食卓の情景 (新潮文庫)

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著者 : 池波正太郎
  • 新潮社 (1980年4月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156064

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食卓の情景 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ブクブク交換でいただいた1冊。
    池波さんの“食”へのこだわりがつまっています。

    もうただひたすらに、美味しそうです。

    津々浦々の食べ物と、それにまつわるエピソード。
    結構“やんちゃ”してたのだなぁ、なんて風にも。

    池波さんの著作群からわきたつ“食の匂い”、
    それは実体験から来ているのだなぁ、とも。

    昭和の香りを色濃く感じる、そんな1冊です。

  • 池波正太郎氏の描く食と人間の営みは秀逸です。それは、著者の代表作である『鬼平犯科帳』や『剣客商売』を読めば一目瞭然です。そこには、人間のあくなき食への探求が、実に生き生きと見て取れます。
    この本はよくあるグルメ本ではありません。我が国の伝統的な習俗や気質、はたまた国民性というものが、戦後の急速な発展の中で喪失した、あるいは喪失しつつある事に対して、自身が経験してきた「食」に関する営みを通じて、あくまでもソフトに、さりげなく警鐘を鳴らしているやにも思えます。

  • 池波正太郎の食にまつわるエッセイだ。連載開始は、私が生まれた頃。
    池波正太郎は、中村吉右衛門の主演したドラマ「鬼平犯科帳」が最初の出会い。あのドラマは、時代劇の中で異色の作品で、大好きだった。原作が読みたくなり、読み始めたら、おもしろく、他の小説やエッセイにも手を伸ばしている。

    作者は食通で有名だけど、この作品を書いた頃は、自分では、まだそう思っていないらしい節がある。でも、「食いしん坊」であることはよくわかる。食べ物の描写を読んでいると、涎が出てきそうだ。私もかなりの「食いしん坊」なので、「食いしん坊」を肯定されているようで嬉しい。

    一編に、ロウリングスの「仔鹿物語」の、食べ物の描写について、触れたところがある。戦後、食料が欠乏していた頃に読み、うまそうに描写された「ベーコン」だの「肉まんじゅう」だの、涎が出てきそうな情景に、空腹を癒されるような気がしたのだそうだ。

    そこで、私が子供の頃読んだ「大草原の小さな家」シリーズを思い出した。大好きなお話で、何度も繰り返し読んだものだけど、これも、シリーズを通して、美味しそうな食卓が描写される。決して、裕福な食卓ではないのだけど、「湯気をたてているパン」とか「じゅうじゅう焼けている肉」だの、涎が出そうな気がして、ワクワクしたものだ。

    「メアリー・ポピンズ」シリーズなんかも、食べ物の描写がよかった。子供の頃、よく読んだ本って、その時の情景や、においなんかも含めて、記憶に染みつくような気がする。私は「メアリー・ポピンズ」と聞いただけで、「トーストのにおいのする、ぱりっとしたエプロン」なんてのが、頭に浮かぶ。

  • エッセイをほとんど読んだことのなかった私に、「好きな作家のエッセイは小説と同じように楽しめるものだ」と気づかせてくれた1冊。この本のおかげで、池波氏の他のエッセイから、幸田文、向田邦子らのお気に入り本とも出会うことができました…

    『食卓の情景』には、そのタイトル通り‘食’にまつわる池波氏の体験が詰まっています。個人的な食事から、取材旅行先の食事、幼い頃や戦前・戦後の特殊な事情下の食事…いろいろな時・場面での食事の風景が生き生きと語られていて、本当にその場に立ち会っているように感じられます。

    ‘情景’とあるように、そこにはいつも深い気遣いや感謝の心が存在する。単に腹を満たすだけでは物足りない、料理といっしょにその場の雰囲気も味わってこその食事でなければならない。池波流・食の哲学が、味わいのある文章で読み解けます。

    登場するエピソードを読むにつけ、池波氏の‘食’へのこだわりがよくわかる。小説で描かれる食事の場面が、ああも魅力的な秘密は、ここにある!

