覇王の家〈下〉 (新潮文庫)

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著者 : 司馬遼太郎
  • 新潮社 (2002年4月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152394

覇王の家〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 家康が秀吉と対決しなくてはいけなくなってから。

    上巻ほど苦戦せずに読み終わりました。
    おそらくほとんどが小牧・長久手の戦いなので、誰がどこの国の人か、人間関係が分かりやすかった為と思われます。

    江戸270年の歴史を始めた人の割にはどんな人か知らないなぁ、と思って読み始めたのですが、なるほど割と地味でケチな人だったようです。
    でも人の扱いというか、計算が上手い人だったというのはよく分かりました。
    司馬遼太郎さんの解釈ではあるのかもしれないですが、家康の性格やその時代、時期の情勢が分かりやすくて面白かったです。

    家康、秀吉など、やはり何かを極める人というのは、ちょっと変な人なのですかね。。

  • 小牧長久手の戦いをえがいたあと、
    晩年の話に飛び、終結。

    石川数正の話が面白かった。
    秀吉が(―数正なら蕩せる。)と思っていたのにぐっと来た。
    しかし、秀吉の元に奔っても、栄転しなかった数正が悲しい。

    『功名が辻』を読んだ時にも思ったが、
    今回も少しだけ言及されただけだけど、
    司馬遼太郎さんは蒲生氏郷が好きなんだな、と思う。

    家康に上洛せよと促す、秀吉の外交の使者、
    織田長益、滝川雄利、土方雄久が三河から戻り、
    織田信雄とともに秀吉に結果を報告するため夜急ぎ参り、
    起きるともわからない秀吉を待つため、
    寝所のそばで忠誠心を示すがごとく控えている様子が面白かった。
    控えているとき、織田長益だけは退屈しておらず、
    「欄間を見あげては、その透かし彫りについての講釈を
    滝川雄利を相手にやっていた。」という描写があった。

  • 感想は上巻にて。

  •  かれは自分という存在を若いころから抽象化し、自然人というよりも法人であるかのように規定し、いかなる場合でも自己を一種放下したかたちで外界を見、判断し、動いてきたし、自分の健康についてもまるでそれが客観物であるかのように管理し、あたえるべき指示をかれ自身がかれの体に冷静にあたえてきた。家康の深奥に秘密があるとすればこのことであり、かれの一代はこのことから成立しているといってよく、さらにはどうみても英傑の風姿をもたず、外貌も日常もそして才能もごく尋常な人物でしかないこの男が、その深部においてきわだって尋常人と異なっているところはこの一点であり、この一点しかなかった。

  • 戦国時代の混沌の中から「覇王の家」を築き上げた家康の、勝者の条件とはいったい何だったのか…。小牧・長久手の戦いで、時の覇者秀吉を事実上破った徳川家康。その原動力は、三河武士団という忠誠心の異常に強い集団の存在にあった。信長や秀吉とは異なる家康の捕らえがたい性格を、三河の風土の中に探り、徳川三百年の精神的支柱を明かしつつ、日本人の民族性の謎にまで迫る。

  • なぜか関ヶ原は思いっきり飛ばされているけど、家康が死ぬまでが書かれている。
    あらためて思ったのは個人の性格・能力はその環境から作られるもので、組織の性格・能力も個人の集合により作られるもので、その性格・能力は土壌となって未来に受け継がれていくものだということ。
    やっぱり歴史はおもしろい。

  • 家康の物語

    家康は模倣を好み、独創を嫌う
    武田を畏怖し模倣し小牧長久手を戦い
    秀吉を模倣し関ヶ原を戦う

    健康家で吝嗇家
    夜伽が無い日が無いほど好色家だが漁食はしない
    梅毒を避けるために娼婦もとらない

    部下を罰さない
    若い頃に散々負けている

    凡人は天才を模倣すればいい

    人の話は全身を耳して聞く。
    どんな愚論も辛抱強く聞いた。

  • 徳川家康が盤石な江戸幕府を築くまでの道のりを描く。下巻は、後の家康の立場を作ったと言える、豊臣秀吉と対決した小牧長久手の戦いを中心に入念にたどっている。
    あとがきでは、日本人の民族的性格が江戸時代を通じて矮小化された理由を、徳川家の極端な自己保存の神経に過敏な性格から出ている、としている。

  • 司馬遼太郎の描く徳川家康。日本人の悪い所は家康のせいが大きい、そう思えるところがある。それがわかった。


     家康が他人の顔色を伺うのが巧かったから、今の日本人の美徳は空気を読むことになったのかもしれない。
     家康の経済感覚が農本主義だったから、今の日本人は近代化の精神がなかなか育たないのかもしれない。
     家康の性格がケチかったから、今の日本人も節約好きで、蓄財家なのかもしれない。
     家康の感性が「客観的」だったから、今の日本人は規範意識が非常に高い民族になれているのかもしれない。


     後世の日本人にこれだけの影響を与えている。死んでもなお自分の人間性が社会に影響を与える。本当に神のようだな。それは家康を崇拝し尽した秀忠と家光のおかげというところもあるのだろうが…

     これほど家康の影響を受けた日本という国家。それがすでにもう、「覇王の家」なのであろう。日本は徳川家の領域内から抜け出せない。アイデンティティに組み込まれているってすごいいいいいい!!!!


