- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101154244
感想・レビュー・書評
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122回 1999年(平成11)下直木賞受賞作。明治の長崎を舞台とする芸者愛八の生涯を描いた時代小説。たくましく、素朴に、純愛を通す主人公の生き様に感動した。おすすめ。『時には娼婦のように』の作詞家が書いた小説なので、エロものかとくくって読んで見たがとんでもなかった。
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読後感が清清しく、ずっと余韻に浸っていたい。
大正から昭和初期の長崎を舞台に、一人の芸妓の生き様を描いた本作。
長崎学の研究者である古賀とともに、古い歌を集めて回る、年増の芸妓である愛八。彼女が3年間、古賀とともにどっぷりと古い歌の世界に浸っているとき、自分の生い立ちを知る。
哀しみの風に吹かれているときに、不意に降りてきた、自分だけの音の世界。そして儚くも美しい恋。自分と同じく天涯孤独の舞妓への無償の愛。
ドラマティックな展開はないけれど、大人の物語がここにある。
自分自身、覚悟を持って、選んだ世界にいるのだろうかと自問自答をしつつ、最後のページを閉じるのであった。 -
長崎ぶらぶら節
著作者:なかにし礼
発行者:新潮社
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
日本作者大賞など受賞歴多数、クラシック界にも活動の場を広げオペラ「カルメン」「静と義経」オラトリオ「ヤマトタケル」世界劇「眠り王」「源氏物語」などの作品がある。
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作者の並べる長崎弁が心地よい。 長崎の歴史、土地柄、風土、文化を感じるにはもってこいの一冊。
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【本の内容】
長崎・丸山遊里の芸者愛八が初めて本当の恋をしたのは、長崎学の確立を目指す研究者・古賀十二郎だった。
「な、おいと一緒に、長崎の古か歌ば探して歩かんね」。
古賀の破産を契機に長崎の古い歌を求めて苦難の道を歩み始める二人と、忘れられた名曲「長崎ぶらぶら節」との出会い。
そして、父親のいない貧しい少女・お雪をはじめ人々に捧げた愛八の無償の愛を描いた、第122回直木賞受賞作。
[ 目次 ]
[ POP ]
『兄弟』では肉親ならではの愛と憎しみを描ききった著者が、今回は膨大な資料をもとに<長崎学>成立の裏話を町学者をささえた芸子の視点で、それもやさしいまなざしで記している。
評者は趣味で京都の民謡をうたう合唱団をやっているが、団の長老に言わせると、民謡の集め方は本書とまったく同じだったそうな。
村々のお年寄りをたずねて、記憶を頼りにふるい民謡を歌ってもらい、歌詞とメロディーを記録する。
残念ながら、京都ではまだ「ぶらぶら節」に相当するヒット作は発掘されていないが、偉大な先人がいたことを教えてくれた本書には敬意を表したい。
お茶屋遊びのなかから学問が生まれるというのも、なんだか京都学派と通じているなあ。
詩人から作家への移行は意外にむずかしいとも言われるが、なかにし礼は楽々と飛び越えてしまったようだ。
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
第122回(平成11年度下半期) 直木賞受賞作。あの小難しい評論の選考委員満票の作品。
長崎丸山の芸者「愛八」。長崎学の確立を目指す「古賀十二郎」と二人で長崎の古い歌を求めて訪ね歩き、忘れられた名曲「長崎ぶらぶら節」と出会う。そして、父親のいない貧しい少女「お雪」を救うために無償の愛を描いた「愛八」の生き様。
選考委員・田辺聖子「序章と終章が美しい額縁を成して、満ち足りた読後感」という評にすべてが表されている。
映像は想像でもっと大きくできるが、歌はわからないので、一度聞いてみたいもの。 -
長崎にある芸妓さんの一生の話だが、その心意気と真っ直ぐさがたまらない。最後の数ページは自然とこみ上げる熱いものをこらえるのが大変だった。
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新選組で言うなら山崎さんみたいな人がいい。古賀先生は。
愛八は佐野の奥さんみたいな人がいいなぁ。方言で書かれてるのがちょっと苦手。