイトルですが、食わず嫌い的なところで、読んでみるとなかなか興味深い作品。特に250年続いた徳川幕藩体制は日本人に徳川家の家風を浸透させたという説はなかなか面白い。

  • やっぱり司馬遼太郎はおもしろい。スピード感と登場人物の思考描写がいいんだろうな。

    変に史実をひとつひとつなぞっていかないから気持ちよく読み進められるんだな。

  • 徳川家康は江戸時代以降の閉鎖的な社会を築いた創始者としてネガティブな印象のあるが、主人公にした小説はこれまで読んだことがなかったので読んでみることにした。
    上巻は今川家の人質時代から、織田信長の死を経て、権力を確保しつつある羽柴秀吉と対峙するまで。

  • 司馬遼太郎
    (小説)

  • 江戸幕府という260年もの世界を作り上げた家康が、天下を目指した先駆者、豊臣や織田とは何が違ったのかを、土地柄やややこしい戦国時代のシステムを混じえてわかりやすく勉強できる。なにより家康の考え方や性格が、領地領民の命がかかった戦いの駆け引きで常に光っている。とても勢いがあって面白い。関ヶ原以降はごっそり抜けているので、『関ヶ原』『城塞』に続きます。

  • 勉強になる!
    一気に読めた!!
    下も早く読みたい!

  • 徳川家康の生涯をおっていく小説であるが、家康を、出身地である三河の人々の特性から論じている点で、他の時代小説とは大きく異なる。単に家康がここでこういうことをしたことが記録に残っている、とか、時代劇染みた展開だとか、そういう小説ではなく、あくまで徳川家康という人間の生涯を、司馬遼太郎の論評を交えながら、ふりかえるような小説。
    ここ最近読んだ本の中で一番面白かった。

  • 徳川家康の生涯を語った物語。

    数々の有名な出来事を時系列で知ることが出来て勉強になりますが、いかんせん読むのに時間がかかる…
    余談が多くて、固有名詞に慣れてない者にとっては本筋が分かり難くなったりもしました。
    旧国名の地名も距離感が掴み難いし。

    でも読みきる事は出来たので、面白いとは思います。

  • 松平家の勃興から秀吉の台頭までが上巻。物語性はやや薄く解説が多いように感じたが、「なるほど、そんなことがあったのか。」と楽しめる。信長、秀吉、家康と誰しもがそれぞれの人柄についてある程度のイメージを持っているが、それを明確に実証的に掘り下げていくのは快感。なるほど、家康は模倣の人だったのですね。それも一流の。

  • 下巻が楽しみだ!

  • 家康は、どうも好きになれない。
    基本的に、秀吉が好きな人は、家康が嫌いな傾向にあることが多い。

    上巻においては、
    保守的自己保身型な性格を形成するにいたる背景が、記述されている。質実剛健と言えば、それまでだが、本書においては、天下をとるような華やかさは皆無である。

    英雄的というよりは、ひたすら現実的である。

  • 苦労人徳川家康の生き様が分かり、とても面白い。20代に一度読んだが、40代になって読んでみると組織の中で働いているだけに周りの人への気遣いや人間関係への配慮と共感できる部分が数多くあった。
    織田信長のような天才肌とは違い、色々な苦労を乗り越えて経験を重ねてきただけに自分のような一般人には参考とすべき点が多いと思う。

  • 20130818 史実を自分で考えてしまう。どれだけの想像力か。納得させてしまうのがすごい。

  • これまで知らなかった徳川家康の一面が面白かったです。あいかわらずの司馬節も心地よかった。

  • 『覇王の家(上)』
    徳川家康を主人公にした物語です。
    三河武士の強みと弱みがうかがえます。

    家康の生い立ちから最期まで、
    どうぞご覧あれ。
    司馬遼太郎さんの書き方は魅力的ですね。
    (END)

  • 筆者によれば、徳川による300年に渡る支配こそが今日の日本人の国民性を作り上げたのだという。その大本となった徳川家康とその家臣団を分析し、その根拠を分析する歴史小説である。新史太閤記などに比べると、家康や三河人の内面理解に重きが置かれているため、小説としては多少地味であるが、その地味さが一般的な徳川家康像をうまく表現しているように思った。
    実際にどうだったのかはさておき、織田信長や豊臣秀吉、その他の戦国大名の派手さに比べて、徳川家康にはどこか得体のしれない狸親父としてのイメージがあると思う。そのイメージを抱かれるゆえんを筆者の豊富な知識と独特の分析力で納得させてくれるような小説である。

    徳川の名を挙げるきっかけである小牧長久手の戦い関連に多くの項が割かれている。また、小牧長久手の後は唐突に彼の臨終間際のシーンまで飛んでしまうので、人によっては中だるみしたり、肩透かしを食らうかもしれない。著者の他の作品なども読んで、補完するのがよいかもしれない。

    <上巻>は賤ヶ岳の戦いまで。

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