  • 初・池波正太郎。
    食エッセイ好きとしては大御所のを読んでおかないと。と思って読む。
    食べ物についてはさることながら、物書きとしての池波正太郎の姿が垣間見れて楽しい。
    短編小説と長編小説の書き方の違いが勉強になった。
    他、
    少年時代の話もあれば、奥さん、老年を迎えた母親とのやりとりも微笑ましい。
    大御所の生活を垣間見た気分になった。

  • 僕は歴史小説を読まないが、御大の作品はこの手の食エッセイしか知らない。が、読む度に御大は食に関するエッセイストとして一流であることを感じる。

    そう思うのは、御大の語り口が、「食を語る」のではなく、「何かを食という存在を通じて語る」いうスタイルであるからだ。過ぎ去りし日本の様子や、戦時中の思い出、今は亡き友人の姿など様々なものがここでは描かれる。当時の日本の文化を後生の人が知るときに、一級の文献的価値がここにはあると思う。

  • いろんな作家のエッセイを読む中で、
    意外と気に入っているのが歴史作家物。
    そこに描かれている場所や時代に、
    幅と深みがあるのが興味深い。
    たとえば司馬遼太郎さんのエッセイは、
    ときに時間をぐんと遡るかと思えば、
    ときに取材で訪れた世界各国のことを記したり、
    読んでいて様々な情景が浮かんできます。

    池波正太郎さんの「食卓の情景」は、
    まさにそんな古今東西の食について
    多彩な視点で描かれたエッセイ。
    昭和48年創刊のこの古い一冊を
    今さらながら読んだのは、
    たまたま知人の事務所の本棚にあったから。
    食にまつわる仕事をしている人だけに、
    そこに並んでいる本は食が中心。
    個人的な興味にストライクな書籍ばかりで、
    その中からお借りしたのがこの一冊でした。

    池波正太郎さんのことを
    それほど知らなかったのですが、
    この方、戦前は株屋で働き、
    戦中は横浜や鳥取で軍務につき、
    戦後は劇作家として活躍した後、
    小説家として風靡したとのこと。
    そんな子ども時代のことから、
    作家として各地を取材で巡ったときの食、
    さらには自身の小説の中で描いたシーンや
    それを描くことになったきっかけなどについて
    回想しながらコラムは進んでいきます。

    劇作家だった時代には京都や大阪でも
    様々な演目をこなしていたようで、
    そこに登場する料理屋の中には
    今なお営業している店がいくつもあって、
    それはそれでまた感慨深い。
    たとえば道頓堀の「大黒」のかやくごはんは、
    雑誌などでもよく取り上げられる名店。
    久しぶりに訪れたくなりました。

    後書きにも記されているように、
    こういう本って何度読んでも楽しめます。
    そのときそのときの自身の環境によって、
    共感を覚える点が異なるし、
    読み過ごしていたことに
    あらためて気付いたりもします。

    手元にあるこの文庫は借り物なので、
    近日中に返却することになりますが、
    買って本棚に並べておくのも悪くないなと
    つくづく感じる、味わい深い一冊でした。

  • 好きな本の一冊。
    作家の食にまつわる本はいつだって好きだけれど、池波先生のおいしいものへの愛情あふれる描写が好き。
    この本に、名古屋、桑名(多度)、あまつさえその流れで自分の地元が出てきたことにはアガった。

  • 2011/05/07:『むかしの味』はお店の紹介がメインですが、こちらは池波さんの食事に絡むエピソードにより重点が置かれています。

  •  三重県の牛広告のおかげで有名になってしまったが、確かに伊賀牛を食べるくだりの描写は実際に食べたことのない肉が口の中に飛び込んでくるかのよう。洋食、和食の壁なく、いろんな物を食してくれるのが楽しい。昭和40年代のちょっとした贅沢が現代では口にするのも難しいという食材も多くあろう。昔を懐かしむ本と同時に自分の食生活も省みさせてくれる。食べ物ばかりの話もあり、食べ物を通じて家庭円満の秘訣の話もあり、最初から最後まで楽しめた。

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