長崎ぶらぶら節 (新潮文庫)

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著者 : なかにし礼
  • 新潮社 (2003年9月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101154244

長崎ぶらぶら節 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 10年くらい前に読んで感動したのですが、あまり内容覚えていなかったので再び感動してしまいました。記憶力悪いと何回も楽しめてとってもラッキー。
    実際に居た愛八(あげはち)という芸者が、実際に吹き込んだ「長崎ぶらぶら節」にイマジネーションを刺激されて書いた作品です。
    この愛八さんが貧しい村から買われていく下りから始まるので、さぞ哀愁を帯びた悲しい物語なのだろうと警戒して読んでいましたが、生き生きと飛び跳ねるように生きている愛八さんの姿と、初めての切ない恋に身を焦がしながらも慎ましい姿が溶け合って、情深い女性像が立体的に浮かび上がります。

    基本美人ではありませんが、歌と三味線の腕と、愛嬌と気風の良さで看板芸者にのし上がって、晩年まで人気が衰えないという伝説の芸者なので収入もそれなりに良いはず。ですが、子供が物を売っている所を見ると見境なく全部買い上げ、相撲の新弟子を見かけると腹いっぱい物を食べさせるので、いつでも財布は素寒貧。それでも心はいつも燃え上がっているような魅力あふれる女性ですが、恋だけはした事がありませんでした。
    そんな時に降って湧いた憧れの男性からの「長崎の古い歌を探すのを手伝ってくれ」という言葉は愛の囁きのように聞こえた事でしょう。この男なんて罪深い。
    彼らが取りつかれたように歌を探す姿は、まるで逢引のようでありながら中身はこれ以上無い位にストイックで、内に熱い愛を秘めた愛八の姿には胸が締め付けられます。もうちょっと思いをかなえてあげればと思うのですが、この男ときたら、女ったらしのはずなのに、長崎史の研究についてだけはマジ本気。このいけず。

    この本は感動とは言いながらも悲しみや、同情で泣くのではなくて、その気高い生き方に涙が止まらなくなる本です。
    是非是非「長崎ぶらぶら節」を聴きながら読んでください。臨場感バツグンです。

  • 122回 1999年(平成11)下直木賞受賞作。明治の長崎を舞台とする芸者愛八の生涯を描いた時代小説。たくましく、素朴に、純愛を通す主人公の生き様に感動した。おすすめ。『時には娼婦のように』の作詞家が書いた小説なので、エロものかとくくって読んで見たがとんでもなかった。

  • 読後感が清清しく、ずっと余韻に浸っていたい。

    大正から昭和初期の長崎を舞台に、一人の芸妓の生き様を描いた本作。
    長崎学の研究者である古賀とともに、古い歌を集めて回る、年増の芸妓である愛八。彼女が3年間、古賀とともにどっぷりと古い歌の世界に浸っているとき、自分の生い立ちを知る。
    哀しみの風に吹かれているときに、不意に降りてきた、自分だけの音の世界。そして儚くも美しい恋。自分と同じく天涯孤独の舞妓への無償の愛。
    ドラマティックな展開はないけれど、大人の物語がここにある。

    自分自身、覚悟を持って、選んだ世界にいるのだろうかと自問自答をしつつ、最後のページを閉じるのであった。 

  • とても良いです。
    久しぶりに、染み入る本でした。
    愛八の一途さに感涙です。
    古賀十二郎の学問に対する態度と、それにこたえる愛八。
    これにより長崎ぶらぶら節が復活。
    二人の合作も完成。
    何とも物悲しく、でも、示唆に富む小説でした。
    長崎ぶらぶら節も、聞いてみると、とても良い感じです。

  • きっぷのよさと優しい心根をもつ、長崎丸山の芸者「愛八」の物語。ひそかな恋心を抱く古賀先生と始めた長崎の民謡探しの旅は、3年を経て長崎ぶらぶら節と出会う。一方では、置屋に売られてから病になった、幼いお雪の病の治療にすべてを捧げる献身的な愛情。明治時代の長崎の町や人情が鮮やかに描かれている。最後の場面には涙を誘われる。作詞家らしく言葉遣いも細やかで、情感に溢れた物語。

  • なかにし礼さんの直木賞受賞作
    誰もが知ってる作詞家さんですが、文筆を始めて二作目で直木賞を取ったそうです
    才能の塊なんですかね

    冒頭から文章の美しさが際立ってると感じた
    なかにし礼さんの作品という先入観のせいかもしれないけど、詩人の文章だからそう感じるのかとも思う
    しかし、それ以上のものは感じ取れなかった
    残念
    小説として他にどこを楽しめば良かったのか
    読んでいてもワクワクやドキドキが全く無く深く考えさせられることも無いこの小説、なぜ直木賞を受賞したんだろう??

  • 作者の並べる長崎弁が心地よい。 長崎の歴史、土地柄、風土、文化を感じるにはもってこいの一冊。

  • 2014/9/14
    長崎の昔の話なので読みづらいだろうと思って読み始めたが、古さを感じさせない文章には感動した。

    話自体はものすごいドラマチックなわけではないが、愛八の心の美しさや美しい文章に引き込まれるように読んで行った。

    ここまで綺麗な文が書ける著者に出会えてよかった。

  • 【本の内容】
    長崎・丸山遊里の芸者愛八が初めて本当の恋をしたのは、長崎学の確立を目指す研究者・古賀十二郎だった。

    「な、おいと一緒に、長崎の古か歌ば探して歩かんね」。

    古賀の破産を契機に長崎の古い歌を求めて苦難の道を歩み始める二人と、忘れられた名曲「長崎ぶらぶら節」との出会い。

    そして、父親のいない貧しい少女・お雪をはじめ人々に捧げた愛八の無償の愛を描いた、第122回直木賞受賞作。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    『兄弟』では肉親ならではの愛と憎しみを描ききった著者が、今回は膨大な資料をもとに<長崎学>成立の裏話を町学者をささえた芸子の視点で、それもやさしいまなざしで記している。

    評者は趣味で京都の民謡をうたう合唱団をやっているが、団の長老に言わせると、民謡の集め方は本書とまったく同じだったそうな。

    村々のお年寄りをたずねて、記憶を頼りにふるい民謡を歌ってもらい、歌詞とメロディーを記録する。

    残念ながら、京都ではまだ「ぶらぶら節」に相当するヒット作は発掘されていないが、偉大な先人がいたことを教えてくれた本書には敬意を表したい。

    お茶屋遊びのなかから学問が生まれるというのも、なんだか京都学派と通じているなあ。

    詩人から作家への移行は意外にむずかしいとも言われるが、なかにし礼は楽々と飛び越えてしまったようだ。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 第122回直木賞受賞作。
    実在の人物であり、明治時代の長崎丸山芸者愛八の生涯を描いた本。

    長崎の言葉遣いなどは分からないが、情緒あふれる描写や非常にやさしい言葉が使われている事で、愛八のやさしさというか母性が引き出されている印象。

    以前読んだ阿久悠にしてもそうだが、ボキャブラリーの豊富さやチョイスの仕方にはただただ感心、感激する。

    2013.12.14読了

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