散歩のとき何か食べたくなって (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156101

感想・レビュー・書評

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  • 時代小説を書く著者が散歩のときに求めていたのは、江戸と少年の頃の戦前の風情を残す町並み、そして散策時に立ち寄る老舗の味だった。

    名曲も名画も、現代でも素晴らしいものとして残っているものには、時代を超えて人の心を揺さぶる何かがある。味も同じだろう。けれど、「古い」だけでは駄目だ。
    このエッセイが書かれたのは昭和56年。果たして、平成の今、ここで紹介されている名店のどれだけが残っているのか。
    この本を片手に、私も散歩をしてみたくなった。

  • 池波正太郎の「鬼平犯科帳」のドラマが好きだったが、本で一冊も読んだことがない作家だった。エッセイなので読みやすい。単なるグルメ本っていうより、時代と町の風景、お店の佇まいなどを感じつつもおいしいものを読むことで堪能できる。いわゆる一見さんでは尻込みしちゃいそうなお店もあるけれど、蕎麦屋など本当に日常的に通ってらしたところも良く出てくる。東京は縁がないからあまりよくわからないけど、行ったことない浅草方面にも興味が湧いた。たまたまだけど、仕事で「剣客商売」のあらすじを書いた直後に読んだのもあって、作品が生まれた背景が出て来た時、おお〜っという感動があった。あと松本の「まるも」は、卒業旅行で旅館に泊まったことがあるので、いい選択したなぁと嬉しかった。時々文章が途中一文字抜けてる?と思うのが何箇所かあったのが気になったが(笑)とにかく旅に出かけてみたくなった。

  • 1冊目の本で「利己的な遺伝子」を読んでいましたが、なかなかどうして読み進まず、断念してこちらの本へ浮気。。

    この本に書いてある店では、「駒形どぜう」と「神田まつや」には時々行きます。
    いずれも江戸から続く店なのか、味はもとより老舗の名店の空気が感じられて、とても気に入っています。(年末年始になぜか行きたくなります。)

    本に載っている店をいくつか調べてみましたが、現存している店はざっと半分くらいでした。店主の引退=閉店になっている店も少なくなさそう。

    きっと残っている店も、名店の雰囲気や息遣いを感じることができるお店で、なくなる前に行っておかないと...と感じました。

    店の紹介も、店員の人となりや当時の池波さんの思い出も含めて説明してくれることで、距離がぐっと近づきました。

    古き良き昔の東京を見ることができないのは残念。。

    ◆心に残ったフレーズ
    --
    私のような仕事をするものにとって、散歩は、「重要な仕事の一部・・・・・」だといってよい。-p15
    --
    散歩しよう。

  • "懐かしい昭和の料理屋を著者が思い出とともに語ってくれる。今はどれくらいのお店が残っているのだろうか?昭和の地図と今の地図を見比べて、池波正太郎さんが愛したお店を訪ね歩きたくなった。
    東京オリンピックに関する記述もあり、感慨深い。
    2020年に56年ぶりに東京オリンピックが開催される。
    最初の東京オリンピックで、東京は都会に変わったとの記述がある。よきものを残すことなく破戒と創造を経たものが現在の東京らしい。
    これからの7年でどんな都市を構築していくかは、われわれの世代の責任なのだ。"

  • 政則氏NO.1ということで改めて読んでみた。

    ここに書かれている風景はどれだけ今残っているんだろう?娘と一緒に回ってみたい。

    (105)

  • 昭和50年に書かれたグルメエッセイ。実在の店を紹介しつつ、古き良き時代や食事を懐かしむ描写が多い。40年程経っている現在はどれ位の店が残っていて、当事の味や雰囲気を残しているだろうと思う。

    浅草生まれで地元への愛着を強く感じるし、聞いたことのある店名も出てくる。ただ、新しいものを「味気ないもの」と言い切る点は同意しかねる。新しいものは古いものから生ずるのであれば、それも価値はあるのではないか。

  • 池波正太郎の美味しいお店本。
    美味しいお店情報を得たくて読んだけれど、それよりも池波さんの思い出語りエッセイとしてなんとなく楽しめてしまった。

    浅草育ちで、芝居が好きで、小学校を卒業してすぐに働き始めた。少年の頃から食べ物屋さんに入ることにかけては物怖じしないたちだったそうで、職場に近かった銀座や神田などでも、ここはと思った店はどんなところでも堂々と入り、大人の気分を味わったという。
    ※東京の東側は私の故郷!

    召集され海軍に入り、エキゾチック横浜でも旨いもの探求。
    ※横浜は私の初めての勤務地!

    終戦後は品川目黒辺りに住み、物書きとして食べていけるようになるまでは、昼間は役所勤め in 渋谷・夜中は創作活動という生活を送っていた。
    ※若い頃よく渋谷で遊んだ!いま目黒乗り換えの品川勤務!

    芝居の仕事(脚本・演出)が中心だった頃は京都や大阪の劇場へ通って稽古をすることも多かったということで、京阪の美味しいものの話や歌舞伎役者との交流話なんかも私のツボどまんなか。
    ※結婚して3年半大阪に住んだ!京都でも遊んだ!そしてやっぱり関西は安くて美味しいものが溢れていたと思う!

    またこどもの頃の話で面白かったのは、自分の住んでいる町とは違う遠くの町へ出かけていくとき、いかにドキドキワクワクの「冒険」気分を味わったものかという述懐。
    私も散歩好きだし、中学生のころ(ミッション系の学校だったため日曜には教会に行くよう聖書科の先生から勧められ始めのうちはちゃんと行っていたがだんだん行かなくなり)日曜に教会に行くと言って自転車で出かけてあてどなくさまよい、この道をずっと進むとあの町に出るのか~ということに感動したりしてたことなど思い出し、ほっこりした。

    というわけで、池波小説はひとつも読んだことがないが、池波さんの思い出語りは私には何だかハマるようだ(別の本、古地図エッセイも楽しかったし)。

  • 20170731読了
    1981年発行。名前は存じ上げているがその作品には詳しくない。食べることが大好きな作家さんで、その作品中に出てくる食事場面の描写にもファンがいるほどだという程度の認識。●東京を中心に気に入りの店を綴るエッセイ。名古屋、大阪、横浜、京都、近江、信州、フランス。30年以上経ってなお続いている店もある。巻頭には料理のカラー写真。途中にも店の外観を写したモノクロ写真を収録。

  • 私にとっては十分に飯テロ本です(何

  • 読み終わってから、かなり昔に書かれたということを知り驚いた。
    未だに営業してる店も多く、
    行こうと思ったら行けるお店が存続してるのがすごい!

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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