     それだけ日本人にとって江戸時代という歴史は偉大なものだということだろう。まぁ、国民全体に教育が施されるようになったのもこの江戸時代から出し、日本全体が一つにまとまったのもこの時代からだからな。
     やっぱり家康は偉大な、偉大な人物だ。器の小さい、小さな巨人だな。

  • 戦国好き、日本史好きな人には、おすすめですね。
    いや、というよりも、戦史好きな人、かな…。

    下巻は、ほとんど
    「完全版 小牧長久手の戦い」という感じです。

    秀吉vs家康という、オールスターゲームのような「小牧長久手の戦い」。
    これを、発端理由から、戦闘、そして戦闘後の外交戦まで。
    実に余すところなく描き切ります。

    一枚岩の家臣団。先祖以来の地元。囲まれない辺境の領主。
    という長所や特徴を活かす徳川家康。

    寄せ集めの家臣団。近畿で敵に囲まれかねない状況。目立ちすぎる出世者。
    そんなデメリットを裏返すように、政治力、陰謀、そして天性の明るさと捨て身な行動力で、対応する羽柴秀吉。

    これはこれで、男性的には、レアル・マドリーvsバルセロナ、みたいな手に汗握る単純なエンターテイメント。
    こういうのを描かせると、盛り上げ方、息の抜き方、脱線話、実に豊穣な解説者にして演出者です。司馬遼太郎さん。

    ただそこに、結局全ては人間関係。人の心理、他人の弱さみたいなものを、どうわしづかみに掴むのか。
    もっというと、人間の集団を、どう操作するか。あるいは、乗せていくか。
    いや、というより、どうやって振り落とされないようにするか。

    そんな目線ですね。

    ただ、家康さんの生涯の評伝…という訳ではないのは、小牧長久手終戦の後は、イッキに飛んで、家康の死になります。
    まあ、その間は「関ヶ原」「城塞」という二大長編を読んでくれ、ということなのか…。

    しかし、子供のころから、「ザ・戦国」な風雪にさらされてきた家康さん。
    好悪を超えて、その死を描く終章はけっこう感動的でした。

    しかしまあ、家康さんはほんとに健康医術保健に詳しかったんですね…。健康オタク。

  • 徳川家康の持つ、質素で保身的で非独創的ながらも、勝負勘の良さと大胆さと先見性を兼ね備えた人物像を描いた作品。
    信長・秀吉の築いた派手で個人主義な文化と、徳川の築いた忠誠心を重んじ質素倹約に努め根回しで事を運ぶ文化の違いが対比的に描かれており、400年以上経過した現在でも同様の風潮が垣間見える辺り、大変に興味深いと感じた。

  • 「太閤記」を読んだ後、まずは家康の事が知りたくて「覇王の家」を読んだ。読み終えて、信長のような決断力と、秀吉のような交渉術と、家康のような抱擁力がほしいとつい思ってしまった。後半、秀吉から家康へ天下が移り変わる部分がスパッと抜けていた。これは「関ヶ原」を読まなくてならない!

  • 秀吉との勢力争い話が長らく続いたのち、一気に家康晩年を迎え終了。間の時代は氏の他の作品で書かれており、以前に読んだこともあるが、やはり一つの作品として長い時がいきなり飛ばされると少しさみしく感じる。(とはいえ、同じ時代の同じ登場人物の話を、複数の作品でボリュームもってかけないのはわかりますが。)
    後書きに以下の記載がある。「室町末期に日本を洗った大航海時代の潮流から日本をとざし、さらにキリスト教を禁圧するにいたる徳川期というのは、日本に特殊な文化を生ませる条件を作ったが、同時に世界の普遍性というのもに理解の届きにくい民族性を作らせ、昭和期になってもなおその根を遺しているという不幸もつくった。」たぶん、平成にも根を遺していますね。それにしても、一人の人間が立ち上げた天下がここまで民族に影響するってすごいなぁ。。

  • 家康の財産は、秀吉に負けなかったということにあると思う。その事が、秀吉も遠慮をした実力者としての立場を作り上げた。

    長く続いた、閉鎖的な江戸幕府が、よい面よりも、悪い面の方が多いのでは?という考えは面白い。鎖国のおかげで、世界の流れから取り残されたが、日本国内で独特の世界観が純粋培養されたという見方もできる。

    ただ、閉鎖的で、変化を嫌う組織を造り上げ、その幕末に、黎明期には礎でもあった三河の家来の子孫が、幕末には全く戦力にならず、幕府初期に冷淡に扱われた外様藩に、やられてしまうのは、歴史の妙という他にない。

  • 徳川家康がどのような境遇で育ち、どのようにして天下をとるに至ったかが語られる歴史小説。

    時代考証が丹念で、さすが司馬遼太郎といったところでしょうか。
    やはりその土地の人間と土地の地形というのは関係してくるものなのかなと思いました。
    特に三河と尾張の違いというのがこんなにあるものなのだなと驚きました。

    よく考えれば、徳川家康ってそんなにカリスマ性のある人間ではないと思います。でもおそらく自己管理能力や観察力、人の扱い方の能力は優れていたのだろうなぁ・・・・・・

    天下を取るまでは、綱渡り状態だし。どこでどう転んでいたかわからない。

    彼の気質がそのまま江戸時代以降の日本人の気質となっていくというのはとても面白いと思いました。

    彼は腹黒というかなんというか、臆病者かつ保守的な人間だったのだろうか。
    印象的なのは没個性と表現されているところです。

    その点で信長とも秀吉とも違ったのでしょう。やはり確固とした組織を作るためには、個人の能力(天才性?)に頼ることなく成立することが重要なのでしょうか。

  • 下巻は”徳川家康“の名を更に飛躍させた小牧・長久手の戦いを中心に描かれていた。徳川家康と三河軍団の鮮やかな戦場の駆け引きは三河軍団の結束力の賜物で素晴らしい。
    織田信長との同盟は下手に対応せざるをえなかったが、本能寺の変後は色々な駆け引きを行って身代を大きくした様は読んでいて面白かった。特に豊臣秀吉とのギリギリの駆け引きは自分より強い相手に対して存在感を出していった。さらに信長や秀吉の良い所を模倣して、天下人となり、江戸幕府を260年続かせる礎を作った。
    ただ、司馬遼太郎さんが江戸幕府の負の遺産について語っていたが、納得できるものがあった。

  • 20130918 何と無く物足りない。英雄の話はウソがあった方が盛り上がる。

  • 『覇王の家(下)』
    後半です。

    司馬遼太郎さんは、まるで実在する人物を見てきたかのように書きますね。

    リアリティがありますから、キャラが生き生きとしております。

    すっかり司馬さんワールドに引き込まれてしまいました。
    (END)

  • 筆者によれば、徳川による300年に渡る支配こそが今日の日本人の国民性を作り上げたのだという。その大本となった徳川家康とその家臣団を分析し、その根拠を分析する歴史小説である。新史太閤記などに比べると、家康や三河人の内面理解に重きが置かれているため、小説としては多少地味であるが、その地味さが一般的な徳川家康像をうまく表現しているように思った。

    実際にどうだったのかはさておき、織田信長や豊臣秀吉、その他の戦国大名の派手さに比べて、徳川家康にはどこか得体のしれない狸親父としてのイメージがあると思う。そのイメージを抱かれるゆえんを筆者の豊富な知識と独特の分析力で納得させてくれるような小説である。

    徳川の名を挙げるきっかけである小牧長久手の戦い関連に多くの項が割かれている。また、小牧長久手の後は唐突に彼の臨終間際のシーンまで飛んでしまうので、人によっては中だるみしたり、肩透かしを食らうかもしれない。著者の他の作品なども読んで、補完するのがよいかもしれない。

  • ''鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス''の徳川家康。彼はどうして天下をとることが出来、どうして徳川幕府は約300年も存続することが出来たのか、その秘密がココに!(笑)

  • 上巻はわくわく読んだが、下巻は、秀吉との対峙の記載が長く、中弛みを感じた。そしていきなり、死の直前まで記述が跳び、家康の生涯をみようとすると、秀吉の太閤記や、関ヶ原、その後の物語を見つけてきて読まないといけない。上巻にあった「人は人間関係を結べなければ、ただの肉の塊である」という司馬遼太郎が考える家康の物の見方や、生涯を通じ、独創性のなかったのが家康であったというのが、参考になった。

  • 上巻に引き続き淡々と。
    秀吉との外交とか
    亡くなる直前のこととか。
    司馬先生、淡々とし過ぎです!!
    と言いたいくらいに
    正直あんまり頭に残らない作品。
    まぁ、新たな発見とかが出来たんで
    あーなるほどね〜
    という感じでしょうか。
    小説というよりも最後までキッチリ
    「家康とはこういう人です!」みたいな感じだった。
    徳川家康という人物そのものに
    興味のある人にはイイかも。
    能ある鷹は爪を隠す。
    という感じです。

  • 上下読了。
    武将:徳川家康を描いた作品です。
    彼の生涯を出生から戦まで、彼の特徴が慎重さ、臆病さであったとは知らなかったです。
    ただ、個人的には戦の話というより、徳川家康がどういう思考をしているのかが描かれています。戦好きな僕にはすこしもの足りなかった~。

  • 徳川家康の生涯を司馬遼太郎がつづった一冊。

    司馬遼太郎が考える家康の人間像をできるだけ公平に描写した
    という印象があった。
    それだけに、今まで抱いていたイメージとは違う性格の家康が
    描かれていた。
    ドラマチックな展開は一切用意されていなかったが、
    三河武士の気質と尾張人の気質の違いなど当時の様子が
    ありありと分かる、司馬遼太郎の知識と描写力はさすがであった。

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